今週の日米株式ストラテジー - 大和証券

2014.12.19
今週の日米株式ストラテジー
∼過度なロシア懸念は不要。NYダウと日経平均は年末高の展開と想定∼
図表① ナスダック指数とNYダウ
先週月曜日(12/15)の東京市場では日経平均が ∼12/18 のNYダウは 421 ドル高と、約 3 年ぶり
272 円安と反落した。前週末(12/12)の米国市場で の上げ幅で続伸した∼
12/16 の日経平均は 17000 円割れ
急速な原油安を受けて世界経済を巡る警戒感が強
まり、NY ダウが 315 ドル安と大幅に反落したこと
から、週明けの東京市場でも投資家のリスク回避姿
勢が強まった。さらに、月曜日の米国市場でも原油
安を背景に投資家心理が悪化し、NY ダウが 99 ドル
安と続落すると、翌火曜日(12/16)の日経平均も
344 円安と大幅に続落し、11/17 以来約 1 カ月ぶり
の 17000 円割れとなった。その後、火曜日の米国市
場でも原油安に端を発する金融市場の混乱が警戒
され、NY ダウが 111 ドル安と 3 日続落したが、翌
水曜日(12/17)の東京市場では自律反発を期待し
た買いが入り、日経平均は 64 円高と 3 日ぶりに反
発した。そして、水曜日の米国市場で FOMC 後に
発表された声明文やイエレン FRB 議長の記者会見
の内容が好感され、NY ダウが 288 ドル高と 4 日ぶ
りに大幅に反発すると、翌木曜日(12/18)の日経
平均は 390 円高と大幅に続伸し、3 日ぶりに 17000
円台を回復した。
ロシアのデフォルトに対する過度な懸念は不要
先週前半の日米市場では原油安を背景にロシア
経済の苦境が深まるとの懸念が高まり、投資家のリ
スク回避が強まった。ロシアの代表的な株価指数で
ある RTS 指数は月曜日(12/15)に急落し、ルーブ
ルも対ドルで急落した。ルーブルの急落を受け、ロ
シア中央銀行は政策金利を年 10.5%から 17%に引
き上げる緊急利上げに踏み切ったが、ルーブル売り
は止まらず、翌火曜日(12/16)の RTS 指数も大幅
に続落した。しかし、火曜日のニューヨーク・マー
カンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場が小
幅ながら 5 日ぶりに反発すると、ルーブル売りが一
服し、同日の RTS 指数は 10 日ぶりに急反発した。
先週前半のルーブル急落を受け、ロシアの対外債
務の不履行(デフォルト)リスクが浮上した。ただ
し、ロシアの外貨準備高は 12/12 時点で 4146 億ド
ルで、これに金融機関が保有している外貨資産 2560
億ドルを加えると、ロシアの対外債務(公的部門と
民間部門の合計)6780 億ドルは概ね賄えるとの見
方が多い。ただし、原油安が長引けばルーブル安も
続き、ロシアの景気悪化懸念や(ルーブル買い介入
4850
19000
(左軸)
ナスダック指数と
200日移動平均
↓
(ポイント)
(ドル)
12/18まで
4350
18000
3850
17000
3350
16000
↑
NYダウと
200日移動平均
(右軸)
2850
15000
13/12/19 14/2/19
出所
4/16
6/13
8/11
10/7
12/3
大和証券投資戦略部で取りまとめ
図表② 日経平均と円/ドル
∼12/16 の円/ドルは一時 115 円台半ばに∼
124
18600
12/18まで
(円/ドル)
(円)
119
17600
114
16600
日経平均(右軸)→
109
15600
104
14600
←円/ドル(左軸)
99
13600
13/12/19 14/2/24
出所
4/22
6/20
8/18
10/16
12/15
大和証券投資戦略部で取りまとめ
図表③ NY原油先物相場とロシアの国債保証料率
∼今回の原油安は世界経済の動向からは説明が難
しく、原油安が長引く可能性は低いと考えられる∼
110
(%)
(ドル/バレル)
98
6.0
12/18まで
5.0
↑
(左軸)WTI期近物
86
4.0
ロシアの国債保証料率(5年物:右軸)
↓
74
3.0
62
2.0
50
1.0
13/12/19 14/2/19
出所
4/16
6/13
8/11
10/7
12/3
NYMEXなど
本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼
できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されていますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や予
測等は、資料作成時点の当社の判断で、今後、予告なしに変更されることがあります。なお、本資料のご利用に際しては、最終ページの記載もご覧ください。
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図表④
ロシアの外貨準備高とルーブル相場
が続くために)外貨準備高の減少懸念も続く可能性
∼ロシアの外貨準備高は潤沢と考えられる∼
がある。しかし、今回の原油安は世界経済の動向か 69
(ルーブル)
(億ドル)
ロシアの外貨準備高(右軸)
らは説明が難しく、原油安が長引く可能性は低いと
ルーブルの対ドルレート(左軸)
62
←14/12/18
考えられる。また、原油高で米国のシェールオイル
にシフトした需要が、原油に回帰する可能性もある。 55
いずれにしても、ロシアのデフォルトに対する過度 48
←14/12/12
な懸念は不要と見ている。
41
NYダウと日経平均は年末高の展開と想定
先週発表された FOMC 声明文では、利上げ開始
までの期間の目安とされる「相当の期間」との文言
が間接的に残され、金融政策の正常化の開始につい
ては「忍耐強くなりうる」との文言が加えられた。
事前には「相当の期間」との文言が削除されるとの
予想もあったことから、FOMC 後の米国市場では事
実上のゼロ金利政策が当面続くとの安心感が広が
った。一方、先週発表された米 11 月の鉱工業生産
指数は前月比 1.3%上昇と市場予想(0.7%上昇)を
大幅に上回り、2010 年 5 月以来最大の伸びとなっ
た。同じく、先週発表された米 11 月の消費者物価
指数は前月比 0.3%低下と市場予想(0.1%低下)を
下回り、2008 年 12 月以来の下落率となった。FRB
の拙速な利上げに対する懸念が後退する一方で、米
国経済が「安定成長・低インフレ」の好環境だとす
れば、目先の NY ダウが 12/5 に付けた過去最高値
(17958 ドル)を更新するのは時間の問題だろう。
ロシアのデフォルトに対する過度な懸念が不要
で、NY ダウの最高値更新が時間の問題だとすれば、
日経平均は来週火曜日(12/30)の大納会に向けて
12/8 に付けた年初来高値(17935 円)を更新する「掉
尾の一振」の展開となろう。東証が発表した先々週
(12/8∼12)の投資部門別売買動向によると、海外
投資家が 2 週連続で買い越し、個人投資家も 8 週ぶ
りに買い越した。今週は海外投資家の多くがクリス
マス休暇に入る可能性があるが、11 月以降の株価上
昇局面で利益確定売りを続けてきた個人投資家は
年末に向けて買い意欲を強める可能性が高いと見
ている。なお、少額投資非課税制度(NISA)の 2014
年分の非課税枠を国内株で消化するための最終申
込日が今週木曜日(12/25)である。また、今週の
東京市場では 9 社の IPO(新規株式公開)が予定さ
れており、金曜日(12/26)は 11 月の経済指標の発
表集中日となる。(野間口毅 12/19 金曜日午前記)
7000
6000
5000
4000
3000
34
2000
27
1000
20
2008/1 09/1
出所
0
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
ロシア中央銀行など
図表⑤ 米国の設備稼働率と鉱工業生産指数
∼米国経済は「安定成長・低インフレ」の好環境
と考えられる∼
85
109
(%)
米国の設備稼働率(左軸)
米国の鉱工業生産指数(右軸)
14/11まで
80
102
75
95
リーマン・ショック→
70
88
(2007年=100)
65
2005 06
出所
81
07
08
09
10
11
12
13
14
15
FRB
図表⑥ 個人投資家の日本株売買差額と日経平均
∼個人投資家は年末に向けて買い意欲を強める
可能性も∼
8000
18500
(億円)
個人投資家の日本株売買差額(左軸)
日経平均(右軸)
4000
(円)
←12/18 17500
←12月第2週
(12/8∼12)
買い越し
↑
↓0
売り越し
16500
▲4000
15500
▲8000
14500
▲12000
13500
14/1/10 14/3/7
出所
5/2
6/27
8/22
10/17
12/12
東京証券取引所、日本経済新聞社
本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼
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-2/3-
お取引にあたっての手数料等およびリスクについて
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「ダイワ・コンサルティング」コースの店舗(支店担当者)経由で
国内委託取引を行う場合、約定代金に対して最大 1.24200%(但し、最低 2,700 円)の委託手数料
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が、株式等を合計 5%超保有しているとして大量保有報告を行っている会社は以下の通りです。(平成 26 年 11 月 28 日現在)
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-3/3-