新たなる飛躍を目指して 一般財団法人 建材試験センター 理事長 長田 明けまして,おめでとうございます。 本年がよい年になりますように,心からお祈り申し上げます。 私ども(一財)建材試験センターは,今年,創立 53 年目を迎えることにな ります。建築・土木技術の高度化と建材評価技術の進歩に伴い,時代の要請 に応じて進化を続けてきた当センターも,後ろを振り返ってみると,いつの 間にか半世紀を超える歴史を重ねて参りました。試行錯誤の連続から出発 した建材評価技術も,50 年余の歴史を刻むうちに体系化,標準化,高度化さ れ,わが国の住生活・社会基盤整備分野において大きな役割を担うように なって参りました。 また,近年では,東日本大震災,竜巻,ゲリラ豪雨,台風などの大型化・頻 度の増加といった自然気象や災害の変化,大規模化などが話題になってお り,こうした事態に対し,さらなる建材評価技術の進化と対応が求められて おります。 建材試験センターは, 「第三者証明事業を通し住生活・社会基盤整備へ貢 献する」という理念の下,人材と装置を更新しつつ,半世紀にわたり事業を 継続してきましたが,こうした情勢の変化に伴い,50 周年を期に,大規模な 施設整備を行うこととしました。センターは,現在事務局以外に 3 つの試験 所と 3 つの事業本部で事業を運営しておりますが,特に時代への適切な対応 が求められております 3 つの試験所について,抜本的な施設の増設・更新を 行うことにしました。既に,工事材料試験所と西日本試験所では,50 周年の 前後に抜本的な施設の整備を行いましたが,中核試験施設である中央試験所 では,緊急の対応が求められた防耐火試験設備の増設は先行して行いました が,敷地の狭隘性もあり,抜本的な整備は実施することができませんでし た。 ようやく昨年,現敷地面積にほぼ匹敵する増設用地を隣接地に確保するこ とができ,中央試験所の抜本的な拡張・整備の青写真が描けるようになった のです。現在の計画では,この拡大した用地を利用し,3 期約 15 年程度をか 2 建材試験情報 2016 年 1月号 直俊 けて(できれば期間を圧縮したいと考えております。)中央試験所の施設の全面的な刷新を行う予定です。 現在の事務所ビル以外は全ての施設を更新する予定ですが,特に今年はその第 1 期工事に着手し,年内 には竣工する予定です。 第 1 期工事では,最近時の自然災害などの多様化,増加に対処するため,動風圧試験棟と構造試験棟の 拡張整備を行います。 動風圧試験棟には,動風圧試験室と大型送風散水試験室を設置します。動風圧試験室では,外壁や屋 根の耐風圧性能・気密性能・水密性能の試験を 3 つのチャンバーにより行います。大型送風散水試験室 では,最大風速 60m/s の風速を利用して,防水試験・耐風圧試験・模型を用いた風圧係数試験などを行 います。送風散水試験室としてはわが国屈指の規模となる予定です。 構造試験棟は,床面積,高さともに現在の施設に比べ,約 2 倍の大型の施設に拡張します。また,床面 積の 1/3 は構造反力床とします。これにより実大規模の各種構造試験に対応できるものとし,公的試験 機関としては最大級の規模の施設とします。 これらの施設・装置に関しては,既に多くの知見を得,学術的な体系化がなされている分野もありま すが,まだまだ体系化・標準化といった段階にまで至っていないものも多くあります。しかし,わが国 の置かれた状況から見ると,今後ますますニーズの高まりが予想される分野であり,評価技術の深化と 精密化,それに体系化がより必要とされる分野でもあります。 私たち建材試験センターは,住生活・社会基盤整備のさらなる高度化を目指して,試験所部門では,こ のような分野の施設整備と人材の育成強化を通じ,また,事業本部部門では,専門性の深化と実施事業の 質的拡大を通じ,環境変化を適切に認識し,技術の進歩を担い, 「地球と人の未来を照らし,空間の快適 づくりをささえるパートナー」であり続けたいと考えております。 関係機関,学識経験者,建材企業,工業会の皆様,これまで同様,本年もよろしくご指導,ご支援のほ どお願い申し上げます。 建材試験情報 2016 年 1月号 3
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