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e-Learning Forum 2003 Summer
ヨーロッパのeラーニング事情
∼日本には無い先進的な動きとその考え方∼
2003年7月30日
日本貿易振興会(ジェトロ)
電子情報課 小島英太郎
http://www.jetro.go.jp
[email protected]
目 次
Q
1.ヨーロッパのeラーニング市場動向(概観)
Q
2.政府のeラーニング促進事例∼英国
Q
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給)
Q
4.eラーニング導入先進事例(需要)
Q
5.ヨーロッパから日本に応用できること
1.ヨーロッパのeラーニング市場動向
1.ヨーロッパのeラーニング市場動向
(1)ヨーロッパ・レベルの動き
◆欧州連合(EU)の欧州委員会による主な動き
(EU情報化政策eEuropeの最重要課題)
・2000年3月 eLearning - Designing tomorrow’s education
eラーニングイニシアチブ:原則、目標、行動指針
【行動指針】 ①基盤、②研修、③コンテンツとサービス、④協力とネットワーク
・2001年3月 The eLearning Action Plan
方策、関連プログラム・機関の整理
=> 具体的活動は民間から公募 = 大きな市場
eラーニングを活用して教育を向上させ、雇用や競争力
を促進しようというとする強い意思
* 参考:eLearningeuropa.info(欧州委員会のeラーニングサイト) http://elearningeuropa.info
1.ヨーロッパのeラーニング市場動向
(2)各国レベルの動き(その1:進展度合い)
①インターネット普及状況
②生涯学習の受講率
③英語の普及度合い
各国間でeラーニング
インフラに差がある
北高南低
*フィンランド、スウェーデンなどの北欧諸国に加え、
英国、アイルランドなどが欧州をリード。
1.ヨーロッパのeラーニング市場動向
(2)各国レベルの動き(その2:市場規模と特徴)
・市場規模
2002年
3.67億ユーロ
2004年
45億ユーロ
(5400億円)
(440億円)
・英国が50%を占め、2004年に6.39億ユーロ(767億円)に拡大予想。
”Irish Government Survey reveals State Of The UK E-Learning Market” (21 February, 2002 - Enterprise Ireland Press Releases)
http://www.enterprise-ireland.com/newsworld.asp?action=showarticle&id=353
【参考】日本の市場規模(eラーニング白書2002年版)
2001年 150.4億円 → 2005年 557.2億円
1.ヨーロッパのeラーニング市場動向
(2)各国レベルの動き(その2:市場規模と特徴)
・特徴
① 政府の強力なイニシアチブ
・民間事業者も無視できないほど大きいもの
② 北米企業の進出
・コンテンツ系、システム系ともに。
③ システムやコンテンツよりも、サービス、 コンサルにシフト
2.政府のeラーニング促進事例∼英国
2.政府のeラーニング促進事例∼英国
・生涯教育向け
・高等教育向け
・初等中等教育向け
多面的で強力な
政府のイニシアチブ
・企業内教育向け
民間企業も無視できない
ほど大きなもの
2.政府のeラーニング促進事例∼英国
(1)生涯教育向け
①UK online centres
・ICTに関する基礎技術の習
得が目的。
・英国に6000ヶ所の施設。
②Learndirect
http://www.dfes.gov.uk/ukonlinecentres/default.cfm
(University for Industry)
・エンプロイアビリティ向上が
目的。
・ビジネス・経営管理、小売流
通などの教材。
・2000ヶ所で、すでに83万人
が受講(2000年以降)。
http://www.learndirect.co.uk/
2.政府のeラーニング促進事例∼英国
University for Industry/Learndirect Executive Director ヘレン・ミルナー氏
2.政府のeラーニング促進事例∼英国
(2)高等教育向け
UK e-Universities
・オンラインで世界のどこからでも英国の高等教育にアクセス
できるようにすることが目的。
→英国大学のインターフェースとして機能。
*2001∼2004年合計で6200万ポンド(130.2億円)の政府出資。
・特にアジアからの学生が
ターゲット。米国との競争。
http://www.ukeuniversitiesworldwide.com/
2.政府のeラーニング促進事例∼英国
(3)初等中等教育向け
Curriculum Online と eLearning Creditsの仕
組みによるデジタル教材利用促進
英国政府
eLearning Credits
(デジタル教材購入・予算)
認定
CURRICULUM ONLINE
Department for Education and Skills
教材検索
eLCs(購入)
コンテンツ
開発企業
デジタル教材提供
小中学校
・Curriculum Online : http://www.curriculumonline.gov.uk/
・NGfL: http://www.ngfl.gov.uk
・BECTa: http://www.becta.org.uk/index.cfm
2.政府のeラーニング促進事例∼英国
(4)企業内教育向け
①Learndirect business
・中小企業向け
・ビジネススキル、ITスキルなど
・オンラインでどこからでも学習
http://www.learndirect-business.co.uk/
②Learndirect corporate
・大企業向け
・コンサルも行なう
*Royal Air Force(RAF),
Barclays Bank, Nissan
など。
http://www.learndirect-corporate.co.uk/
3.eラーニング関連サービス先進事例
(供給サイド)
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給サイド)
(1)インテグレーションサービス
・コンサルティングを通し、必要なシステム・コンテンツをあ
らゆるところから集め(なければ作り)、人事制度等とイン
テグレートさせながら導入する、という一連のプロセスを手
がけるサービスのこと 。
システム
研修希望の顧客
インテグレーション
サービス会社
調達
カスタマイズ
コンサルティング
コンテンツ
・不要な投資を避け、
効率よくeラーニング
を導入できる!
・単にシステムを紹
介するだけではダメ。
お客様に合わせたカ
スマイズが必要。
調達
カスタマイズ
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給サイド)
FUTUREMEDIA Head of Sales Mr. Spencer Cohen
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給サイド)
(1)インテグレーションサービス(事例紹介①)
Bernard Julhiet Interactive(BJI:フランス)
*98年設立。BJ Consultingの子会社。15名。
① コンサルティング
【実績】 ・組織のミッションを明確化→人事戦略策定
→eラーニング導入の有無・方法を検討。
Renault(自動車), ACCOR(ホテル),
CASINO(小売), Butagaz(石油)
② コンテンツ開発
(1) 出来合い(Off-the-shelf) コンテンツ活用
(2) カスタマイズ
(3) 集合研修の開発
(4) Virtual Classroom
③ LMS導入
・大企業と中小企業向けで選別
http://www.bjinteractive.com
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給サイド)
(1)インテグレーションサービス(事例紹介②)
COROUS (英国)
*99年に通信教育で歴史のあるOpen Universityからスピンアウトして設立。
① コンサルティング
・コンサルタントに加え、Open Univ.の約3000人
の教授から専門家を加えて行う。
② コンテンツとシステム導入
(1) コンテンツ→ビジネス・マネジメント系30種 120タイトル用意。すべて20分単位。 *「最小限のテキスト、最大限の思考」が方針。
【実績】 シェル石油(Shell Open Univ),
BT, NHS, 他10社
(2)システム→大企業と中小企業向け
③ ラーナーサポート
・eModerator、Preparation、技術サポート、 Feel Managing
◆コンサル→分析→コンテンツ設計→製作 →洗練→導入というステップで、約3ヶ月
http://www.corous.com
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給サイド)
(1)インテグレーションサービス(事例紹介③)
*Smart Cannel: http://www.smartcanal.com
*BJI: http://www.bjinteractive.com
*Hyperoffice:http://www.hyperoffice.fr/
*Onlineformapro:http://www.onlineformapro.com
(以上、フランス)
* EPIC:http://www.epic.co.uk/
*Futuremedia: http://www.futuremedia.co.uk/
* FT Knowledge: http://www.ftknowledge.com/
* COROUS: http://www.corous.com
(以上、英国)
*その他、PWC、アクセンチュアなどのコンサルティング会社
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給サイド)
(2)eラーニングプロフェッショナル認定プログラム
the Certified e-Learning Professional Programme (CeLP:英国)
プログラム誕生の背景
eラーニングサービスが市場に増える
=> ①コンテンツやシステムなどの質の認証・保証に関する問
題が生じ る。
②導入する企業等の担当者にも比較検討し意思決定する知
識・能力が問われる。
◆the UK Institute of IT Training が99年に調査実施
→eラーニング導入の障害は、インフラ整備の欠如、不十分な回線 状況、学習教材の質の低さ、ネガティブな企業文化などに加え、
「担当者にeラーニングを効率的に実施するために必要な知識や
技術が欠如しているという問題」 があることがわかった。
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給サイド)
(2)eラーニングプロフェッショナル認定プログラム
委託
コンテンツ開発・運営
コンピテンシーフレームワーク
http://www.trainingfoundation.com
http://www.iitt.org.uk
ラーニング・ポータル
第三者機関としてテスト、認定
http://www.nccedu.com
http://www.elearningprofessional.com
eラーニングで300時間学習
チューターサポート
【プロフェッショナル】
コンサルタント、開発者、チューター、
トレーナー、マネージャー
◆2002年1月開始:約1300名受講
◆受講企業・団体:Prudential, Open
University, the Inland Revenue, Shell,
KPMG, UfI(University for Industry), NHS
Information Authority など
3.eラーニング関連サービス先進事例(供給サイド)
(3)初等教育向けサービス(事例紹介)
WSOY/Opitサービス(フィンランド)
*2001年サービス開始。WSOYは教育書籍出版社。
Opit提供方法
・小学校の教師、児童向けのeラーニング教材
WSOY
市
・より効果的な教育を提供するための補完的
な もの。
学校
教師
・教材は、算数や英語、フィンランド語、歴
史などの補完的な教材(テストなど)が26コー
ス、2500モジュール 。宿題などでも活用。テス
トはゲーム形式。
学校
教師
児童
市
市
教師
児童
学校
学校
教師
児童
児童
・提供方法はユニーク(右図参照)
・教師の訓練用としてOpit利用も可能。
http://www.wsoy.fi/opit/inenglish.htm
4.eラーニング導入先進事例
(需要サイド)
4.eラーニング導入先進事例(需要サイド)
(1)企業内活用事例(従業員教育)
Royal Mail(英国)
*21万人を抱える郵政事業の民営化会社。99年から利用開始。 社員数の規模と研修実施上の地理的制約が理由。
・管理職44,000人から利用開始。
・ITスキルやマネージメントに関する内容の
もの (外部のoff-the-shelfコンテンツが88%、
自社カスタマイズコンテンツは12% )
インテグレーション
・課題:修了率の向上→受講目的の明確化必要。
・効果:コスト削減。50%減した研修もある。
・導入は、FUTUREMEDIAが担当。eラーニング
教材・システムと社内人事制度、Personal
Development Planとをインテグレーション
Course Production / Learning Management
Course Library / Professional Services
http://www.futuremedia.co.uk/
4.eラーニング導入先進事例(需要サイド)
(2)企業内活用事例(その他特徴的な動き)
① カスタマーやビジネスパートナーのための eラーニング利用
例:NokiaHowTo.com: http://www.nokiahowto.com
②コーポレイト・ユニバーシティ
例:NOKIA Corporate University(フィンランド)、
Barclays University(英国)
③シミュレーションの活用
例:Siemens(ドイツ)→会議進行シミュレーション
ChezA2F(フランス)→道路走行シミュレーション
Mobalpa(フランス)→販売員用シミュレーション
4.eラーニング導入先進事例(需要サイド)
(3)大学活用事例∼ブレンディッドラーニング
INSEAD(フランス)
*ビジネススクール。2000年9月からINSEAD OnLine開始。
・優れた教授たちの知識をさらに普及させるため。
・時間がなくキャンパスにきて勉強することがで
きないマネージャーやエグゼクティブがターゲッ
ト。
・内容は、Supply Chain Management,
Managerial Technological Innovation, Web
Strategyなど。
・Human Interactionの重要性に気付きブレン
ディッドラーニングに移行。
・構成:① Kick-off Meeting
② eラーニングによる学習
③ Workshopの開催
http://www.inseadonline.com
5.ヨーロッパから日本に応用できること
5.ヨーロッパから日本に応用できること
①市場活性化を側面から支える仕組み作り
・供給/需要の促進。認証システムとeラーニングプロフェッショ
ナルの育成。
②生涯教育が評価される風土の醸造
・個人・企業・大学による、「教育により『職を得る』『能力を
評価する』」というメンタリティの強化。
③顧客中心のインテグレーションサービス活用
・システム偏重の発想から脱却し、「いかに効果的に企業の研修
目的を達成するか」を追及する。
④学習を支援する仕組み作り
・eラーニングの自己学習を前提とした上で「学習者が効果的に最
後まで学習することができる」 仕組みを築く。
⑤eラーニングはナレッジシェアリング(情報共有)へ
・eラーニングを学習の一形態と捉えてはいけない。組織のパフォー
マンスを向上させるための1つのソリューションと捉えなおす。
*参考資料
(1)関連団体紹介
・European Commission(Education):
http://europa.eu.int/comm/education/programmes/elearning/index_en.html
* 1.で紹介したEUのeラーニングイニシアチブを推進している。
・Prometeus: http://www.prometeus.org
*マルチメディアを活用した教育訓練へのアクセス促進のための組織で、99年にEuropean
Commissionの後援を受けて設置された。
・EIfEL(European Institute for E-Learning): http://www.eife-l.org/
*EIFELは、欧州におけるeラーニングに関係する人(トレーナーや教師、HRマネージャー、
コンサルタントなど)が情報共有できる場を提供する目的で2001年2月に設立された(現 在、約300人が所属)。そして、eラーニングの価値の連鎖において、eラーニングに関係する
すべての人の専門的発展をサポートすることをミッションとしている。
・BAOL(British Association for Open Learning): http://www.baol.co.uk
*BAOLは、eラーニングだけでなく、遠隔教育をサービスとして提供している企業・大学や、
またそれを利用している企業が集まっている英国の組織。現在、約300の会員がいる。サ *参考資料
(2)インターネット普及状況
(関連) 1.(2)各国レベルの動き(その1:進展度合い)
*参考資料
(3)生涯学習の受講率
EU15
英国
フィンランド
デンマーク
スウェーデン
オランダ
オーストリア
ベルギー
ルクセンブルグ
2002
アイルランド
2001
ドイツ
イタリア
スペイン
ポルトガル
フランス
ギリシャ
0
5
10
15
20
25
(注)受講率とは、25∼64歳の人口のうち、過去4週間以内に教育・訓練に参加した者の割合。
(出典)Eurostat(http://europa.eu.int/comm/eurostat/ )のStructural indicatorsより。
(関連) 1.(2)各国レベルの動き(その1:進展度合い)