平成 27 年 12月 25 日 政 策 企 画 課 平成28年度政府予算案に関する知事コメント 緩やかな回復基調にある我が国の経済は、いまだ個人消費の回復に地域間のばらつきや 生産活動が弱含むところもあり、地方によっては経済環境に厳しさがみられる状況にあり ます。 平成 28 年度政府予算案は、平成 27 年度補正予算と併せて「一億総活躍社会」の実現 に向けた取組や、TPP を真に我が国の経済再生、地方創生に直結させる取組といった喫緊 の重要課題に対応していくことを基本として編成されました。 本県としましても、今後、今年度補正予算と今回の来年度予算案の内容の詳細な分析に 努め、国の予算を最大限活用することを念頭に置きながら、新年度の予算編成を進めてま いります。 地方財政については、地方の安定的な財政運営や地方創生に取り組むために必要な一般 財源総額が、前年度を上回る形で確保されたことは、一定評価しております。 また、平成 28 年度の地方財政対策において焦点となっていた歳出特別枠については減 額となったものの、別途、重点課題に対応するための歳出が措置され、実質的には前年度 と同水準が確保されるとともに、まち・ひと・しごと創生事業費についても1兆円が計上 されるなど、地域経済への配慮も伺えるところです。 一方、地方へ配分される地方交付税は、地方税収の増加により 16 兆 7,003 億円、対 前年度比 546 億円(0.3%)の減、臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税は、20 兆 4,883 億円、対前年度比 7,915 億円(3.7%)の減少となっております。 今後は、地方交付税の基礎数値となっている国勢調査人口の切替えを含めて、予算編成 等への影響を注視してまいりたいと考えております。 地方創生を推進するための財源は、前年度に引き続き、地方財政計画に1兆円の歳出が 計上されるとともに、当初予算において「地方創生推進交付金」が 1,000 億円、平成 27 年度補正予算において「地方創生加速化交付金」が 1,000 億円確保されているところで あり、地方が本格的に地方創生をスタートさせるための額が一定確保されたものと考えて おります。 これらの国の予算を積極的に活用しながら、本県の総合戦略に位置づけられた地方創生 に資する事業に全力で取り組んでまいります。 本県においては、税収についても都市部ほどの早期の伸びは期待できず、新年度から新 しい行財政改革に取り組んでいくこととしている中、今回の地方財政対策の本県への影響 等について十分に精査・分析し、限られた財源の中で適切な財政運営に努めてまいります。 国土交通省の公共事業関係費は、前年度とほぼ同額の 5 兆 1,787 億円となっており、 防災・減災はもちろん地域間交流や県内産業を支える必要な社会資本整備について、引き -1- 続き着実に推進してまいります。 県土強靭化の推進、また、地方創生の実現のためには、インフラが不可欠であるにもか かわらず、本県の整備状況は、今なお不十分であるため、今後も必要な予算の確保、施策 の拡充等について、さらに要望していきたいと考えております。 整備新幹線整備事業費は、事業費ベースで前年度比 28%増の 2,050 億円、国費ベース で前年度同額の 754 億 5 千万円が計上されました。また、九州新幹線(武雄温泉∼長崎 間)の事業費については、前年度を上回る 500 億円が配分されていることから、着実な 整備が進められるものと考えております。 なお、フリーゲージトレインの技術開発〔整備新幹線建設推進高度化等事業費〕は、事 業費・国費共に前年度比 46%減の 11 億円が計上されましたが、これは、12 月 4 日の「軌 間可変技術評価委員会」の技術的な検討の中間報告を受けて、部品の改良のほか、耐久走 行試験の再開を平成 28 年度後半(半年分)と想定した所要の経費を確保したものと承知 しております。今後も引き続き、フリーゲージトレインの実用化に向けた技術開発につい て、国において所要の経費が予算化されていくものと考えております。 引き続きフリーゲージトレインの早期実用化と完成・開業時期を「平成 34 年度から可 能な限り前倒しする」という平成 27 年1月の政府・ 与党申合せを厳守していただき、開 業効果が早期に発現されるよう要請してまいります。 農林水産省の一般公共事業費は、当初予算において前年度とほぼ同額の 6,569 億円、 平成 27 年度補正予算において 1,290 億円が計上され、そのうち、農地の基盤整備や老 朽化した農業水利施設の長寿命化・耐震化等を推進する農業農村整備事業に当初予算で対 前年度比 6.5%増の 3,820 億円、平成 27 年度補正予算において 990 億円が計上されて おり、当初予算と補正予算を合わせて 1,064 億円が増加しております。水産基盤整備事 業については、高度衛生管理型漁港の整備や漁場整備、漁港施設の防災・減災対策に対前 年度比 3%減の 700 億円、平成 27 年度補正予算と合わせて 8.1%増の 780 億円となっ ております。 しかしながら、当初予算の一般公共事業費を大幅削減前の平成 21 年度と比較すると約 67%の水準にとどまっており、離島・半島・中山間地域を多く抱える本県の基幹産業であ る農林水産業の活性化のためには、生産基盤の整備が不可欠であることから、引き続き、 計画的な整備のために必要な予算の確実な確保を求めてまいります。 生産施設整備事業等について、「強い農業づくり交付金」予算は前年度比 90%の 208 億円にとどまっていますが、平成 27 年度補正予算において、TPP関連対策予算として 「産地パワーアップ事業」が 505 億円(新設)、 「畜産クラスター事業」が 610 億円(拡 充)計上されたところであります。今後も引き続き、本県農業者が意欲を持って農業経営 を続けられるよう必要な予算の確保に努めるとともに、対策が不足する場合には追加の対 策も求めてまいります。 諫早湾干拓事業の開門問題について、国は、開門義務と開門禁止義務の相反する二つの 義務を負っているとして、開門することになった場合にも対応できるよう対策経費として、 62 億円が計上されております。 本県・地元からは、国に対し、環境アセスや開放差止仮処分決定、開門を認めない福岡 -2- 高裁判決を踏まえ、開門方針を直ちに見直していただきたいこと等を強く要請してきたと ころであり、引き続き、適切に対処してまいります。 離島振興関係は、財源確保が大変厳しい状況の中、公共事業予算の一括計上分として、 平成 27 年度補正予算と今回の当初予算を合わせて、前年度とほぼ同額の 458.6 億円が 計上されたところであり、今後も引き続き離島の生活環境、道路の整備等のための予算の 充分な確保を求めてまいります。 また、 「離島活性化交付金」については、平成 27 年度補正予算として、避難施設の整備 など安全安心向上事業に 6.5 億円が計上されるとともに、当初予算では、前年度と同額の 11.5 億円が計上され、期間の延長を要望してきた戦略産品の海上輸送費支援が3年経過 後も可能となったほか、離島の小・中学校への留学経費が新たに支援対象となるなど、対 象事業拡大が図られており、本土との不利条件の緩和、雇用拡大等による定住促進、観光 の推進等による交流の拡大等につながるものと期待しております。 しかしながら、離島の地理や自然的特性に由来する不利条件や、定住環境の格差解消の 方策は依然として十分ではないことから、 「離島活性化交付金」の対象事業の拡大と予算の 増額などを引き続き国に要望するとともに、法案の提出に向け調整が図られている国境離 島新法の早期制定について、本県選出国会議員をはじめ関係の皆様方のお力により実現で きるよう全力で後押ししてまいります。 社会保障・税一体改革による社会保障の充実・安定化に向け、子ども・子育て支援にか かる必要な経費については、前年度比 15.8%増となる 5,938 億円が計上されましたが、 さらなる量的拡充、質の改善や財源の確保について、引き続き、国に働きかけてまいりた いと考えております。 また、 「一億総活躍社会」の実現に向けて緊急に実施すべき対策として、 「希望出生率 1.8」 に直結する緊急対策として平成 27 年度補正予算及び今回の当初予算に関連予算が計上さ れ、児童扶養手当の拡充やひとり親家庭・多子世帯に係る保育料負担のさらなる軽減など が図られることになっており、子育て支援の一層の充実に努めてまいります。 水陸機動団(仮称)の新編に関する予算については、前年度比 41%増となる約 106 億 円が計上され、大幅に増加しておりますので、施設整備等の地元発注等に伴う地域経済の 活性化に大いに期待しております。 また、佐世保港のすみ分けに係る、米海軍の佐世保弾薬補給所(前畑弾薬庫)や崎辺海 軍補助施設(崎辺東地区)の返還に向けた調査費等の予算化についても着実に行われてお ります。 平成 28 年度の予算の確保につきましては、ご尽力、ご協力をいただいた国会議員や県 議会議員をはじめ、関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。 今後、道路など具体的な箇所付けが予定される案件につきまして、関係府省等に対して 引き続き働きかけを行うなどして必要な予算の確保に努め、次期総合計画に掲げる「人、 産業、地域が輝くたくましい長崎県づくり」の実現に向け、積極的に施策を展開していき たいと考えております。 -3-
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