「現場に必ず答えがある」 創業当時から顧客の声に耳を傾ける経営を貫く

株式会社トヨックス
【 製造業 】/富山県
「現場に必ず答えがある」
創業当時から顧客の声に耳を傾ける経営を貫く
ホースドクターカーには様々なシーンのパネルと比較商品が積んであり、その場で顧客の課題・要望に応える
ことができる。
社員はそれぞれに目標を立て他の社員へも開示することで意欲的
に仕事に向かう環境を整える。
ごと情報から強く必要とされるまでに商品とサービスを改
製品の価値向上とサービスの向上、同時に
満たさなければ、顧客の満足は得られない
良し、差別化することで自社ブランドを育てている。
また同時にクレームに対して真摯に向き合うことで、顧
いに高めている。代理店単独でも顧客満足を高められる
めた。水害も想定し、工場の防水板の設置や機器の高
客からの信頼を獲得していった。
「現場に答えがある」
と
ようにホースドクターカーに関する研修を行い、
ホースドク
床化も実施。
また、工場が浸水しても供給が滞らないよ
1963年富山県黒部市に創業した株式会社トヨックス
いう代表取締役社長の中西誠氏の言葉のとおり、創業
ターカーを活用した営業力の高い販売を行っている。消
う、代理店と同社が、互いに通常在庫に加えて0.8ヵ月分
は、主に工業機器や建築・建設に使用されるホースの生
から常に顧客からの学びを忘れないという一貫した経営
耗品であるホースは急なトラブルになることが多く、代理
の余剰在庫を持つことで、供給が止まらないようにしてい
産・企画・販売を手掛ける。繊維による補強技術により軽
を続けることで、国内シェア70%を達成している。
店があると顧客からの急な依頼にも対応することが出来
る。安定納品を保障することが、顧客の安心に繋がり、顧
量化と柔軟性・視認性を向上したホースの開発に成功。
る。顧客のニーズに合わせた解決策の提案は、営業部門
客満足を高めている。
家庭の台所や浴室の水周りホース、園芸用のガーデンホ
だけでなく、設計・製造・品質部門など、広く接点を持てる
また同社は寒暖に合わせて天井に冷水・温水を流し、
メリットもある。
部屋全体を均一の室温に保つ「天井輻射パネル」を新
顧客のニーズを捉えることで、新たな商品開発にも役
たに開発。身体に優しく、低質熱源(夏16℃、冬33℃)で
立つ。同社には、
ホースドクターカーやホームページ等を
冷暖房が可能となり、同社の従来製品に比べて12%の
「ホースドクターカー」を使った
具体的な問題解決が、顧客の納得を高める
ースに至るまで、耐圧ホースの分野では業界をリードして
いる。
「地球に 社会に 強く 強く 必要とされる」
「違いの
ある 超越商品を 社会や産業界に 心込めて提案する」
「ご採用 決定者から 社名 商品名 個人名の ON1
(オン
同社は、顧客である企業から必要とされる商品を提供
通じて、年間約6,000件の問い合わせが来る。それを営
省エネに成功した。
自然に近く健康的な冷暖房を低コス
リーワン)
ブランド指名で 選ばれる」。
これが同社の経営
するため、
「現場」を大切にしている。現場である顧客の
業企画室がデータとしてまとめ、
その中から顧客のニーズ
トで開発したことで、富山県内だけでなく、県外からの引き
理念である。
工場まで足を運び、代理店も巻き込んだサービスの提供
をピックアップし、各部門長が共有することで、既存商品
合いも増え、15年間で大型建築物70棟以上に納入した。
この経営理念の原点は、創業当時、全国ではプロパン
を行う。その取り組みの最たるものが、
「ホースドクターカ
の改善、新規商品の開発に繋げる仕組みを構築した。
そ
こうした新事業を生み出すのは、現場で働く社員であ
ガスが燃料として広く浸透していたが、接続用のゴムホー
ー」
と呼ばれる試験機器を積んだデモカーだ。2004年より
の結果、現在は顧客のニーズに基づいて開発された新
るという想いから、同社は、
モチベーションアップのため全
スが踏まれて潰れ、
ガス漏れ事故や住宅火災等が頻発
導入し、全国に13台、年間約800回、顧客の工場を訪問
商品が、売上げの約5割を占めている。
体経営会議を開き、全社員が経営数字を把握できるよう
し大きな社会問題となっていた。
この問題を打破するた
する。体験型の販促ツールとして、顧客の要望に合わせ
情報を開示。昇給、賞与の支払額に至るまで、すべてを
め、材質から見直す必要があると感じた同社はプロパン
た試験品をその場で用意し、
よくある悩みを具体的に説
オープンにしている。
ガス用ホースを参考にピアノ線を入れ、
ホースを踏んでも
明することで、顧客のニーズを引き出す。温度・圧力・流体
潰れない高強度のスプリングガスホースを採用することで
物の情報を入力すると、
自動的にベストな商品が選定さ
ガス漏れを起こしにくいホースを独自に開発。顧客のいる
れる。業界でも数少ない販促ツールだ。
このように解決案
現場で、顧客の不安や要望をとことん聞きだし、
その困り
を具体的かつ現場で提示できるため、顧客の納得を大
災害時でも安定納品を保障
商品供給責任への想いが、顧客の安心、
満足を生む
利益は「社員への還元・投資・内部留保」
と三分割さ
れ、
たとえ利益が少なくても、必ず内部留保から賞与を出
すようにしている。
また年間表彰では、業績の良かった社
員個人だけでなく、
チーム全体を表彰することで、縁の下
同社は、商品の安定的な供給体制の構築にも力を注
の力持ちにもきちんと光を当てている。
また、
表彰は改善活
ぐ。その背景は、東日本大震災時の経験だ。
ホースの主
動も対象となっており、改善の提案件数、創意工夫、改善
材質である塩化ビニールの約8割を仕入れていた企業
効果等を加味している。多い社員だと年間で100件を越え
が被災し、商品が作れなくなった。
そこで改めて原料の確
る改善提案を出すという。社員の自発性を育む取り組み
保と仕入先との連携強化を再認識し、災害の際も商品
が起点となり、
同社の高付加価値化の源泉となっている。
供給責任を果たし、影響を最小限に留める体制作りを始
顧客の声に耳を傾けてきたことで、顧客のニーズに合わせた多様なホースを取り揃える。
富山を拠点に、東京・名古屋・大阪にも営業支店を構える。
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会社
概要
・法人名:株式会社トヨックス
・代表者:中西 誠 代表取締役社長
・所在地:黒部市前沢4371
・設立年月:1969年4月
・資本金:98,800,000円
・ホームページ:http://www.toyox.co.jp/
・社員数:正規255名、パート・アルバイトなど55名
・事業内容:耐圧ビニールホースの生産・企画・販売、
輻射式健康冷暖房の開発・販売,OA機器、ソフトウェアの企画・販売
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