「機械 CAD」授業最終課題:歯車減速機の設計及び CAD

「機械 CAD」授業最終課題:歯車減速機の設計及び CAD
2014 年 5 月 28 日
課題:平歯車を利用して、次に示す仕様の歯車減速機を設計せよ。
設計仕様:
(1)減速機の減速比=1.25~2
(2)減速機の出力軸の負荷トルク=350Nm
(3)減速機をできるだけ軽く設計すること
目的:
(1) 機械設計製図及び機械 CAD の知識を用いて、実際の機械装置を設計することにより、即戦力を身に付
ける
(2) 歯車設計に関する基本知識(伝達原理、幾何学的な寸法と強度計算、加工寸法管理、加工精度などの基
本知識)を身に付ける
(3) ベアリングの基本知識、使い方及び寿命計算法を学ぶ
(4) オイルシールの使い方及び機械装置の密封技術を学ぶ
(5) 歯車装置の潤滑方法と内圧調整の知識を学ぶ
(6) 機械部品の材料選定及び歯車の熱処理知識を学ぶ
(7) キーの使い方及び強度の計算法を学ぶ
(8) キー溝付き軸の強度の計算法を学ぶ
設計手順:
1. 一対の平歯車の諸元を決める。
まず「減速比=歯車1の歯数/歯車2の歯数」の式により、駆動側と被動側の歯車の歯数を決める。転位
のない標準歯車を使用する場合には、歯車加工時の切り下げ問題を防ぐために、小歯車の歯数を 17 枚以
上にする必要がある。転位歯車を使用する場合には、転位係数により、切り下げしない小歯車の最小歯数
を算出する必要がある。
2. 歯車の基本寸法を計算する。
歯車対のモジュール、転位係数と歯幅を決めて、歯車対の歯先円、ピッチ円、歯元円、軸間の中心距離な
どの基本寸法を計算する。転位係数はゼロではない場合には、転位歯車の計算式を使う。転位係数はゼロ
である場合には、標準歯車の計算式を使う。またモジュールと歯幅を決める時には、歯車の歯元曲げ強度
と歯面の接触強度の計算が必要であるので、歯車強度の計算を行うことにより、モジュールと歯幅を決め
よ。またモジュールは規格化された標準値を使用せよ。大・小歯車の歯幅は同じ値であっても構わない。
3. 歯車対の構造概略図を作成する。
軸の形状が決まる前に、歯車対の中央部形状(軸とのはめあい部)や寸法が決められないので、まず計算
された歯車の基本寸法により、歯車対の中央部以外の構造概略図を作成する。中央部の形状設計は軸の形
状設計が完了してから行われればよいことである。
4. 軸間の中心距離により、かみあい状態における一対の歯車の組立図を作成する。
まず二本の軸の中心線を描き、そしてそれぞれ作成した大・小歯車の構造概略図の中心線を描いた二本の
軸の中心線に重ねるように大・小歯車の構造概略図を移動する。
5. 大・小歯車の軸の形状をそれぞれ設計する。
仕様トルク 350Nm により、軸の最小直径を算出する。計算方法は参考資料に示されている。また規格品
であるキー、ベアリング及びオイルシールを装着するために、軸の形状を設計し、軸の構造寸法を決めて
いく。その際、キーのトルク伝達能力の計算、ベアリングの寿命計算及びオイルシールの限界周速検討に
より、JIS 規格やメーカさんのカタログを参考し、キー、ベアリング及びオイルシールのサイズを決める。
6. 歯車箱を設計する。
歯車、軸が組み立てられるように歯車箱を設計する。また歯車や軸受の潤滑用油が漏れないようにするた
めにオイルシールを用いて、軸を密封する。更に機械装置は一定の時間で使用すると、初期馴染みにより
摩耗粉が出るので、潤滑油の交換が必要となる。従って、歯車箱に潤滑油の排油口と給油口を設置する必
要がある。また油浴潤滑(歯車の一部を潤滑油の中に浸すことにより歯面に潤滑油を与える)方法を用い
1/6
7.
8.
る場合には、歯車の高速回転により、潤滑油が撹拌されるので、油温が上昇し、歯車箱の内圧が高まる。
従って歯車箱の内圧上昇をさせないようにするために、歯車箱に内圧調整用換気孔を設置する必要がある。
参考図面のように減速機の組立図、大歯車と出力軸の部品図を完成する。
減速機の組立図に部品欄を作成し、すべての部品を規格品と非規格品に分類し、風船番号で各部品を管理
する。規格品の場合には、部品欄に部品の型番とメーカ名などの基本情報を記入し、非規格品の場合には、
品名、図番、材料、熱処理などの基本情報を記入する。また歯車の部品図には加工精度、熱処理、寸法管
理(マタギ歯厚、オーバピン寸法)などの基本情報を記入する。
最後に設計計算書を作成する。
設計計算書には次に示す項目が含まれる
(1) 歯車の歯の曲げ強度と接触強度の計算結果
(2) 軸の捩じり強度の計算結果
(3) キーの圧縮強度とせん断強度の計算結果
(4) ベアリングの寿命計算結果
課題提出:
提出期限:7 月 23 日(授業の最終日)
提出内容:
(1)減速機の組立図 1 枚、大歯車の部品図1枚と出力軸の部品図1枚(計 3 枚)
(2)設計計算書 1 部
2/6
参考図面:
参考図1 歯車装置の組立図(非正式)
図番
256
1
2
6
14
10
4
9
25
24
20
11
26
5
19
310
18
22
JIS B 1301 8•~
7•~
36
ASPB-A-200
JIS B 1301 8•~
7•~
28
JIS B 1301 10•~
8•~
40
JIS B 1101 - M2.5 x 8
22 六角穴付き止めねじ - 丸 JIS B 1177 丸先 - M3 x 5
27
15
平行キー ハブ
27
振動センサー
26
平行キー ハブ
25
平行キー
24
23 すりわり付きなべねじ
23
1
2
1
2
2
2
21
先六角穴付きボルト
JIS B 1176 - M6 x 10
4
2
20
六角穴付きボルト
JIS B 1176 - M5 x 20
8
13
19
六角穴付きボルト
JIS B 1176 - M5 x 12
1
7
3
18
六角穴付きボルト
JIS B 1176 - M6 x 20
16
17
薄肉六角ナット
二条ねじ 面取り - JIS B
1181 - A/B M14
6
16
六角ボルト
JIS B 1180 - A M14 x 60
6
S4
AC1799E0
JIS B 1521 - 63/32
32x75x20
1
4
4
12
21
364,76
102,77
スリップリング
15
オイルシール
14
13 ベアリング(深溝玉軸受)
77,998
カバー
12
11 スペーサー(大歯車軸)
10 スペーサー(小歯車軸)
9 センサー取付け部品
8 スリップリング取付け部品
1
1
1
2
1
H24-A016-00
H24-A015-01
H24-A014-01
H24-A013-01
H24-A012-01
1
H24-A011-00
4
1
1
1
1
1
1
1
1
個数
H24-A010-01
H24-A009-01
H24-A008-01
H24-A007-00
H24-A006-00
H24-A005-01
H24-A004-00
H24-A003-01
H24-A002-01
313
(外側)
7 スリップリング取付け部品
(内側)
17
6
5
4
ハウジング
大歯車軸
小歯車軸
3
大歯車(平歯車)
2
小歯車(平歯車)
1
ギアボックス
品番
16
名称
歯筋クラウニング
研磨
ホブギリ
研磨
ホブギリ
形式
図番
s094056 氏名
投影法
作成 2012/12/3
西村 篤
学籍番号
名称 組み立て図 尺度 1:3 図番 H24-A001-01
機械設計研究室
参考図2 歯車装置の組立図(正式)
3/6
H24-A001-01
参考図3 軸の部品図(製作用)
参考図4 歯車の部品図(製作用)
4/6
標準平歯車の諸元計算式(Standard Spur Gears)
項目
小歯車
大歯車
歯数
Z1
Z2
モジュール
m
工具圧力角
C
頂げき
𝐶𝑘 ≥ 0.25𝑚
歯末のたけ
hk  m
歯元のたけ
h f  m  Ck
有効歯たけ
he  2hk  2m
全歯たけ
h  hk  h f  2.25m
法線ピッチ
te 
d g1
z1
 m cos  c
a
中心距離
te 
d g 2
z2
 m cos  c
m( Z1  Z 2 ) d 01  d 02

2
2
基準ピッチ円直
径
d 01  mZ1
d 02  mZ 2
歯先円直径
d k1  d 01  2hk1  m( z1  2)
d k 2  d 02  2hk 2  m( z 2  2)
歯底円直径
d r1  d 01  2h f 1
d r 2  d 02  2h f 2
基礎円直径
d g1  mz1 cos  c
d g 2  mz2 cos  c
S 01 
円弧歯厚
m
S 02 
2
マタギ歯数
2
Z 1 1  cos  c
zm1 
 inv c  1

cos  c
マタギ歯厚
S m1  m cos  c { ( z m1  0.5)  z1inv c }
オーバ
ピン
偶数歯
d m1  d p1 
奇数歯
ピン径
圧力角
度 20°
d m1  d p1 
zm 2
z1 m cos  c
cos 
S m2  m cos  c { ( z m2  0.5)  z 2 inv c }
d m2  d p2 
d p1  1.47606m
2
2
Z 2 1  cos  c

 inv c  1

cos  c
d m2  d p2 
z1m cos  c
90
cos(
)
cos 
z1
m
z 2 m cos  c
cos 
z 2 m cos  c
90
cos(
)
cos 
z2
d p 2  1.47606m
5/6
転位平歯車の諸元計算式(Profile Shifted Spur Gears)
項目
歯数
モジュール
小歯車
転位係数
x1
大歯車
Z1
Z2
m
x2
工具圧力角
C
かみあい
圧力角
 x  x2 
  inv c
inv b  2 tan  c  1
 z1  z 2 
中心距離増
加係数
y
z1  z 2
2
 cos  c


 1
 cos  b

d  d b 2 ( z1  z 2 )m cos  c
 z  z2

A 1
 y m  b1

2
2 cos  b
 2

中心距離
かみあいピ
ッチ円直径


z1
d b1  2 A
z z 

2 
 1
 z1 

d b 2  2 A
 z1  z 2 
基準ピッチ
円直径
d 01  mZ1
d 02  mZ 2
歯先円直径
d k1  {z1  2(1  x1 )}m
d k 2  {z 2  2(1  x2 )}m
基礎円直径
d g1  mz1 cos  c
d g 2  mz2 cos  c
歯底円直径
d r1  d k1  2h
d r 2  d k 2  2h
歯末のたけ
hk1  (1  x1 )m
hk 2  (1  x2 )m
円弧歯厚


S 01    2 x1 tan  c m
2



S 02    2 x2 tan  c m
2

弦歯厚
S j1  d 01 sin   z1m sin 
S j 2  d 02 sin   z 2 m sin 
マタギ歯数
マタギ歯厚
オ ー 偶数歯
バ ピ の場合
ン寸
奇数歯
法
の場合
ピン
径
圧力角
20°
Z
zm1  1

(1 
2 x1 2
)  cos 2  c
z1
2x
 (inv c  1 tan  c )  1
cos  c
z1
Sm1  m cos  c { ( zm1  0.5)  z1inv c }  2 x1m sin  c
d m1  d p1 
d m1  d p1 
z1 m cos  c
cos 
zm2
Z
 2

(1 
2 x2 2
)  cos 2  c
z2
2x
 (inv c  2 tan c )  1
cos  c
z2
S m2  m cos  c { ( zm2  0.5)  z2inv c }  2 x2 m sin  c
d m2  d p2 
z1m cos  c
90
cos(
)
cos 
z1
d m2  d p2 
d p1  (1.47606  0.68404 x1 )m
z 2 m cos  c
cos 
z 2 m cos  c
90
cos(
)
cos 
z2
d p 2  (1.47606  0.68404 x2 )m
6/6