第5問の解説 - livedoor Blog

センター生物~解説~
第5問
全体についてのコメント
A は,種分化のしくみについての平易な考察問題。
B の問 3 は要求する知識は基本的なものだが,グラフの解釈と知識と組み合わせる設問であり,正答率
が伸びない可能性がある。問 4 はヒトの進化についての知識問題。
「アウストラロピテクスについての①~
④の中から一つ選ぶはず!」という先入観にとらわれ,冷静な選択肢の吟味ができず,片方しか正解できな
かった・・・という学生が多そうである。
設問別解説
A
問 1 基本用語を問う設問。 ア の直前の記述とガラパゴス諸島のフィンチのくちばしについての具体
例から「適応放散」と決める。
問 2 実験結果から遺伝子のはたらきを読み取る問題。図 2 より,遺伝子 X はくちばしの長さを長くす
るが,太さには影響しないことがわかる。また,遺伝子 Y はくちばしの太さを太くするが,長さには
影響しないことがわかる。以上より,③が正解となる。
また,種 A への進化ではくちばしが太くなっているので,遺伝子 Y の発現量が増えたことがわかる。
さらに,種 B への進化ではくちばしが短くなっているので,遺伝子 X の発現量が減少したとわかる。
以上より,⑦が正解となる。
B
問 3 地質時代についての知識とグラフの考察問題。D の時期には多くの爬虫類が絶滅していることか
ら,これは中生代末の大絶滅(←恐竜の絶滅をイメージする)の時期と予想できる。また,D の後に被子
植物の科の数が増加しており,D 以降が新生代と考えることも可能。すると,中生代末のできごとの
「アンモナイト類の絶滅」が正解となる。
なお,
②はペルム紀末のできごと。
④~⑥は中生代のできごとではあるが,
三畳紀とジュラ紀のもの。
③については,ヤツメウナギなどが現在もおり,絶滅していない。
問 4 ヒトの進化についての正確な知識を要求する問題。人類である以上は直立二足歩行するので①は誤り。
ホモ・サピエンスの脳容積は約 1500mL で,ゴリラ(約 500mL)の約 3 倍だが,猿人の脳容積は類人猿
とほぼ同じであり,②も誤り。前肢の拇指対向性は霊長類の出現段階で獲得されており,③も誤り。人
類の誕生は約 700 万年前(←サヘラントロプス・チャデンシス)とされているが,アウストラロピテクス
が生存していた時期は約 300 万年前とされており,④は誤り。④の判定は難しいかもしれない。
⑤⑦は事実と逆の記述。⑧についての記述は一部の教科書には明確に示されておらず,消去法で解答
する必要がある学生もいただろう。