27 当院におけるプロカルシトニンと血液培養検査の比較 ◎石川 秀和1)、武藤 淳1) 掛川市袋井市病院企業団 中東遠総合医療センター1) 【はじめに】 プロカルシトニン(PCT)は,重症細菌感染症と敗 血症の診断マーカーである。特に,細菌によって 惹起された全身性炎症反応の優れた指標であり ,炎症反応の重症度に比例することが報告され ている。当院におけるPCTと血液培養検査の結 果を集計し,比較したので報告する。 【対象および方法】 PCT測定はcobas・e411(ロシュ・ディアグノテ ィクス社)を使用した。試薬はエクルーシス・ブ ラームスPCTを用いた。血液培養はVersa・TRE K(コージンバイオ)を用いた。 2016年5月から6月の2ヶ月間の,血液培養提出 例739例を対象とした。PCTの陽性はカットオ フ値0.5ng/mL以上とした。PCTと血液培養を比 較したので報告する。 【考察】 結果より,対象期間中の血液培養の提出例にお けるPCTの測定率は約50%であった。血液培養 陽性例におけるPCTの提出率についても約50 %であった。 感染部位別のPCTと血液培養陽性の一致率は, 尿路感染,腹部関連感染では一致率は高かった。 皮膚・軟部組織由来感染でPCTが低い傾向を示 した。このことに関しては,今後精査を行う。 PCTは細菌由来の全身性炎症反応の重要なマー カーである。数値によっては,重症敗血症,敗血症 性ショックなどの可能性を示唆することがわか っている。血液培養陽性者は,敗血症を起こして いる可能性がある。その患者のPCTを測定する ことで,重症度の推定の補助をすることができ る。 以上のことを踏まえて,今後は血液培養陽性者 に対して,PCTの追加測定を推奨をしていきた いと考えている。 連絡先 代表 0537-21-5555 【結果】 対象期間中の血液培養提出例は全件で739例中, PCTが測定されている症例は374例だった。血 液培養陽性例は67例あり,そのうち33例でPCT を測定していた。 PCT陽性と血液培養陽性例の一致率は約63% であった。 推定感染巣別にみると,尿路感染89%,腹部関連 60%。皮膚・軟部組織感染は14%となり,PCT値 が低い傾向を示した。皮膚・軟部組織感染をの ぞくと,PCT陽性一致率は全体の63%と比べて 80%と上昇した。 なお,血液培養陽性例の感染か否かの判定と感 染巣の推定は,感染制御チーム(Infection control team ; ICT)が判定した。
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