初乳の化学的処理

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カーフノート No.66 初乳の化学的処理
はじめに
初乳は子牛の飼養管理に欠かせません。新生子牛に対する初乳の価値についてはほとんど疑いを
差し挟む余地はありません。子牛が生まれてから 24 時間以内に初乳を給与した場合、初乳に含ま
れる免疫グロブリンはそのまま子牛の血中に吸収されて子牛の健康と生存能力に著しい効果をもた
らします。
初乳の貯蔵
新生子牛の飼養管理において、高品質の初乳を正しい方法で給与することはきわめて重要です。
ある条件下では、母牛から初乳が得られないかも知れず、得られたとしても品質が劣っていたりし
ます。この場合、生産者には次の 2 つの選択肢があります。1 つは貯蔵初乳を使用するという選択
枝で、もう 1 つは初乳サプリメントや代用初乳を使用するという選択枝です。凍結初乳は高価なわ
りに、役に立たないこともあります。そこで、主に化学的処理により、初乳を凍結させないで貯蔵
する方法が研究されています。免疫能、特に IgG(および乳中の他の免疫成分)を保持できるよう
な貯蔵方法があれば、利用価値は高いと思われます。
研究結果
Mbuthia と共同研究者(1)がおこなった研究では、初乳はドイツの酪農場の乳牛から集められまし
た。数頭の乳牛から集めた初乳をプールし、4 つに分け、各々を試験開始まで 1ℓ ずつ凍結保存し
ました。0.1%および 0.05%のホルマリンまたは 0.1%および 0.5%のギ酸を初乳に添加し、これら
のサンプルを 200ml のプラスチック製容器に入れ、28℃で 4 週間保存しました。
ホルマリンやギ酸を添加していない対照サンプルは 14 日までに悪くなり、IgG の損失は大きく、
また生乳からは腐敗臭が発せられていました。これらのサンプルは廃棄されました。
対照サンプル中の IgG の損失は、試験開始7日目以降に大きくなりました(図)。さらに、臭い、
味、初乳中のカゼインからからホエイが分離している状態から、7 日目の対照サンプルは子牛への
給与に適さないことが示されました。これらの結果から、初乳を 20℃で貯蔵することは貯蔵法とし
て不適切であることが明らかに示されました。
ギ酸を添加したサンプルは、対照サンプルと比べて、初乳中の IgG の損失がより大きくなってい
ました。この結果から、ギ酸の添加は初乳貯蔵方法として明らかに不適切であることを示していま
す。しかし、著者らは、ギ酸添加処理を施した初乳は、対照サンプルのように腐敗やホエイの分離
はなかったと報告しています。
Calf Notes.com © 2001 by Dr. Jim Quigley
翻訳:道立根釧農業試験場 子牛研究会
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ホルマリンを添加したサンプルは、4 週間通して IgG が完全に保持されていました(図)。他の
研究者ら(2)は、ホルマリンを添加した初乳を子牛に給与し、IgG の吸収率は許容範囲にあり、他
の貯蔵方法と同等であったと報告しています。しかし、ホルマリンを扱う時やホルマリン処理した
初乳を給与する時は、中毒が発生する可能性があるので、極めて注意を払わなければなりません。
120
IgG 回収率 (%)
100
80
60
0.1% ホルマリン
40
0.05% ホルマリン
0.1% ギ酸
20
0.5% ギ酸
対照
0
0
1
2
週
3
4
結論
冷蔵(7 日間まで)や冷凍による初乳の貯蔵は、初乳の品質を維持する上で最善の貯蔵方法です。
しかし、今回の研究結果は、0.1%または 0.05%のホルマリン処理は、初乳を貯蔵する方法として効
果的であり、免疫グロブリンの損失がほとんど無いことを示しています。ただし、ホルマリンを扱
う際には、安全に配慮し、危険がないように予防策を講じることが重要です。
【訳注:日本では、飼料添加物としてギ酸は認可されているが、ホルマリンは認可されていな
い。】
参考文献
1.
Mbuthia, E. W., F. Klobasa, C. K Gachuiri, and A. Abate. 1997. Effect of treatment with formaldehyde and formic
acid on immunoglobulin content of stored bovine colostrum. Animal Feed Science & Technology. 67:291-298.
2.
Meyer, H., H. Lustermann, G. Steinbach, R. Leirer, W. Tettenborn, and G. Reichard. 1982. Conservation of
colostrum. Monatsheft Vet. Med. 37:27-32.
Written by Dr. Jim Quigley (17 September 2000).
€ 2002 by Dr. Jim Quigley
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翻訳:道立根釧農業試験場 子牛研究会
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