●サンヨー ・ プロダクト ・ トピックス● 高反応性と高耐久性を両立 各分野で期待が高まる ポリウレタン用ポリオール 『プライムポール』 『プライムポール 』 シリーズ 自動車のシートに 自動車シート、ベッドなどのクッション材 や塗膜防水材、シーラントとして身近なポリ ウレタンは、発泡させて作るフォーム用途と 発泡させない非フォーム用途があり、幅広く 使用されています。 高性能ポリオール ポリウレタンは、ポリオール成分の水酸基 とポリイソシアネート成分のイソシアネート 基を反応させて得られるポリマーです。ポリ オールが有する水酸基には一級水酸基と二級 水酸基があり、ポリウレタンの生産にはイソ シアネートとの反応性が高い一級水酸基比率 が高いポリオールが優位です。しかし多官能 アルコールにプロピレンオキシド︵PO︶を 付加重合して生産する従来の製造方法では、 大半が二級水酸基︵一級水酸基比率は二%程 度︶をもつポリオールになります。そこで反 応性を高めるために、①ポリオールにエチレ ンオキシド︵EO︶を付加して一級水酸基比 率を高める方法、②反応時に使用する触媒 量を多くする方法などがありますが、①では EOがポリウレタンの親水性を高めるため耐 水性が低下する、②では触媒量の増加により 耐久性の低下やコストアップの課題が生じま す。 今回紹介する三洋化成の高性能ポリオール ﹃プライムポール﹄は、新しい重合触媒を見 9 2015 新春 No.488 屋上防水に マットレスに いだしたことにより、POのみの付加でも一 級水酸基比率を従来の二%から七〇%程度に まで高めることに成功した高反応性と高耐久 性を両立した画期的なポリオールで、各種用 途で好評をもって注目されています。 各種用途で高まる期待 自動車シート用フォームは、所定の型に原料 を注入し型内で発泡・硬化して作られます。高 反応性である﹃プライムポール﹄は、高い生産 性を実現するとともに高強度・高物性のフォー ムが得られます。そのため低密度化でき、燃費 向上につながる軽量化を可能にします。また、 同じ密度ならフォームを薄くすることができ、 振動特性の改善や車内の居住空間拡大など、自 動車の乗り心地を向上させます。さらに、一級 水酸基比率をより高めるために、付加するEO が少量ですむため、耐水性が低下せず、耐久性 が維持されシートのへたりも発生しません。 一方、ベッドなどのフォームは、近年環境や 健康面への関心の高まりにより、特定物質の含 有量を極微量に抑えた製品が業界団体によっ てエコラベル認定されています。有名なものと して欧州や米国のフォーム業界によるマット ® あり レスや枕などを対象とした CertiPURが ます。高反応性の﹃プライムポール﹄を使用す ることで、フォーム中に含まれる特定物質の含 有量を抑えることができます。また、特定物質 三洋化成ニュース 10 ■『プライムポール』シリーズの主な製品 25 プライムポール 悪 低密度化 50 20 プライムポール 耐久性向上 従来ポリオール (%) 10 耐久性 %湿熱圧縮残留ひずみ率 15 良 44 42 38 40 密度 (kg /m3 ) 36 34 換算分子量 粘度(mPa・s) 用 途 市場開発状況 56 3,000 600 フォーム用、非フォーム用 試作品 製 品 名 水酸基価 プライムポール FF - 3320 プライムポール FF - 3550 34 5,000 1,000 フォーム用、非フォーム用 上市済み プライムポール FF - 4430 58 4,000 750 フォーム用 上市済み プライムポール FL - 6022 31 6,000 1,050 フォーム用 試作品 プライムポール FL - 6028 36 6,000 1,100 フォーム用 試作品 プライムポール FH - 2202 56 2,000 1,000 非フォーム用 上市済み ■ポリオールによる樹脂の発泡状態 の違い ■フォーム密度と湿熱圧縮残留ひずみの関係 5 通常のポリオール は光の影響で発色物質に変化するものも存在 し、例えばブラジャーパッドなど衣料用途で 嫌われる黄変の原因となり、それを抑制する 効果もあります。 非フォーム用途には塗膜防水材・シーラン トや合成皮革などがあります。塗膜防水材用 途で﹃プライムポール﹄を使用すると、反応 性が高いため養生︵硬化︶時間を大幅に短縮 できるだけでなく、空気中の水分と反応、発 泡するフクレと呼ばれる副反応が抑制でき平 滑で美しい施工面が形成できます。合成皮革 用途では、主にコーティング剤として使用さ れ、柔らかさや平滑性といった風合いを実現 します。さらに、これからは接着剤やエラス トマーといった用途でも期待されています。 三洋化成は、ポリオールの製造プロセスを 抜本的に見直し、この新製造プロセスで生産 される高性能ポリオール﹃プライムポール﹄ の開発と工業化が評価され、平成二五年度の 高分子学会賞︵技術部門︶を受賞しました。 こうした実績から﹃プライムポール﹄は大 変好評をいただいており、今後の需要増に対 応するため今年四月から生産能力を現状の約 二倍の七二〇〇㌧/年に増強し、その先も段 階的に増強していく計画です。 三洋化成は、これからも長年の技術の蓄積 をベースにして、より優れた高機能製品の開 発に注力していきます。 11 2015 新春 No.488
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