株式会社住宅設備販売に対する行政処分の概要(PDF:75KB)

株式会社住宅設備販売に対する行政処分の概要
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事業者の概要
(1) 名
称:株式会社住宅設備販売
(2) 代 表 者:(登記上)代表取締役 久保山 祐二(くぼやま ゆうじ)
(事実上)実質経営者 林本 将一(はやしもと まさかず)
(3) 所 在 地:愛媛県新居浜市坂井町3丁目4番156号
(4) 資 本 金:55万円
(5) 設
立:平成20年10月29日(岡山県岡山市で設立)
(6) 取引形態:訪問販売
(7) 取扱役務:排水管洗浄、床下換気扇の設置、白蟻防除及び住宅補修等
(8) 活動状況:平成23年9月1日付けで新居浜市へ移転して事業開始
(9) 従 業 員:4名(平成26年11月30日現在)
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取引の概要
株式会社住宅設備販売(以下「同社」という。)は、消費者宅を訪問し、排水管
洗浄、床下換気扇の設置、白蟻防除及び住宅補修等の役務を有償で提供する契約
の締結について勧誘し、当該消費者宅で本件役務契約を締結していたものであり、
特定商取引に関する法律(以下「法」という。)第2条第1項第1号に定める訪問
販売(以下「訪問販売」という。)を行っている。
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行政処分の内容
(1) 業務停止命令
①内容
訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること
ア 同社の行う訪問販売に係る役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ 同社の行う訪問販売に係る役務提供契約の申込みを受けること。
ウ 同社の行う訪問販売に係る役務提供契約を締結すること。
②停止命令の期間
平成27年2月7日から平成28年2月6日まで(12か月間)
命令の原因となる事実
同社は、以下のとおり法に違反する行為を行っており、訪問販売に係る取引の
公正及び役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認められる。
(1) 勧誘目的の不明示(法第3条)
同社は、訪問販売に係る役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、そ
の勧誘に先立って、消費者に対し、排水管洗浄、床下換気扇の設置、白蟻防除
及び住宅補修等の役務提供契約の締結について勧誘する目的である旨を明らか
にしていなかった。
(2) 不実告知(法第6条第1項)
同社は、訪問販売に係る役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、役
務の対価、消費者が契約の締結を必要とする事情に関する事項及び消費者の判
断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて、不実のことを告げる行為を
していた。
(3) 法違反の行為を繰り返していたこと
同社は、平成23年7月4日に香川県から業務停止命令(4か月)の処分を
受けた同様の訪問販売を行っていた事業者の処分当時の役員及び従業員が在籍
し、引き続き本県内で同様の取引類型で同様の違反行為を行っていた。また、
同社は、平成25年3月8日に本県から同社の取引行為に関して業務の改善要
請を受け、平成25年3月21日付けで業務改善確約書を本県に提出して業務
を改善することを約していたにもかかわらず、上記のとおり法に違反する行為
を行っていた。
以上のことから、今後も繰り返して訪問販売に係る取引の公正及び役務の提
供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認められる。
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勧誘事例
【事例1】
平成25年9月、消費者A宅を訪問した同社の販売員Wは、パイプクリーン
の役務契約を勧誘する際に、普段は 21,000 円だという代金を 6,000 円値引き
して 15,000 円の金額を提示した。消費者Aは、値引きしてくれるのならばと
思って契約をしたが、同社は普段から 15,000 円で契約しており、定価は実態
のないものであった。パイプクリーンの工事施工後、同社の販売員Xは、「パ
イプの高圧洗浄をしたせいで、パイプにヒビが入って水漏れをしていたらいけ
ないので、床下を見せてください。」と告げて床下へ入った後、
「蟻の這った蟻
道があります。」と消費者Aに告げて不安を煽り、300,000 円の白蟻駆除剤散
布の契約を締結した。更に、白蟻駆除剤の散布後、「床下の湿気が酷いので放
っておくと白蟻が来ますよ。」と消費者Aに告げて不安を煽り、145,000 円の
床下換気扇の設置工事の契約を締結した。
これらの工事から1年後、平成26年9月に同社の販売員Yが、消費者A宅
の床下の点検を行い、「前と違っている箇所に湿気があるので、床下換気扇を
もう1台つけませんか。それから、土台にヒビが入っているので、強力な補強
材を塗って補強した方がよいですよ。」と新たに高額工事を勧誘してきたため、
消費者Aは同社の勧誘を不審に思い、消費生活相談窓口に相談した。
【事例2】
平成25年10月、消費者B宅を訪問した同社の販売員Yは、パイプクリー
ンの役務契約を勧誘する際に、
「今なら通常 21,000 円のところを 6,000 円値引
きして 15,000 円にしますよ。」と告げ、今ならお得だと思った消費者Bは、や
ってみてもいいかと思って契約をしたが、同社は普段から 15,000 円で契約し
ており、定価は実態のないものであった。パイプクリーンの工事施工後、同社
の販売員Xは、「パイプからの水漏れがあったらいけませんので、点検のため
床下を見せてください。」と告げて床下に入った後、
「カビがいっぱい生えてい
て酷い。湿気が酷いので、床下の換気をしないといけません。」と消費者Bに
告げて不安を煽り、318,000 円の床下換気扇の設置工事を勧誘した。高額な工
事に消費者Bが迷っていると、Xは、「こちらは床下の湿気が酷いから、早く
換気をしておかないと床下が腐る可能性がありますよ。」と繰り返し消費者B
の不安を煽り、工事をしないといけないと思った消費者Bは契約を締結した。
しかし、短時間で高額な契約をしたことを後悔した消費者Bは、知り合いの
建設関係者に相談し、工事内容が高額過ぎると分かったため、消費生活相談窓
口に相談してクーリング・オフのはがきを簡易書留で同社に送付した。
【事例3】
平成26年2月、同社の販売員Zは、「今からパワージェット洗浄の工事を
するので、騒音がすると思います。ひと言お詫びと説明をしたいので参りまし
た。」と告げるのみで消費者C宅を訪問し、
「近所の人もしたことだし、お宅で
もパワージェット洗浄をしませんか。普段は 21,000 円ですが、今だけ 6,000
円値引きして 15,000 円にします。」と告げ、今なら値引きになるのであればと
思った消費者Cは契約をしたが、同社は普段から 15,000 円で契約しており、
定価は実態のないものであった。パイプクリーンの工事施工後、同社の販売員
Xは、「パワージェットをしたせいでパイプから水漏れがあったらいけないの
で、床下を見せてください。」と告げて床下に入った後、
「水漏れはないようで
すが、大変なことを見つけてしまいました。床下のコンクリートの土台がボロ
ボロにひび割れたり朽ちたりしているので、このまま放っておいたら家が持た
ない。ですから、強力な補強剤で直さないと家が壊れてしまいます。」と消費
者Cの不安を煽り、更にXは、「うちで直してもらったら、あなたが死ぬまで
この家は大丈夫になります。実際に工事をした場合は使った分だけお金がかか
るので、もっと安くなるでしょう。」と 620,000 円の住宅補修工事を勧誘した。
同社の工事を行えばこの家に生涯住めると思い、工事代金も契約額よりは安く
済むと思った消費者Cは、その場でXの提示額どおりに契約を締結した。
しかし、実際に同社が補修工事を行ったところ、契約額内では工事が完了せ
ず、消費者C宅の住宅補修を完了するためには 504,000 円の追加工事が必要で
あると消費者Cに告げられた。この家に生涯住むためには仕方がないと思った
消費者Cは、その場で提示額どおりに追加工事の契約を締結した。
全ての工事が完了して支払いが終わった後に、消費者Cは知り合いに愚痴を
こぼしたところ、騙されているかもしれないとアドバイスを受け、警察と消費
生活相談窓口に相談した。