『語 用 論研 究 』 第7号(2005年)pp.1一 @2005年 ユ6 目本 語 用 論 学 会 恒 常 的状 態 を表 す 日本語 動 詞 の語用 論 的分析* 西 1.は 田 光 一 じ め に 本 論 で は 、 日本 語 動 詞 の基 本 形 の用 法 を 語 用 論 的 に議 論 す る。 なか で も、 次 の例 に 見 られ る種 類 の基 本 形 を議 論 す る。 以 下 、 問題 とな る動 詞 に は 下 線 が 引 い て あ る。 (1)駒 ケ岳 く 雫石 町 〉 火 口内 に は女 岳 の 中央 火 口 丘 と爆発 跡 が み られ る。 火 口壁 の 外 側 、 男岳 北 方 に は 阿 弥陀 池 を挟 んで 寄 生 火 山女 目岳 が工 (2)千 手 観 音 坐 像(峰 定 寺)久 寿 元 年(1154)創 。(地 建 の峰 定 寺 の 本 尊 。_丸 い で 、 円信 作 の 可 能 性 の あ る 西大 寺 十 一 面観 音 像 に」 瞳 (3)ス リラ ン カの南 西 約700㎞ リ アに26の 環礁が淫蛭 名) 。(美 術) に 浮 か ぶ モ ル デ ィブ 共 和 国。 南 北 に約750km、 。 島 は 約1200も 顔 が 円勢 風 を よ く継 あ り、 世 界 屈 指 の美Lい 東 西約120㎞ のエ ホ ワ イ トサ ン ドビ ーチ と極 上 の 海 に 囲 まれ て い るロ(現 (4)青 山∼ 表 参 道 を歩 く 代) ハ チ の墓 は青 山 墓 地 に あ る。 こ こ は、 地 名 の 由 来 で もあ る青 山家 屋 敷 の 跡 地 。 岡本 綺 堂 、 尾 崎 紅葉 、 国 木 田独 歩 、 斉 藤 茂 吉 、.,吉 田 茂 とい っ た 日本 近 代 史 に名 を連 ね る人 々 の 墓 が並 墨 。(東 こ の種 の 動 詞 の 基 本 形(以 京) 下 、 ル 形)は 、 主 に 書 き こ とば で 、 特 に事 典 、 美 術 書 、 旅 行 ガ イ ド等 の 見 出 し付 解 説 文 で使 わ れ 、 恒 常 的状 態 を表 す 。 この種 の ル形 は、 問題 とな る状 態 を写 した写 真 と共 に よ く使 わ れ る 。例 え ば 、(2)は 、 こ の千 手 観 音 坐 像 の写 真 に伴 う解 説 文 で あ る 。 また 、 こ の種 の ル形 は 次 の よ うな歴 史 人物 の紹 介 に も現 れ る 。 (5)菊 池序 光(生 菊 地家2代 没 年 不 詳)江 戸 時 代 後 期 の 装 剣金 工 。 菊 池 序 克 に ま な び、 の ち に養 子 と な っ て 目 をつ ぐ。 柳 川 派 の手 彫 りに幽 。 江 戸神 田 に曲 。 本 姓 は中 山。 通 称 は伊 右 衛 門。(人 この 文 脈 で は 、 話 し手(特 名) に書 き手)が 当 該 状 態 につ い て全 て の 知 識 を持 ち 、 聞 き手(特 一1一 に 語用論研 究 第7号 読 み手)は 話 し手 の発 話 に接 して初 め て そ の 状 態 を知 る こ と に な る。(3)の よ う に、 こ の文 脈 で もテ イ ル 形 が 使 わ れ る が 、 ル形 は この 文 脈 に特 徴 的 に使 わ れ る。 文脈 の種 類 を選 ば ない 点 で テ イ ル 形 は無 標r文 脈 の 種 類 を選 ぶ 点 で ル形 は 有 標 で あ る。 こ の有 標 の ル形 を恒 常 的状 態 を表 す 用 法 、 また は恒 常 性 用 法 と呼 ぶ こ とに す る 。 本 論 で は、2節 で、 恒 常 性 用 法 の ル形 と 日本 語 動 詞 アス ペ ク トの 先 行研 究 の 関連 を論 じる。 3節 で は 、 問題 の ル形 が 生 じる 文 脈 を分 析 し、 この 用 法 を司 る原 則 を提 案 す る。4節 この 原 則 を他 の 用 法 の ル形 とテ イ ル形 に応 用 す る。5節 2.先 では、 は結 論 で あ る。 行研究 この 節 で は 、 金 田 一(1950)以 降 の 先 行 研 究 を再 検 討 し、 問 題 の ル形 の 特 徴 をつ か む。 こ の種 の ル 形 は 、 ア ス ペ ク トとは 別 の 意 味 で テ イ ル形 と対 立 を なす こ とが分 か る。 2.1.状 態 を表 す 動 詞 の 形 式 金 田 一(1950)の アス ペ ク ト分類 で は、 日本 語 に は状 態 を 表 す の に必 ず テ イ ル を伴 う とさ れ る動 詞 が あ る。 金 田 一 は1こ の種 の 動 詞 を 「第 四種 」 と呼 ん で他 の状 態 動 詞 、 継 続 動 詞 、 瞬 間動 詞 と区 別 し、 さ らに金 田 一(1955)で (G)県 は 形 容 詞 に近 い もの とす る。 境 に 山 が そ び え て い る/親 子 で声 が 似 て い る 金 田 一(1950:49)は 、 「そ び え る 、 似 る」 な ど 「この 種 の動 詞 は、 いつ も 「一 テ イ ル」 の 形 で状 態 を表 わす の に用 い 、 た だ 「舞 え る」 だ け の単 独 の 形 で 動 作 ・作 用 を表 わす た め に 用 い る こ とが な い の を特 色 とす る 。 「誓 え る」 の意 義 は 、 「(一つ の 山 が他 の 山 に対 して)高 い 状 態 を帯 び る」 の 意 で あ る が 、 「帯 び る」 と言 っ て しま っ て は、 以前 低 か っ た もの が新 た に高 く成 る よ うで まず い 。 他 の 山 よ り高 い状 態 に あ る、 そ れ を 「い る」 とい う概 念 と、 も う一 つXと い う概 念 とに 分析 して 表 わ した、 そ のXが 「舞 え る」 で あ る」 とい う。 ま た、 金 田 一・ に よれ ば、 第 四種 の 動 詞 は、 そ れ 自体 で は 「状 態 の発 端 」 を表 す が 、 表 さ れ る状 態 の方 は変 化 せ ず に成 立 して お り、 発 端 の 時 点 が 問 題 と さ れ な い た め 、 これ らの 動 詞 を使 う時 は テ イ ル を つ け て 状 態 の 不 変 化 を表 す こ と に な る と さ れ る。 金 田一 の説 を引 き継 ぎ、 久 野(1973:Ch.9)は (7)動 詞 は 語 義 で[+状 態 的]と[一 日本 語 動 詞 に次 の一 般 化 を与 え て い る。 状 態 的]に 区別 され る。[+状 態 的]動 詞 は ル形 で現 在 の 状態 を表 し、[一 状 態 的]動 詞 は ル形 で 未 来 時 の 動 作 、 現 在 の 習慣 、普 遍 的動 作 を表 すa[一 状 態 的] 動 詞 が 現 在 の 状 態 を表 す に は テ イル を付 け る。 一2一 恒常 的状態 を表す 日本語動詞の語用論的分析 例 え ば 、 「わ か る」 は[+状 態 的]動 詞 の た め 、 「太 郎 は 日本 語 が わ か る/*わ か っ て い る」 とい う対 立 が 生 じる。 反 対 に、 「来 る」 は[一 状 態 的ユ 動 詞 の た め、 「太 郎 は毎 日こ こ に来 る」 は習 慣 を表 す 意 味 で 使 う。 「住 む」 も[一 状 態 的]な の で 、 現 在 の状 態 を表 す には 、 「 太 郎は こ こ に住 む 」 と は言 わず 「太 郎 は こ こ に住 ん で い る」 とテ イ ル 形 を使 う とす る 。 久 野 は 、 英 語 で は1iveが 単 純 現 在 形 のJohnIiveshere.の 態 的]動 詞 が 多 い が 、 日本 語 で は[+状 形 で 現 在 の 状 態 を表 す よ うに語 彙 的 に[+状 態 的 ユ 動 詞 が 「あ るrで き る、 大 きす ぎる」 な ど少 数 の もの に 限 られ る と指 摘 す る.久 野 の 言 い 方 で は 、 第 四 種 動 詞 も[一 状 態 的]な の で 、 常 に テ イ ルが 付 くこ とに な る。 しか し、(1)か ら(4)の 例 は、 いず れ もル形 の ま まで 現在 の 状 態 を表 してお り、 習 慣 や 普 遍 的 動 作 と は違 う。 そ の た め 、 こ れ らの 例 は、 第 四種 動 詞 や[一 状 態 的]動 詞 が 現 在 の状 態 を表 す に は テ イ ル を付 け る と い う一 般 化 に 当 て は ま らない 。 この一 般化 は 、 状 態 の 表 し方 と発 話 の 場 面 を考 慮 して い ない とこ ろ に問 題 が あ る 。 第 四 種 動 詞 とテ イ ルの 結 び つ き は、 こ の 種 の 動 詞 を含 む発 話 が 一 定 の想 定 の 下 で 使 わ れ た 結 果 だが 、 先 行 研 究 で は問 題 の想 定 文 脈 が 議 論 さ れ て い な い 。 問 題 の想 定 をず ら し て文 脈 を整 え る と、 テ イ ル を付 け ない ル形 が 現 在 の 状 態 を表 した り、 後 で 見 る よ うに 、 常 に テ イ ル を伴 う と され る動 詞 で も、 ル形 の ま まの用 法 が優 先 され る こ とが あ る こ とが 分 か る。 2.2.動 詞 の 分 類 と発 話 の 場 面 奥 田(1978)の 指 摘 で は 次 の2点 が 本 論 に 関 わ る。 第 一 に、 ア スペ ク ト研 究 の対 象 は 、 ル 形 とテ イ ル 形 が 状 況 の 時 間 的特 徴 にお い て 意 味 の 違 い を なす 動 詞 に 限 られ る。 第 二 に 、 ル 形 は発 話 時 と同時 に進 行 す る ア クチ ュ ア ル な現 在 を表 す こ とが で きな い 。 第 一 の 点 は仁 田(1997:235-236)の 動 詞 の アス ペ ク ト分 類 に 引 き継 が れ て い る 。 仁 田 は 、 「〈 動 き〉 とい っ た カ テ ゴ リカ ル な 語 義 を持 つ 動 詞 が ア ス ペ ク トを分 化 させ て い る。_〈 状 態(一 動 き)〉 とい っ た カ テ ゴ リカ ル な 語 義 を持 つ 動 詞 は、 アス ペ ク トを分化 させ て い な い」 と し、 「アス ペ ク トを持 た ない 動 詞 」 を次 の よ う に分 類 す る。 (8)[A]テ イ ル形 を持 た な い もの:有7居 る 、大 きす ぎる_ ' [B]ル 形 ・テ イ ル形 が ア ス ペ ク ト的対 立 を な さ な い もの:(例 て い る},違 [C]ル 形 を持 た な い もの:す (8)で は 、[A]が しか し、[C]の あ の 服 は彼 に似 合 う/似合 っ う、存 在 す る_ 久 野 の[+状 ぐれ て い る 、 尖 っ て い る 、 似 て い る_ 態 的]動 詞 に 当 た り、[C]が 金 田一 の第 四 種 動 詞 に当 た る。 動 詞 も ル形 の ま まで 使 う こ とが あ る の で 、 「ル形 を持 た ない 」 とい う書 き方 は、 「アス ペ ク トを表 す 意 味 で ル形 を持 た な い 」 の 意 に解 す べ きで あ る 。[C]の 一3一 動 詞 は 「す ^ 語用論研 究 第7号 ぐれ る」 と 「す ぐれ て い る」 の よ う に ル形 と テ イ ル形 を備 えて い て も、 表 され る状 況 に は 時 間的 特 徴 の 違 い が な く、 アス ペ ク ト研 究 の 対 象 か ら外 され る。 実 際 の 用 例 で[C]に とテ イ ル 形 の 両 方 が あ る とな る と、仁 田 の[B]と[C]の 述 す る よ う にr[B]と[C]の もル形 分 類 は同 じ に な るの だ ろ うか。 後 動 詞 で は、 ル形 と テ イ ル形 は ア ス ペ ク トで は な く、 表 さ れ る 状 況 と聞 き手 の 関 係 にお い て 違 い が あ る。 (1)か ら(4)で は、 恒 常 的 状 態 が ル形 に よ り表 さ れ る 点 が 、 ル 形 の 用 法 と して 有 標 な 理 由 で あ る。 例 え ば 、(3)の 「浮 か ぶ」 は繰 り返 しの な い 状 態 を表 し1「 この ボ ー ル は水 に 浮 か ぶ」 の よ うに 繰 り返 しが 可 能 な状 況 を表 す の に使 う ル形 と は性 質 が 違 う。 こ れ は、(8-C) で 「尖 って い る」 が ル 形 を持 た な い と され る理 由 で も あ る。 「この 鉛 筆 は削 る と1よ く尖 る」 の よ う に繰 り返 し可 能 な 状 況 を表 す の に 「尖 る」 とい う ル形 を使 うの は 問題 な い が 、 あ る鉛 筆 の鋭 角 状 の状 態 を聞 き手 に伝 え る場 合 は、 「この 鉛 筆 の 先 は よ く尖 る 」 とい う よ り 「この 鉛 筆 の先 は よ く尖 っ て い る 」 と い う だ ろ う。 しか し、 恒 常 的 状 態 を表 す の に もル形 を使 う文 脈 が あ る。 そ れ が本 論 の分 析 対 象 で あ る 。 奥 田 の 第二 の 点 は 、(1)か ら(4)に あ る よ うな ル 形 が 表 す 状 態 の特 徴 を分 析 す る上 で 重 要 で あ る 。 これ らの状 態 は 現 在 も成 立 す る もの だが 、 発 話 時 に基 づ くア ク チ ュ ア ル な 現 在 で は な い 。 逆 に ア クチ ュ ア ル で ない 現 在 な らば 、 ル形 の ま ま で も表 す こ とが で きる とい う見 込 みが 立 つ 。 以 下 、 ア ク チ ュ ア ル で な い現 在 に つ い て解 説 を加 え て い く。 先 行 研 究 で 「第 四種 動 詞 に は常 に テ イ ル を付 け て使 う」 とい う場 合 、発 話 の場 面 に 聞 き手 が い て、 そ の 発 話 に よ り話 し手 と 聞 き手 が 同 じ状 況 を指 す こ とが 想 定 され て い る。 実 際 、 こ の想 定 で 第 四 種 動 詞 を使 う と、 テ イ ル を付 け な くて は容 認 され な い。 聞 き手 に状 況 を 直示 す る場 面 で使 うの で 、 テ イ ル形 の 文 は文 末 に ヨ ・ネ を付 け、 聞 き手 に確 認 を求 め る こ とが で き る。 こ の 点 で 、(8)の 分 類 に お け る[B]と[C]の 動 詞 は対 立 す る。[B]の 動 詞 は、 面 前 の 聞 き手 と話 し、 文 末 に ヨ ・ネ を付 け る場 合 で も、 ル 形 と テ イ ル形 の 両 方 が 使 え る が 、[C] の 動 詞 は ル形 の 文 に この 種 の終 助 詞 が 付 か な い。 (9}県 境 に 駒 ケ岳 が(そ び えて い る/申 そ び え る)ヨ (10)君 の作 風 は、 以 前 の 作風 と こ こが(違 ・ネ う/違 って い る)ヨ ・ネ コ'1 また 、[C]の 動 詞 は 、 テ イ ル 形 に は丁 寧 体 の マ ス が 結 びつ くが 、 ル形 に丁 寧 体 のマ ス が 結 び つ か な い 。[B]の 動 詞 は 、 ル 形 とテ イ ル 形 の 両 方 に丁 寧 体 が あ る。 (11)県 境 に 駒 ケ岳 が(そ び えて い ます/*そ び え ます) (12)君 の作 風 は 、 以前 の作 風 と色 調 が(違 い ます/違 一4一 って い ます) 恒常的状態 を表す 日本語動詞の語用論 的分析 [B]の 動 詞 は ル 形 と テ イ ル形 が 区 別 な く使 え る。[C]の 動 詞 は ル形 で使 うこ とが あ っ て も、 そ れ は動 詞 の 活 用 表 の多 くの 部 分 が 欠 落 した 用 法 で あ り1丁 車 体 や 終 助 詞 と結 び付 け る に は テ イ ル形 に し な け れ ば い け な い 。 終 助 詞 や 丁 寧 体 の欠 落 は 、 この 種 の ル形 が 対 面 す る 聞 き手 に 向 け て 使 わ れ な い こ との 反 映 で あ る 。 言 い 換 え る と、 第 四 種 動 詞 の テ イ ル形 とル形 の対 立 に は発 話 の場 面 に お け る 聞 き手 の在 と不 在 が 反 映 され る 。 発 話 の 場 面 に 聞 き手 が い て 、 そ の発 話 に よ り話 し手 と聞 き手 が 同 じ状 況 を直 示 的 に指 す と い う想 定 で は 、 ル形 とテ イ ル形 は ア スペ ク トの 対 立 を示 す 。 しか し、 そ の 想 定 か らず れ て 、 話 し手 と聞 き手 が 別 の場 所 に い て 、 聞 き手 は話 し手 が 発 話 した状 況 を体 験 しな い こ と もあ る。 そ の よ う な文 脈 で は 、発 話 が 表 す 状 況 は ア クチ ュ ア ル で な くな り、 ア ス ペ ク ト上 の 制 約 を無 化 して ル 形 とテ イ ル形 が使 い 分 け られ る こ と に な る。 最 初 に挙 げ た ル 形 の 用 法 は先 行 研 究 の アス ペ ク ト分析 とは合 致 しな い こ とが 明 らか に な っ た 。 この種 の ル 形 に は ア ス ペ ク トに よ ら ない 説 明 方 法 が 求 め られ る。 2.3.属 性表現 本 論 で扱 うル 形 は1表 さ れ る状 況 が 恒 常 的 とい う特 徴 が あ る。 そ の ため 、 この ル 形 の 用 法 は、 益 岡 ・田 窪(1992:109〕 の 言 う 「問題 の 事 態(状 況)を 時 間 の流 れ に位 置 づ け る こ と な く、 人 や もの の 属 性 を表 現 す る 」 とい う用 法 に 属 す と考 え られ る。益 岡 ・田窪 は、 属 性 表 現 の ル形 は説 明 文 や ト書 き に特 徴 的 な用 法 と し、 〈13)の 例 を挙 げ る。 (13)鍋 にバ タ ー を溶 か し、 ベ ー コ ン を入 れ て よ く幽 。 (13)の よ う な説 明 文 は繰 り返 しが 可 能 な状 況 を表 し、 こ こ で 問題 とす る ル形 は 山 や仏 像 の状 態 の よ う に恒 常 性 を表 す とい う点 で違 う。 だ が 、 両 者 と も、 い つ が 発 話 時 で、 どこが 発 話 の 場 面 か が 問 題 に な らず 、 常 に 同 じ説 明 が 成 り立 つ 状 況 を表 し、 属 性 表 現 に該 当す る。(1)か ら(4)で は 、 ル形 が現 在 の 状 態 を表 す が 、(5)は 、菊 池 序 光 とい う個 人 に起 きた 時 間 の 流 れ を見 れ ば、 明 らか に 過 去 の 話 で あ る 。 しか し、 こ こで は現 実 の 時 間 の流 れ か ら離 れ 、 江 戸 一 時 代 後 期 の 事 実 の 一 部 に菊 池 序 光 の生 涯 と業 績 が 恒 常 的 にあ る状 態 が 問 題 に な る 。 史 実 と し て 常 に 同 じ説 明 が 成 り立 つ こ と を表 す た め 、(5)の よ うな例 は歴 史 人物 につ いて の 属 性 表 現 を なす 。 こ れ らの ル 形 の 表 現 で は、 現 実 の 時 間 の流 れ か ら離 れ て成 り立 つ状 態 、 つ ま り、 そ の 状 態 の 基 と な る属 性 が 表 され る 。 一 方 で 、 益 岡 ・田 窪(1992:110)は 「テ イ ル形 の 表 現 は 、 時 間 的 な 限定 が 希 薄 に な る と、 対 象 の 属 性 を表 す 」 と し、 テ イ ル 形 に も属 性 表 現 の 用 法 が あ る と指 摘 して い る。 (14)鴨 川 は京 都 の街 を流 れ て い る 。 一5一 語用論研究 第7号 (15)花 子 は少 しや せ て い る 。 テ イ ル 形 で は 、(14)の され 、(15)の よ うな例 が 「 継 続 状 態 の表 現 か ら属 性 を表 す 表 現 に移 行 」 した もの と よ うな例 が 結 果 状 態 の表 現 か ら属 性 表 現 に移 行 した もの と され る。 ま とめ る と、 第 四種 動 詞 の ル 形 が 属 性 表 現 をな す こ と は認 め られ る に せ よ、 属 性 表 現 と い うだ け で は ル 形 とテ イ ル形 を 区 別 す る 決 定 打 に な らない こ とが 分 か る 。 テ イ ル と結 び つ く語 形 を備 え た[一 状 態 的]動 詞 で も テ イ ル を付 け ず に 恒 常 性 を表 す こ と が あ る。 こ の場 合 、 ル形 の ま ま で使 う理 由 は、 状 況 の 性 質 に は還 元 さ れ ず 、 む しろ 話 し手 の 聞 き手 に向 け た表 現 上 の 工 夫 に よる と見 るべ きで あ る。 次 節 で は文 レベ ル か ら発 話 の 場 面 に 分 析 の 視 点 を広 げ、 恒 常 性 用 法 の ル 形 は、 発 話 の 場 面 に不 在 の 聞 き手 を念 頭 に 置 き、 そ の 聞 き手 に新 情 報 を与 え る と きに使 うこ とを指 摘 す る 。 3.属 性 を 表 す ル 形 と テ イル 形 の 意 味 の 違 い こ の節 で は 、 田野 村(1990)の 言う 「 披 渥 性 」 とい う概 念 を援 用 し、 属 性 表 現 の文 脈 で も ル形 とテ イ ル 形 に は意 味 の違 い が あ る こ と を示 す 。 表 さ れ た 状 況 に聞 き手 が い る か い な い か とい う観 点 か ら、 恒 常 性 用 法 の ル形 が 従 う語 用 論 的原 則 を 明 らか にす る。 3.1.披 渥性 田 野 村(1990134-46)はr「 ノ ダ 、 ノ デ ス 、 ン デ ス(以 下 、 ノ ダ と総 称)」 な ど の 用 法 を 分 析 しr「 「ノ ダ 」 は 、 聞 き 手 の 知 ら な い こ とが ら、 さ ら に 言 え ば 、 単 に 知 ら な い だ け で は な く、 聞 き 手 に と っ て は 容 易 に 知 り得 な い 種 類 の こ とが ら を 表 現 す る の に 用 い ら れ る こ とが 多 い 」 と 指 摘 し て い る 。 こ の ノ ダ の 用 法 を 田 野 村 は 「披 渥 性 」 と 呼 ぶ 。 (16)日 本 語 に は 「灯 台 もと暗 し」 とい う こ とわ ざが{あ ります/あ る ん です}が 、 私 に も この こ と わ ざ通 りの 経 験 が あ り ます 。 (17)ど うLて 休 む の?天 田 野村 は、(16)で 気が 悪 い ん で す/天 気 が 悪 い か らで す}。 は相 手 が 「灯 台 も と暗 し」 を知 っ て い る 場 合 は 、 「あ り ます 」 を使 い 、 相 手 が この こ とわ ざ を 知 らない 場 合 は 、 ノ ダ の披 渥 性 を発 揮 して 「あ る ん です 」 を使 う と して い る 。 ま た、 理 由 の 説 明 に 「か らです 」 を使 う と披 渥 性 の 含 意 が な い が、 ノ ダ を使 う と披 涯 性 が 問題 に な る とす る。 そ の た め 、(17)で は 、2人 の 会 話 が 同 じ場 所 で 行 わ れ る場 合 は、 「か らで す 」 だ けが 使 え る。 天 気 が 悪 い こ とは、 話 し手 と同 じ場 所 に い る 聞 き手 も知 って い る は ず な の で 、 ノ ダ を付 け て 理 由 を説 明す る こ とが で きな い 。 田野 村 に よれ ば、 長 距 離 電話 で 一6一 恒常 的状 態 を表すH本 語 動詞の語用論的分析 の 会 話 の よ う に 、話 し手 の い る場 所 の 天 気 が 聞 き手 に分 か らな い 状 況 で は 「天 気 が 悪 い ん で す 」 を理 由 の説 明 と して 使 う こ とが で きる。 天気 の こ とで も、 聞 き手 が 容 易 に知 りえ な い も の で あ れ ば 、 ノ ダが 使 え るの で あ る。 3.2.文 脈の特殊化 田 野 村 の 披 渥 性 は1Prime(1992)、WardandBirner(1995)が 提 唱 す る 「Hearer-New」 と い う 談 話 上 の 情 報 構 造 と共 通 点 が あ る 。Princeら は 、Hearer-Newの 情 報 を導 入 す る に は 専 用 の 形 式 が あ り、 そ の 形 式 を 使 う と、 発 話 の 中 で 聞 き 手 が 新 し く知 る 部 分 が 示 さ れ る と す る 。 こ れ は 典 型 的 に 英 語 のthere構 Thereisadogintheyard,と 文 で 動 詞 の 次 の 名 詞 句 が 担 う情 報 の こ とで あ る 。 例 え ば 、 私 が 言 う 場 合 、 私 はadogの 部 分 が こ の 発 話 で 聞 き手 が 初 め て 知 る 情 報 だ と 想 定 す る こ と に な る 。 話 し手 は 自 分 と 状 況 の 関 係 だ け で な く、 自分 の 発 話 に 接 す る 聞 き 手 と 状 況 の 関 係 も 考 慮 して 、 こ と ば を 使 う 。 つ ま り、 ど こ が 聞 き手 が 新 し く知 る価 値 の あ る 情 報 か を 伝 え る 形 式 上 の 工 夫 を し て 話 し 手 は こ と ば を 使 う 。 披 渥 性 は 、HearerNewに 聞 き 手 が 情 報 を 入 手 す る 際 の 難 易 度 を 加 え た 内 容 な の で 、 こ の 形 式 上 の 工 夫 を よ り精 緻 に把 握 す る の に役 立 つ 。 発 話 で 表 さ れ た 状 況 がHearer-1Vewの 構 造 を担 っ た り澗 き手 に とっ て擁 情報 的なも ∵1㌫ の に な る こ と は、 属 性 表 現 の 文 脈 に も あ る 。 二'端 .∵ 、 :竺:鱗 言 隠㌻ ㌶:㌫ 藩蕪 ジi雛 欝 る とい う表 現 上 の 工 夫 は有 標 の 文 末 形 式 の特 議 襲 爵1ぼ1已 蘂 蕊 鐵'蠣 議 ㌶;雅 言 巖 享 ㌘ ‡ 羅 ≡lll驚難 難 が使… 文一 シ ㌶;霊 三 化する文末形式のオブ 蕪 編 と 、その_は あ し鱗 叢 綴 灘 〆 製 声誉㌶ ㌫ ≧ 塁 ㍍;‡雛 灘1纏 を使うと・また別の仕方鳳 一層の鰍 化力書 欝 慧 謙 繋 駕灘 灘 欝2撫馨 磯懸 盤 iの と お り に ベ ラ ン ダ が 位 置 しr左 チ 窓 が3つ 上側 にアー あ り、 こ の 構 成 が 本 建 築 の 特 色 を(小 一7一 、 、.、 、,.潔蘂 惑 ㌶ 、鞄、謬 樽 の 建 築 探 訪) ,,] 蔑 耀,三雲.、羅 語用論研 究 第7号 なす こ と に気 づ くだ ろ う。 (18)水 上 歯 科 医 院 外 観 は 、 中央 に 玄 関 を構 え、 左 に柱 頭 を のせ た 円柱 を2階 まで 建 ち上 げ、 ア ー チ で ベ ラ ン ダ と玄 関 を取 甦 温む 。3階 建 て の主 屋 左 手 を4層 窓 が連 繊 と し、 ア ク セ ン トに3つ の ア ー チ 。(小 樽 の建 築 探 訪) し か し 、 こ の 写 真 を 見 た 人 に 明 らか な こ と に つ い て は 、 テ イ ル 形 は 使 え る が 、(18)の よ うな ル形は使わない。 (19)水 上歯 科 医 院 正 面 に看 板 と電 柱 が 泣 っ て い る/?立 つ!。 テ イ ル 形 は、 指 示 対 象 が 持 つ さ ま ざ まな 属 性 を 区 別 せ ず に表 す 。 しか し、恒 常性 用 法 の ル 形 に 接 す る と、 聞 き手 は 自分 の 解 釈 を 「問 題 の 箇 所 は容易 に知 りえ な い が 、 問題 の 指 示 対象 の 重 要 な属 性 が 表 され た と ころ だ」 と特殊 化 す る よ う に な る。 披 歴 性 の ノ ダ と恒 常性 用 法 の ル形 に は 違 い もあ る。 まず 、 ノ ダ の用 法 で は 、 ノ ダ を付 加 す る こ とで 有 標 性 を示 す が 、 恒 常 性 の ル 形 で は、 テ イ ル を欠 落 させ る こ とで有 標 性 を示 す 。 だ が 、 一番 の 違 い は、 発 話 の 場 面 に お け る 聞 き手 の在 と不 在 に あ る。 例 え ば、 「私 が 反 対 した」 とい う発 話 は独 り言 で も使 え る が 、 「私 が 反 対 した の だ」 とノ ダ を付 け た発 話 は面 前 の 聞 き手 に 向 け て使 う。一 方r(9)や(11)で 見 た とお り、恒 常性 の ル 形 は面 前 の聞 き手 に向 け て 使 わ れ な い 。 こ の種 の ル 形 は 、 話 し手 が 聞 き手 に直 示 し ない 文 脈 に適 す る た め、 対 話 で使 わ れ る こ とが な く、 主 に書 き こ とば で 、 話 し手 が 不 特 定 多 数 の 聞 き手(特 に 読 み 手)を 設 定 し、 披 漉 的 な解 説 をす る文 脈 で使 わ れ る 。 3.3.発 話 の場 面 に基 づ く原 則 恒 常 性 用 法 の ル形 が 適切 に 使 え る文 脈 で は 、 動 詞 の アス ペ ク ト上 の制 約 が 無 化 す る 。話 し 手 と聞 き手 が 同 じ時 空 間 に い て 同 じ状 況 を直 示 的 に指 す発 話 の 場 面 を対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の文 脈 と呼 ぶ と、 恒 常 性 用 法 の ル形 は次 の 原則 に従 う こ とが分 か る。 (20)ア スペ ク トは対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの 文 脈 に お い て 成 立 す る 時 間 表 現 で あ る 。 そ の た め 、 聞 き手 の 不 在 が保 障 さ れ た発 話 の 場 面 で は、 ア スペ ク ト形式 は 無 化 す るか 、 ま た は非 ア ス ペ ク ト 的 意 味 を表 す の に転 用 され る。 原 則(20)は 、 直 示 とGrice〈1975)の 「量 の 格 率(MaximofQuantity)」 に基 づ く。 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 文 脈 で は 、 そ の 文 脈 で 直 示 の 基 準 と な る 時 間 の 流 れ を 聞 き 手 と共 有 す 一8一 '一 η∴ 恒常 的状態 を表す 日本語動詞の語用論的分析 る た め、 話 し手 は 状 況 の 時 間 的特 徴 を動 詞 の形 に 反 映 させ な くて は な ら なv㌔ つ ま り、 量 の 格 率 の 第 一 項 「(その場 の や り取 りに)必 要 と され る だ けの 情 報 を こ とば にせ よ」 に従 い、 話 し手 は状 況 の 時 間 的 特 徴 を 聞 き手 に 伝 え る の に 十 分 な情 報 を動 詞 の形 で 表 す 。 一・ 方、発話 の 場 面 に 聞 き手 が 不 在 だ と、 直 示 的 に 指 す よ うに促 す 相 手 が い な い の で 、 話 し手 は直 示 の 基 準 を こ とば で 表 す 必 要 が な い。 話 し手 は量 の格 率 の 第 二 項 「必 要 と され る以 上 の 情 報 を こ と ば にす る な」 に従 い、 動 詞 で 状 況 の 属 性 を表 す だ け で よ くな る。 第 四種 動 詞 にテ イ ル を付 け た 形 で は、 対 人 コ ミ ュニ ケ ー シ ョンで 聞 き手 に ア クチ ュ ア ル な 状 態 を伝 え るの に テ イ ルが 必 要 なの で 、 発 話 の 場 面 か ら聞 き手 が不 在 に な る と1量 の格 率 の 第 二 項 に よ り、 話 し手 は テ イ ル を欠 落 させ て 第 四 種 動 詞 を使 う こ とが で きる。 第 四種 動 詞 が 表 す 状 況 に は 時 間 的 変 化 が ない が 、 そ の 動 詞 を使 う発 話 の場 面 か ら聞 き手 が 不 在 に な る と、 動 詞 か ら時 間伝 達 的意 味 とア スペ ク ト形 式 が 無 化 す る。 3.4.聞 き手 の在 と不 在 を示 す文 末 形 式 寺 村(1984:126)が 指 摘 す る よ うに 、 第 四種 動 詞 に は 「品 定 め 的 、 性 状 規 定 的 」 な意 味 を 表 し、形 容 詞 の よ うに物 事 の様 子 や 性 質 を表 す もの が あ る。 「す ぐれ る 、冷 えび え とす る」 な どで あ る 。 しか し、 この よ うな 品 定 め 的 な 意 味 の 動 詞 も、 歴 史人 物 の 紹 介 の よう な文 脈 で は、 ル形 の ま まで使 い 、 か つ テ イ ル を付 け る と容 認 度 が 落 ち る 。 (21)=(5)菊 池 序光 江 戸 時代 後 期 の 装 剣 金 工 。、、、 柳 川 派 の手 彫 りに{す い 劃 。江 戸 神 田 に1す む/?す (22)坂 東 し うか(初 代)(1813-55)江 この 事 実 は原 則(20)に ぐれ て ん で い る}。 本 姓 は 中 山。 戸 時代 後 期 の 歌 舞 伎 役 者 。 文 化10年 が よ く、 女 方 、所 作 事 を{得 意 とす る/?得 され た 。 安 政2年3月6H死 ぐれ る/?す 生 ま れ。 容 姿 と口 跡 意 と し てい る}。 没 後 、5代 坂 東 三津 五 郎 を追贈 去 。43歳 。(人 名) よ り次 の よ う に説 明 され る.菊 池 序 光 や坂 東 し うか は 明 確 に過 去 の 人 物 で あ る 。 この よ う な過 去 の 人 物 の 属 性 につ い て の 文 で は 、 そ の 文 が 表 す状 況 に現 在 の 聞 き手 は必 ず 不 在 で あ り、 そ の た め ア ス ペ ク ト形 式 が 無化 して 「す ぐれ る」 が 使 わ れ る。 この 文脈 で 「す ぐれ て い る、 得 意 と して い る」 を使 う と、 今 も菊 池序 光 や 坂 東 しうか とい う人 物 が 現 存 す る感 じ を聞 き手 に与 えて しまい1お か しい 。 反 対 に、 現 在 活 躍 中 で、 話 し手 と聞 き手 が と も に ア ク チ ュ ア ル な 体 験 の あ る人 物 を紹 介 す る文 脈 で は、 テ イ ル形 が 問題 な く使 え る。(22)の よ う な文 脈 で 、 現 在 活 躍 中 の5代 目坂 東 玉 三 郎 を紹 介 す る な らば、 「 女 方 を得意 と して い る 」 と言 う こ とに な る 。 原 則(20)を 具 体 化 し、 恒 常 性 用 法 の ル形 が 生 じる文 脈 は 、 次 の3条 件 を満 た す 。(i)表 さ れ た状 況 が 恒 常 的 性 質 を持 つ 。(ii)当 該 状 況 に つ い て 話 し手 が 発 話 す る場 面 に 聞 き手 が い 一9一 語用論研究 第7号 な い 。 話 し手 は 、 聞 き手 と体 験 を共 有 せ ず 、 聞 き手 に知識 を伝 え るた め に発 話 す る。 価)話 し手 は 聞 き手 が 容 易 に は分 か らな い こ と を表 す 。 例 え ば、 建 築 の解 説 の よ う に、 こ と ば で説 明 して初 め て気 が つ くよ うな特 徴 を 表 す 。 日記 の よ うに 聞 き手 が不 在 の場 合 で も、 話 し手 が 自分 で 自分 に恒 常 的 な状 況 を直 示 す る文 脈 で は 、 話 し手 は 田 を考 慮 す る だ け で よ く、 ル 形 で は な くテ イ ル形 を使 う。 しか し、(ii) が 出 て くる と、 表 され た状 況 は話 し手 と 聞 き手 が ア クチ ュ ア ル に体 験 で き る もの で は な くな る 。 こ こ にル 形 を使 い 、 テ イ ル形 を 使 わ な い理 由 が あ る。 さ らに(iii)が あ る と、 有 標 の 文 末 形 式 に よ り、 話 し手 が 文脈 を特 殊 化 す る意 図 が 聞 き手 に伝 わ る。 こ こで もル 形 が 優 先 され る 。 した が っ て 、 恒 常 性 用 法 の ル 形 は 、 この3条 こ の3条 件 が満 た され て い るの に ① 間伝 達 的 意 味 を無 化 し きれ ず1聞 件 を 総 合 的 に満 た す 文 脈 で の み使 わ れ る 。 だ け を 考 慮 して 話 し手 が テ イ ル形 を使 う と、 動 詞 が 時 き手 に と っ て の ア ク チ ュ ア ル な意 味 が 生 じ、(5)や(22) の よ う な文 脈 で は不 自然 に な る。 4.原 則(20)が 関 わ る他 の 事 例 4節 で は 原 則(20)と 恒 常 性 用 法 以外 の 用 法 の ル形 とテ イ ル 形 の 関 係 を論 じる。 ま ず 、 写 真 キ ャ プ シ ョンで の ル 形 の用 法 を分 析 す る 。 次 に寺 村(1984)の 言 う 「回顧 的用 法 」 の テ イ ル 形 と連 体 修 飾 を取 り上 げ 、 今 後 の 研 究 の 方 向 を示 唆 す る こ とにす る。 4.1.写 真 キ ャプ シ ョ ンに お け る継 続 動 詞 の ル 形 金 田一 く1950)の アス ペ ク トに基 づ く動 詞 の4分 類 は、 動 詞 とテ イ ル の 共 起 関係 と、 テ イ ル と共 起 して 表 す 意 味 の 違 い を基 準 と して い た 。 第 一 に、 テ イ ル と共 起 せ ず に状 態 を表 す 動 詞 に は、 「あ る、 い る」 な どの語 彙 的 な状 態 動 詞 が あ る 。 これ が仁 田 の 言 う[A]の 動詞 であ る。 第 二 に、 「読 む、 書 く」 な どの動 詞 は 、 あ る 時 間 内 に継 続 す る動作 を表 し、 テ イ ル を付 け る と 「本 を読 ん で い る 」 の よ うに、 継 続 中 の動 作 が 表 され る。 第 三 に 、 「死 ぬ 、(電 気 が)点 く」 な ど の動 詞 は 瞬 間 に始 ま り、 瞬 間 に終 わ る 動 作 を表 す 。 こ の種 の 動詞 にテ イ ル を付 け る と、 「ラ ンプが 点 い て い る」 の よ うに変 化 の結 果 の 継 続 が 表 され る 。 第 四 が 「そ び え る、 す ぐ れ る」 の種 類 で あ る(cf.吉 川(1976))。 既 に見 た よ うに、 この よ う な共 起 関係 は、 話 し手 と聞 き手 が 同 じ時 空 間 に い て 、 話 し手 の 発 話 内 容 を 聞 き手 が体 験 で きる とい う想 定 で の発 話 に つ い て成 り立 つ 。 しか し、 そ の想 定 か ら外 れ る と、 テ イ ル を付 け ない オ プ シ ョンが 使 え る よ う に な る。 こ こ で は、 この 点 で 第 四 種 動 詞 の ル形 と写真 キ ャ プ シ ョ ンの継 続 動 詞 は 共 通 す る こ と を示 す。 (23)八 幡商 一 羽 黒12回 裏 羽 黒2死 三 塁 、暴 投 で生 還 し、 抱 き合 っ て喜 ぶ 三 差 中 島(8)と 一 ユ0一 次打 「"況 恒常 的状態 を表す 日本語動 詞の語用 論的分析 者 の 吉 野 。 横 で 八 幡 商 の 投 手 ・上 田 が 立 尽 (河北 新 報) 左 の 写 真 に伴 う(23)の キ ャプシ ョンでは、 「横 で 八 幡 商 の 投 手 ・上 田 が 立 ち 尽 くす 」 と あ る。 立 ち尽 くす 行 為 は一 定 の時 間 内 に継 続 して行 わ れ る 。 そ の た め 、 こ の写 真 が 写 す も と の状 況 に 話 し手 と 聞 き手 が い る な らば 、 話 し手 は金 田 一 の 第 二 分 類 に従 い 、 「八 幡 商 の 投 手 が 立 ち 尽 く して い る よ」 とテ イ ル を付 け て発 話 し、 聞 き手 もそ の状 況 を体 験 す る こ と に な る。 も と の状 況 に は 継続 性 が あ りrそ れ を 表 す 動 詞 に テ イ ル を付 け るが 、 写 真 に な る とテ イ ルが 切 り取 られ る。 原 則(20)に 吉 川(1976)が よ り、 アス ペ ク ト形 式 が 無 化 す るた め で あ るQ 指 摘 す る よ う に、 継 続 動 詞 に付 くテ イ ル は 動 作 ・作 用 の継 続 を表 し、 第 四 種 動 詞 に付 くテ イ ル は単 な る状 態 を表 す 。 この よ う に テ イ ル が 表 す 意 味 や テ イ ル が付 く動 詞 の種 類 は 違 うが 、 写 真 キ ャ プ シ ョ ンで の継 続 動 詞 の ル形 と恒 常 性 用 法 の ル形 で は 、 テ イ ル が 期 待 さ れ る場 面 で テ イ ル が な くて よい 理 由 に共 通 点 が あ る。 キ ャ プ シ ョ ンの ル 形 に も写 真 が 持 つ 時 間 的特 徴 と聞 き手 の不 在 が 関 わ る か らで あ る 。 あ る指 示 対 象 の属 性 を表 す こ とは 、 そ の 指 示 対 象 に つ い て 時 間 の流 れ で 変 わ らな い 状 態 を 表 す こ とで あ る。 あ る状 況 を写 真 に 収 め る こ とは 、 そ の 状 況 を一 瞬 にLて 全 部 とい う よ う に 人 工 的 に時 間 の流 れ を断 ち切 る こ とで あ る。 つ ま り、 写 真 は 当該 状 況 か ら1そ こ に も と も と あ った 時 間 の流 れ を な くす 手 段 で あ る。 こ こ で 、 当 該 状 況 か らだ け で な く、 写 真 に収 ま っ た 状 況 につ い て語 る こ とば か ら も時 間 伝 達 的意 味 が な くな る。 写 真 も属 性 と同 様 に時 間 の流 れ の ない 世 界 で 成 り立 つ か らで あ る。 あ る状 況 を写 真 に収 め 、 そ れ につ い て解 説 を与 え る とい う話 し手 の 行 為 で は、 そ の解 説 を 受 け る聞 き手 は も との状 況 に不 在 で あ る 。 写 真 キ ャ プ シ ョ ンは 、 聞 き手 が ア ク チ ュ ア ル な 状 を体 験 しな い こ とが 保 障 さ れ た 文 脈 を な す た め 、 写 真 に つ い て 語 る こ とば は、 原 則(20) に従 い 、 ア スペ ク ト形 式 を無 化 して使 う こ とが で きる 。 これ が 、 キ ャプ シ ョ ンで は継 続 動 詞 に テ イ ル を付 けず に継 続 的状 況 が 表 され る理 由 で あ る。 4.2.回 顧 的 用 法 の テ イ ル と連 体 修 飾 のル 形 に つ い て こ こで は原則(20)に 寺 村 く1984)は(24)の 関 連 して1回 顧 的用 法 の テ イ ル と連体 修 飾 の ル形 を議 論 す る。 よ うな 例 に あ る テ イ ル を 回顧 的用 法 と呼 ぶ 。 恒 常 性 用 法 の ル形 で 一11一 L'一 一 市 語用論研 究 第7号 は、 テ イ ル の 欠 落 は 聞 き手 の体 験 の 欠 落 の サ イ ン を な す 。 反 対 に、 も と も との状 況 に 聞 き手 が 不 在 で も、 そ の 状 況 を時 間軸 に沿 っ て 再 現 し、 聞 き手 に 追 体 験 を求 め る文 脈 で は、 テ イ ル が使 わ れ る。 これ が 回顧 的 用 法 の テ イ ル が 生 じる文 脈 で あ る。 (24)武 川 さん は 、 三 月 八 日の 午 前 ≡ 時 ご ろ 、 親 戚 の 家 に行 くと い っ て外 出 した ま ま行 方 不 明 と な っ て 、 三月 十 日 午前 七 時半 ご ろ 、死 体 とな っ て発 見 ͡0 (寺村(・;.:134)の 寺 村(1984:135)の 解 説 を 引 用 す る とr「 回顧 的 な テ イ ル は_過 例 文 を引 用) 去 の事 件 を 改 め て 吟 味 し、 そ の 意 義 づ け を行 お う とす る 場 面 に」 使 わ れ る。 こ の テ イ ル は表 さ れ た状 況 の時 間 的特 徴 を 示 す もの で は ない 。 む しろ 、 回顧 的 用 法 で は、 表 さ れ た も と も との 状 況 に 聞 き手 は必 ず 不 在 で あ り、 この テ イ ル は原 則(20)に よ り、 アス ペ ク ト形 式 が 非 アス ペ ク ト的 意 味 に転 用 され た も の と見 る こ とが で き る。 つ ま り、 話 し手 が 聞 き手 に 過 去 の 事 件 を今 吟 味 す る よ うに促 す た め の 表 現 手 段 にテ イル が 転 用 され て い る。 回 顧 的用 法 の テ イ ル 形 はr恒 常 性 用 法 の ル形 ・写真 キ ャ プ シ ョ ンの ル 形 と対 を なす 関 係 に あ る。 後 者 で は状 況 に は テ イ ル を付 け る要 件 が あ るが 、 不 在 の 聞 き手 との 関 係 を優 先 して テ イ ル を付 けず に ル 形 を使 う。 反 対 に 、 前 者 で は状 況 に は テ イ ル を付 け る要件 が な く、 む しろ 過 去 時 を表 す タ形 を使 う要 件 が あ る が 、 不 在 の 聞 き手 と の 関係 を優 先 して テ イ ル を付 け て 使 う。 い ず れ も聞 き手 の不 在 に基 づ い て 、 原則(20)に 従 う。 最 後 に連 体 修 飾 に つ い て 触 れ て お く。坪 本(1993)は 、 写 真 キ ャプ シ ョ ンな どに 見 られ る ル形 の節 と連 体 修 飾 の 関係 を論 じて い る 。 次例 は坪 本(1993:80)か (25)最 後 の 打 者 酒 井 を投 ゴ ロ に打 ち取 り、 ぎ らの 引用 。 巨人 宮 本 (25)は 、 「、 、 酒 井 を投 ゴ ロ に打 ち取 り、 巨 人 宮 本 が 喜 ぶ」 と節 の 形 に して も 同義 の キ ャ プ シ ョン に な る。(23)の 節 も、 連体 修 飾 の 「横 で 立 ち尽 くす 投 手 ・上 田」 と同 義 に使 え る。 坪 本 は、(23)の よ うな ル 形 の 節 は 「眼 前 描 写 」 で あ り、(25)の よ うに連 体 修 飾 にす る と、 「現 場 志 向 」 的 に な り名 詞 句 を焦 点 化 す る提 示 機 能 が 加 わ る とす る 。 こ の よ うな ル 形 の 節 と ル形 の連 体 修 飾 の 間 の書 き換 え関 係 で は、 動 詞 が 形 容 詞 的 に使 わ れ て お り、 この 書 き換 えが 成 り立 つ 条 件 に は原 則(20)が 高橋(1994)は 、 「門 に血 ユ 道、 哲 学 に国 立 関 わ って い る。 表 現」 の よ うに 、 連体 修 飾 の ル形 が 現 在 の 状 態 を表 す 場 合 、 当 該 の ル 形 の 動 詞 は動 詞 ら しさ を失 っ て お り、 形 容 詞 的 に属 性 や 関係 を表 す 表 現 に な る と指 摘 して い る。 高 橋 に よれ ば 、 動 き の意 味 の ない 動 詞 や 動 きの な い状 況 を表 す 動 詞 が形 容 詞 的 に使 え る 。例 え ば 、 連 体 修飾 の ル 形 で 現 在 の 状 態 を表 す動 詞 は、 「この 道 は 門 一12一 恒常的状態 を表す 日本語動 詞の語用論 的分析 に」 虹ユ 、 そ の 表 現 は哲 学 に国処 」 の よ う に節 で 使 っ て も現 在 の状 態 を表 し、 「広 い 道」 と 「こ の道 は広 い」 の両 者 で形 容 詞 「広 い」 が 同 じ属 性 を表 す の に類 して い る。 こ の よ う な動 き の 意 味 が な い 動 詞 は 、 節 と連体 修 飾 で 同 形 に し て 同義 に使 え る点 で、(25)の よ う な写 真 キ ャ プ シ ョ ンの ル 形 と共 通 す る 。 金 水(ユ994:56)は 、 「学 校 に 隣接 した/隣 接 す る地 域 、外 交 に 関係 した/関 係 す る事 件 」 の よ う に、 存 在 や 関 係 とい う状 態 に つ い て の語 義 を 持 つ 動 詞 に は、 ル形 の ま まで 夕形 と等 し く形 容 詞 的 に使 え る もの が あ る と指 摘 して い る。 た だ し、 「私 が 関 係 した/関 係 す る事 業 」 の よ う に、 こ の種 の 動 詞 で も動 作 主 が 明 示 化 さ れ る と、 動 詞 に動 きの意 味 が 与 え られ て 、 ル形 と タ形 は過 去 と現 在 の 対 立 を示 す よ う に な る。 高 橋 と金 水 は と も に、 節 と連 体 修 飾 で ル形 が 同 義 に な る形 容 詞 的用 法 の動 詞 で は、 状 態 を 表 す もの を扱 う。 しか し、 形 容 詞 的 な働 き の動 詞 はr動 詞 の語 義 や表 さ れた 状 況 に動 きが な く、 状 態 を 表 す もの に 限 られ な い 。 動 き を表 す 動 詞 を使 い、 か つ も と の状 況 に時 間 の流 れ が あ っ て も、 写 真 キ ャ プ シ ョ ンの よ う に時 間 を 無 化 す る文 脈 を作 る と、 そ の文 脈 か ら も形 容 詞 的 に使 え る動 詞 が で き る。 こ こ に原 則(20)が 関 わ る。 坪 本 の 言 う 「現 場 志 向」 の 表 現 は、 話 し手 と聞 き手 が 時空 間 を 同 じ くす る状 況 の眼 前 描 写 で な い 点 に 注 意 しよ う。 写 真 は 、 現 場 に不 在 の 聞 き手 に 向 け 、 あ たか も聞 き手 が 現 場 に い る か の よ う に表 す 工 夫 で あ り、 時 間 の 流 れが な い 。 そ の た め 、 写 真 キ ャ プ シ ョ ンの動 詞 は 原則 (20)に よ り動 詞 ら し さの一 つ で あ る ア スペ ク ト形 式 を無 化 し、形 容 詞 的 用 法 に転 じる。 ま た、 連 体 修 飾 の キ ャ プ シ ョ ン にす る と、 名 詞 句 の 文 末 へ の 移 動 に よ り、 焦 点 化 の 意 味 が加 わ る。 写 真 とい う文 脈 の重 要 性 は 、 写 真 キ ャ プ シ ョ ンで は ル形 の 節 が ル形 の連 体 修 飾 に書 き換 え ら れ る が 、 こ の よ うな節 と連 体 修 飾 の書 き換 え は再 現 ビデ オの よ う に 時 間 の流 れ が あ る 文脈 で は生 じな い こ とか ら も分 か る。 5.お わ りに 本 論 で は、 日本 語 の 第 四 種 動 詞 の ル形 用 法 に焦 点 を当 て、 ル形 とテ イ ル形 が ア ス ペ ク トと は 別 の 原 則 で対 立 す る事 例 を分 析 した 。 そ の よ うな事 例 は、 聞 き手 が 表 され た 状 況 を体 験 し う るか 否 か とい う観 点 か ら分 析 さ れ る と提 案 した。 テ イ ル の 欠 落 と して の ル形 は 、 表 され た 状 況 に 聞 き手 が不 在 で あ り、 そ の状 況 を聞 き手 が 知 識 にす る こ とは で きて も体 験 は しない こ との サ イ ンを な す 。 この ル形 の用 法 は 、 話 し手 が 聞 き手 に披 歴 的 に 表 現 す る 工 夫 で あ る。 本 論 で は、 こ の用 法 を原 則(20)に よ り説 明 し、 この 原 則 が 写 真 キ ャプ シ ョンや 連 体 修 飾 な ど 他 の 事 例 に も応 用 で き る こ と を論 じた 。 アス ペ ク トと は何 か と い う抽 象 度 の 高 い 問題 に は、 動 詞 の語 義 や 文 法 的 特 徴 、 状 況 の特 徴 な どか らさ ま ざ ま な答 が あ りうる 。 しか し、 ア ス ペ ク トは何 に つ い て 成 り立 つ もの か とい う 一13一 語用論研 究 第7号 具 体 的 な問 題 に は 、 本 論 の 議 論 か ら一 つ の 明確 な答 が 導 き出せ る。 ル形 とテ イ ル 形 で アス ペ ク トの 違 い が は っ き りと出 る例 は 、 話 し手 と 聞 き手 が 同 じ状 況 を直 示 的 に 指 す 場 面 で の 発 話 で あ る。 この発 話 の場 面 か ら外 れ る と、 ル形 とテ イ ル形 が ア スペ ク ト的対 立 をな さな くな り、 代 わ りに聞 き手 の在 と不 在 を表 す サ イ ン を なす 。 言 い 換 え る と、 ア ス ペ ク トは 、 話 し手 と聞 き手 が 同 じ時 空 間 に い て 、 同 じ状 況 に つ い て コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンが な さ れ る発 話 の場 面 につ い て成 り立 つ とい うこ とで あ る。 ル形 とテ イ ル形 の 意 味 の 違 い を分 析 す る に は、 動 詞 の アス ペ ク トに加 え、 話 し手 と聞 き手 の 関係 を考 慮 す る必 要 が あ る。 本 論 で は 特 定 の種 類 の ル 形 とテ イ ル形 に集 中 した の で 、 タ形 や 複 合 的 な 時 間 表 現 に 議 論 が 及 ば ず 、 連 体 修 飾 に つ い て も論 じるべ き点 が 多 く残 る 。 今 後 、 これ らの 表 現 と聞 き手 の 在 と不 在 の 関係 につ い て研 究 を進 め た い。 *本 論 文 は、2004年 度 日本 語 用 論 学 会 第7回 大 会 に お い て、 「日本語 の非 状 態 動 詞 の 状 態 指 示 用 法 に つ い て 」 と題 して 筆 者 がn頭 発 表 した 原 稿 を 発展 させ た もの で あ る。 論 文 の 執 筆 に あ た り、 査 読 者 の 方 々 か ら有 益 な 意 見 をい た だ い た 。 記 して 謝 意 を表 した い。 論 文 中 の不 備 は全 て筆 者 の 責任 で あ る. 参照文献 trice,H.P.1975."LogicandCnnversatian."InP.Calea皿dJ.L.Morganeds,8:yπ オ 臨andSemantics3: SpeechActs.41-58.NewYark:Acade皿isPress. 金 田 一 春 彦 」950,「 国 語 動 詞 の 一 分 類 」 『言 語 研 究 』15,48-63. 金 田 一春 彦1955.「 日本 語 動 詞 の テ ン ス と ア ス ペ ク ト」 『名 古 屋 大 学 文 学 部 研 究 論 集X文 金 水 敏1994.「 連体修飾 の 「∼ タ」 に つ い て 」 田 窪 行 則 育 、 機 械 翻 訳 の 接 点 』29-65,東 久 野 障.ユ973.『 京:く 日 本 文 法 研 究 』 東 京:大 益 岡 隆 志 ・田 窪 行 則.1992.『 仁 田 義 雄1997.『 英 田 靖 雄1978.「 編 学 』463-9U. 『日 本 語 の 名 詞 修 飾 表 現 一 言 語 学 、 日 本 語 教 ろ し お 出 版. 修 館. 基 礎 日 本 語 文 法 改 訂 版 』 東 京:く 日本 語 文 法 研 究 序 説 −H本 ろ しお 出 版, 語 の 記 述 文 法 を 目 指 し て 』 東 京1く ろ し お 出 版. ア ス ペ ク トの 研 究 を め ぐ っ て(上)(下)」 『教 育 国 語 』53,33-44,『 Prince,E.F,ユ992."TheZPGLetter:Subjects,Def皿iten酬,andI皿 教 育 国 語 』54,14-27, £ormation− 調tu呂."InW.C.Man皿 andS.A.Thompsoneds.DiscourseDescription:DiuerseLinguisticAncxlysesofaFund-raising Text.295-3Z5.A皿sterdam:JohnSenjaznins. 高 橋 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得 済 み) ト ー-rイ 一15一
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