第5回 水の環境 5.1 水質汚濁(p85) ・水質汚濁とは (人間の活動によって)河川,湖沼,海洋などの水の物理的, 化学的,生物学的な性質が好ましくない状態に変化すること 水系に流出した汚染物質は食物連鎖によって生物濃縮され, 生態系および人間に大きな影響を及ぼす。 ・水質汚濁の原因(p85) ・・・自然条件および人為的要因 1) 自然の浄化能力を超える量の汚染物質が流入した場合 2) 自然(微生物)が分解できない人工物質が流入した場合 3) 浄化能力がある水生動植物などの生育を阻害する物質が流 入した場合 5.2 水質汚濁物質と発生源(p86) 発生源 【無機物】 土砂,硫黄,酸性水 自然現象,不適切な土木工事 酸,アルカリ,重金属 鉱山,金属精錬工場,金属加工・メッ ! キ工場(CN, Cu, Zn, Cr6+) 【有機物】 電子工業(Cd, Asなど) COD関連物質,浮遊物質(SS), 油分,ヘドロ,PCB,塩素系溶 工場排水 剤,人工有害物質 厨房排水,洗濯排水,し尿 生活排水 余剰農薬,余剰肥料 農業排水 し尿,水産加工排水 畜産・水産排水 5.2.1 工場排水(p86) 酸,アルカリ,重金属,油類,染料,ヘドロ,PCB,ダイオキシ ン,有機ハロゲン化物など 大工場では管理が徹底されている場合が多いが,中小工場では 排水対策が十分でないことも多く,注意を要する。 5.2.2 生活排水(p88) 大都市周辺の河川,内湾の水質汚濁原因の大半が 生活排水によるもの 生活排水読本 (http://www.env.go.jp/water/seikatsu/pdf/all.pdf) 5.2.3 農業排水(p90) 余剰農薬,余剰肥料 富栄養化,農薬汚染につながる 生物濃縮により奇形生物の発生などが見られる ゴルフ場の農薬 5.2.4 畜産・水産排水(p92) 畜産(養豚,養鶏) ・・・主にし尿と死骸が水質汚濁・悪臭の原因 水産養殖業 ・・・過密養殖,過給・残留えさによる水域の汚濁 残廃物,加工排水の処理不十分なども要注意 5.3 水質保全の体系と環境基準(p92) 水質汚濁防止法(1971年),環境基準の大幅改訂(’93,’00) 濃度規制から総量規制へ 水質の基準(環境を維持するための義務・努力目標) 環境基準(環境基本法)と排水基準(水質汚濁防止法) 環境基準には健康項目(27項目)と生活環境項目(pH, BOD, COD, DO, SSなど。各水域の類型ごとに値は異なる),さら にこれらを補完するための要監視項目がある。 ・ 水質指標(生活環境項目)(p95) COD(Chemical Oxygen Demand, 化学的酸素要求量) 水中の有機汚濁物質を酸化剤で分解する際に消費される酸 化剤の量を酸素量に換算したもの。値が大きいほど水質汚 濁は著しい。 BOD(Biochemical Oxygen Demand, 生物化学的酸素要求量) 水中の有機汚濁物質を分解するために微生物が必要とする酸素の 量。値が大きいほど水質汚濁は著しい。 SS(Suspended Solids, 浮遊物質量)! DO(Dissolved Oxygen, 溶存酸素量) 大腸菌群数 5.4 水質汚濁の概況(p97) 健康項目・・・ 平成25年度の環境基準達成率は99.2% 生活環境項目(BOD,COD)・・・平成25年度達成率 87.3%(88.6%) 河川92.0%(93.1%),湖沼55.1%(55.3%),海域77.3%(79.8%) ( )内は前年度 依然として湖沼の達成率が低い。 5.4.1 海洋の汚染(p102) PCB, 塩素系農薬,TBT, 重金属,油汚染,廃プラスチック が原因 5.4.2 地下水,飲料水の汚染(p104) 平成25年度において調査対象井戸の5.8%で環境基準を超 過する項目が見られた。硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の 環境基準超過率が最高(3.3%)。 5.5 水質浄化対策(p105) 1) 原因物質の低減(排出抑制,拡散防止) 工場排水の法的規制,生活排水の排出抑制,下水道整備 2) 排出端での早期処理 高濃度のうちに処理する方が効果的で低コスト 3) 汚染物質の無害化処理
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