改正行政不服審査法の施行に伴う 関係例規等の整備について 行政不服審査法の全部改正(平成28年4月1日施行)により、新しい行政 不服審査制度が開始することに伴い、国立市においても、関係例規や体制の整 備を行います。 1 行政不服審査制度とは 行政不服審査制度とは、行政庁が行った処分等に関し、国民がその見直しを 求め、行政庁に不服を申し立てる手続です。簡易迅速な手続により、国民の権 利利益を救済することを目的としています。 不服申立ては、〔1〕行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(許認可 の取消し等)に関し不服がある場合や〔2〕行政庁の不作為(法令に基づく申請 に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をす べきにかかわらず、これをしないこと)に不服がある場合にすることができま す。 不服申立てを行った者(以下「審査請求人」という。 )と 処分を行った行政 庁(以下「処分庁」という。 )の主張を審理した上で、不服申立ての審査を行う 行政庁(以下「審査庁」という。 )が裁決を行います。 不服申立てについて審査を行った結果、申立てに理由があると認められた場 合は、申立てに係る行政処分を取り消す等の決定がなされます。 2 行政不服審査制度の見直しの概要 行政不服審査法は、昭和 37 年の制定以来、実質的な法改正がなされていま せんでしたが、公正性の向上や使いやすさの向上の観点から、約 50 年ぶりに 抜本的な改正がされました。 改正された行政不服審査法(以下「改正法」という。 )における現行の行政不 服審査法(以下「現行法」という。 )からの主な変更点は、以下のとおりです。 -1- (1)公正性の向上∼点検の強化(審理の見える化)∼ ① 審理員による審理の導入 不服申立ての審理を行う者について、現行法には規定がありませんが、新し い制度では、職員のうち処分に関与しない者(審理員)が、両者(審査請求人・ 処分庁)の主張を公正に審理します。 ② 第三者機関への諮問手続の導入 第三者の視点で審査庁の判断の妥当性をチェックすることにより、裁決の公 正性の向上を図ります。なお、審査請求人が希望しない場合、第三者機関が不 要と認めた場合等には諮問を不要とし、迅速な裁決を希望する国民にも配慮し ます。 ③ 審理手続における審査請求人の権利の拡充 証拠書類等の閲覧に加え、謄写もできるようになるとともに、口頭意見陳述 において、処分庁へ質問を行うことができるようになります。 (総務省資料より) (2)使いやすさの向上∼国民の利便性の向上∼ ① 不服申立期間の延長 不服申立てをすることができる期間を 60 日から 3 か月に延長します。 ② 不服申立手続の一元化 -2- 現行法では、不服申立ての種類が「異議申立て」と「審査請求」に分かれ、 手続が異なっていました。改正法では、 「異議申立て」をなくして、 「審査請求」 に一元化します。 ③迅速な審理の確保 標準審理期間の設定(努力義務)、争点・証拠の事前整理手続の導入などに より、迅速な審理を確保します。 ④ 不服申立前置の見直し 行政の処分に不服がある場合に、不服申立てをするか直ちに訴訟を提起す るかは、国民が選択できることが原則のところ、現行法では、不服申立てに 対する裁決を経た後でなければ出訴できない旨(不服申立前置)を定める個 別法が 96 ありました。そこで、見直しの結果、不服申立前置の対象を 68 の法律で廃止・縮小します。 3 国立市における整備の内容 (1)審理体制の構築 不服申立てについて諮問するための第三者機関として、新しく「国立市行政 不服審査会」を設置します。 (2)条例等の整備 ①国立市行政不服審査法施行条例【新規制定】 (別紙「国立市行政不服審査法施行条例(素案)の概要」参照) <主な内容> ・「国立市行政不服審査会」の設置・運営について規定 ・証拠書類等の写しの交付に係る手数料について規定 ②国立市情報公開条例・国立市個人情報保護条例【改正】 ・情報開示決定等に係る不服申立てについては、今までは「国立市情報公開 及び個人情報保護審査会」に諮問していましたが、今後は新しい「国立市 行政不服審査会」に諮問します。 ・行政委員会等(教育委員会等)や議会が行った情報開示決定等に係る不服 申立てについては、改正法の規定では第三者機関への諮問が不要ですが、 国立市では、今までどおり第三者機関に諮問できるように、「国立市行政 不服審査会」に諮問することを条例に規定します。 ③その他改正法施行に伴い規定整備が必要な条例・規則等【改正】 ・行政不服審査法の引用条項等の改正 ・不服申立ての教示文の改正 -3-
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