新技術説明会 エマルションを用いた 有機ハイドライド直接電解合成法 山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センター 特任准教授 脇坂 暢 平成26年12月16日 1 再生可能エネルギーの有効利用 風力・太陽光からの電力で水素を製造。 水素を有機ハイドライドの形で輸送・貯蔵。 CH3 CH3 + 3H2 風力発電 太陽光発電 トルエン 水電解 電力 水素 メチルシクロヘキサン 水素付加反応 水素 トルエン メチルシクロ ヘキサン 脱水素化 燃料電池へ 水素供給 2 有機ハイドライドの直接電解合成 現在、有機ハイドライドを一段階で電解合成 する試みが行われている。 既存特許 1) 市川勝, “化学発電/有機ハイドライド製造装置および化学発電/有機ハイ ドライド製造方法”, 特開2003-45449 (P2003-45449A). 2) ト ヨ タ 自 動 車 株 式 会 社 , “ 水 素 貯 蔵 ・ 放 出 装 置 ”, 特 開 2005-126288 (P2005-126288A). 3) 株式会社日立製作所, “有機ハイドライド製造装置”, 特開2012-72477 (P2012-72477A). 4) 株式会社日立製作所, “膜電極接合体及び有機ハイドライド製造装置”, 特 開2013-84360 (P2013-84360A). 5) Jx日鉱日石エネルギー株式会社, “電気化学還元装置および、芳香族炭 化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の水素化体の製造方 法”, WO201345782 A1. 3 従来の電解合成方法 既存特許すべてが固体高分子電解質を利用。 膜電極接合体(MEA) 電解セル CH3 e- 拡散層 Ptナノ粒子/担体 バインダー O2 CH3 H+ 高分子膜 H+ CH3 H2O アノード カソード 高分子電解質膜 カソード: C7H8 + 6H+ +6e- → C7H14 アノード: H2O → ½ O2 + 2H+ + 2e- CH3 元は、反応物・生成物が気体で あることを想定して設計。 4 従来の電解合成方法の問題点 低い電解電流密度 • 電極触媒の利用率が低い。 • 反応物である芳香族有機分子とプロトンの 電極触媒へのスムーズな供給が困難。 • 電解質膜を透過する水が電解合成を阻害。 高い電解電流密度を得るためには新規な 反応場が必要。 5 新規な反応場~エマルションの利用 油相 水相 電極表面に反応物である芳香族有機 分子とプロトンがスムーズに供給。 生成物である有機ハイドライドが速や かに脱離。 CH3 CH3 電極 H+ e- トルエン-過塩素酸系マイクロエマルション 油相 両連続相 W/O型 O/W型 水相 pH 親水性・親油性がバランス 6 エマルションを用いた直接電解合成 本技術 1. 2. 3. 4. 5. 電解セル カソード触媒 アノード触媒 被水素化物相 両連続マイクロエ マルション相 6. 水溶液相 膜電極接合体を用いず、被水 素化物をマイクロエマルション 化させた電解液をカソード触媒 表面に供給し、有機ハイドライド を高効率に製造する。 アノード触媒表面には水溶液相 を供給し、酸素発生させる。 生成した有機ハイドライドは被 水素化物相で回収する。 7 本技術の実施例 e- CH3 CH3 油相 両連続相 O2 H+ 水相 油相:トルエン 水相:0.66 M HClO4 界面活性剤: ドデシル硫酸ナトリウム, 2-ブタノール カソード:Pt板(0.82 cm2) アノード:Pt黒付Pt網 運転条件: 定電流モード,窒素脱気, 室温(26℃) 生成物の確認: ガスクロマトグラフ 油相からメチルシクロヘキサンを検出。 電解電流密度を1.2 mAcm-2(Pt活性面積)まであげても、競争 反応である水素発生は確認されず。 8 本技術の優位点 高い電解電流密度 Pt活性表面積あたりの電解電流密度1.2 mAcm-2 は、従来のPEM型電解セルの10倍に匹敵。 競争反応の水素発生を抑制。 PEM型電解セルの報告例(室温)* 0.5 mgcm-2のPt/C触媒(約80 m2g-1)でセル電流50 mAcm-2 (効率81%) Pt活性表面積あたりの電解電流密度:0.125 mAcm-2 *高野拳ほか, 電気化学会第81回大会要旨集, 179 (2014). シンプルな電解セル 電極を浸漬するだけで反応が進行。 送液機構がなくても反応物供給・生成物回収が可能。 初期コストを大幅に削減可能。 9 今後の展開・応用 実用化に向けた取り組み 触媒の高比表面積化並びに三相界面の最適化に よる大量合成を目指す。 JSTさきがけ 2014.10~2018.3 研究領域「再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のため の革新的基盤技術の創出」 研究課題「液-液-固三相界面構造を制御した有機ハイドライ ド電解合成」 本技術の応用 エマルションを用いた本技術は、有機ハイドライド合 成だけでなく、他電解工業プロセスや各種電池への 応用が期待される。 10 本技術に関する知的財産権 【発明の名称】 有機ハイドライド製造装置及び有機ハイド ライド製造方法 【出願番号】特願2014-174267 【 出 願 人 】山梨大学 【 発 明 者 】脇坂 暢 11 お問い合わせ先 国立大学法人 山梨大学 社会連携・研究支援機構 社会連携・知財管理センター (担当)還田、服部 産 TEL:055-220-8759 Industry FAX:055-220-8757 e-mail:[email protected] 官 学 University Administration 12
© Copyright 2024 ExpyDoc