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【学会発表】
演題名
スフィンゴ脂質の食品機能性について
発表者
木下幹朗 1、間 和彦 1,2、小野治三郎 2、菅原達也 3、小田有二4、櫛 泰典 1、宮澤陽
夫5、大西正男 1
(帯広畜大・生資科 1、日本製粉・中研 2、国立健康・栄養研 3、
農研機構・北農研4、東北大院・農5)
学会名
日本農芸化学会2003(口頭発表)
発表日
2003年3月
【発表内容】
目的
動物起源のスフィンゴ脂質は抗発癌作用や各種細胞へのアポトーシスを誘導することが知られて
1、2)
いる。我々は植物スフィンゴ脂質の機能性について検討してきたが
、今回は植物セレブロシド
からスフィンゴイド塩基およびセラミドを調製し、植物スフィンゴ脂質の構造とアポトーシス誘導活
性との関連についてヒト結腸がん細胞株を用いて検討した。
方法
各種の植物や真菌からセレブロシドを分離精製し、常法によってスフィンゴイド塩基画分を調製
し、逆相 HPLC によって各種スフィンゴイド塩基の単一分子種を得た。アポトーシス誘導活性は、5
X104cell/cm2 の Caco-2 細胞を24時間 10%牛胎児血清添加 DMEM 培地で培養した後、血清未
添加の DMEM 培地に切り替え、これに 0〜50M のスフィンゴ脂質誘導物を添加した。アポトーシ
スに陥った細胞は、細胞核を 0.05% 4',6-diamidino-2-phenyliodole (DAPI)で染色して蛍光顕微鏡
下で計測された。また、スフィンゴ脂質との連関が示唆されている、β—カテニンの動態はウェスタ
ンブロット法で解析した。
結果
20µMのスフィンゴイド塩基分子種(d18:24t,8t、d18:24t,8c、および 9-Me d18:24t,8t)を添加すると、動物
由来の trans-4-Sphingenine(d18:14t)や 4-Hydroxysphinganine(t18:0)と同様に 10%のアポトーシ
ス細胞が認められ、特に、d18:24t,8c、および 9-Me d18:24t,8t が他の分子種と比較して高い傾向が
認められ、スフィンゴイド塩基投与で、細胞内β—カテニン含量が減少した。また、分化させた
Caco-2 細胞では、スフィンゴイド塩基でのアポトーシスはほとんど誘導されなかった(3%以下)。
以上の結果より、1)スフィンゴイド塩基によるアポトーシスにはβ—カテニン(細胞増殖を亢進させ
る wnt-β—カテニン経路の初発タンパク)の減少が関与する。2) 接触阻害により Caco—2細胞を
分化させると、アポトーシスが減少することが明らかになった。