資料(PDF:1357KB)

青果物の供給をめぐる状況
平成26年12月
1 野菜の消費動向
○ 生鮮野菜の消費動向を見ると、キャベツ、レタス、はくさいの購入量が増加している一方で、だいこん、さとい
も、ほうれんそうの購入量が減少。サラダ、炒め物等の洋食、中華料理系の調理に時間が掛からない食材の
消費が伸びている一方、和食系の調理に手間の掛かる食材が敬遠される傾向。
○ 野菜は生活習慣病の予防効果があるとの知見があることから、健康日本21(第2次)において、1日の野菜
摂取量を350gとする目標設定。成人の野菜摂取量は、1人1日当たり283gに留まり、どの年代も摂取目標量
(350g)を達成できていない。
○ 2人以上世帯における購入量の推移
平成14~16年の3カ年平均を100とした場合
レタス
キャベツ
はくさい
ピーマン
たまねぎ
トマト
にんじん
ねぎ
きゅうり
なす
だいこん
ほうれんそう
さといも
平成17年
108
99
107
103
99
99
100
105
99
100
99
99
103
20年
108
116
111
101
107
98
104
103
93
97
99
95
84
23年
111
119
108
108
107
98
107
105
94
92
91
88
77
24年
116
120
109
110
107
101
106
100
94
90
84
83
78
25年
121
120
113
112
110
108
106
101
94
93
89
84
75
資料:総務省「家計調査」。2人以上の世帯における1人当たりの購入量。
○ 健康日本21(第2次)※における野菜の位置付け
目標:野菜摂取量の平均値:350g(H34)
【理由】野菜摂取量の増加が、体重コントロール、循環器疾患、糖尿病、
消化器系のがん等に予防的に働く等の研究結果を踏まえたもの。
※国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(厚生労働省告示第四百三十号)
○ 料理分類別の調理時間(例)
料理分類
洋食
料理名
調理時間
トマト、たまねぎ
トマトサラダ
野菜炒め
中華料理
和食
主な野菜材料
10分
キャベツと豚肉の
みそ炒め
キャベツ、にんじん、もやし
キャベツ
なすの揚げ煮
20分
なす、ししとうがらし
さといもの煮ころがし
30分
さといも
ふろふき大根
40分
だいこん
資料:園芸作物課調べ
○ 年代別野菜摂取量
(g/日)
400
300
摂取目標量(350g/日(20歳以上))
271
286
283
237
200
247
233
249
320
304
245
145
100
0
資料:厚生労働省「平成25年国民健康・栄養調査報告」
1
1 野菜の消費動向(つづき)
○ 近年の世帯構成(単身世帯、共稼ぎ世帯、高齢世帯の増加)、ライフスタイルの変化により、食の外部化が
進展
○ 野菜購入額についても生鮮野菜が減少する一方、サラダ等の加工調理食品が増加
○ 野菜需要のうち加工・業務用需要の割合は増加傾向で推移し、全体の6割程度。家庭消費用の国産割合
はほぼ100%であるが、加工・業務用では7割程度。
○ 世帯構成の変化
○ 家計消費における購入形態の変化
17年度
1,158
25%
835
18%
988
21%
2.68
22年度
1,239
25%
1,012
21%
1,012
21%
2.59
単位:万世帯、人、下段は総世帯に占める割合(%)
資料:①及び②は厚生労働省「国民生活基礎調査」、③は内閣府「男女共同参画白書」
○ 加工・業務用、家計消費用野菜の国内仕向け量
12,000
加工・業務用
千トン
8,000
4,000
49%
51%
46%
54%
45%
55%
44%
H12
H17
1,200
生鮮野菜購入金額
26,300
1,019
サラダ購入金額
26,000
1,000
24,000
800
22,000
600
21,749
533
20,000
S60 S63
H3
H6
H9
H12 H15 H18 H21
400
資料:総務省「家計調査」
○ 家計消費における購入形態の変化
家計消費用
平成
2年度
12年度
17年度
22年度
加工・業務用
88%
74%
68%
70%
家計消費用
99.5%
98%
98%
98%
56%
0
H2
28,000
(サラダ)
① 単身
世帯
② 高齢
世帯
③ 共稼ぎ
世帯
世帯人員
12年度
1,099
24%
626
14%
924
20%
2.76
(生鮮野菜)
2年度
845
21%
311
8%
823
20%
3.05
H22
資料:農林水産政策研究所
資料:農林水産政策研究所
2
1 野菜の消費動向(つづき)
○ 食の外部化、単身世帯の増加等が進む中、コンビニでのカット野菜販売のみならず、手間が掛かり家庭で
の調理が敬遠される和食を含む惣菜の販売拡大など、販売ルートや形態が多様化(高齢者向け宅配、ネット
スーパー等)
○ コンビニ各社の取り組み状況
○ コンビニエンスストア店舗数の推移
取扱状況
1985年
1990年
1995年
2000年
2005年
2010年
セブンイレブン
平成25年12月から新しいカット野菜を販売。
26年度の売上目標を150億円(今年度の1.5倍)に設定。
ローソン
カット野菜の販売数量が24年度に前年度の4倍に増加。
消費者の健康志向に対応するとして、取扱店舗を26年度
中に全店舗に拡大する方針。
「生鮮コンビニ宣言」(H24.10)
ファミリーマート
今後、カット野菜の品揃えを強化する方針。
資料 (社)日本フランチャイズチェーン協会
資料:園芸作物課調べ
○ コンビニ各社の取扱品(例)
【惣菜(惣菜素材)】
【カット野菜】
「土からこだわった中嶋
農法のカットレタス」
「すぐに使える肉
入りカット野菜」
「3種レタスの
シーザーサラダ」
「かぼちゃ煮」
「筑前煮」
「筑前煮(水煮素材)」
近年では、サラダ等の
単にカットしたもののみ
ならず、手間が掛かる
煮物等の和食惣菜等
の取扱が拡大。
消費ターゲットも若者
から高齢者まで多様化。
資料:園芸作物課調べ
3
2 多様なニーズに対応した野菜流通
○ 野菜需要の変化に対応し、特にカット野菜等の加工・業務用野菜の安定供給をはかるため、近年「中間事
業者」を経由した新たな流通形態が台頭
○ 中間事業者により、産地リレーの構築による通年安定供給や、生産者と実需者の交流による契約取引の
円滑化を実現
○ 加工・業務用野菜の流通上のリスク
産地
○ 取引価格が安いので、低コストで生産・出荷できるか
○ 契約どおりに定時・定量・定品質の出荷ができるか
○ 市場出荷と異なる規格に対応できるか
○ 実需者がいつまで取引してくれるか
○ 実需者が契約不履行しないか
実需者
○ 製品単価に見合った原料を確保できるか
○ 野菜を周年で安定的に確保ができるか
○ 必要な規格・荷姿・ロットで確保できるか
○ 産地がいつまで供給してくれるか
○ 産地が契約不履行しないか
○ 中間事業者の機能
産地リレー
経費削減
栽培時期の異なる複数の産
地と契約取引し、通年の安定
供給を実現
鉄製コンテナを利用し、流通コ
ストの削減、省力化を実現
出荷量の調整
情報共有
生産者と実需者の必要数量を
調整
生産者と実需者の相互交流に
よる信頼関係の醸成、 ニーズ
のミスマッチの回避
4
(参考) 野菜ビジネス協議会
○ 平成12年に設立された「野菜ビジネス協議会」は、中間事業者に必要な様々な知識や経験を得るための
研修会を開催するとともに、実際の商談に結びつくマッチングフェアを開催するなど、業界全体で中間事業者
のレベルアップに取り組んでいるところ
野菜ビジネス協議会の主な活動
会員企業
○ 加工・業務用マッチングフェアへの参画
○ 産地、実需者、行政等との情報共有
・ 会員から出展者を募り参画
・ 加工・業務用野菜をめぐる状況や
関連施策等について意見交換
専用ブースによる商談
出展会場の様子
○ 現地調査や研修会の開催
・ 国内外の加工・業務用野菜産地の
調査や研修会の実施
意見交換会の様子
○ 加工・業務用野菜関連の
調査報告書のとりまとめと情報共有
伊藤忠商事(株)
カゴメ(株)
キユーピー (株)
(株)ケーアイ・フレッシュアクセス
(株)彩喜
(株)三晃
サンポー食品(株)
全農
デリカフーズ(株)
東京シティ青果(株)
(株)ドール
日本デルモンテ(株)
丸紅食料(株)
みかど協和(株)
三井物産アグロビジネス(株)
現地調査の様子
キャベツの収穫機実演会
キャベツ栽培マニュアル
経営指標の精査
横浜丸中青果(株)
5
2 多様なニーズに対応した野菜流通
○ 消費者、実需者の多様なニーズに応えるとともに、モーダルシフトにも対応するためには、消費地直結型
の多機能物流拠点を整備することが理想的
○ 具体的には、中間事業者等の供給体制を強化するため、①集荷ターミナルに隣接した大規模集荷施設、
②原料・加工品鮮度の長期維持管理が可能な貯蔵施設、③多様な加工ニーズに対応できる高度加工施設
の整備等が必要
○ 消費地直結型の多機能物流拠点(イメージ)
多機能物流拠点
多機能物流拠点の機能
消費者、実需者の
多様なニーズに対応
千切り野菜サラダ
大規模集荷ターミナル
コンビニ
D-BOX
高度加工施設
レストラン
すぐ使えるミックス野菜
3温度帯一括輸送
システム
高性能低温貯蔵施設
量販店
大規模配送センター
業務用たまねぎ
学校給食
コンテナターミナ
ルは「E&Sコンテ
ナ荷役方式」によ
り整備し、荷役に
要するコスト・時
間を大幅に縮減
産地連合物流拠点施設
6
2 多様なニーズに対応した野菜流通(多機能物流拠点)
○ 多機能物流拠点においては、スーパー、コンビニ等のニーズに対応した多様な加工を行うだけでなく、高機
能な低温貯蔵による需給調整を実現
○ IT技術の活用によるトラックの一元配車、パレットの一元管理により、トラックドライバーの待ち時間の解消、
荷の積み卸し作業にかかる労働負荷も軽減
多機能物流拠点(イメージ図)
トラックターミナル設備
高度加工設備
高度
加工設備
加工設備
仕分設備
スーパー、コンビニ等の多様なニー
ズに対応したブレキシブルな加工
高度
加工設備
大規模トラックターミナル
効率的な24時間発送体制を確立す
ることにより、ドライバーの荷待ち時
間の解消
高性能低温貯蔵施設
事務所等
設備
高性能低温貯蔵施設
荷受け設備
高性能低温貯蔵施設
E&Sコンテナ荷役方式による鉄道ターミナル
(詳細後述)
コンマ単位で大規模施設の温度管
理が可能な超精密冷蔵・貯蔵
仕分設備
低温・低酸素状態を維持することに
より、長期の品質保持
資料:株式会社ケーアイ・フレッシュアクセスの資料を参考に、園芸作物課で作成
一元的なパレット管理体制の確立
により効率的なトラック配送を実現
7
2 多様なニーズに対応した野菜流通(E&Sコンテナ荷役方式)
○ 鉄道輸送に切り替えた場合、消費地(関東、中部、関西圏)に効率的な貨物取扱所(鉄道ターミナル)の整
備が必要
○ 近年、①20両編成列車(従来は18両)に対応した着発線、荷役線、②コンテナホームの延伸、③大型コンテ
ナ対応の拡幅コンテナホーム等を備えた新たな鉄道ターミナル(E&S ※コンテナ荷役方式)の整備が進展
※ E&S = Effective & Speedy
E&Sコンテナ荷役方式: 荷役に要するコスト・時間を大幅に縮減
大型コンテナ取扱対応の拡幅コンテナホーム
架線に触れないように調整し
た特別仕様のフォークリフトを
整備
送電の一時停止が可能で、安
全・効率的な作業を実施
本線
20両編成列車に対応した着発線、
荷役線の整備、コンテナホームの延伸
荷役作業の障害となっていた
架線を、支障がないように配置
従来方式
架線に触れることを避けるため、
ディーゼル車により架線のない作業
場まで貨物を牽引
作業場への動線を確保するため、複
雑な配線
駅の構造上、20両編成列車や大型コ
ンテナの取扱が制限
本線
8
2 多様なニーズに対応した野菜流通(パーフェクトコールドチェーン)
○ 野菜の収穫から販売まで、切れ目の無いコールドチェーン(パーフェクトコールドチェーン)を構築するととも
に、管理温度のトレーサビリティシステムの導入が必要
○ 近年、製品ごとに適温が異なるため、複数の温度帯で輸送可能な多段階温度管理システムも開発
○ 多段階温度管理システム(例)
○ コールドチェーンの取組事例
【3温度帯一括輸送システム】
30℃
一般的な輸送方法
1つのコンテナで
冷凍、冷蔵に対応
適 温
奥:冷凍庫(-25℃)
手前:冷蔵庫(5℃)
コンビニA社のコールドチェーン
※加工物流ポイントで品温を確認
0℃
産地
チルド車・保冷車
生産地
チルド車
低温
プロセスセンター
資料:若松梱包運輸倉庫㈱HPを参考に、園芸作物課で作成
【D-BOXの利用】
チルド車
加工場
生産工場
小売店
店 舗
常温車
収穫後、低温で保管
工場ごとに仕分け
サラダなどに加工
資料:農畜産業振興機構資料を参考に、園芸作物課で作成
カット野菜をD-BOXに梱包
D-BOXを常温車に積載
D-BOXを売り場まで
直接配送
D-BOX(蓄冷材と真空断熱材を活用し、電源レスで長時間保冷可能
な可搬式コンテナ)を利用することで、常温車による輸送でも加工場
から売り場までコールドチェーンを確保することが可能。
資料:富士電機㈱HPを参考に、園芸作物課で作成
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