2016年度大学入試センター試験・分析表 科目 地理B

2016年度大学入試センター試験・分析表 科目 地理B
■ベネッセ・駿台共催/データネット実行委員会
― 「地誌」が2大問出題。多彩な資料で地理的思考力が問われた。昨年よりやや易化 ―
1.全体概況
【大問数・解答数】
大問数6で昨年から変更なし。解答数は35で昨年から1個減少。第6問が地理Aと
の共通問題。
【出題形式】
地図、地形図、統計表、鳥瞰図など、例年通り多様な資料が扱われ、地理的考
察力が求められた。解答形式では、文章選択問題が12個から10個に、6択問題
が11個から9個に減少した。
【出題分野】
「現代世界の諸課題」の大問がなくなり、「自然環境」「産業」「都市・村落
と生活文化」「ヨーロッパの地誌」「インドと南アフリカ共和国の地誌」「地
域調査」からの出題構成。産業は工業に特化した出題となった。第5問の「イ
ンドと南アフリカ共和国の地誌」は、「自然環境」「産業」など、様々な分野
が両国を比較して扱われた。
【問題量】
昨年並。
【難易】
昨年よりやや易化。
2.大問別分析
第1問「世界の自然環境と自然災害」 (17点・標準) 世界の自然環境と自然災害を扱った出題であり、図表の読解に時間を要するものが多い。問3は、植生の分布が問
われた。見慣れない図に戸惑うかもしれないが、ケッペンの気候区分をしっかりと理解しておくことが解答のカ
ギとなった。Hの東側が砂漠であること、Gは疎林であることも手がかりとなる。
第2問「世界の工業」 (17点・標準) 産業の中でも世界の工業に特化した出題であり、標準的な内容であった。問3は技術貿易の受取額などの指標が扱
われた。産業用ロボットの稼働台数の判定に少し悩むが、日本でロボットの普及が進んだ状況をおさえていれば
判断が可能である。問4は工業付加価値額とGDPに占める鉱工業の割合から国を判別する問題。スイスで付加価値
の高い製品をつくっていることをおさえていれば、正答を導けるだろう。
第3問「都市・村落と生活文化」 (17点・やや易) 都市・村落と生活文化が基礎的事項を中心に扱われ、全体的に標準的な内容であった。問2は、世界の都市に関す
るやや細かい知識が問われ、苦戦する受験生もいたと思われる。問3は人口特性を示す指標の地図を判断する問題
であり、丁寧に図を読み取り、確実に正答を導きたい。まずウは中心部が低位であることから農業・林業就業者
割合と判断し、アとイは小地域の境界と鉄道路線から判断できる。
第4問「ヨーロッパの地誌」 (17点・標準) ヨーロッパを題材に、「自然環境」「産業」「諸課題」などについてバランス良く出題された。なじみのない指
標も散見され、図表の読解に戸惑うかもしれない。問4は、いくつかの国の自国民と外国人の失業率が扱われてお
り、絶対数が記載されていないため判別が難しい。
第5問「インドと南アフリカ共和国の地誌」 (14点・やや難) リード文をもとに、インドと南アフリカ共和国について「自然環境」「産業」「生活文化」を中心に出題され
た。受験生にとってなじみの薄い統計や詳細な知識が問われた。問3は、両国の鉱産資源についての設問で、クロ
ムとすずの判別が難しい。問4は、両国の社会について共通する点を問われた。貿易や言語、歴史的背景について
求められる知識がやや細かく、判別が困難だったであろう。
第6問「岩手県北上市とその周辺の地域調査」 (18点・やや易) 岩手県北上市とその周辺地域の土地利用・産業を中心に、地勢図・地形図・鳥瞰図・写真などの多彩な資料を用
いた標準的な問題であった。問2の会話形式の出題は読み取りに時間を要するであろう。問5は岩手県のおもな交
通網の地図をもとに考察する問題。自動車保有台数と通勤・通学者の割合の判別に迷うかもしれない。問6は、新
課程で重視されている地図の活用法、主題図の表現方法について扱われた。
3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度
平均点
2015
58.59
2014
69.68
2013
61.88
2012
62.16
2011
66.40