NO2 速度に比例する抵抗力による減衰現象の復習 なめらかな水平面上を運動している質量m、速度vの物体に、 速度に比例する粘性抵抗力 -γv が働いているとき、 運動方程式: v γv dv m = dt -γv > (1) これを解くには、微分方程式の形に注目し、変数分離で解く。 変数のvを左辺、tを右辺に集めて、 dv = v γ - m dt の形にし、右辺をvで、左辺をtで別々に積分する。 (例題 1) dv dt dv dt 10 運動方程式は 2v 20v を変数分離形にすると、 両辺をそれぞれ積分して、 log v v(t ) e 2t C Ae 2t 2t C ・・① dv v 2dt ただし、C は積分定数。 ただし、 A eC 初速度が10(m/s)のとき、t=0のとき、v(0)=20となる。 よって、一般解にt=0を代入して、 v (0 ) Ae これを①に代入して、 0 v(t ) A 20e 20 2t ・・② 速度が初めのe-1倍= 0.37 倍つまり、 20 e-1になるとき、②式より 20e 1 20e 2 2 1 1/ 2 速度は時間と共に指数関数的に減速し、0.5 秒 で初速の 0.37 倍(約 1/3)になり、十分時間が 経つと(t→∞)で0となる。グラフは右図の ようになる。 - NO2- 1 - ∴ A=20 と置いた。 (問題 1)RC回路におけるコンデンサーの放電 (1)キルヒホッフの法則より、 Q C IR ・・① (2)また、コンデンサの電荷が減少することにより回路を dQ dt I 電流が流れるので、 ・・② ②を①に代入して、 R (3) dQ dt 1 Q C dQ dt 1 Q RC 5 C= 5 μF,R= 8 × 10 Ωを代入すると、微分方程式は、 dQ dt 1 Q 4 変数分離形にし、両辺を別々に積分すると dQ Q 1 dt 4 dQ Q 1 t 4 log Q Q (t ) Ae 1 dt 4 C ただし、Cは積分定数 t 4 ただし、A= eC と置いた。 初期条件より、はじめ(t=0)の電荷がQ0= 60 μC なので、 Q ( 0) Ae 0 RC A 60 10 6 これを一般解に代入して、 Q (t ) 60 10 6 e t 4 ・・ ③ コンデンサーの電荷は指数関数的に減少し、t→∞で0となる。 電荷Qがはじめの電荷Q0の 1/e =e-1 = 0.37 倍まで減少する時間を時定数τといい、 e 4 e 1 4( s ) また、時定数は、コンデンサーの電気容量C,電気抵抗Rを用いると、 τ=RC となる。 (3)③式のQ(t)を①式に代入するか、または、③をtで微分すると電流I(t)が得られる。 - NO2- 2 - ①式に代入する場合は、単純に計算すればよい。 微分して求める場合は、次のようになる。 I (t ) dQ dt d 60 10 6 e dt t 4 60 10 4 6 e t 4 6 15 10 e t 4 つまり、電流も時定数τ= 4(s)で指数関数的に減少する。 また、電流の初期値は、 I0 I ( 0) 15 10 6 e 0 4 15 10 6 15( A) となる。 t Q-tグラフ Q (t ) t I-tグラフ Q0 e I (t ) I0e 電流、電荷とも、時定数τ= 4(s)で指数関数的に減少する。 t=0で電荷の放電が起こり電流が流れるが、コンデンサーに蓄えられていたエネルギー は、抵抗Rび電流が流れるときにジュール熱となって消えていく。 よって、コンデンサーの電荷も、回路を流れる電流も、時間がたつと指数関数的に減少し ていく。 (問題 2) コンデンサーの充電 (1) コンデンサーの電荷をQ、回路に流れる電流を I として、キルヒホッフの法則を立て ると、 V Q C or V IR Q C IR 0 ・・① - NO2- 3 - (2) ①式をtで微分すると、 d V dt Q IR 0 C 1 dQ dI R 0 C dt dt これに I (3) 起電力Vは一定なので、微分すると 0 になり、 dQ dt を代入すると、 R dI dt 1 I RC dI dt 1 I C 0 電気容量C= 5 μF,R= 8 × 105 Ωを代入すると、微分方程式は、 dI dt 1 I 4 変数分離形にすると、 dI I dI I 1 dt 4 の両辺を積分して、 1 dt 4 t 4 log I C1 ただし、C1は積分定数 ∴ I (t ) t 4 Ae ・・② ただし、 A e c1 と置いた。 t=0でコンデンサーは帯電していないので、①式でQ=0とすると、 I0= V/R = 12 / 8 × 105 = 15 × 10 ー6 (A)= 15(μ A) よって、②にt=0を代入したものがI0= 15 × 10 ー6に等しいとして、積分定数A を求めると、 I ( 0) Ae 0 4 A 1 A 15 10 6 これを②に代入して、 I (t ) 6 15 10 e t 4 ・・③ 時定数は、τ= RC で与えられる。 (4) 電荷Q(t)は、③式の電流 I(t)を①式に代入するか、 I dQ dt を使い、 I(t)を積分することによってQ(t)が得られる。(後述) - NO2- 4 - ①式に R、C、V の値を代入し、③を①に代入すると、 12 Q 5 10 6 8 10 5 I Q 5 10 Q 5 10 12 e 12 Q (t ) 6 60 10 6 1 8 10 5 15 10 6 e 6 t 4 t 4 e t 4 つまり、t=0でQ(0)=0,t→∞でQ→ 60 × 10 ー6 = 60(μ C) となり、コン デンサーは充電される。 このとき、コンデンサーに蓄えられる電荷の最大値は、 QM= lim Q(t) = 60 × 10 ー6 =I0 ×τ t→∞ ここで、I0 =V/R、 (5) I-tグラフ τ=RC I (t ) V e R より、 最大値は t RC QM =CV Q-tグラフ Q (t ) CV 1 e t RC 電流I(t)の時間依存性について 初期値I o = V/R から、指数関数的に減衰。時定数τ= RC で、はじめの値のeー1= 0.37 倍 まで減少する。 電荷Q(t)の時間依存性について 電荷は徐々に充電され、時定数τで(1-eー1 )QM = 0.63 QMまで増大する。 (参考 :(4)において、Q(t)を積分で求める別法) コンデンサーの電荷Qと電流Iの関係は dQ dt 6 15 10 e I dQ dt よって、③を代入すると、 t 4 以下、15 × 10 ー6 =I0 - NO2- 5 - とおく。 これをtについて積分すると、 t 4 Q (t ) I 0 e dt 4I 0 e t 4 ・・④ C2 ただし、C2は積分定数 t=0でコンデンサーの電荷は0なので、Q(0)=0 Q(0) 4I 0 e 0 4 60 10 6 e C2 0 4 C2 一般解④にt=0を代入して、 0 C2 60 10 6 これを④に代入して、 6 Q (t ) 60 10 e t 4 60 10 6 60 10 6 1 e t 4 (例題 2)パラシュートの問題 a) 下向きに軸を取ると、働く力は 重力 mg 抵抗力 mγv : 下向き : 上向き 抵抗力mγv よって運動方程式は、 m v dv mg m v dt dv g v dt 重力mg γ=2.0,重力加速度 g=9.8m/s2 を代入すると(質量mにはよらないことに注意) dv 9.8 2 v dt 左辺をvの係数で vの係数でまとめて dv dt まとめることが重要 2 v 4.9 定常解 4.9 変数分離形にして、 dv v 4.9 (dv/dt=0の解) がここに出る。 2dt dv v 4 .9 両辺を別々に積分して、 ( 2)dt log | v 4.9 | 2t C ただし、C は積分定数。 また、初速は0なので、速度は徐々に増えて定常解 4.9 に近づくので、 v<4.9 したがって、絶対値を取ると、|v-4.9|=4.9-vとなる。 4.9 v(t ) e 2t C v ( t ) 4 .9 A e ここで 2t : A eC 一般解 - NO2- 6 - とおくと、 t=0でv=0より、 v(0) 4.9 A e 20 v ( t ) 4 .9 1 e 4.9 A 0 これを一般解に代入して、 2t lim v(t ) lim 4.9 1 e b) 十分時間がたったとき、 これは dv/dt=0 A 4 .9 t 2t t 4 .9 で求めた定常解と一致する。 c) 十分時間が経つと、一定速度 (終端速度)になり、等速で 落ちていく。 (問題 3)(1) 働く力が 30(N)なので、速度をvとすると運動方程式は、 4 dv 30 dt dv 7.5 dt それを積分すると一般解は、 v(t ) 7.5dt 7.5 t C ただし、C は積分定数。t=0で v(0)= 0 なので、t=0を代入して、 v(0)= 7.5・0 + C =0 ∴ C =0 よって、初めに止まっているときのt秒後の速度は、 v(t)= 7.5・t t秒後の位置 x(t)はこれを積分して、 x(t ) v(t )dt (7.5t )dt 3.75t 2 C ' ただし、C’は積分定数。t=0で原点にいるので、 x(0)= 3.75・0 +C’=0 ∴ C’=0 よって、初めに原点にあるとき、物体のt秒後の位置は x(t ) 3.75t 2 (2) (a) 物体に 30(N)の力と速度に比例する抵抗力 10 vが働いている時、運動方程式は、 4 dv 30 10v dt dv 7.5 2.5v dt - NO2- 7 - (b) 変形して変数分離にする。 dv 7.5 2.5v 2.5(v 3) dt dv 2.5dt v 3 両辺を積分して、 dv 2.5 dt v 3 log v 3 2.5 t C" 但し、C”は積分定数。 ここで、初速度0(m/s)なので、v-3<0より、|v-3|=-v+3 よって、 ただし、 v 3 e A eC" 2.5 t C " Ae 2.5 t v(t ) 3 Ae 2.5 t とおいた。 初速度 0(m/s)なので、t=0を代入して、 v(t ) 3(1 e 2.5 t v(0)=3-A=0 ∴ A=3 ) また、十分時間が経った時の速度(終端速度)は、 lim v(t ) lim 3(1 Ae t 2 .5 t t ) 3 または、定常状態では dv/dt =0より、v=3 (c) さらにvを積分すると x(t ) v(t )dt 3t 3(1 e 3 e 2.5 2.5 t 2.5 t )dt C1 3t .1.2e 2.5 t C1 ただし、C1 は積分定数。x(0)=0より、x(0)= 1.2 + C1 =0 x(t ) 3t .1.2(e 2.5 t 1) (問題 4)RL回路 (1)回路に流れる電流をIとして、キルヒホッフの法則を立て ると、 V (2) L dI dt dI 移項して、 L dt IR V IR ・・① - NO2- 8 - ∴ C1 =- 1.2 これより、I∞=一定となる定常状態では、時間変化がないので dI ∞/dt =0となり、 V-I∞R=0 I∞ ∴ → V/Rであることが分かる。 ①の両辺をLでわって変形すると、 dI dt R I L V L R I L V R R I L I 変数分離にすると、 dI I I log I R dt L 両辺を積分して、 R t L I C ただし、Cは積分定数 t=0でI(0)=0であるので、I<I∞。 ∴ I I R t C L e I (t ) I eC 0 e R t L eC ・・② t=0を代入し、0に等しいとすると、 I (0) I R 0 C L e I eC I これを②に代入すると、 I (t ) (3) I-tグラフ I 1 e R t L I (t ) V 1 e R V 1 R e R t L R t L コイルにより、変化を妨げる向きに自己誘導起電力が生じるので、スイッチを入れた瞬間 に電流はV/Rにならず、徐々に電流値は増大していく。 時定数τ=L/Rで定常電流I∞=V/Rの63%の大きさに達し、t→∞で定常状態に なる。 - NO2- 9 -
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