「彫り」を応用した食器のデザイン開発.pdf (PDF: 224.9 KB)

あいち産業
業科学技術総合
合センターニュース
2014
4 年 7 月号
伝統技法「彫り」を応 用した食器のデザイン 開発
1. はじめ
めに
技法など、熟
熟練者でなく
くても表現可
可能な技法
プ技
常滑産地には古くからの伝統技
技法がいくつ
つも
統技法「彫り」を現代的
的に
あります。今回は伝統
を心
心掛けました
た。
4.試作
素地は平成2
素
発した鋳込み
み締土と基
2年度に開発
開発に応用し
しま
アレンジし、食器類のデザイン開
礎締
締土からなる
るブレンド土
土を用い、顔
顔料を添加
した。
2.常滑焼伝統技法
彫り
して
て色彩を調整
整しました。 また、この
の素地は絵
を彫る場合は
は、
通常、陶磁器製品に文様などを
付け
けにも用いま
ました。
無いよう素地
地が乾燥する
る前
割れや欠け、バリが無
図2は試作品
図
品の皿です。 彫りを活か
かすために
りは
、常滑焼伝統
統技法の彫り
に仕上げるのですが、
特に
にリムを大き
きく作ったも
もので、特徴
徴的なデザ
。そ
素地が完全に乾燥した状態で彫り込みます。
イン
ンとなってい
います。
欠けたりしま
ます
のため線の際は細かく割れたり欠
所となってい
います。
が、そこが一つの見所
挙げられます
す。
その他の特徴として、以下が挙
彩色したもの
のが
・彫りには墨入れをしたものと彩
の他に文字、
、細
あり、墨入れをしたものは絵柄の
じ)などがあり
ります。彩色
色したものは
は東
字(さいじ
ステンシルを用
用いた例
海道五十三次などの版
版画や浮世絵
絵などが題材
材と
図1)
して好まれます。(図
刃、丸刀等が
があ
・彫りに使う印刀には小刀、丸刃
輪郭線、面な
など使用範囲
囲が
り、小刀は細字から輪
花びらや松の
の幹等の文様
様を
広く、丸刃、丸刀は花
スタ
タンプ技法による北欧柄
。
彫るのに使用します。
図2
図
磨きます。こ
これ
・成形時に器体表面を念入りに磨
彫りを活かす
すためと、墨
墨入
は細字などの細かい彫
れるのを防ぐためです。
。
れによって器体が汚れ
墨入れによる民族柄
試作品
品(皿)
図3は試作品
図
品のポットで
です。左はポ
ポットと皿
に同
同柄の木の葉
葉文様を施し
し、北欧風の
の表現をし
たも
もの、右は朱
朱泥の器体下
下部に蓋、持
持ち手など
と同
同色の黒い顔
顔料を混ぜた
たブレンド土
土を帯状に
塗り
り、そこに彫
彫りを施すこ
ことで素地の
の朱泥を見
せた
たものです。
図1 伝統
統技法「彫り」
(左か
から 彩色(壷
壷堂作)、細字
字(譲楽作))
3.彫りのアレンジ方法
度な技術によ
よる
伝統工芸士の作品は極めて高度
容易に製品に
に採り入れら
られ
もので、到底誰もが容
ステンシルに
ス
よるポット
図3
3 試作品 (ポット)
め、本研究で
では
るものではありません。このため
化し、輪郭ま
また
彫りを線画と捉えることで簡略化
「彫り」によるポッ
5.おわりに
表現しました
た。絵柄はシ
シン
はそれに準ずる線で表
彫り以外に
常滑焼には、
常
にも高度な技
技法を駆使
柄などを採用
用し、彩色は
はス
プルなもの、幾何学柄
した
た素晴しい陶
陶磁器製品が
がたくさんあ
あります。
ジによるスタ
タン
テンシルを用いたもの、スポンジ
ぜひ
ひ一度常滑に
においで下さ
さい。
常滑窯業
業技術センタ
ター
材料開
開発室
山田
田 圭 (0569
9-35-5151)
研究テー
ーマ: 伝統
統技法を用い た現代的な常
常滑焼製品の
のデザイン開
開発
担当分野
野
: デザ
ザイン
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