地域公共性のパラダイム転換 ―欧州の経験から考察する 白石 克孝 LORC第1研究班代表 EUの地域持続可能性像 地方政府のリーダーシップの下で環境・社会・経済の持続可能 性の統合 環境の持続可能性 持続可能な発展 経済の持続可能性 社会の持続可能性 2 持続可能性とガバナンス(地域レベル) 持続可能性の視点からはガバナンスが必須 新自由主義的な視点からのガバナンス 官民関係の再構築―政府セクターのダウンサイジング―に焦点 持続可能性は政策目標なり政策リストのひとつ 構造的に組み込まれたものではない ☆持続可能性の追求とガバナンスの追求との結合 ☆地域レベルでアプローチする意味 3 持続困難性の2つの軸 ①人間社会が環境負荷をあたえる 市場経済+人間 ←→ 自然環境 ②人間と自然環境を全面的に商品化はできない 市場経済 ←→ 人間+自然環境 労働力の商品化という現象において、経済的に有意味な行為が生活世界 の文脈から切り離され、交換価値(貨幣)に結びつけられる 労働力商品としての市場参加 市場参加できなくても一定水準の生活を維持 ―「脱商品化」のための福祉国家的社会政策 持続可能な物質循環や地域資源の利用・管理を支えていたのは、非市場 的な社会関係―生活世界の基盤―であった 政府セクターと貨幣への依存 4 環境と相互依存する地域社会システム構築 環境(自然環境・建造物環境)と地域 負荷低減につながる暮らし 持続性管理に機能する地域社会システム 人 間 社 会 生活世界 地域社会システム 建造物環境 自 然 環 境 込仕非 み組市 み場 ( 的 脱の 再、 商構非 品築政 化と府 )組的 みな 5 EU諸国のローカルガバナンス像 グッドガバメント 政府 単純なダウンサイジングをしない ―新自由主義改革に対する緊張感 市民社会 市場 市場経済だけでない多 様な経済の相互補完 面積の拡大 人々の結びつき―社会関係資本・非市場的関 係―の増大 6 持続可能性とガバナンスの結合 ローカル、リージョナルな持続可能性 環境の持続可能性 持続可能な発展 経済の持続可能性 社会の持続可能性 ローカル・ガバナンス 7 EU40都市の比較分析 持続可能性とガバナンス ガバナンスの段階と持続的発展政策の成功率(Bob Evans他) 地方政府の制度的能力 高 地 域 ダイナミック・ガバニング →高い成功率 の 社 会 高 的 ボランタリー・ガバニング 能 →低い成功率 力 アクティブ・ガバメント →中程度の成功率 低 パッシブ・ガバメント →失敗 低 ・ローカル・パートナーと地方政府の協働 ・能動的な地方政府の存在 8 マルチパートナーシップの展開 EUの構造政策(結束政策): 対象地域では、200以上のステイクホルダーが参加し て立案・実施 英国 単一再生予算(SRB) → 地域戦略パートナーシップ(LSP) 地域合意(LAA) 9 マルチパートナーシップ型政策形成への挑戦 米国の失敗と英国のチャレンジ エンパワメント・ゾーンの 失敗 (クリントン政権 → ブッシュ政権) SRBからLSPへ (メイジャー政権 → ブレア政権) (米)市民社会セクターが準市場セクター化 (英)マルチパートナーシップ or 準政府セクター化? 10 EUの地域持続可能性像の焦点 環境(自然、建造物) オルボー憲章(1994) ↓ 社会的インクルージョン 都市アクションプラン(1998) ↓ 経済 リスボン・アジェンダ(2000) 11 マルチパートナーシップ型社会 持続可能な地域戦略の地域レベルでの総合化・統合 ← 縦割り、個別政策リスト化の克服 討議民主主義型政策形成 政府 市場 政府間の協働と補完性原理 市民社会 企業の社会的責任(CSR) 社会的企業 NPO 協同組合 コミュニティ組織 様々 なアソシエーション 12 地域公共性のパラダイム転換の構造 ・ローカル、リージョナルな持続可能性 新しい地域公共性 ―パラダイムシフトの必要性 ・ローカル・ガバナンス マルチパートナーシップ型の社会形成 マルチパートナーシップ型の政策形成&執行 13 地域公共人材の必要性 市民社会セクターの成立をサポートできる人材 マルチパートナーシップを架橋するファシリテーション能力 パラダイム転換を社会化するクリエイティビティ(価値、創 造力) 14
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