西部赤道太平洋の海底堆積物コアを用いた 古地磁気強度変動に関する研究 ○櫻本晋洋・山崎俊嗣(東京大学),木元克典(海洋研究開発機構) 過去の地磁気強度変動を求めることは,地磁気ダイナモ論や地磁気強度変動がもたらす環境変動に 関する議論,堆積物の層序決定に用いることができるといった応用から重要である.今研究では,時 間連続な地磁気レコーダーとして海底堆積物を用い,200 万年前より古い強度変動を見積もることを目 的とする.岩石磁気測定と宇宙線生成核種の存在度測定の独立した手法を用い,相互に補完する.今 発表では,岩石磁気測定による結果を示す.試料として,経験的に高品質な古地磁気記録が得られて いる西部赤道太平洋 西カロリン海盆で採取されたピストンコア試料( 「みらい」MR14-02 航海,サイト PC01)を用いた.岩石磁気的測定として試料の自然残留磁化(NRM)測定と段階交流消磁,非履歴性残留 磁化(ARM),飽和等温残留磁化(sIRM)の着磁・段階交流消磁を行った.NRM の交流消磁データから古地 磁気方位を求めることができ,データの棄却と古地磁気層序による年代推定を行った (図 1) .その結 果,データとして有用な部分の年代は~ 0.6 Ma - ~ 3.2 Ma と判明した.年代は酸素同位体比測定に よっても独立に求められる予定である.相対古地磁気強度は,NRM を ARM で規格化して得た.結果は 2.0 Ma までの標準曲線と大まかな傾向が一致した(図 2).しかし,生物源・陸源磁性鉱物の割合を反映し ていると考えられる ARM / sIRM 比と相関を持っており,環境変動に結果がバイアスされている可能性 がある.今後,より正確な年代軸を導入,付近の海域で採取された記録と比較し,また宇宙線生成核 種の存在度測定を組み合わせることで議論の最善を尽くしたいと考えている. 図2 図1 得られた相対強度(2.0 Ma まで)と標準曲線* 古地磁気方位 *“Sint-2000” Valet et al., 2005
© Copyright 2024 ExpyDoc