2016年度大学入試センター試験・分析表 科目 数学IA ■ベネッセ・駿台共催/データネット実行委員会 ― 問題構成が大幅に変化。n進法など新課程特有の出題がみられた。問題難易は昨年より難化 ― 1.全体概況 【大問数・解答数】 大問数は5。数学Iの分野の第1問、第2問が必答で、数学Aの分野の第3問~第5 問から2問選択。第1問、第2問は中問形式で各3題だった。数学Iの分野で、設 問数が昨年の17から23に大幅に増加した。 【出題形式】 第2問データの分析では図について述べた文章の正誤を選ぶ問題、データと箱 ひげ図の正しい組合せを選ぶ問題が出された。 【出題分野】 数学Iの分野が60点分、数学Aの分野が40点分の出題。2次関数そのものを扱っ た出題がなかった。「場合の数と確率」では条件付き確率が、「整数の性質」 ではn進法が出題され、新課程特有の内容が多く扱われた。 【問題量】 大問数は減ったが、扱うテーマが増え、昨年より増加。 【難易】 問題難易は昨年より難化。(現役生・既卒生の受験生比率が異なるため、平均 点ではなく、問題自体の難易を比較) 2.大問別分析 第1問「数と式、集合と命題、2次関数」 (30点・標準) 数学Iと一部共通 〔1〕は1次関数の最小値に関する問題。定義域内での最小値をaの式で表し、その最小値、最大値を考える。直線 の傾きの正負で場合分けすることがポイントであった。〔2〕は有理数と無理数について、要素と集合の関係、集 合と集合の関係や、必要条件、十分条件が問われている。∈、⊂などの記号についての問いは目新しい。〔3〕例 年のような2次関数は出題されず、文字係数を含む連立2次不等式に関する出題だけであった。 第2問「図形と計量、データの分析」 (30点・やや難) 〔2〕〔3〕は数学Iと一部共通 〔1〕三角形ABCの外接円上を動く点Pを考え、Pがいろいろな条件を満たすときのPAの長さを求めていく問題。利 用する公式は正弦定理と余弦定理だけだが、(1)はPの条件を数式としてどう表すのか、(2)(3)は各条件を満た すPの図形的な意味を思いついたかどうかがポイント。〔2〕東京の4種の気象データとアイスクリーム購入額の散 布図から読み取れることを選ぶ問題。〔3〕世界の4都市の最高気温のデータについて、(1)は箱ひげ図を選択す る、(2)は相関関係を調べる、(3)は最高気温の摂氏と華氏の1次式の関係について、分散、共分散、相関係数 の比を求める。現実のデータを扱った出題は初めてであった。 第3問「場合の数と確率」 (20点・標準) 2人が袋から球を1個ずつ順に取り出し、出た球の色についての確率を求める問題。(1)(2)の過程で行った計 算が(3)にも使えるので計算量も少なく取り組みやすい。新課程で扱われるようになった条件付き確率が出題さ れた。 第4問「整数の性質」 (20点・難) (1)は1次不定方程式の解を求める問題であるが、特殊解を求める際に、ユークリッドの互除法を逆に変形する ので難しい。(2)はn進法の問題。前半は2進数を4進数で表すだけなので易しいが、後半は6進法の小数を扱うた め難しい。 第5問「図形の性質」 (20点・やや難) 円に内接する四角形を題材とした、円と直線に関する平面図形の問題。三角形の角の二等分線と辺の比、メネラ ウスの定理、チェバの定理など図形の性質が幅広く問われた。正確に作図し、誘導に従い解き進めることが必要 であった。他の選択問題に比べて、問題量は多かった。 3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値) 年度 平均点 2015 61.27 2014 62.08 2013 51.20 2012 69.97 2011 65.95
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