高反応性と高耐久性を両立 各分野で期待が高まる

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高反応性と高耐久性を両立
各分野で期待が高まる
ポリウレタン用ポリオール
『プライムポール』
『プライムポール
』
シリーズ
自動車のシートに
自動車シート、ベッドなどのクッション材
や塗膜防水材、シーラントとして身近なポリ
ウレタンは、発泡させて作るフォーム用途と
発泡させない非フォーム用途があり、幅広く
使用されています。
高性能ポリオール
ポリウレタンは、ポリオール成分の水酸基
とポリイソシアネート成分のイソシアネート
基を反応させて得られるポリマーです。ポリ
オールが有する水酸基には一級水酸基と二級
水酸基があり、ポリウレタンの生産にはイソ
シアネートとの反応性が高い一級水酸基比率
が高いポリオールが優位です。しかし多官能
アルコールにプロピレンオキシド︵PO︶を
付加重合して生産する従来の製造方法では、
大半が二級水酸基︵一級水酸基比率は二%程
度︶をもつポリオールになります。そこで反
応性を高めるために、①ポリオールにエチレ
ンオキシド︵EO︶を付加して一級水酸基比
率を高める方法、②反応時に使用する触媒
量を多くする方法などがありますが、①では
EOがポリウレタンの親水性を高めるため耐
水性が低下する、②では触媒量の増加により
耐久性の低下やコストアップの課題が生じま
す。
今回紹介する三洋化成の高性能ポリオール
﹃プライムポール﹄は、新しい重合触媒を見
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2015 新春 No.488
屋上防水に
マットレスに
いだしたことにより、POのみの付加でも一
級水酸基比率を従来の二%から七〇%程度に
まで高めることに成功した高反応性と高耐久
性を両立した画期的なポリオールで、各種用
途で好評をもって注目されています。
各種用途で高まる期待
自動車シート用フォームは、所定の型に原料
を注入し型内で発泡・硬化して作られます。高
反応性である﹃プライムポール﹄は、高い生産
性を実現するとともに高強度・高物性のフォー
ムが得られます。そのため低密度化でき、燃費
向上につながる軽量化を可能にします。また、
同じ密度ならフォームを薄くすることができ、
振動特性の改善や車内の居住空間拡大など、自
動車の乗り心地を向上させます。さらに、一級
水酸基比率をより高めるために、付加するEO
が少量ですむため、耐水性が低下せず、耐久性
が維持されシートのへたりも発生しません。
一方、ベッドなどのフォームは、近年環境や
健康面への関心の高まりにより、特定物質の含
有量を極微量に抑えた製品が業界団体によっ
てエコラベル認定されています。有名なものと
して欧州や米国のフォーム業界によるマット
® あり
レスや枕などを対象とした CertiPURが
ます。高反応性の﹃プライムポール﹄を使用す
ることで、フォーム中に含まれる特定物質の含
有量を抑えることができます。また、特定物質
三洋化成ニュース
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■『プライムポール』シリーズの主な製品
25
プライムポール
悪 低密度化
50 20
プライムポール
耐久性向上
従来ポリオール
(%)
10
耐久性 %湿熱圧縮残留ひずみ率
15
良
44
42
38
40
密度
(kg /m3 )
36
34
換算分子量
粘度(mPa・s)
用 途
市場開発状況
56
3,000
600
フォーム用、非フォーム用
試作品
製 品 名
水酸基価
プライムポール FF - 3320
プライムポール FF - 3550
34
5,000
1,000
フォーム用、非フォーム用
上市済み
プライムポール FF - 4430
58
4,000
750
フォーム用
上市済み
プライムポール FL - 6022
31
6,000
1,050
フォーム用
試作品
プライムポール FL - 6028
36
6,000
1,100
フォーム用
試作品
プライムポール FH - 2202
56
2,000
1,000
非フォーム用
上市済み
■ポリオールによる樹脂の発泡状態
の違い
■フォーム密度と湿熱圧縮残留ひずみの関係
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通常のポリオール
は光の影響で発色物質に変化するものも存在
し、例えばブラジャーパッドなど衣料用途で
嫌われる黄変の原因となり、それを抑制する
効果もあります。
非フォーム用途には塗膜防水材・シーラン
トや合成皮革などがあります。塗膜防水材用
途で﹃プライムポール﹄を使用すると、反応
性が高いため養生︵硬化︶時間を大幅に短縮
できるだけでなく、空気中の水分と反応、発
泡するフクレと呼ばれる副反応が抑制でき平
滑で美しい施工面が形成できます。合成皮革
用途では、主にコーティング剤として使用さ
れ、柔らかさや平滑性といった風合いを実現
します。さらに、これからは接着剤やエラス
トマーといった用途でも期待されています。
三洋化成は、ポリオールの製造プロセスを
抜本的に見直し、この新製造プロセスで生産
される高性能ポリオール﹃プライムポール﹄
の開発と工業化が評価され、平成二五年度の
高分子学会賞︵技術部門︶を受賞しました。
こうした実績から﹃プライムポール﹄は大
変好評をいただいており、今後の需要増に対
応するため今年四月から生産能力を現状の約
二倍の七二〇〇㌧/年に増強し、その先も段
階的に増強していく計画です。
三洋化成は、これからも長年の技術の蓄積
をベースにして、より優れた高機能製品の開
発に注力していきます。
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