J-REITの投資環境と今後の見通し 2014年2月14日

情報提供資料
J-REITの投資環境と今後の見通し
2014年2月14日
2013年のJ-REIT市場(東証REIT指数)は、不動産市況の回復などを背景に年間で35.9%上昇しました。
2012年の33.6%上昇に続き、2年連続で2ケタの大幅上昇となりました。しかしながら、2013年の国内株
式市場(TOPIX 51.5%、日経平均株価 56.7%)と比較すると上昇幅は限定的でした。新規上場・公募増資が
相次ぎ、年間の調達額が1兆円を超え過去最高に迫る水準になったことが、要因の1つとして挙げられます。
2014年のJ-REIT市場は、不動産ファンダメンタルズの改善傾向の継続に加え、需給動向にも改善が想定さ
れることなどを背景に、上昇する展開が期待されます。
2013年のJ-REIT市場について
大幅上昇するも、短期的な需給悪化懸念等を背景に株式と比較すると上昇幅は限定的に(P.2)
2014年のJ-REIT市場の見通しとポイント
(1)資金調達の減少により、短期的な需給悪化への影響は低減へ(P.3)
- ヘルスケアREITの上場による投資家のJ-REITへの認知度向上にも期待
【資金調達額の推移】
(億円)
12,000
(2001年~2014年)
推計値
10,000
4,063
1,650
8,000
6,000
新規上場
6,998
4,000
5,000
公募増資
2,000
0
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
14 (年)
13
※2014年の資金調達額は、各種報道や各REIT開示資料等を基にみずほ投信投資顧問が推計(2014年1月31日現在)。
(2)2013年に活発化した資金調達による物件取得が、J-REIT投資口の価値向上に寄与
(P.4)
(3)2014年のJ-REIT市場は堅調な推移
に期待(P.5)
① オフィスビル市況の改善継続
② NISA導入による資金流入期待
③ 日銀による買入れ、および
GPIFによるREIT投資の可能性
¾トピックス ~ インフレ率と不動産価格 ~(P.6)
【都心5区オフィスビル空室率・賃料の推移】
(円/坪)
36,000
(2008年12月~2013年12月)(%)
10
32,000
28,000
9
空室率(右軸)
24,000
7
賃料(新築:左軸)
20,000
16,000
8
賃料(平均:左軸)
6
5
12,000
4
08/12 09/12 10/12 11/12 12/12 13/12
(年/月)
※都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)
出所:一般社団法人不動産証券化協会および三鬼商事等が提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。
※上記は、将来におけるJ-REITの資金調達額および都心5区オフィスビル空室率・賃料の推移を保証するものではありません。
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」を必ずご覧ください。
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2013年のJ-REIT市場について
2013年のJ-REIT市場(東証REIT指数)は、デフレ脱却による不動産市況の回復や日銀による金融緩
和、2020年東京オリンピック開催決定による地価上昇への期待、相対的な配当利回りの高さに着目した
資金流入などを背景として、年間で35.9%上昇しました。
アベノミクスへの期待から、東証REIT指数は
東証REIT指数と10年国債利回りの推移
2013年初より急上昇し、3月27日に年初来高値
1,700.91ポイントを付けました。しかし、1-3月
の急上昇の反動や4-5月に10年国債利回りが0.5%
台から0.9%台へ急上昇したことでJ-REITは売られ、
6月13日には1,246.28ポイントまで低下しました。
(ポイント)
(2012年12月28日~2013年12月30日) (%)
1,800
1.1
東証REIT指数(左軸)
1,700
1.0
1,600
0.9
1,500
0.8
1,400
0.7
が悪化したことで、12月末時点では1,515.01ポ
1,300
0.6
イントとなりました。
1,200
0.5
その後は徐々に指数水準を切り上げたものの、下
期にかけて新規上場・公募増資が相次ぎ市場の需給
2013年におけるJ-REITの新規上場・公募増資に
よる年間の調達額は、約1.1兆円と過去最高水準と
1,100
0.4
10年国債利回り(右軸)
1,000
12/12
13/03
13/06
13/09
なりました(P.1グラフご参照)。
0.3
13/12
(年/月)
資金調達額の比較
市場規模(時価総額)の約15%もの資金調達が
行われたことで、短期的に市場の需給が悪化し、JREIT市場は相場の上値が抑えられる展開となった
と考えられます。
時価総額
(2013年12月末)
市場規模(時価総額)に対する資金調達額の比率
を国内株式と比較すると、J-REITの資金調達額が
資金調達額
(2013年年間)
国内株式
J-REIT
約486兆円
約7.6兆円
約2.2兆円
約1.1兆円
約0.5%
約14.5%
いかに大きかったか、お分かりいただけるかと思い
比率
ます。
¾資金調達による投資口の需給悪化について
新規上場や公募増資などの資金調達が行われると、一般的に投資家には以下の動きが出やすくなると考えられます。
①資金調達への申込みのため、他の銘柄を売却する
②新規に取得した投資口を短期的に売却し、損益を確定させる
このため、市場全体の短期的な投資口の需給悪化要因となります。
ただし、国内株式とは異なり、J-REITの公募増資は1口当たり配当金を維持・向上させるケースが多く、中長期的
には投資口の需給改善に向かうと考えられます。
出所:ブルームバーグ、日本証券業協会および一般社団法人不動産証券化協会が提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。
※上記は、将来における東証REIT指数と10年国債利回りの推移、国内株式とJ-REITの資金調達額を示唆、保証するものではあり
ません。
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」を必ずご覧ください。
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2014年のJ-REIT市場の見通しとポイント
(1)資金調達の減少により、短期的な需給悪化への影響は低減へ
2013年に相場の重荷となった資金調達に関しては、2014年には金額ベースで40%程減少すると
当社では推定しています( P.1グラフご参照)。このため、資金調達による短期的な需給悪化への影
響は低減すると想定されます。
とりわけ新規上場は、現在までに報道されているものを合算すると、2014年には金額ベースで前
年の3分の1から半分程度まで減少するとみられます。
なお、2014年には老人ホーム等へ投資するヘルスケア専業REITの上場が予定されています。高齢
化社会が到来する中、身近な不動産を投資対象とした新たなJ-REITの誕生は、投資家のJ-REITへの
認知度向上に寄与すると期待されます。
J-REITの新規上場
上場時期
J-REIT名
主要投資対象
2013年
資金調達額
(億円)
4,199
2月 コンフォリア・レジデンシャル投資法人
住宅
103
物流
1,003
6月 野村不動産マスターファンド投資法人
物流、商業施設
1,663
7月 星野リゾート・リート投資法人
ホテル
102
10月 SIA不動産投資法人
オフィス、商業施設
336
11月 イオンリート投資法人
商業施設
992
〃 日本プロロジスリート投資法人
2014年
1,650
オフィス、ヘルスケア施設等
650
未定 (スポンサー:新生銀行)
2月 ヒューリックリート投資法人
ヘルスケア施設
500
未定 (スポンサー:三井住友銀行等)
ヘルスケア施設
100
未定 (スポンサー:大和証券等)
ヘルスケア施設
250
未定 (スポンサー:ケネディクス)
ヘルスケア施設
150
※資本調達額は、発行価格×新規発行口数として計算。
※上場予定銘柄の資本調達額は、各種報道による物件取得額等を基にみずほ投信投資顧問が試算(2014年1月31日現在)。
出所:各J-REIT開示資料および各種報道を基にみずほ投信投資顧問が作成。
※上記は、将来におけるJ-REITの新規上場を保証するものではありません。
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」を必ずご覧ください。
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(2)2013年に活発化した資金調達による物件取得が、J-REIT投資口の価値向上に寄与
公募増資は短期的には市場の需給に悪影響があるものの、調達した資金による優良物件の取得が1口
当たり分配金の上昇や不動産価格の上昇につながり、J-REIT投資口の価値向上に寄与するケースが多
くなっています。
J-REIT市場の循環の仕組み
金融緩和による
J-REITの投資魅力向上
日本の経済状況回復
配当利回り
向上
J R-EITの資産面での価値増加
J R-EITの収益面での価値増加
J-REITの価格上昇
NAV倍率*
改善
資金調達が容易に
財務内容を維持して資産拡大を図る
エクイティファイナンス
(資本調達)の増加
収益性の高い不動産の購入
J-REITの収益性向上
優良物件の購入
不動産市況の改善
ポートフォリオの改善
J-REITの配当増加
J-REITの資産価値向上
*NAV倍率
REITが保有する物件等の資産(時価ベース)から負債を差し引いたものをNAV(Net Asset Value)と
いいます。リートの投資口価格を1口当たりのNAVで割ったものを「NAV倍率」といい、リートの資産
価値の割安度、割高度を計る目安として利用されています。事業会社における「PBR(株価純資産倍
率)」とほぼ同様の意味となります。
※上図は、J-REIT市場の循環の仕組みを投資家の皆さまにご理解いただくためにイメージ化したものであり、必ず上記の
通りになるとは限りません。
¾分配金増加につながる資産取得例:産業ファンド投資法人
【1口当たり分配金の推移】
産業ファンド投資法人は、2014年1月、公募
増資および借入れによる資金調達にもとづく8件
(166億円)の資産取得を発表しました。
同時に発表された1口当たり分配金の同投資法
人による見通しでは、資産取得による着実な分
配金の増加見通しが示されています。
(円)
18,000
16,000
15,643円
15,958円
16,184円
16,508円
14,387円
14,000
12,000
2012年 2013年 2013年 2014年 2014年
12月期 6月期 12月期 6月期 12月期
(予想) (予想) (予想)
出所:産業ファンド投資法人が提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。
※上記は、将来における産業ファンド投資法人の分配金の推移を保証するものではありません。また、特定のJ-REITへの推奨
を目的とするものではありません。
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」を必ずご覧ください。
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(3)2014年のJ-REIT市場は堅調な推移に期待
①オフィスビル市況の改善継続
足元の不動産市況については、オフィス空室率が2013年9月に3年10ヵ月ぶりの8%割れとなっ
て以降、低下が続いています。また、新築賃料は既に上昇に転じています(P.1グラフご参照)。
企業の景況感が改善しオフィス需要が増大していることや、今後数年は新築オフィスビルの供給が
過去と比較して少ないこと等から、2014年は空室率のさらなる改善や平均賃料の底打ち・上昇が見
込まれ、J-REITの増配や価格上昇につながることが期待されます。
②NISA導入による資金流入期待
主要な国内資産の利回り比較
2014年1月よりNISA(少額投資非課税制
(%)
度)が導入され、個人からの資金流入増加が期
5
(2014年1月31日現在)
待されています。
4
J-REITは配当利回りが比較的高く、分配金を
3.67%
3
受け取りながら、株式等と同様に価格の上昇に
よる利益も期待できます。
したがって、J-REITはインカム(利子・配
当)とキャピタル(値上がり)のバランスがと
れた資産と言え、NISA口座を活用することで非
1.80%
2
0.62%
1
0
J-REIT
課税メリットの享受も期待できます。
③日銀による買入れ、およびGPIFによるREIT投
株式
(東証一部)
10年国債
日銀買入れ
資の可能性
買入実績
ることや、日本の公的年金の運用機関で世界最
買入予定額
日銀のJ-REIT買入れが2014年末までに約
260億円(2月4日現在)の買入余地を残してい
買入予定枠
263億円
大級の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理
運用独立行政法人)がREITへの投資を開始する
1,700億円
1,437億円
可能性があるなど、J-REITの需給改善が期待で
きる好材料が想定されます。
※買入予定額は2014年末まで
※買入実績は2014年2月4日現在
2020年に東京オリンピック開催を控えていることや、今後デフレ脱却が進展するとの見通し等、
上記以外にも前向きな材料があります。
2014年はJ-REITに投資することも有力な選択肢のひとつと考えます。
出所:ブルームバーグおよび日本銀行が提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。
※上記は、将来における主要な国内資産の利回りおよび日銀買入れの動向を示唆、保証するものではありません。
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」を必ずご覧ください。
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ト ピ ッ ク ス
~ インフレ率と不動産価格 ~
2013年は地価の底入れ傾向が鮮明となり、都
基準地価と全国消費者物価指数の推移
市部を中心に地価が反転・上昇する地域もみられ
(%)
12
ました。
また、足元の物価は上昇傾向が続いており、
2013年の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く
9
(2000年~2013年)(%)
2.0
基準地価(三大都市圏)
:左軸
全国消費者
物価指数
:右軸
6
1.5
1.0
3
0.5
0
0.0
-3
-0.5
過去において、物価と不動産価格(地価)には
-6
-1.0
相関がみられます。今後、本格的な物価上昇・不
-9
総合)が前年比+0.4%となるなど、デフレ脱却
が展望されつつあります。
動産価格の上昇が定着すれば、不動産・J-REIT
への投資はインフレヘッジ手段の一つとして注目
が高まることが見込まれます。
-1.5
基準地価(全国):左軸
-12
00
02
04
06
08
10
12
-2.0
(年)
※基準地価:全用途、前年比
※全国消費者物価指数:生鮮食品を除く総合(年平均、前年比)
出所:国土交通省および総務省が提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。
※上記は、将来における基準地価と全国消費者物価指数の推移を示唆、保証するものではありません。
※東証REIT指数および東証株価指数(TOPIX)は、株式会社東京証券取引所(㈱東京証券取引所)の知的財産であり、指数の算出、指数
値の公表、利用など同指数に関するすべての権利・ノウハウは、㈱東京証券取引所が有しています。
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」を必ずご覧ください。
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[投資信託のお申込みに際しての一般的な留意事項]
●投資信託に係るリスクについて
●投資信託に係る費用について
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産投資信託証券(リート)などの値動きのある証券等(外
貨建資産に投資する場合には為替変動リスクもありま
す。)に投資しますので、ファンドの基準価額は変動しま
す。したがって、投資者の皆さまの投資元金は保証されて
いるものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、
投資元金を大きく割り込むことがあります。ファンドの運
用による損益はすべて投資者の皆さまに帰属します。また、
投資信託は預貯金と異なります。
投資信託は、個別の投資信託ごとに投資対象資産の種類
や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、
リスクの内容や性質が異なりますので、お申込みの際は
投資信託説明書(交付目論見書)を必ずお読みください。
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金融機関が取り扱う投資信託は、投資者保護基金の対象
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2.00%)
消費税率が8%となった場合は、上限 年2.16%(税抜
2.00%)となります。
※上記は基本的な料率の状況を示したものであり、成功報
酬制を採用するファンドについては、成功報酬額の加算
によってご負担いただく費用が上記の上限を超過する
場合があります。成功報酬額は基準価額の水準等により
変動するため、あらかじめ上限の額等を示すことができ
ません。
■その他の費用
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があ
ります。投資信託説明書(交付目論見書)等でご確認く
ださい。
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ますので、必ずお受け取りになり、投資信託説明書(交付目論見書)の内容をよくお読みいただきご確認のうえ、お客さ
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商 号 等/ みずほ投信投資顧問株式会社
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加入協会/ 一般社団法人投資信託協会、
一般社団法人日本投資顧問業協会
【本資料のご利用にあたっての注意事項等】
本資料は、みずほ投信投資顧問(以下、当社といいます。)が投資家の皆さまに情報提供を行う目的で作成したものであり、
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