5.3.8 充填被覆鋼管コンクリート柱

5.3 柱の断面設計
5.3.8 充填被覆鋼管コンクリート柱
5.3.8 充填被覆鋼管コンクリート柱
INDEX: 曲げモーメントと軸力に対する計算・中空断面RC柱の許容曲げモーメントと許容軸力・
せん断力に対する計算・2軸曲げの検討・軸力制限
(1)曲げモーメントと軸力に対する計算
1)許容曲げモーメントと許容軸力の計算(SRC 規準 40 条 1 項)
柱の許容曲げモーメントは SRC 規準に基づき一般化累加強度により算定する。
N  rN  cN  sN
M  rM  sM
ここで
rN
:被覆 RC 部分の軸力
cN
:充填コンクリートの軸力
sM
:軸力 sN を受ける鋼管部分の許容曲げモーメント
rM
:軸力 rN を受ける被覆 RC 部分の許容曲げモーメント
充填コンクリート部分は軸力のみを負担する。許容圧縮耐力にコンファインド効果は考慮しない。
鋼管部分の許容曲げモーメントは S 柱に準じ、
(全体、局部)座屈を無視して計算する。鋼管部分につ
いては組合せ応力を考慮する。
被覆 RC 部分の許容曲げモーメントは RC 柱に準じて中空断面 RC 柱として計算する。このとき被覆コ
ンクリートの許容圧縮応力度は鉄骨比を考慮した下式による。
fc   fc(1  4sp )
sA
sp 
bD
(SRC 規準 40 条 1 項(7)
)
ここで
fc
:コンクリートの許容圧縮応力度
sA
:鋼管全断面積
b、D
:被覆コンクリート断面の幅と成
2)設計法
充填被覆鋼管コンクリート柱の許容曲げモーメントは最初に充填コンクリート部分、RC部分、鋼管部
分の軸力分担を決定し、それぞれの対応する許容曲げモーメントの累加値とする。軸力の分担は被覆RC
部分の許容曲げモーメントができるだけ大きくなり、かつ、軸力の変動に対して被覆RC、鋼管両部分の
。
(なお、S部分の曲げモ
許容モーメントが滑らかに変化するよう決定する(5.3.6 SRC柱の設計 を参照)
ーメント分担率が指定されている場合、S部分の分担曲げモーメントを指定値に制限し、そのときの許容
軸力をS部分の分担軸力とする。ただし、現在この機能は未開発である。
)
(2)中空断面 RC 柱の許容曲げモーメントと許容軸力
被覆 RC 部分の許容軸力、許容曲げモーメントは圧縮縁の被覆コンクリート、圧縮鉄筋、または引張鉄
筋がそれぞれ許容応力にあるときのそれぞれの耐力が計算される。
B-5.3.8-1
5.3 柱の断面設計
5.3.8 充填被覆鋼管コンクリート柱
許容軸力を作用軸力と等値して中立軸位置を決定し、対応する曲げモーメントが作用軸力下での許容曲
げモーメントである。各許容応力状態に対応する許容曲げモーメントの最小値が断面の許容曲げモーメ
ントである。
1)コンクリートで決まる許容耐力
D
dc
b
D
dt
ac
dc
at
sd
b
dt
ac
sd
at
sd
sd
xn
xn
図-5.3.8.1 中空断面の RC 柱断面
コンクリートで決まる許容耐力 r N 1 、 r M 1 を下式であらわす。
ˆ bDf 
c
r N1  r N1
ˆ  b  D2  f 
c
r M1  r M1
ここで
ˆ 、 M
ˆ :無次元化許容軸力、無次元化許容曲げモーメント
r
1
r N1
b、D
:コンクリート断面幅と成
無次元化耐力は中空部の形状により次頁の各表の式による。
表-5.3.8.1 円形中空をもつ RC 柱の無次元化許容耐力(コンクリートで決まる場合)
ˆ
x n1 の範囲
0<x n1<S d 1
ˆ
r N 1 、 r M 1 の値
ˆ
x n 1 / 2  n m p t ( 2  1 / x n 1 )
ˆ
( 3  2 x n1 )x n1 / 12  n m p t (1 2 r d t 1 )2 /( 2 x n1 )
r N1
r M1
x n1 / 2  n m p t ( 2  1 / x n1 )  (1  2 S d 1 )3
ˆ
S d1
≦ x n1<1 S d 1
r N1
ˆ
r M1
1 S d 1 ≦ x n1<1
ˆ
r N1
 sin  n


( 2  sin 2  n )   n cos  n  /( 8  x n1 )
 3

( 3  2 x n1 )x n1 / 12  n m p t ( 1 2 r d t 1 )2 /( 2 x n1 )


 (1  2 S d 1 )4 3   n  sin 2 n (cos 2  n  5 / 2 ) /(192  x n1 )
x n1 / 2  n m p t ( 2  1 / x n1 )
   ( 1  2 S d 1 )2 1  1 /( 2  x n1 )/ 4
B-5.3.8-2
5.3 柱の断面設計
5.3.8 充填被覆鋼管コンクリート柱
ˆ
r M1
ˆ
r N1
1≦ x n1
ˆ
r M1
( 3  2 x n1 )x n1 / 12  n m p t (1 2 r d t 1 )2 /( 2 x n1 )
   ( 1  2 S d 1 )4 /( 64  x n1 )
1  2n p
1 / 12  n
m
t

   (1  2S d 1 )2 / 4 1  1 /( 2 x n1 )
2
m p t ( 1 2 r d t 1 )

/ 2    (1  2S d 1 )4 / 64 / x n1
ただし
 n  cos 1 (
1  2 x n1
)
1 2 s d 1
表-5.3.8.2 正方形中空をもつ RC 柱の無次元化許容耐力(コンクリートで決まる場合)
ˆ 、 M
ˆ の値
r
1
x n1 の範囲
0<x n1<S d 1
r N1
ˆ
x n1 / 2  n m p t ( 2  1 / x n 1 )
ˆ
( 3  2 x n1 )x n1 / 12  n m p t (1 2 r d t 1 )2 /( 2 x n1 )
r N1
r M1
ˆ
r N1
S d1
≦ x n 1<1  S d 1
ˆ
r M1
ˆ
r N1
1 S d 1 ≦ x n1<1
ˆ
r M1
ˆ
r N1
1 ≦ x n1
ˆ
r M1
x n1 / 2  n  m p t ( 2  1 / x n1 )
 (1  2 S d 1 )  ( x n1  S d 1 )2 /( 2  x n1 )
( 3  2 x n1 )x n1 / 12  n m p t ( 1 2 r d t 1 )2 /( 2 x n1 )
 (1  2 S d 1 )  ( x n1  S d 1 )2 1 / 2  ( x n1  2 S d 1 ) / 3/( 2  x n1 )
x n1 / 2  n m p t ( 2  1 / x n1 )  (1  2S d 1 )2 1  1 /( 2  x n1 )
( 3  2 x n1 )x n1 / 12  n m p t (1 2 r d t 1 )2 /( 2 x n1 )
 (1  2 S d 1 )4 /(12  x n1 )
1  2n p
1 / 12  n
m
t

 (1 2 S d 1 )2 1  1 /( 2 x n1 )
2
m p t ( 1 2 r d t 1 )

/ 2  (1  2S d 1 )4 / 12 / x n1
ここで
x n1 
s d1
m pt



xn
D
sd
D
at
bD
D
b
2)鉄筋で決まる許容耐力
断面の各許容応力状態の応力勾配の関係から各許容耐力間には下式の関係がある。
コンクリートできまる場合
σ1 
fc 
Xn
B-5.3.8-3
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5.3.8 充填被覆鋼管コンクリート柱
圧縮鉄筋できまる場合
σ2 
rfc
rfc
Xn

1
n( Xn  dc ) n( Xn  dc ) fc 
引張鉄筋できまる場合
σ3 
rft
rft
Xn

1
n( D  dt  Xn ) n( D  dt  Xn ) fc 
D
1
2
fc
rfc
dt
ft
dc
Xn
Xn
コンクリートで決まるとき
圧縮鉄筋で決まるとき
3
Xn
引張鉄筋で決まるとき
図-5.3.8.2 断面の応力分布
これより、鉄筋で決まる許容耐力は次の表となる。
表 5.3.8.3 鉄筋で決まる場合の許容曲げモーメント
x n1 の範囲
r N 23 , r M 23 の値
r N2
0<x n1
x n1
m fc
r N1
n  ( x n 1  r d c1 ) f 
c
(圧縮鉄筋)
r M2
x n1
m fc
r M1
n  ( x n 1  r d c1 ) f 
c
0<x n1
r N3
x n1
m ft
r N1
n  ( 1 r d t 1  x n1 ) f 
r M3
x n1
m ft
r M1
n  ( 1  r d t 1  x n1 ) f 
c
(引張鉄筋)
c
ここで
r d c1

dc
D
断面が全て引張状態のとき(xn1≦0)の許容耐力は引張鉄筋の許容応力度で決まる。この場合は鉄筋の
配置のみで耐力が決まるから、中空部は耐力に影響せず、一般の RC 柱と同じ式である。
(3)せん断力に対する計算(SRC 規準 41 条 1 項、2 項)
せん断力に対する計算は SRC 柱に準じる。
1)長期許容せん断力式
長期許容せん断力の算定は SRC 柱と同じ下式による。
Qa  1  rQa
rQa    fs  br j
ただし、充填被覆鋼管コンクリート柱では下記の変数の定義を下式とする。
B-5.3.8-4
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
r
7. 5 s A w
b  r j
A
s w
せん断力
j  0.75 D
ここで
:せん断力に平行な辺の断面積
sAw
図-5.3.8.3
2)短期許容せん断力式
鋼管部分の許容せん断力は組合せ応力を考慮した下式による。
sQa 
f '
s s

s
A w s f s 
2
f  2
3
2
s t
k S M d

SZ
S Nd
S
A
ここで
S ft
:鉄骨の許容引張応力度
SZ
:鋼管の断面係数
k
:フランジ縁からせん断負担面の縁までの曲げ応力度の低減率
k
角形鋼管
S H  2t 2
SH
1
円形鋼管
2
SH
:鋼管せい
t2
:鋼管のフランジ相当部分の板厚
(4)2 軸曲げの検討
2 軸曲げ検討は RC 柱と同様の方法で方向別の検討用応力を設定する。
(5)軸力制限
軸力制限は SRC 柱に準ずる。
B-5.3.8-5
A
s w