【水素イオン濃度:pH】 水の液性を示す指標の一つ。 pH7 が中性で、それ

【水素イオン濃度:pH】
水の液性を示す指標の一つ。
pH7 が中性で、それより低いと酸性、逆に高いとアルカリ性を示す。
水中で生物が健全に生育出来るのは、大体 5.8~8.5 の範囲であると言われており、工場排水や
家庭排水等で pH が 5 以下、または、9 以上になる場合は、水の浄化作用を助ける微生物の活性
が低下し、水質が悪化する危険性がある。
地質にも関係するが、通常の河川水は pH6.6~7.5 の範囲にある場合が多く、海水は弱アルカリ
性の pH8 前後にある。
湖沼水では、夏季において上層付近で藻類が繁殖すると、その光合成作用で水中の炭酸ガスが
消費されて pH が 8 以上のアルカリ性を示すようになる。
【溶存酸素量:DO】
水中に溶解している酸素量のこと。
水温に大きく影響され、水温が低いほど高くなる。従って、通常冬季は夏季より DO が高くな
る。
流れの淀んだ河川や内海等の水が、生物分解されやすい有機物を含む下排水で汚染されると微
生物の呼吸作用により DO が減少し、酸素欠乏状態となって魚類等の水生生物が生存不可能とな
る。
【化学的酸素要求量:COD】
水中の有機物を分解するのに必要なものの量を酸素量に換算して表したもの。
下水等で汚染された水は高い値を示し、河川水等では COD の高い水は BOD 濃度も高いのが普
通である。
アユやサケ科の魚類が生息するためには COD3mg/L 以下、コイやフナでは 5mg/L 以下の COD
濃度であることが望ましい。
【全窒素:T-N】
水中の窒素化合物の総濃度のこと。
家庭排水や工場排水、し尿等各種の排水が混入すると全窒素濃度が高くなり、プランクトン等
の微生物の栄養源となるため、湖沼や内湾、内海においては富栄養化現象が起こり、赤潮等が発
生する原因となる。
また、窒素濃度が高すぎると水稲の生育を阻害する為、農業用水基準では全窒素濃度は 1 mg/L
以下と定められている。
【全リン:T-P】
水中に存在する種々のリン化合物の総濃度のこと。
窒素含有量と同様、排水が混入して水中の全リン濃度が高くなると、藻類が異常繁殖し易くなり、
湖沼や内湾、内海においては富栄養化現象が起こり、赤潮等が発生する原因となる。
【n-(ノルマル)ヘキサン抽出物質〈油分等〉】
有機溶剤のノルマルヘキサンに溶解可能である、沸点 80℃以上の動植物油脂類および鉱油類
(重油、エンジンオイル等)の濃度を表す。
【大腸菌群数(最確数定量法)】
水 100mL 中に存在する大腸菌群数のこと。
し尿や下水による汚染の程度を示す。
通常、冬季は水温の低下により菌の繁殖作用が鈍くなり、数値も低くなる。逆に夏季は水温上
昇により高い数値となる。
海水は塩分を多く含むために菌の活性化が抑えられ、河川と比較すると大腸菌の数が少ないの
が普通である。
大腸菌群の中に含まれる細菌には、土壌や植物等、自然界に由来するものも多く、大腸菌群そ
のものが直ちに衛生上有害というものではない。
【生物化学的酸素要求量:BOD】
水中の有機物量を好気性微生物が酸化分解するのに必要な酸素量で表したもの。
言い換えれば好気性微生物の餌の量を表しており、河川水が家庭排水で汚染されると微生物の
栄養源である有機物濃度が高くなり、微生物の増加に伴い DO が低下し、次第に酸欠状態となっ
て魚類の住めない腐敗した水質となる。
アユやサケ科の魚類が生息するためには BOD3mg/L 以下(快適条件は 2mg/L 以下)、コイやフナ
では 5 mg/L 以下の BOD 濃度が維持されていることが望ましい。
【浮遊物質量:SS】
大きさが 2mm 以下の水中に浮遊懸濁している物質の重量を濃度で表したもの。
懸濁している物質が有機質を多く含む場合は SS 濃度と BOD や COD との間に相関関係がある。
河川改修工事等で濁った水は、SS 濃度は高くなり、濁度との相関が強くなる