院試対策 基礎問題集

院試対策 基礎問題集
柿内 健佑
2014 年 10 月 9 日
物理に関する基本的な力試しの問題を集めてみました。問題を切り取ってノートに貼りつけて自分なりの院
試対策ノートを作ることをおススメします。
1 物理数学
1.1 基礎
問題【1】
次の定積分を示せ。m と n は正の整数とする。
∫
2π
(1)
sin mxdx = 0
0
∫
2π
(2)
cos mxdx = 0
0
∫
2π
(3)
sin mxcos nxdx = 0
0
∫
2π
(4)
sin mxsin nxdx = πδmn
0
∫
2π
(5)
cos mxcos nxdx = πδmn
0
ここで δm n はクロネッカーのデルタ記号 δm n=0 (m ≠ n),1(m=n)
問題【2】
双曲線関数に関して、次の式を示せ。
cosh2 x − sinh2 x = 1
(1)
(2)
sinh(x + y) = sinh x cosh y + cosh x sinh y
(3)
cosh(x + y) = cosh x cosh y + sinh x sinh y
√
(4)
sinh−1 x = ln(x + 1 + x2 )
問題【3】
次の関数の振舞いを説明し、グラフを描け。
(1)
y = ae−
(2)
b2 x2
2
(a > 0,b > 0)
y = e−t/2 sin 2πt
1
問題【4】
(1) オイラーの公式を使って、ド・モアブルの定理
cos nθ + i sin nθ = (cos θ + i sin θ)n
を示せ。
(2) ド・モアブルの定理を用いて、下記に示す 2 倍角、3 倍角の公式を示せ。
cos 2θ = 2 cos2 θ − 1 = 1 − sin2 θ
sin 2θ = 2 sin θ cos θ
cos 3θ = 4 cos3 θ − 3 cos θ
sin 3θ = 3 sin θ − 4 sin3 θ
問題【5】
関数
f (x, y) = x5 + 4x4 y − 2x3 y 2 + 3x2 y 3 + 7xy 4 − y 5
の1階導関数、2階導関数を求めよ。また、全微分 df を求めよ。
問題【6】
次の行列の行列式と逆行列を求めよ。
問題【7】
問題【8】
問題【9】
問題【10】
問題【11】
問題【12】
2
2 力学
2.1 基礎
問題【1】
質量 m の質点が落下する運動を考える。鉛直下向きにx軸を取り,以下の問に答えよ。
(1) 空気の抵抗はないものとし,質点には重力だけが働くと仮定する。t=0のときの初速度を v0 とし
たときの t 秒後の v、およびxをtの関数として書き示し、グラフを書け。
(2) 重力以外に空気による抵抗力が働くとして。運動方程式を書きなさい。ただし、質点の速度をvと
すると、抵抗力は速度と逆向きなのでこれを-mγv と書くとする(γ は正の定数)
。質点の速さが小さいと
抵抗力の大きさは速さに比例するとしてよい。
(3) 抵抗力がはたらく時の落下運動は、やがて等速運動になる。(2) の運動方程式をとき、終速度(等速
運動になった時の速度)を求めよ。ただし、t=0 のとき v=0 とする。ヒント:運動方程式をvに対する
式に変えて解くと解きやすい。
問題【2】
ばね定数 k のばねを天井からつるす。鉛直下向きに x 軸を取り、ばねに質量mのおもりをつけばねを上下
に振動させる。
(1) 運動方程式を立てよ。
(2) 単振動の振動数を求めよ。
問題【3】
(1) 一定な長さ l をもつ、質量を無視できる糸(または棒)の一端 O を固定し、他端に小さなおもり
(質量 m)をつけ、おもりを鉛直面内で振らせる振り子を単振り子という。O を原点とし、振動の起こる
鉛直面内で鉛直下方に x 軸,水平方向に y 軸をとり、x 軸と糸の間の角を θ とする。θ に対する運動方程
式を導け。
(2) θ が十分に小さいとすると、sin θ = θ と近似できるとして、運動方程式を解いて θ を時間 t の関数
として表せ。
(3) この振り子の周期を答えなさい。
問題【4】
空気中で単振り子を振動させると、空気抵抗や支点における摩擦などの影響で、振動の振幅は次第に小さ
くなり、最後には振動が止まってしまう。このような振動を減衰振動をいう。今、x 軸上を運動する質量
m の質点が復元力 −mω 2 x と抵抗力 −2mγ x(γ
˙ は正の定数) を受けて振動しているとする。
(1) 運動方程式を立てなさい。
√
√
(2) ω > γ の場合,e−γt sin ω 2 − γ 2 t,e−γt sin ω 2 − γ 2 t は運動方程式の解となることを示せ。
(3) ω < γ の場合,方程式の解は過減衰となることを示せ。
(4) ω = γ の場合,方程式の解はどうなるか。
(5) それぞれの場合の解をグラフにまとめよ。
問題【5】
(1)
3
問題【6】
2.2 応用(院試問題)
問題【7】
問題【8】
問題【9】
問題【10】
問題【11】
問題【12】
4
3 電磁気学
3.1 基礎
問題【1】
(1) 原点に電荷 q の点電荷が置かれているとき,任意の点(x,y ,z )での電場と電位を答えなさい。
(2) 点 (d,0,0) に電荷 q ,点 (−d,0,0) に電荷 −q の点電荷を置いた場合(ただし、d > 0),x 軸上
の正 (x > 0) の十分遠方(x ≫ 0)の点 (x,0,0) での電場の大きさとポテンシャルを求めよ。
ヒント:1 次近似を使う。
問題【2】
以下の問に答えよ。
(1) ガウスの法則について説明せよ。
(2) 真空中において,半径Rの球面上に電荷が一様な面密度 σ で分布している。このとき、球の中心か
らの距離を r として、球内外の電場を求めよ。
(3) 真空中において,半径Rの球内に一様な電荷密度 ρ で電荷が分布している。このとき、球の中心か
らの距離を r として、球内外の電場を求めよ。
問題【3】
ガウスの法則を用いて以下の問に答えよ。
(1) 無限に広い平面上に一様に分布した電荷の作る電場の大きさを求めよ。
(2) 半径Rの輪に一様に分布した電荷が作る電場をの大きさを求めよ。
(3) 半径Rの無限に長い円筒の内部に電荷が密度 ρ で一様に分布している。円筒の内外に生じる電場の
大きさを求めよ。
問題【4】
コンデンサー基礎問
問題【5】
内径 a,外径 b の同心球殻コンデンサーにおいて、内・外球殻にそれぞれ ±q の電荷を与えた。
(1) 極板間において中心からの距離がrの位置の電場の強さ,および両極板間の電位差を求めなさい。
(2) コンデンサーの電気容量を求めなさい。
(3) コンデンサー内部の静電場のエネルギーの総和を求め、(積分し)、静電場のエネルギーを求めなさ
い。また、コンデンサーに蓄えられるエネルギーを他の方法で求め、結果を比較しなさい。
(4) 上の問題では、内外球殻に等量の電荷が与えられているため、外球殻の外に電場はない。つまり、外
球殻が接地されているのと同じである。今度は内球殻を接地し、外球殻に電荷Qを与えたとする。このと
き、内球殻には-Q’の電荷が誘導される。中心からの距離を r(0 < r < ∞)とした場合の電位 ϕ(r)
をQ,Q’を用いて表しなさい。またQとQ’の関係を求めなさい。
(5) (4) の場合の電気容量を求めなさい。
5
問題【6】
⃗ の磁場に垂直に電荷 q (q > 0) の荷電粒子が v0 の速さで入射した。電場も同時に
(1) 一様な磁束密度 B
かけて荷電粒子をそのまま直進させるためには,どのような一様な電場(大きさと方向)をかければよい
かを図示して答えなさい。
問題【7】
半径 a の円形の回路に電流 I が流れているときの円の中心を通り,円の面に垂直な直線上での磁束密度
の大きさと方向をビオ・サバールの法則を用いて求めなさい。
問題【8】
(1) 無限に長い直線の強さIの定常電流が流れている。直線からrの距離にある。点の磁束密度の大き
さをアンペールの法則を用いて求めなさい。
(2) (1) をビオ・サバールの法則を用いて求めなさい。ただし、
∫
dx
(x2 + b)
3
2
=
∫
x
b(x2 − b)
1
2
∞
+ C,
−∞
dx
3
(x2 + b) 2
=
2
b
を用いてよい。
問題【9】
半径 a,長さ b,単位長さ当たりの巻き数 n のソレノイドがある。ソレノイドは十分に長く端の効果
は無視できるとする。このソレノイドに強さ I の電流が流れるとする。ソレノイド内部には磁束密度
B = µ0 nI の一様な磁場が生じる。この場合,以下の問に答えなさい。
(1) このソレノイドの自己インダクタンスを求めなさい。
(2) このときにソレノイドに蓄えられている磁場のエネルギーを求めなさい。
(3) 1cm あたり 1.6×103 の巻き数で長さ 30cm,半径 8cm のソレノイドコイルがある。前問までに求め
た結果が成り立つとしてこのコイルの自己インダクタンスを求めなさい。
(4) (3) のコイルに 100A の電流を流した時のコイル内部の磁束密度の大きさ,および,蓄えられるエネ
ルギーを求めなさい。
問題【10】
相互インダクタンス
同じ長さ l を持ち,単位長さ当たりの巻き数
問題【11】
コンデンサーと微分方程式
問題【12】
(1) マクスウェルの方程式をすべて書き,それぞれの式がどのような電磁気学の法則を表しているのか
説明しなさい。
(2) マクスウェルの方程式から電荷保存則を導きなさい。ただし、∇・∇ × A = 0 が成り立つとする。
6
4 熱力学
4.1 基礎
問題【1】
(1) 水、氷、水蒸気の比熱を答えよ。また、水の融解熱・蒸発熱を答えよ。
(2) 100g の水があるとして、これに 700W の熱を 40 s加えたとする。このときの温度変化 ∆T を求め
よ。
(3) 水の相図を書け。また、水の相図が他の物質の相図と比べて異なる点を別な物質の相図を示しなが
ら説明せよ。
問題【2】
圧力 P,体積 V,温度 T の状態にある物質に熱 δQ が注がれると,一般に物質の P ,V ,T は変化し別の
状態に移る。それと同時に内部エネルギーも変化する。
(1) 内部エネルギー U を T,V の関数とみなして,dU を dT,dV と関係させて表しなさい。
(2) 定積比熱 CV と定圧比熱 CP との間の関係式
[(
)
](
)
∂U
∂V
CP = CV +
+P
∂V T
∂T P
を導け。
(3) 理想気体 1 モルの場合 CP − CV = R であることを示せ。
問題【3】
理想気体が純正的に断熱膨張するとき,圧力と体積の間には
P V γ = 一定
の関係があることを,次の手順に従って導け。
(1) CV dT + P dV = 0 の関係が成立することを示しなさい。
(2) T = T (P ,V ) とみなし,dT を dP ,dV を用いて表しなさい。
(3) (1),(2) より dT を消去し,dP ,dV に関する式を作り,これを積分して上記の式を導きなさい。
(4) つぎに,温度と体積の間には T V γ−1 = 一定の関係があることを示せ。
問題【4】
等温圧縮
断熱圧縮
7
問題【5】
エントロピー S(E ,V ,n) が、単原子理想気体では気体定数 R,定数 C とすると
[
V
3
2E
S(E, v, n) = nR log + log
+C
n
2
3n
]
と表されるとする。
(1) E と T の関係を求めなさい。
(2) 圧力 P を求め,気体の状態方程式を求めよ。
問題【6】
問題【7】
高熱源から熱をとり,その一部を外部の仕事として取り出す装置を熱機関という。カルノー・エンジンで
は,シリンダー内に理想気体を入れ,以下のようなサイクルを行なう。
(a) シリンダーを高熱源に接し静的に等温膨張する。
(b) 静的断熱膨張して低熱源の温度温度まで下がる。
(c) 低熱源に接し静的に等温圧縮する。
(d) 静的断熱圧縮を行って最初の状態に戻る。以降 (a)∼(d) を繰り返し。
以下の問に答えよ。
(1) カルノー・サイクルの状態変化を P-V 図で表しなさい。
(2) 外部に仕事をする過程はどこか。また逆に外部から仕事を受ける過程はどこか。
(3) 高熱源から気体に入る熱を QH ,気体から低熱源に送り出す熱を QL とするとき,1 サイクルの結果
差し引きしき外になす仕事を QH ,QL を用いて表せ。
(4) この熱機関の熱効率を求めよ。
問題【8】
温度 T の熱浴の中に系があり,これら全体は外界と熱の出入りがないように孤立している。いま,熱用句
から系に熱 δQ が流れ込み,同時に系の状態変化がおこり,エントロピーが dS 変化した。
(1) dS ,δQ,T の間に成立する関係式 δQ ≦ T dS をエントロピー増大の原理より導け。
(2) 状態関数 F = E − T S を定義すると,系が一定温度のもとで外部になす仕事 δW と,自由エネル
ギーの変化量の間には,−dF ≧ δW の関係があることを示せ。
(3) T ,V 一定で,系が外に仕事をしないときは dF ≦ 0 となることを示せ。
問題【9】
(1) 準静的過程のもとで系の状態変化がおこるとき,dU,dS,dV の間には
dU = T dS − P dV
の関係があることをいえ。次に
(
∂U
∂S
)
の関係を導け。
(2) 基本式 dU = T dS − P dV を用いて
(
= T , V
(∂P )
∂S
V
=−
(3)
∂U
∂V
)
= −P
S
( ∂T )
∂V
S
を導け。
8
問題【10】
問題【11】
問題【12】
9
5 量子力学
5.1 基礎
問題【1】
不確定性原理について説明せよ。
問題【2】
問題【3】
問題【4】
問題【5】
問題【6】
問題【7】
問題【8】
問題【9】
問題【10】
問題【11】
問題【12】
10
6 参考文献
例解 物理数学演習
新・演習 力学 (阿部龍蔵 著)
11