デジタル放送宅配便

~家電業界向け技術情報誌~
デジタル放送宅配便 1月号
2016年
年頭のごあいさつ
新年明けましておめでとうございます。
2016年の年頭にあたりまして、 ひと言ご挨拶申し上げます。
テム改修など、多くの課題を解決していく必要がありますが、
ぜひとも皆さまのご協力を賜りますようお願い申し上げます。
旧年中は、ケーブルテレビでのデジアナ伝送終了や衛星セ
ーフティーネット終了などテレビ放送デジタル化の最後の取
り組みをはじめ、デジタルテレビの普及や良好な受信環境整
備に並々ならぬご協力を賜り誠にありがとうございました。心
よりお礼申し上げます。
NHKでは、8Kスーパーハイビジョンをより身近に感じて
いただけるよう、新年度から各地の放送局での常設展示や
様々な催し物での公開を拡充する計画です。これからも引き
続いて、豊かで多彩なコンテンツの充実、新たな可能性を開
く放送サービスの創造を目指し、取り組みます。また、非常
災害時の放送確保にも取り組んでまいります。その一つとし
て、福井県越前海岸沿いでのラジオ難聴対策のため、FM
波を利用したラジオ放送所の建設を進めています。当地
区では、長年夜間の外国波混信によりラジオが聴き取りにく
い状況で抜本的な改善手法がありませんでしたが、法令が
整備されたことにより実現が可能となりました。今後も国民の
安心安全に資する様々な取り組みを継続してまいります。
2016年は、「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会
合 第二次中間報告」で示されたとおり、衛星セーフティーネ
ット終了後の空きチャンネルを利用して4K・8K試験放送を
開始します。まさに、新たな時代の放送サービス開始の起点
となる1年になると感じています。また、5月に三重県で伊勢
志摩サミットが開催され、8月にはリオデジャネイロオリンピッ
ク、9月には同パラリンピックも開催されます。今後ますます
放送メディアの普及に弾みがつくことを期待しています。
今年始まる4K・8K試験放送は、現行のBS放送と同じ右旋
偏波を用いますが、2018年までに開始される8K実用放送で
は左旋偏波に移行することが予定されています。今後この左
旋偏波に対応するため、各家庭や集合住宅等での受信シス
末筆ではございますが、皆さまのますますのご健勝とご発
展をご祈念申し上げますとともに、本年もNHKの放送事業に
ご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
NHK名古屋放送局 技術部長 田中 君明
■2016年 おもなトピック(予定されている事項)
★BS(BS17ch・右旋)により、4K・8K試験放送開始 (全国NHK放送局で受信公開予定)
1月
3月
4月
5月
夏
8月
9月
大河ドラマ「真田丸」スタート (真田幸村の生涯を描く 主演:堺雅人)
マイナンバー制度 スタート
北海道新幹線開業(新青森-新函館北斗間)
V-Lowマルチメディア放送 スタート(東京・大阪・福岡)
連続テレビ小説「とと姉ちゃん」スタート (静岡・遠州が舞台 主演:高畑充希[たかはたみつき])
家庭向け電力への小売り参入自由化
伊勢志摩サミット 開催
タクシー無線、デジタル方式に完全移行
次期110度CS打上げ(N-SAT-110の後継機・JCSAT-15)
リオデジャネイロオリンピック 開催
リオデジャネイロパラリンピック 開催
(名古屋局)
■NHKデジタル放送宅配便 掲示サイト http://www.nhk.or.jp/nagoya/nouhau/info/forbiz.html
バックナンバーもご覧いただけます。
【設置確認メッセージ消去用販売店様専用電話】
0120-500536
自動音声応答による24時間受付(年末年始は休み)
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デジタル放送宅配便 1月号
InterBEE(国際放送機器展) 2015
毎年恒例の最新放送機器展示会InterBEEが、2015年11月に幕張で開催されました。今回の会場は、実用
化が進む4K・8K関連機器や、話題のHDR(本誌3頁で紹介)など、さまざまな放送関連展示が目白押しで
した。広大な会場の中から、目を引いた展示をいくつかご紹介します。
2018年のBS/110度CS左旋運用実
用化に向けて、受信機器の参考展示が並
びました。また、RF方式で開始される
4K放送「ケーブル4K」のIP伝送用機
器の参考展示も見られました。
4K・8K放送受信関連
50型左旋対応BS・110度CSアンテナ
(参考展示)
4K対応IPセットトップボックス
(開発中)
4K・8K受信用光送信機[左と下]
・光受信端末[右上](参考出品)
HDR
HDRと現行規格(SDR)の比
較展示がいくつものブースで行
われていました。また、期間中
実施されたスカパーJSATによ
る4K HDR映像(HLG方式[3
頁参照])の衛星伝送実験が受
信公開されていました。
4KテレビでのSDR(左)とHDR(右)の比較
スカパーJSATによる4K HDR衛星伝送実験
受信公開
V-Low、ドローン、防災、その他 V-Lowマルチメディア放送用受信機
STB(左)と車載用(右)(参考出品)
撮影用大型ドローン
(最高時速40km・30kgまで搭載可)
臨時災害放送用
可搬型FM送信装置
(別途アンテナが必要)
リアルな影がつけられる
クロマキー
(中央の女性が合成)
(名古屋局 K.N)
【デジタル放送など、NHKの放送受信に関するご相談窓口】
0570-00-3434
又は 050-3786-5006 (平日、土日祝日とも9時~20時)
ホームページ「NHKデジタル」もご利用下さい http://www.nhk.or.jp/digital/
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~連載・次世代メディアマスターへの道(22)
4K8K応用⑥
Q
HDR
A
テレビ新製品情報などで
よく耳にするHDRとは?
テレビが表現できる映像の
「明⇔暗の幅」を拡大する技術です。
<解説>画面の明暗の幅を拡大するHDR(High Dynamic Range:ハイ ダイナミック レンジ)により、従来できなか
った映像表現が可能となり、より現実に近い映像を楽しめるようになります。 HDRの映像 ディスプレー技術の進展により、ディスプレーが表現可能な明暗の範囲の拡大や、高輝度
化が進んでおり、これを活かしたHDRによる映像表現が可能となりました。
■従来、表現できなかった典型的なシーン
昼間のスタジアムでは、日陰にいるプレー
ヤーにカメラを調整すると日なたの箇所は白
飛びが発生。
HDRでは、空・フィールド・観客席の明るい
部分も再現可能。
従来映像
放送とHDR
HDRの映像
NHKでは、放送環境でHDRを実現するため、従来のテレビ方式と互換性のあるHDR技
術(HLG方式※)をBBC(英国放送協会)と連携して開発しました。
※HLG方式:Hybrid Log-Gamma(ハイブリッドログガンマ)の特徴
・従来と同じガンマ特性カーブとLOG(対数)カーブの組み合わせ ・輝度値を相対的に扱う(従来の考え方) ・従来のテレビと互換性のあるガンマカーブ
・従来のテレビと同様にOETF側(カメラ側)を規定 ・従来ディスプレイと高い互換性
・高輝度側に表現可能な輝度の範囲を拡大
この方式に基づき、国内では2015年7月に電波産業会(ARIB)において「拡張ダイナミックレンジテレ
ビジョン方式」の標準規格が策定されました。今後2016年に開始するBSでの4K・8K試験放送において
この技術が使用できるよう、放送方式の標準化や設備整備を進めていきます。
NHKではシャープと共同でHDR対応85型8K液晶ディスプレーを開発
しました。従来の8Kディスプレーに比べて4倍の最大輝度、100倍のコン
トラスト(いずれも実測値)を実現しています。
HDR対応8Kディスプレー
主な仕様
画面サイズ
画素数
フレーム周波数
階調
最大輝度
コントラスト比
85V型(約190cm × 105cm)
水平7,680 × 垂直4,320
60Hz(表示120Hz)
RGB各色12ビット相当
1,000cd/㎡以上
100,000:1 以上
色域含有率 ※
77%
※ITU-R勧告BT.2020色域に対する包含率
■欧州放送機器展示会IBC2015(9月開催)やCEATEC JAPAN2015(10月開催)で展示され、より忠実な映像再現を体感いただきました。
(名古屋局 A.M)
(出典元:NHK技術情報)
【NHKの放送受信料に関するお問い合わせ窓口】
0570-077-077
又は
050-3786-5003 (平日、土日祝日とも9時~20時)
ホームページ「インターネット営業センター」もご利用下さい http://pid.nhk.or.jp/jushinryo/
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あけくれ
~連載・送受信akekure(9)~
AMラジオ雑音調査用ノイズチェッカー/アンケートより
今回はNHKで実施している受信相談関連の話題をご紹介します。
AMラジオ雑音調査用ノイズチェッカー
■ AMラジオ受信相談の最多原因は、雑音障害
AMラジオ(以下、ラジオ)の場合、NHKへ寄せられる受信相談
で最も多い原因は電気的雑音で、約6割に及びます(右グラフ参
照)。自己受信設備不良が約7割を占めるテレビ受信相談とは、大き
く異なります。
防災対策などで見直されているラジオですが、その変調方式から、
どうしても電気雑音の妨害を受けやすく、雷などでもガリガリッと雑
音が混入するのはご存じのとおりです。
■ ラジオ雑音調査用として活用している、ラジオノイズチェッカー
ラジオの雑音障害原因を特定する場合、携帯ラジオで雑音の音量により探
す方法がありますが、音での判断はなかなか大変です。そこでNHKでは最
近、写真のようなラジオノイズチェッカーを活用しています。
この機器本体は写真のとおり片手に収まるサイズで、前方に突き出したア
ンテナの支柱部分のLED点灯個数が雑音強度に応じて増減します。耳と目
を使って、雑音源を簡易に探知することが可能になりました。
機器の詳細はオレンジラボラトリー株式会社にお問合せ下さい。
LED表示を見て、雑音源を推定
アンケート結果より
(名古屋局 K.S)
2016年のBSによる4K・8K試験放送には、皆さま関心「大」です。
対応テレビが増えたハイブリッドキャストは、NHK講習でマスター!
非常にある
・対象:NHK技術講習受講者
(電器店関係)
・期間:2015年9~10月
・地域:愛知、静岡、石川、富山
・回答数:200
少しある
非常にある
いいえ
ある
ある
Q 2016年開始の4K・8K試験
放送に関心は?
はい
少しある
Q NHKハイブリッドキャス
トに関心は?
Q ハイブリッドキャストの使い
方を説明可能?(受講後)
■本誌印刷版配布終了のお知らせ
本誌「デジタル放送宅配便」は、2016年3月号をもって印刷版の配布を終了させていただきます。なお、ホームページ(本誌
表紙下段を参照下さい)への掲載は更新・継続いたしますので、今後はこちらでご覧下さいますようお願いいたします。
【本誌記事のお問合せ先】
受信料関係のお問合せは
前頁欄外をご覧下さい
名古屋放送局 技術部 TEL 052-952-7265 (平日9時30分~12時、13時~18時)