2016年度大学入試センター試験・分析表 科目 国語 ■ベネッセ・駿台共催/データネット実行委員会 ― 討議や推論など、新課程を意識した設問が出題された。昨年より易化 ― 1.全体概況 【大問数・解答数】 大問数4、配点各50は昨年から変更なし。解答数は漢文で1個減少した。 【出題形式】 評論で、今回の問題文を読んだ5人の生徒の「誠実さ」についての対話のうち から本文の趣旨に最も近い内容を選ばせる設問が出題された。小説は、本文全 体を踏まえて答える設問など、ここ最近の傾向通りの出題であった。古文で は、神仏の真意を推測する設問が出題された。漢文は、対比的表現を問う設問 が出題された。 【出題分野】 近代以降の文章2題(評論・小説)、古文1題、漢文1題という構成に変更な し。 【問題量】 問題文の分量は、評論で減少(4200→3500)。古文で大幅増加 (1200→1700)。小説、漢文は昨年並。 【難易】 昨年より易化。 2.大問別分析 第1問「現代文・評論」 (50点・やや易) 土井隆義『キャラ化する/される子どもたち』 2年連続で現代社会論の出題。具体的な社会現象を取り上げつつポストモダン社会を論じるという問題意識は、 「歴史の崩壊」を論じた昨年に通ずるものである。問1~問4はほぼ例年通り。問5の対話形式は1995・1996年度に 既出のものだが「言語活動の充実」を重視する新課程を意識したものといえる。問6は部分の表現と構成を問うも ので、昨年の八肢一問から四肢の枝問二つの形に戻った。 第2問「現代文・小説」 (50点・やや易) 佐多稲子「三等車」 近代作家からの出題。短編の全文は5年連続。鹿児島ゆきの急行列車に乗り合わせた家族との交流が「私」の視点 から描かれている。問1は語義の設問。問2・3・5で「私」の心情が、問4で「私」が推察した限りでの登場人物の 心情が問われている。問6は表現に関する設問。ほぼ例年通りの出題だったが、本文全体への目配りが求められて いる。 第3問「古文」 (50点・易) 『今昔物語集』 平安時代の説話集『今昔物語集』からの出題。『今昔物語集』は1997年度国語I本試験で出題された。内容は昨年 から大幅に易化。本文・設問共に易しい。ただし、問6は、観音が牛飼童に従うように指示した理由を推測させる 問題で、やや選びにくい。和歌は扱われなかった。 第4問「漢文」 (50点・標準) 盧文■(しょう)『抱経堂文集』 筆者の知人の体験と、筆者が語った感慨の組合せで、近年頻出する随筆的な文章である。語彙の設問では例年通 り多義語が問われたが、読みが同じで意味が異なる語を問うたのは珍しい。問6では昨年同様対比が問われた。問 4、問5も傍線部の後の対句的な表現がヒントとなった。問7も対比の一種である「況」がポイント。全体として対 比的表現を強く意識させる出題であった。(※盧文■(しょう)は弓に召) 3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値) 年度 平均点 2015 119.22 2014 98.67 2013 101.04 2012 117.95 2011 111.29
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