ツマアカスズメバチの特定外来生物指定と今後の防除対策等

(お知らせ)
ツマアカスズメバチの特定外来生物指定と今後の防除対策等について
平成27年2月10日(火)
環境省
九州地方環境事務所 野生生物課
課
長:横田 寿男
担
当:竹原 真理
TEL:096-322-2413
長崎県対馬市に侵入定着しているツマアカスズメバチについて、特定外来生物に
よる生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成 16 年法律第 78 号。以下「外来
生物法」という。)に基づき、特定外来生物に指定され、平成 27 年 3 月 1 日より同
法に基づく規制が開始されます。
これにより、許可なく生きたツマアカスズメバチを飼養、保管、運搬、輸入、野
外に放つことは禁止されます。なお、捕獲することは規制されませんが、生きたま
ま運搬することは禁止され、意図的な拡散が防止されることになります。
また、平成 26 年度補正予算において、「自然地域における外来生物の緊急対策事
業等」予算が計上されました。環境省では、当該予算を活用し、長崎県及び対馬市
等と連携協力しながら、ツマアカスズメバチの拡散防止、根絶を目指して、下記の
とおり、総合的な防除対策を検討し実施していくこととしていますのでお知らせし
ます。
記
1.平成 26 年度補正予算
自然地域における外来生物の緊急対策事業等
1,309 百万円のうち 100 百万円程度
2.対策事項(詳細は今後検討)
(1)防除手法の検討と総合的防除計画の立案
ツマアカスズメバチの生態等を把握し、成育段階に応じた効果的・効率的な防除
手法を検討するとともに、対馬への再侵入防止対策、対馬島外への拡散防止対策、
九州等の侵入防止対策等の各対策を検討し、総合的な防除計画を立案する。計画の
立案と並行して、防除試験、各対策の実施等を通じて防除を進める。
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○生態や分布等の把握
効果的・効率的な防除を行う上で必要な、本種の生態(生活史や行動)、分布、営
巣地の環境条件等を把握する。
また在来スズメバチ類の分布状況の変化等の防除効果、影響を把握するためのモ
ニタリング手法を検討する。
○時期に応じた防除手法
ア)越冬した女王蜂が飛翔し始める春季
イ)営巣早期(樹上に移る前)
ウ)樹上営巣期
等のツマアカスズメバチの成育段階に応じた効果的・効率的な防除手法を検討し、
防除試験を行う。
○再侵入・拡散防止対策
韓国から対馬へ侵入した可能性のある経路(物流、飛来等)、対馬島外に拡散させ
るおそれのある経路を調査し、再侵入及び拡散を防ぐための監視体制等を検討し
実施する。
九州をはじめとする対馬島外においても、侵入経路となる可能性を調査し、侵入
を防ぐための監視体制等を検討し実施する。
○総合的防除計画の立案
上記の検討を踏まえ、有識者の意見を聞いて、本種の再侵入・拡散防止を含め、
生態系等への被害を防止することを目的とした総合的防除計画を検討・立案する。
なお、短期間での防除は困難と考えられ、地域において継続的な防除及び監視が
可能となるよう防除手法の普及啓発や監視体制構築等が必要であることを踏まえ
た計画とする。
(2)個体及び巣の撤去
上記(1)において検討した防除手法を取り入れつつ、以下の防除を実施する。
実施に当たっては、関係自治体と連携し、住民からの個体や巣の目撃情報を収集・
整理し、防除の進捗状況等の情報を集約して、効果的・効率的な防除を進める。
○春期に飛翔しはじめる新女王をトラップ等により捕獲
○夏から秋冬の樹上営巣期に個体ごと巣を撤去
(以上)
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(参考)
ツマアカスズメバチについて
1.生態について
 原産地:中国、台湾、東南アジア、南アジア
 日本での定着状況:長崎県対馬(侵入経路は不明)
 確認時期:平成 24 年 10 月
 樹木の高い位置に営巣することが多い。主にミツバチなどの昆虫類を捕食する。
2.懸念される影響
(1)生態系に関わる影響:在来種との競合
(2)農林水産業に関わる影響:養蜂業への影響
(3)人体に関わる被害:刺傷被害
※海外では、韓国やヨーロッパ(フランス、スペイン)で定着が確認されており、飼
育されているミツバチや、在来のスズメバチの減少が報告されている。
3.対応状況について
 平成 25 年度:環境省では海外文献等から、本種の分布情報等の収集を行い、効果的
な防除手法についての専門家へのヒアリングを実施。対馬市では、情報収集および営
巣撤去等を実施。
 平成 26 年度:環境省ではモニタリング、効果的な防除手法の検討や営巣撤去、長崎
県では情報収集、補助金による支援、対馬市では情報収集および営巣撤去等を実施し、
行政機関で連携し対策を進めているところ。
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4.平成 26 年度に確認された営巣位置図(平成 26 年4月から 12 月まで)
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