建築認証事業本部 IVS(In Service Verification Services:既存建物に係る検査・検証)業務 その 2 ビューローベリタスジャパン株式会社では、既存建物に対する検査、検証を新しいサービスメニューとして提供 することとなりました。建築基準法、消防法、省エネ法等の法規制や企業固有の要求事項への適応性を確認 するための定期検査を中心に、第三者として検査、検証を実施することでリスクの低減が期待されます。今回は 既存建物に対する検査、報告制度の現状と、ビューローベリタスが提供するサービスをご紹介致します。 建築ストックの状況として、第 174 回国会(常会)に提出された「平成 21 年度 首都圏整備に関する年次報告」に よると、東京圏のオフィスビルストックは、昭和 55 年(1980 年)以前に建築された築後 30 年以上の割合が東京 都区部で 34.1%、横浜市で 24%、千葉市で 38.5%、さいたま市で 17.6%と報告されています。一方、住宅のスト ックを見てみると、築 30 年以上の共同住宅の割合は全国平均で 29.2%、首都圏では 40.6%と報告されていま す。これらの割合から見ても分かるように、既に建築ストックの老朽化が進行していることから、建築ストックの 再編・有効活用等を勘案した維持更新が提言されています。また、国土交通省では、老朽化した建築ストックの 改修に対する新制度を創設する方針を示しています。 このような背景のなか、既存建物を適法な状態に保ち、かつ安全に効率よく継続利用するために各種定期 調査・検査制度が設けられています。 建築物に対する安全面に対しては、建築基準法第 12 条に基づき定期調査制度が施行されていますが、平成 18 年(2006 年)6 月に発生した東京都内の公共賃貸住宅のエレベーターにおける死亡事故、平成 19 年(2007 年)5 月の大阪府内の遊園地のコースターにおける死亡事故等、相次ぐ事故の発生を受け、平成 20 年(2008 年)4 月に定期報告制度が見直されています。 定期報告制度が見直されたことにより、定期調査・検査の項目、方法、是正の必要の要否の判定基準が明確に 規定されました。 特殊建築物等については、下記があげられます。 外装タイル等の劣化・損傷 10 年を経過後の最初の調査時に、外装タイルの全面打診等による調査の実施 吹付けアスベスト等 飛散防止対策が実施されていない場合の吹付けアスベストの劣化損傷状況調査の実施 建築設備・防火設備 定期的な点検が実施されていない場合の作動状況調査の実施 また、地球温暖化対策として、建築物に対する省エネルギーに対しても定期報告制度が設けられています。 平成 20 年(2008 年)に改正されたエネルギーの使用の合理化に関する法律(以下、省エネ法)では、工場・事業 場分野への規制として、事業者単位(企業単位)のエネルギー管理義務が導入されました。 事業者が業を営む全ての工場、事業場の昨年度(平成 21 年度)のエネルギー使用量が原油換算で 1,500KL (キロリットル)以上の場合は、7 月末(来年は 5 月末)までにエネルギー使用状況届出書を所轄の経済産業局に 提出する必要があります。この届出に基づき、特定事業者、特定連鎖化事業者、エネルギー管理指定工場等と して指定され、エネルギー使用に関する定期報告書による報告及び中長期計画書の提出が必要となります。 なお、工場・事業場分野の地球温暖化対策については、地方自治体独自の条例による規制等も導入されていま す。 住宅・建築物分野についても、規制が強化されています。具体的には、大規模な建築物の省エネ措置が著しく 不十分である場合の命令の導入、一定の中小規模の建築物(床面積の合計が 300 ㎡以上)について省エネ 措置の届出等の義務化、登録建築物調査機関による省エネ措置の維持保全状況に係る調査の制度化等が 挙げられます。 このように建築ストックに対する検査、調査制度が様々な法律で定められており、建築物の所有者、管理者また は占有者は、適法な状態に維持保全するための義務を負っています。 以下の表に定期報告・検査制度の一例を示します。 関連法令 調査・検査 頻度 建築基準法 特殊建築物定期調査報告 1 年または 3 年に 1 回 昇降機定期検査報告 年1回 建築設備等定期検査報告 年1回 消防設備等点検結果報告 6 ケ月に 1 回 消防法 外観点検・機能点検 省エネ法 総合点検 年1回 工場・事業場分野 年1回 定期報告・中長期計画 住宅・建築物分野 3 年に 1 回 建築物調査 電気事業法*1 自家用電気工作物定期点検 年1回 ビル管法 空気環境測定 2 ヶ月に 1 回 水道法 簡易専用水道検査 年1回 *1 建築物における衛生的環境の確保に関する法律 このような制度下において、ビューローベリタスは、公平かつ信頼性の高い第三者民間検査・認証機関として、 既存建物の遵法性を確保し、安心して利用するための検査、検証を実施致します。 サービスメニューの提供においては、海外での検査、検証のノウハウや実績、国内における建築認証事業での 知識、実績に基づき、高品質なサービスを提供致します。 ◇ビューローベリタスが提供するサービスメニューの一例 建築基準法関連 建築基準法第 12 条に基づき以下の調査、検査を実施致します。 特殊建築物定期報告業務 昇降機定期検査報告業務 建築設備等(昇降機及び遊戯施設を除く)定期検査報告業務 建築物の耐震改修の促進に関する法律関連(耐震改修促進法) 耐震判定業務 第三者による客観的な評価である耐震判定委員会を設け、審査、判定書を発行致します。 避難安全検証法(建築基準法告示) 既存建築物(特に既存不適格建築物)の防火避難安全性の監査、評価 既存建築物における避難時の安全性を避難安全検証法に基づき評価致します。 省エネ法関連(工場・事業場分野) エネルギー管理に係る法定書類作成サポート業務 エネルギー使用状況報告、定期報告、中長期計画書の作成をサポート致します。 省エネ法関連(住宅・建築物分野) 省エネ措置の届出書作成サポート業務 PAL/CEC、ポイント法、簡易ポイント法による省エネ計算と届出書の作成をサポート致します。 建築物調査業務 登録建築物調査機関として定期調査を実施し、適合書を交付致します。 東京都環境確保条例関連 基準排出量の検証業務 東京都登録検証機関としての基準排出量の検証を実施致します。 削減計画期間における各年度排出量の検証業務 登録検証機関としての削減計画期間内の年度毎の排出量を検証致します。 建設認証事業本部 インサービス検査部 牧野 哲也 【お問い合わせ先】 ビューローベリタスジャパン株式会社 建築認証事業本部 インサービス検査部 TEL:045-664-3831 FAX:045-664-2017
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