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人類における歯の進化(特集 シンポジウム「ホミニゼーシ
ョン」II)
埴原, 和郎
霊長類研究所年報 (1974), 3: 69-70
1974-03-01
http://hdl.handle.net/2433/162485
Right
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Departmental Bulletin Paper
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Kyoto University
Ⅰ 発 達 の 部
このようなNl
Hl
l
の避妊現象は,おそらく鵬故の拭少仰
人類における歯の進化
向と関連しているものと.
u
J
.
われ, Gam らは榊の欠如な
植原 和郎 (
東大 ・至担)
前出の極印帥こ迎 くなったものと・
1
3
えている.しかし.欠
如歯の場合,
納征がまった く7
(
・
在しない例が多 く,また
今回の研究会のテーマである 「
発達」とは多少問題が
ことなるかもしれないが,歯の進化は単に歯そのものば
上顎側切肉のように,前山時I
mは比較的早いのに欠如す
,
る例 もあるので 榊の欠如と前山の遅延現免とは.多少
か りではな く,堺市や脳の進化とも密接に関連している
ことなる要田に交配されているのではないか と;
r
f
;
えられ
ので,それらの発達を相当の程度に規定する一つの要因
る。
として考えてみたい。
また,解放の拭少と佃の大きさの桁小との関にも関姐
人桝の脚 ま,い うまでもな く狭界郡の一般形倍から誘
nらの 胴衣に上ると, 約 3
がみられる。たとえは.Gar
印されたもので,少な くともA
節三紀中新世までは,人机
'
大日i,
i
が欠如する仰 木では他の僻 も小さいことが判別し
的な特殊化はみられない.しかし
た。さらに私がアメt
)カイソデ ィ7 ソで計測したn柑 こ
.
m
四紀に入ってから
徐々にヒト化への煩向が破 くな り,それはとくに上部眺
よると.怯′
トな上諏側靴柑なもつ桐日工
では.l
Tl
僻mt
小こ
胡世以按,いちじるしい速庇で進みだしたo
比して似全作が小さくなっている。したがって.i
r
J
の欠
このような変化は, 次の 4点に要約される。 すなわ
形腰の叩純化,3)頼政の拭
ち,1
)
歯の大きさの縮小,2)
L
i
ずる迫伝子は,火な り′
トな り他t
T
J
の大 き
如や怯中内なi
さの決定にもm J
J
'
・
しているものとJ
L
T
.
l
b れる。
少,4)
前出時期の遅延{・
ある.これ らの変化はしばしは
さて.
以上のような榊の進化-r
)
r
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gr
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i
ver
e
du
c
t
i
on-
佃の退化現象とい う冒兼で表現され,たがいに硬持た閃
は,人肌 こ対する糾汰圧の変化によって生じたと考えら
迎をもつが,進化の過程で必ずしも平行して進行してき
たものではない。
化,つまり文化活動に求められる。 Br
a
c
eはこの関係な
まず齢の大きさの 桁′
j
、
は, 入所の 逃化の初;
恥、
らみ
mにおける 適応様式の7変
れるが.その'
A:
.
化の 原因は 人
次のように要約している。
られる現象で. 下諏折 1大臼歯の歯冠を 例にとると.
1
) 前t
r
J
の退化 :道央や武2
詩-の依7
7
度の糊加に関係
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aL
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∫から t
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usにいたる問にほぼ1
0
する。
0
/
Q
.また H.C
T
E
C
L
L
L
∫から現代人にいたる問に,同じくほ
2) 大日的攻食前の退化 :調理のための火の使用に関
係する。
は1
0C
/
O
の縮小がみられる.しかし,この縮小率はt
削こよ
ってことな り.切歯では低 く,小目釣および卯 2,卯3
大白歯では高い。
3) とくにNe
a
n
de
r
t
a
1
人以後に生じた前出の1
1
1
純化 ;
正典恕作技術が鵬より布効な道具を作れるまで苑通した
これに対して,嘆頭数の減少をともな う歯冠形態の坤
時に生じた。
純化は,Ne
a
n
de
r
t
a
1人以後に認められ,また歯数の減少
はさらにお くれて,Cr
o
・
Ma
gn
o
n人以後に生じた変化で
ある。
4) 釧子攻合 か ら鉄状頃合 -の 変化 :食料生産J
TL
命
(
員桝の発生)以後に生じ,穀物のそしやく能率と的係
する。
以上のように,人矧 こおける歯の進化は,文化の苑迫
耶t
u時期の遅延は,とくに枚方の歯にいちじるしく,
卯3
大日伽 こもっともはっきりと認めることができるo
と密接に関係していると考えられるが,伽の進化はまた
化石および現J
:
忠F
<
現のデータによると,Tup
a
iの卯 3
Wl
両および脳の発達と切 りはなしえない関係をもってい
大
る。なぜなら,歯の退化は顎骨の桁′
J
、
な うながし,敬大
れが広舟灯では耶5番 口とな り.ヒトを除 く狭外川では
なそしゃく筋の圧力から9
7T
l・蹄両部を開放する。したが
〔
=
如上多 くの均分,永久佃r
l
切 3飾 日に前山するoこ
卯7
qr
口.あるいは抑8番 口 (
放校)に前山する。ヒト
って.この部分におけるヒト化は,歯の退化とい うl
f
L
粒
ではほとんどの切
がなければi
t
:
じえない変化 と考えることができるOリl
際
でに Au∫
L
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L
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O
Al
'
L
hwz
I
Sの殴隅からみられる。そして時代
に榔々の封 t段脚の人机で脳容机と巾の大 きさ (
下
が新しくなるにつれて
1大目的のc
r
o
wnmo
du
l
us
)
か ら相関係数を計罪すると,
介
折8番 口にはえるが.このqtr如上す
約2
大日鵬の前山時期との間隔が
顎那
長 くなり,現代人では "
現しらず●
'といわれるほど遅 く
-0.
9
7とい うきわめて訂占い逆相的な示す。このような点
前出するようになった。
か ら.1
如土人兼
那汐TI
の苑辺に 変な役割なはたしている
- 69-
皿
とい うことがで きる。
意味で,動物には種に固有のシエマがあると仮定してみ
ところで,歯の進化は現在 も進行中である。とくに歯
よう。 シ-マとは,行動の発達に基本的な下図を与える
冠形2
1のI
l
i
純化や歯数の減少快向は上部洪故世以来急速
もので,行致は,そのプログラムに従 うとい う関係にあ
に進行してきてお り,それは個休内.個体問,あるいは
るo ト1
)には トt
)の,サルにはサルに固有のシエ1
1があ
郡内お よび耶l
L
i
lの変苑 としてとらえることができる.そ
る。後者に比べて,前者のシエマは原初的であ り,その
してこのような変災・
な分析することによって,人煩の適
プログラムには限界がある。本能 (
i
n
s
t
i
nc
t
)は,このシ
応.小池化,J
J洞 の現緑関係などに関する多 くの情報を
うることがで きる。
エマの特殊な場合を示し,生物は,生まれたときに,す
べてシエマに基づ く1つの完結したプt
]グラムをもって
また-ソ
rCは, n
on・
hu
ma
npr
ima
t
e
sの歯の研究 も必
いるとい うことになる。
班である。なぜなら,上にあげたような歯の退化悼向は
しかし, このシエマは,自然に発現して くるとい うも
大な り小な r
)出長真
如こもみられるが,その原因は必ずし
のではな く,ある種が生物 として正常に発達するために
も人肌と同 じとは限らないoしたがって,このような点
は,このプログラムの発現に経級 (
学習)が大いに鋤い
での比蛇研究は.さらに歯の進化に関する基礎的要因の
ていることが指摘される。
糾明に役立つ と推測されるか らである.
有名な Tho
r
p
eの突放は,そのことを示している.彼
の報告によると,仲間か ら離されて,仲間の鵬き戸を聴
く機会をもたずに育 ったア ト1
)(
c
ha
f
f
i
nc
h)は,仲間と
経験の効果について
一緒に育ったア ト1
)の鳴き声に比べて,その鳴き声はず
っと未熟である。
一 比 較行 動学 的 ア プ ロー チー
この例でわかるように,ア ト1
)は生まれた時か ら,発
井探 允子 (
京大 ・監長研)
声(
vo
0l
i
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a
t
i
o
n)するとい う行為は神経系にコードされ
I
.科 人
て,完成されたプログラムを持 っているが.それが生物
.
ヒ ト化'
■について発達とい う側面か ら考解せよとい
う世Wf
役のノ
J
'
か らの班誠に対 して,行動を扱 う立場か ら
として,意味のある刺放,すなわち鳴きj
i
s
として・
2
1
出さ
れるためには,経故を必要 とす るのである。
釈見な述べてみ ようと.
r
L
iう。
より高等なサルを用いた実験か らは,興妹粗い叫リl
が
bJ
tbJ
tにとって兜極の日掛 ま人間の行動の理解にあ
得られている。
るが.人r
Z
qの行動を上り理解するためのモデル として動
物の行舶な扱 うことには,問題がある.
Sa
c
ke
t
tは, 生後母親か ら隔離されてYfったアカゲザ
ル(
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amu
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a)
,ブタオザル(
Mo
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ac
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me
S
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'
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a)
,
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らかに人け
りと動物の問には,根本的な違いな認めね
べニガオザル (
Mar
ac
as
Ae
c
i
o
∫
a)の成体メスに対して.
ばならないか らであるO即ち,動物の進化 と人間の進化
アカゲザルのアカソボウはそれまで部分陥船のため同年
の大 きな迎いは,挟省では,経険は個体に貯えられるだ
令のアカソポウな遠 くか ら見た り,そのi
L
'
i
なr
i
nくとい う
けでな く.机み血ねられて後の世代へ伝承されてい くと
い う瓜にある。
経放しかないにもかかわらず,他の 2つの棚のメスより
われわれは,体映な伝える能力については,人間の進
かった。これ らは,アカゲザルのメスの身体的特性,ア
化の独自性な捉めながら,経験が個体に貯えられる過程
カソポウの発声に対する運動′
<クーソなどが手掛 りとな
については比4
L
R行動学の立切から,系統発生 と個体発達
り.これが社会的認知の発達に歪要な役割を果たす こと
がわかる。
の 2つの側面な通じて考窮をすすめてい くことにするo
もアカゲザルのメスに対する定位行動(
or
i
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nt
a
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i
o
n)が多
H.系統発生とシエマ
次に,社会的 コミ1ニケーシ ュソの行動にも.J
i:
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l
J的
あるnb
物から和られた祁災を他の頓にまで一般化する
なメカニズムのあることを示そ う。生紋す く
・
か ら9カ月
間完全隔離をしているコザルに,サルの感覚.遊び,忠
ことには問題がある。
例えば, Lor
c
n
Zは, 大型鳥杭のヒナな人工的にふ化
悦 逃避.交尾などの行動を示すカラースライドが班扱
し,一斑相川後に収の親につけると,その校もその対象
者によって写し出される,あるいは,被扱者自らレ,:-
がr
tの規であるかのように追従行動なする,いわゆる刻
印づけ(
i
I
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l
Pr
i
nt
i
n
g)の現象な示した。これは,血税 とい
を押して,写し出せる状況におかれた。以前自分以外の
サルをみた経駅 もないのに,サルのアカソポウのスライ
ラ.系統苑i
L
i
の段階では低次の唖か ら得 られた もので,
ドは最 も好まれ,探索や遊びの行動を諦発した.
山肌で臨非相は'
.
あるとしても,これをそのまま高次の種
に適用することはできないだろう。
以上の実験結架によって,サルでは社会的認知や社会
的コミ,
.
ニケーシ まソなどの行動を節発する刺故は,種
ここで柾の間の進化の段階における違いを示すとい う
のメソバーとの相互交渉を通じて,社会的に学習すると
- 70-