2015 年度後期 有機化学1 第12回 「脂肪族求核置換反応(2)」 復習問題

2015 年度後期 有機化学1 第12回 「脂肪族求核置換反応(2)」 復習問題
※他人の解答を丸写ししない。
「なぜその答えになるのか」自力で説明できなければならない。
学籍番号___________ 氏名___________ 1. 次の反応を実施するのに適切な反応条件(求核剤と溶媒の組み合わせ)を示しなさい。
(1)
Br
OCH3
(2)
OCH3
Br
(1) CH3OH(溶媒と求核剤を兼ねる) (2) CH3ONa/DMSO
2. (1) 1-ブロモプロパンとトリメチルアミン N(CH3)3 の SN2 反応を巻き矢印で書きなさい。
(2) この反応を酢酸溶媒中で行ったところ、(1)の生成物ではなく酢酸プロピルが主生成物
となった。理由を説明しなさい。[前回あまりに正答率が低かったため再チャレンジ]
(1)
CH
CH
CH3CH2CH2–Br
3
3
+
H3C
N
CH3CH2CH2
CH3
N CH3
CH3
+ Br–
(2) 酢酸は (CH3)3NH+ よりも強い酸であるため、酢酸中では下の平衡が右に偏る。従って、
トリメチルアミンはほとんど存在せず、代わりに酢酸の共役塩基が求核剤として働くため。
CH3
CH3
O
O
+
N
CH3 C O– + H3C N CH3
CH3 C OH
H3C
CH3
H
3. 下の脂肪族求核置換反応の生成物を書きなさい。立体配置を明示すること。生成物は一つ
とは限らない。
(1)
CH3
Br
(2)
CH3
Br
O
O C CH3
O
C OH
O
C ONa
DMF
O
+
O
O C CH3
CH3
O
4. 下の反応は途中でカルボカチオン転位が2回起きる。反応機構を巻き矢印で示しなさい。
CH3OH
Cl
Cl
OCH3
– Cl–
CH3OH
OCH3
H
OCH3
5. (S)-2-ブロモブタンをアセトン中過剰量の NaI と反応させると、ラセミ体の 2-ヨードブタ
ンが得られた。この反応は SN2 なのにラセミ化が起きたのはなぜか。
(S)
Br
I–
(R)
I
I–
(S)
初めに立体反転で(R)-2-ヨードブタンが生
I
成したが、これが系中に残っている I–と反応
して(S)-2-ヨードブタンが生成し、最終的に
(S)体と(R)体が平衡に達したため。