① ARMベースSoC Zynq とは何かを理解する

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信号処理システム設計入門
① ARM ベース SoC Zynq
とは何かを理解する
岩田 利王
Toshio Iwata
写真1 AM335x
(ARM Cortex−A8コア)
搭載シングル・ボード・コンピュータ
BeagleBone Black
図 1 こんなリッチな GUI でエッジ検出したい!
リッチな GUI と高速 / リアルタイム信号処理を
同時にこなすシステムを作るには...
● 図 1 のような画像処理システムを作りたい...み
なさんならどうしますか?
PC を使えば,図 1 のような画像のエッジ検出は比
較的簡単にできそうです.でももっと小型で安価なボ
ードで実現しなければならない...そんな状況での解
決策を探ってみましょう.
▶ワンチップ・マイコンではパワー不足
図 1 の GUI
(Graphical User Interface)環境はまるで
PC の よ う で す. そ の 実 現 に は DDR(Double Data
Rate)などの外部メモリが必要になるでしょうし,ク
ロックも数百 MHz は必要でしょう.従って,Cortex
−M0 クラスのワンチップ・マイコンではどう見ても
間に合わなさそうです.
▶パワフルなシングル・ボード・コンピュータなら間
に合いそう
写真 1 は,AM335x(ARM Cortex−A8 コア)搭載の
2015 年 5 月号
BeagleBone Black
(BeagleBoard.org 製)
です.クロッ
クは 1 GHz,外部メモリは 512 M バイト DDR3 なので
何とかなりそうです.実際,参考文献(1)
ではこのボー
ドに Linux を搭載した例がいくつか紹介されています.
そして,Linux 上に OpenCV(注 1)などをインストー
ルすれば,図 1 のような画像処理も可能になりそうで
す.
● 並行してリアルタイム信号処理も必要.
.
.さあ困
った
さ ら に, 図 2(a)の よ う な シ ス テ ム を 考 え ま す.
Linux を動かし,さらにリアルタイム信号処理をやろ
うというものです.
▶次から次へとデータが入ってくる
扱うデータはリアルタイム,つまり音声信号のよう
注 1:Open source Computer Vision library,インテルが開発す
るオープン・ソースの画像処理ライブラリ.言語は C/C ++ /
Java/Python に対応.無償でダウンロードし使用できる.
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