2016 年 1 月 MSD 株式会社 HPV ワクチン接種に関する MSD のステートメント 世界保健機関(WHO)のワクチンの安全性に関する諮問委員会(GACVS)は昨年 12 月 17 日、HPV ワクチンの安全性を体系的に再度調査した結果、引き続き HPV ワクチンの使用を 支持する声明を発表しました。WHO の声明は、HPV ワクチン接種の積極的勧奨が差し控え られている日本の現状にも言及し、 「若い女性たちは、本来予防可能である HPV 関連がんの 危険にさらされたままになっている。不十分なエビデンスに基づく政策決定は、安全かつ効 果的なワクチン使用の欠如につながり、真の被害をもたらす」と強く警告を発しています。 また、昨年 11 月には欧州医薬品庁(EMA)が、さらに 12 月にはカナダ保健省も、改めて安 全性情報を検証した上で、引き続き積極的な接種を支持しています。 WHO 声明 “GACVS - Statement on Safety of HPV vaccines, 17 December 2015” http://www.who.int/vaccine_safety/committee/GACVS_HPV_statement_17Dec2015.pdf?ua=1 EMA 声明 “HPV vaccines: EMA confirms evidence does not support that they cause CRPS or POTS” http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2015/11/news _detail_002436.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1 カナダ保健省声明 “Information Update - Gardasil vaccine safety studies show no new risks” http://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2015/56240a-eng.php 米疾病対策予防センター(CDC)やオーストラリア保健省薬品・医薬品行政局(TGA)など 他の世界の主要な保健機関も、HPV ワクチンのベネフィットとリスクを評価した上で、HPV ワクチンの使用を引き続き支持しています。また、オーストラリア※1、英国※2、デンマーク※3 など HPV ワクチンの接種を広く実施している国では、HPV 感染や子宮頸がんの前がん病変の 発症が減少してきています。 日本では、2 年半にわたり HPV ワクチンの積極的勧奨が差し控えられており、接種率は極め て低い状況が続いています。すでにある世界中の知見による科学的エビデンスと、日本では 毎年約 3,000 人が子宮頸がんで亡くなっている現状を踏まえ※4、MSD は日本の女性が世界各 国と同様の HPV ワクチン接種環境を享受できるよう、HPV ワクチン接種の積極的勧奨の速 やかな再開を強く要望いたします。 MSD は医薬品およびワクチンの安全性を最優先しており、国をはじめ関係各方面に「ガーダ 「ガーダシル®」は世界 129 カ国 シル®」の安全性モニタリング情報を提供してまいりました。 で承認されており、2006 年 6 月に初めて承認されて以来、1 億 9,500 万本以上が世界で提供 されています。日本では HPV ワクチン接種の勧奨中止以降、HPV ワクチン接種者数は激減 していますが、その一方で、厚生労働省のがん対策推進基本計画中間評価報告書※5 によると、 5 大がんのうち子宮頸がんの死亡率だけがさらに増加していることからも、子宮頸がん予防 対策は公衆衛生上の重要課題と MSD は考えております。 2015 年 8 月末には、日本産科婦人科学会が「子宮頸がん予防ワクチン(HPV ワクチン)接 種の勧奨再開を求める声明」を発表しています。声明では、今後も HPV ワクチン接種の勧奨 中止が継続された場合、世界の中で日本だけが将来も子宮頸がん罹患率の高い国となる可能 性があると懸念を示した上で、HPV ワクチン接種の勧奨再開を強く要望しています。 日本産科婦人科学会 「子宮頸がん予防ワクチン(HPV ワクチン)接種の勧奨再開を求める声明」 http://www.jsog.or.jp/statement/statement_150829.html 子宮頸がんは、日本では女性特有のがんとしては、乳がんに次いで罹患率が高く、特に 20~ 30 代の若い女性で急増しています。毎年約 10,000 人もの女性が新たに子宮頸がんにかかり、 約 3,000 人が亡くなっています※4。子宮頸がん検診の受診率は OECD 加盟国の大半で 60~ 80%ですが、日本では 42.1%にとどまっています※6。子宮頸がん予防には、検診とともに HPV ワクチン接種も重要な役割を果たします。 日本においても、HPVワクチンのベネフィットとリスクを再度確認するために必要な情報は そろい、HPVワクチンとの因果関係は明らかになっていませんが、接種後に生じた症状の診 療体制なども整備されました。世界の主要な保健機関は、HPVワクチンの有効性と安全性を くり返し確認した上で、接種を支持しています。MSDはHPVワクチン接種の積極的勧奨の速 やかな再開を強く要望するとともに、安全で有効なワクチンの開発・提供と子宮頸がん予防 の啓発活動により、日本人女性の健康にさらに貢献できるよう努めてまいります。 ※1 Brotherton JM et al: Lancet. 2011; 377: 2085-2092. ※2 Pollock KG et al: Br J Cancer. 2014; 111(9): 1824-1830 ※3 Baldur-Felskov B et al: J Natl Cancer Inst. 2014; 106(3): djt460. ※4 厚生労働省 子宮頸がん予防ワクチン Q&A より ※5 厚生労働省 がん対策推進基本計画中間評価報告書 平成 27 年 6 月発行 ※6 OECD 2013. Health at a Glance. OECD Health Statistics 2013 (cervical cancer screening)
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