統計力学 A/2014 年度中間試験 2014/11/19 10:30-11:50 実施 教科書・ノート持ち込み不可 解答用紙の上部に学生証番号と名前を書くこと。解答用紙のみを提出すること。2 枚以上必要な場合は申し出ること。そ の場合、1、2などの番号を書いておくこと。解答を提出することで成績評価がマイナスに作用することはない。 N 個の粒子が原点を中心とする調和ポテンシャル場によってトラップされている場合を考える。この系の 力学座標を Γ = (r1 , r2 , · · · , rN , p1 , p2 , · · · , pN ) (1) と記す。重力の影響などを無視し、ハミルトニアンが H(Γ, k) = N ∑ |pi |2 i=1 2m + ∑ Vint (|ri − rj |) + i<j N ∑ k i=1 2 |ri |2 (2) として与えられる世界を考える。Vint は2粒子の距離だけに依存する短距離相互作用ポテンシャルである。k は閉じ込めるポテンシャル場の強さ(ばね定数)をあらわす。以下の問題 I, II, III に答えよ。問題全体に渡っ て、kB をボルツマン定数とする。また、β = 1/(kB T ) によって β と T は常に関係しているとする。 I. エネルギー値 E を指定したミクロカノニカル分布を ρmc E,k (Γ) = δ(H(Γ, k) − E) Σ(E, k) (3) と書く。また、エネルギー値が E 以下の相空間の体積を ∫ Ω(E, k) = dΓθ(E − H(Γ, k)) (4) と書く。エントロピーを S(E, k) = kB log Ω(E, k) (5) によって定義する。(N 依存性は未定のままである。) 以下の問いに答えよ。 (i) 粒子間相互作用ポテンシャルが無視できる場合、S(E, k) を求めよ。ただし、(E, k) 依存性の部分が正確に √ √ 分かればよく、相加的な定数は計算する必要はない。(ヒント: r = 2/kr ′ および p = 2mp′ と変数変換 した積分を考え、d 次元球の体積の半径依存性に帰着させる。) (ii) 一般に 1 ∂S(E, k) = T ∂E (6) によって絶対温度を定義すると、熱力学の温度と整合している。その理由を簡潔に述べよ。 (iii) 一般に Σ(E, k) ∂S(E, k) = kB ∂E Ω(E, k) (7) が成り立つことを示せ。 (iv) 外部者がばね定数の値 k から k + dk に僅かに変えて、系に仕事をする。平衡状態においてこの仕事を fmc (E, k)dk とかく。(dk)2 の寄与を無視した。ミクロカノニカル分布を仮定して ∫ ∂H(Γ, k) fmc (E, k) = dΓρmc E,k (Γ) ∂k (8) とかける。このとき fmc (E, k) = −T ∂S(E, k) ∂k (9) を示せ。 II. 逆温度 β を指定したカノニカル分布を 1 e−βH(Γ,k) Z(T, k) (10) F (T, k) = −kB T log Z(T, k) (11) ρcβ,k (Γ) = と書く。また、自由エネルギーを によって定義する。(注:講義とは順番が異なる。)以下の問いに答えよ。 (i) 粒子間相互作用ポテンシャルが無視できる場合、F (T, k) を求めよ。ただし、(T, k) 依存性の部分が正確に 分かればよく、相加的な定数は計算する必要はない。 (ii) 一般に F (T, k) = min[E − T S(E, k)] E (12) が成り立つことを示せ。 (iii) (12) で最小値を与える E を E∗ (T, k) を書く。ハミルトニアンのカノニカル分布での平均値 Ec (T, k) は ∫ Ec (T, k) = dΓρcβ,k (Γ)H(Γ, k) (13) と書かれる。このとき、 Ec (T, k) = E∗ (T, k) (14) を示せ。 (iv) 外部者がばね定数の値 k から k + dk に僅かに変えて、系に仕事をする。平衡状態においてこの仕事を fc (T, k)dk とかく。(dk)2 の寄与を無視した。カノニカル分布を仮定して ∫ fc (T, k) = dΓρcβ,k (Γ) ∂H(Γ, k) ∂k (15) とかける。このとき fc (T, k) = ∂F (T, k) ∂k (16) を示せ。 (v) (9), (12), (16) より、 fmc (E∗ (T, k), k) = fc (T, k) (17) が成り立つことを示せ。 III 「平衡状態」をミクロな力学な立場から議論せよ。ミクロカノニカル分布やカノニカル分布について自分 の言葉で説明せよ。
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