当院におけるプロカルシトニンと血液培養検査の比較 静岡県 石川 秀和

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当院におけるプロカルシトニンと血液培養検査の比較
◎石川 秀和1)、武藤 淳1)
掛川市袋井市病院企業団 中東遠総合医療センター1)
【はじめに】
プロカルシトニン(PCT)は,重症細菌感染症と敗
血症の診断マーカーである。特に,細菌によって
惹起された全身性炎症反応の優れた指標であり
,炎症反応の重症度に比例することが報告され
ている。当院におけるPCTと血液培養検査の結
果を集計し,比較したので報告する。
【対象および方法】
PCT測定はcobas・e411(ロシュ・ディアグノテ
ィクス社)を使用した。試薬はエクルーシス・ブ
ラームスPCTを用いた。血液培養はVersa・TRE
K(コージンバイオ)を用いた。
2016年5月から6月の2ヶ月間の,血液培養提出
例739例を対象とした。PCTの陽性はカットオ
フ値0.5ng/mL以上とした。PCTと血液培養を比
較したので報告する。
【考察】
結果より,対象期間中の血液培養の提出例にお
けるPCTの測定率は約50%であった。血液培養
陽性例におけるPCTの提出率についても約50
%であった。
感染部位別のPCTと血液培養陽性の一致率は,
尿路感染,腹部関連感染では一致率は高かった。
皮膚・軟部組織由来感染でPCTが低い傾向を示
した。このことに関しては,今後精査を行う。
PCTは細菌由来の全身性炎症反応の重要なマー
カーである。数値によっては,重症敗血症,敗血症
性ショックなどの可能性を示唆することがわか
っている。血液培養陽性者は,敗血症を起こして
いる可能性がある。その患者のPCTを測定する
ことで,重症度の推定の補助をすることができ
る。
以上のことを踏まえて,今後は血液培養陽性者
に対して,PCTの追加測定を推奨をしていきた
いと考えている。
連絡先 代表 0537-21-5555
【結果】
対象期間中の血液培養提出例は全件で739例中,
PCTが測定されている症例は374例だった。血
液培養陽性例は67例あり,そのうち33例でPCT
を測定していた。
PCT陽性と血液培養陽性例の一致率は約63%
であった。
推定感染巣別にみると,尿路感染89%,腹部関連
60%。皮膚・軟部組織感染は14%となり,PCT値
が低い傾向を示した。皮膚・軟部組織感染をの
ぞくと,PCT陽性一致率は全体の63%と比べて
80%と上昇した。
なお,血液培養陽性例の感染か否かの判定と感
染巣の推定は,感染制御チーム(Infection control
team ; ICT)が判定した。