「風力発電の環境アセスメント」 - 日本環境アセスメント協会

JEAS NEWS SPEC:AL:SSUE
「風力発電の環境アセスメント」
いるのか、今後 の技術 開発 はどうなるのか、あわ
「風力発電の環境アセスメント」
今回の特集は、
せて、国内外の取り組み状況を紹介する。
を取 り上 げた。この特集では、環境省で この制度
改革の検討会 (風 力発電施設 に係 る環境影響評
なお、本検討会 の最終案 はこの夏 に出される
価 の基本的考 え方 に関する検討会 )の 座長を務
予定であり、記事 で紹介 した内容 が最 終案 では一
めておらねる福岡大学浅野直人先 生 にその概要
部変更 になる可能 性 があることに留意いただき
を解説 していただくとともに、今何が議論されて
たい。
I風 力発電と環境アセスメント
1.環 境影響評価法改正と風
福 岡大学法学部
教授
浅野直人
の傾 向にあ り、 1990年 には1基 当 た
なるとして、政令改正に反対、ある
り平均 100kWで あったが、2009年 に
い は中小規模の施設については、 こ
2011年 4月 27日 に 「環境影響評価
は平 均 2,000kW、 1事 業 で は 平 均
れまで と同様に自主的なアセスメン
法 の一部 を改正する法律」が公布 さ
10,000kWを 超 える状況 となってい
トにゆだねるべ き、 との意見 も根強
れた。中央環境審議会で同法の改正
ることも見落 とせ ない。対象事業 の
い。 しか し、今後 の風力発電所 の設
につ い ての 答 申が 出 され たの は、
変更、追加 は法改正 を要することな
置 にあたっては、風力発電事業者が
2010年 2月 22日 であ り、改正法案が
く政令改正で実現で きるが、法案の
透明性 の高い環境影響評価 を適正 に
国会 に提 出 された のは、同年3月 で
国会審議が遅れていたこともあって、
実施 し、 よ り環境 の保全 に配慮 した
あったので、 よ うや く1年 余 ぶ りに
検討作業は、2010年 10月 か ら始め ら
事業 の実施の確保 を図ることこそ、
法案が成立 したことになる。 ところ
れ、 この夏 までには報告が と りまと
再生可能エ ネルギーの導入促進や地
で、上記 の答申では、風 力発電施設
め られる。 ところが、検討作業中の
球温暖化対策を推進 してい くことに
の設置にあたって、騒音、バ ー ドス
2011年 3月 に起 こった東 日本大震災
つ ながるとい うべ きである。反対 ・
トライク等 の被害 も報告 されて いる
等 の影響 による深刻な電力 不足 のお
消極論が、環境 アセスメン トが事業
ほか、条例以外 による環境 影響評価
それ とい う事態 か ら、再生可能 エ ネ
による環境影響が皆無 であることを
を実施 した案件の うち約4分 の1が 住
ルギー導入へ の期待が これまで以上
強要するもの との誤解 によるもの、
民 の意見聴取手続 きを行 って い ない
に大 きくな り、風力発電へ の期待 も
さらには、本来なされるべ き環境配
ことなどか ら、「風力発電施設の設
さらに高 まって きた。そ して、 この
慮 のための経費を余分 な負担 と考え
置 を法の対象事業 として追加する こ
段 階での環境 アセスメン トの法 アセ
る1960∼ 70年 代 にみ られが ちであ
とを検討すべ き」 とされていた。 さ
ス化は新規立地の遅延や経費増加 を
った古 い感覚か らくるものでないこ
らに近時 は、風力発電施設が大型化
もた らし、風力発電 の拡大 の妨げに
とを信 じたい。ただ し反対 ・消極論
力発電の取り扱い
2
IEAS NEヽ FS 161 Sulllmer 2011
│
m
愛媛県の風力発電施設
の背景 には、これ までの電力立地 の
滝根小自丼ウインドフアーム (福 島県)
とか らも、 どの よ うな変化・影響が
環境 アセスメン トの手続 きは電気事
ところでこれまで風力発電 とい え
ば、騒音 ・低周波音やバ ー ドス トラ
生 じるかを予測 し、これを明 らかに
業法 によって環境影響評価法手続 き
イクに関心が集 まっていたが、 さら
してお くことは、事業実施手続 きの
とは別の手続 きが定め られてお り、
に住宅地周辺 に立地する場合 には、
透明性 を確保 し、 関係者 の あ らか じ
よ り厳格 なもの
他 の事業種 に比 して、
生活妨害 の一種 とい えるシャ ドーフ
めの適切 な理解 と紛争回避 にもつ な
とされて きた ことがあるようにも思
リッカーが問題であ り、人里はなれ
がることである。
われる点を指摘 してお く必要がある。
た尾根筋な どに立地す る場合 には、
大型 の発電設備 を立地地点に搬入す
3.今 後の課題と期待
2.風 力発電アセスメントの
ポイント
るための工事 にともな う自然破壊ヘ
風力発電については、立地場所 の
の十分な配慮が必要 となる。 さらに
特性 に応 じたアセスメ ン トの類型化
大気へ の汚染物質や公共用水域 ヘ
発電サ イ トの土地改変にともな う水
の作業を行 い、配慮すべ き環境項 目
の温排水 の排 出等が考えられる火力
の汚濁や法面崩壊等へ の配慮が必要
を的確 に抽出で きるよう技術的指針
発電等 と比べ た場合 に、風力発電立
である。 このほか、風況の よい 山の
をとりまとめる必 要がある。 また、
地及びその運転 による環境影響 は大
上などに立地 する場合 には景観へ の
バー ドス トライクとの関係で問題 と
きく様相が異なってい る。 また、そ
影響が問題 となる場合 もある。 しか
な りそ うな渡 り鳥の通過 ルー トなど
の立地場所 によって、 問題 とな りそ
し、それ以外の大気汚染や濁度以外
の資料はで きるか ぎり公的環境部門
うな事象 に大 きな差異がある。その
の水質汚濁 に関 しての大規模 な影響
で収集整理 し、これ らの情報 を事業
意味で風力発電 アセスメントでは、
調査が必要 とされるわけではない。
者が利用で きるようにすることも必
これまでの発電 アセスのよ うないわ
つ まり風力発電 に係 る環境 アセス
要である。 さらに低周波音による影
ばフルコースメニューの調査・予測 ・
メン トでは、 これ まで以上に、立地
響 など、従来の騒音 とは異 なる事象
評価が求 め られるわけではない。 ま
予定箇所 の特性 を踏 まえた方法書 の
についての科学的知見をより多 く蓄
た、風 とい う自然エ ネルギー による
段 階での項 目の絞 り込みが重要 であ
積す ることも求められる。 このほか、
発電 の特性 として、他 のエ ネルギー
り、他 の事例 をそ の まま引 き写す と
風況が よ く送電線設置 の条件が よい
種以上に立地場所の決定に先立って、
い った在来型の環境 アセスメ ン トの
地点へ の風力発電施設 の集中 も考え
現地 の風況等 の 自然的条件 を詳細 に
や り方を大 きく改める必要がある。
られることもあ り、累積的環境影響
調査する ことが普通であろ うか ら、
この段 階での十分な検討が行われ
について環境 アセスメ ン ト制度 とし
その調査 に際 し、関連す る自然的環
るな らば、調査 ・予測 ・評価 の期間
て どの よ うな扱 い をすべ きか、 とい
境要素についての情報をあわせて入
や費用 の浪費を防 ぐことがで きるは
う課題 の検討 も急 ぐ必要がある。 い
手 してお く余地が大 きい とも考え ら
ずである。そ して また、運転開始後
ずれにせ よ、風力発電アセスは、環
(そ の意味では、改正法 によっ
に、「想定を超 えた」環境影響が生
境 アセスメン ト制度が本来あるべ き
て新設 される配慮 書手続 きに関 して
じて地域で紛争 を生 じる、 とい った
姿を示 し、多 くの誤解 を解 く機会 と
は有利な条件 にあるエ ネルギー種 と
事例 が多かったことが、立地計画の
もい えよう。その健全 な発展 を祈 り
い うこともで きそ うである)。
段 階での反対 を引 き起 こ してい るこ
たい。
れる
う
JEAS NEWS 131 Suinnlcr 2011
│
│■ 特集
風力発電の環境アセスメント
1国 内の取り組み状況
1.は じめに
2011年 5月 26日 、主要国首脳会議
(G8)出 席 のため にフラ ンス ・ ド
超 えてお り、主要な風力発電先進国
ルギ ー による発電量 は約5%程 度 で
と同様 に、風車 の大型化が進んでい
あ り、風力発電 の 占める割合 は1%
ることが分かる。
未満 である。
年度別の導入量の推移 については、
一方、世界の風力発電総設備容量
以降導入量が多 くなってお り、
は、2009年 に15,850万 kWに 達 し、
年記念 フォー ラムで演説 した。その
2006年 度が407,171kWで 最 も多 く、
毎年、前年比20∼ 30%超 の伸 び率
内容 は、3月 11日 の東 日本大震災に
次 いで2009年 度の305,754kWと なっ
を示 している。設備容量が多 い国は、
ともなう福 島第一原子力発電所 での
ている。
順にアメリカ、中国、 ドイツと続 き、
事故 を受け、現在 のエ ネルギー政策
(2)地 域別 の導入状況
日本 は 13位 で世 界全体 のわ ずか約
ービル を訪れた菅直人首相は、経済
協力開発機構
(OECD)の 設立50周
2CXXl年
を見直 し、太陽光や風力 などの再生
地域別 の導入状況 について、導入
可能エ ネルギーの発電に占める割合
設備容量 でみると、青森県 が最 も多
を現在 の9%か ら「2020年 代 ので き
く30万 kWに 届 きそ うな勢 いであ り、
るだけ早 い時期」までに20%と す る
次 いで北 海道 の約 26万 kW、 鹿児島
目標 となってい る。
県 の約 15万 kWと なって いる (図 参
再生可能エ ネルギーの一つ として、
1.3%を 占めるに過 ぎない。
3日
風力発電 に関する最近の
話題や課題
(1)風 力発電の導入ポテンシヤル
2011年 4月 、環境省 は国内で再生
11)。
温室効果 ガスJ卜 出量が少な く、比較
青森
設置基数 では、北海道266基 、
可能エ ネルギー を導入 した場合 にど
的発電 コス トが低 い風カ エ ネルギ ー
県200基 、鹿児島県 107基 となって い
の程度の発電量が見込めるかを試算
にかかる期待 は、今後 ます ます大 き
る。
した結果を発表 した。
島根県 では、 日本で最大 の設備容
風力発電はきわめて大 きなポテ ン
ここでは、国内における風力発電
量を持つ ウイ ン ドファームが運転 を
シャル等が推 計 され、試算 の対象 と
について、最新 の情報や話題 を紹介
開始 した こともあ り、2009年 度にお
なった再生可能エネルギーの中では、
す る。
ける国内の新規導入量 の3分 の 1で あ
普及 で きる余地が最 も大 きい とされ
る10万 kWを 導入 している。 この他、
てい る。
くなると考え られる。
2.日 本における風力発電の
状況
(1)風 力発電の導入状況
静岡県、長崎県、三重県、茨城県、
事業性 を考慮 した導入可能量につ
愛媛県及 び鹿児 島県 にお いて も、大
いて、陸上風力発電 は2,400∼ 14,000
幅な設備容量 の増加が見 られる。
万 鰤V、 洋 上風 力発電 は0∼ 300万 鵬V
と推計 されている。
わが国における風力発電設備の導
一方、宮城県、埼 玉県、山梨県、
入量 について、21XD年 度末に総設備
長野県、大阪府、広島県及び香川県
容量 は218万 kWを 超 え、総設置基数
の1府 6県 には、2010年 3月 末時点で、
く、北海道や東北地方 では従来 の電
は1,683基 となって い る。また、これ
風力発電は導入されてい ない。
力供給能力を上回る導入 ポテ ンシ ャ
までの累計導入量 について、設備容
(3)風 力発電 の占める割合
ルが推計 されて い るものの、地域 間
量 を設置基数で割 ってみ る と、 1基
日本国内にお い (2008年 度 の 日
当た りの平均設備容量 は1,000kWを
本 の全発電量に占める再生可能 エ ネ
4
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│
ただ し、地域偏在性が きわめて強
連携設備能力 の 限界等があ り、中短
期の導入 には検討すべ き課題が多 い。
■図 都道府県別風力発電導入量
NEDO技 術開発機構 (2010年 3月 末現在
300,000
)
300
280,000
280
260,000
260
240,000
240
220,000
220
200,000
200
160,000
160
140,000
140
120,000
120
100,000
100
80,000
80
60,000
60
40,000
40
20,000
20
0
0
沖縄県
鹿児島県
宮崎県
大分県
熊本県
長崎県
佐賀県
福岡県
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山 口県
広島県
岡山県
島根県
鳥取県
和歌山県
奈良県
兵庫県
大阪府
京都府
滋賀県
福井県
石川県
富山県
三重県
岐阜県
愛知県
静 岡県
長野県
山梨県
新潟県
神奈川県
東京都
千葉県
埼 玉県
群馬県
栃木県
茨城県
福島県
山形県
秋田県
宮城県
岩手県
青森県
北海道
180
(2)風 力発電を取り巻く現状と今後
の技術開発
世界の風力発電市場が堅調 に拡大
を続けてい る一方 で 日本国内に目を
向けてみると、 日本特有 の 山岳地形
へ の影響
設 置基 数 ︵
基︶
設 備 容 量 ︵W︶
k
180,000
研究を進 めている。
●リスクコ ミュニケーション、サ
実証研究期間は2010年 度か ら2013
イエ ンスコ ミュニ ケー ションの
年度 まで の4年 間を予定 してお り、
強化 と育成
千葉県銚子市沖3km地 点にお いて実
(3)浮 体式洋上風力発電実証事業
施 してい る。
や風況特性 の複雑 さ、系統連系等 の
環境省 では、浮体式洋上風力発電
実証内容は、 日本 の気象 ・海象条
制約等が導入 の障壁 とな り、成長率
の21116年 度の実用化 を目指 し、わが
件 に適 した洋上風力発電 システムの
は小 さく市場 は低迷 して いる。国内
国初 となる2MW級 (2,000kW級 )の
開発、洋 上風 力発電 システムの保守
市場 の活性化や海外市場 で競争力 を
浮体式洋 上風力 発電実証機 の設置候
管理技術 の開発、洋上風力発電 シス
高めるためには、以下に示す ような
補海域 に長崎県 五 島市椛島周辺 を選
テムの設計指針 (案 )の 作成、環境影
風力発電 を取 り巻 くさまざまな立地
定 し実証事業を進 めている。
響評価等である。
制約 を克服する技術開発が今後 ます
本事業 では、2,CXXlkW級 実証機 の
(5)風 力発 電施設 か ら発生 す る騒
音。
低周波音の実態把握
ます重要になって くる。
設置 に先立ち、 ltXlkW程 度以下 の小
○設置、発電 コス トの低減化
規模試験機 を実施海域 に設置 し、環
環境省 では、風 力発電施設 に関 し
○設置可能地域 の拡大
境影響 や安全性 に関す る情報を収集
●弱風域へ の展開
した上で、今後実施する環境影響評
て低周波音 の苦情が寄せ られて い る
ことに対 して、騒音 ・低周波音 の実
●洋上風力 発電
価 の結果等 を踏 まえて、実証機 の設
態把握 のための調査 を実施 し、2010
○系統連系対策 (電 力安定化 )
置の可否を判断す ることとしている。
年3月 に測定 ・解析結果 を発表 した。
○環境適合性 の強化
(4)洋上風力発電システム実証研究
独 立行政法人新 エ ネルギー ・産業
環境省 は、引 き続 き国内のよ り多
くの風力発電所で詳細 な調査 ・解析
技術総合 開発機構 (NEDO)は 、国
を行 い、風車か らの騒音 ・低周波音
●バー ドス トライク
内初 の沖合 での洋 上風力 発電 の実現
と人へ の影響 との 関係 について、そ
●洋上風力発電 における海洋生物
に向け、洋上風力発電 システム実証
の実態 の解明 に努 めるとしている。
●風車音 (騒 音、低周波音 )に 対
す る苦情対策
)
JEAS NEWS 131 Sunnmer 20H
│
│■ 特集
風力発電の環境アセスメント
4口 風力発電に係る国の環境
影響評価の取り組み
(1)環 境影響評価制度導入の背景
これ まで風力発電所 に対す る環境
アセスメン トの法規十りはなかった も
のの一部 の地方公共団体 にお いては
環境影響評価条例 を適用 し、条例の
事業 に関連する環境影響 は、騒音 ・
車 の直径 を加 味す ると相当高 い設備
低周波音、鳥類、動植物、景観及び
であ り、稜線 ・海岸 ・岬 ・高原 ・島
その他に分類 される。
1)騒 音 。低周波音
嶼等 の見通 しの良 い場所に設置 され
風力発電設備 の近隣住民が苦情 等
を訴える問題が生 じている。
2010年 4月
る場合が多 いこ とか ら景観へ の影響
に関する問題が生 じて いる。
5)そ の他
1日 時点 で稼働 中 の風
巨大な風車 の羽根が回転すること
ない地方公共団体 ではNEDOが 定め
力発電所 を対象 として、環境省水 ・
で影 による明暗が作 られるシャ ドー
た「風力発電 のための環境影響評価
大気環境 局大気 生活環境室が騒音 ・
フリッカーが発生する。風力発電設
マニュアル」に準 じて 自主的な環境
低周波音 の苦情等についてのア ンケ
備 の近隣にお いて、近隣住民が シャ
影響評価が実施 されてい る。 ところ
ー ト調査 を実施 した ところ、 回答が
ドー フリッカーの苦情 を訴える問題
が、環境影響評価が実施 されて い る
あった389箇 所 の風力発電所 の うち、
が生 じてい る。
に もかかわ らず風力 発電事業 に関連
騒音 ・低周波音 に関する苦情が寄せ
これ らの風力発電事業に関連す る
し、地域 住民 の苦情や周辺環境へ の
られたか、要望書が提 出された こと
環境影響 について検討会で示 された
影響 を懸念する議論が徐 々に顕在化
があるものは64箇 所
主な指摘事項を表に示す
し、社会 問題 としてクロー ズア ップ
情等が継続中の ものが25箇 所、終結
されるようになって きた。
した もの力湯9箇 所 )で あった。
(調 査時点で苦
(表 参照)。
境影響評価法 の改正 と並行 して、風
風車 の羽根 に鳥類が衝突するバ ー
風力発電に係る地方公 共
団体の環境影響評価 制度
(1)条 例の制定状況と実施件数
力発電所 を環境 アセスメン トの対象
ドス トライクの問題が生 じている。
環境影響評価条例 において、「風
事業 に加 える制 度改 革 に 向けて、
た とえば、オジロ ワシについて、判
力発電所 の建設」 を対象事業 にして
2010年 10月 に「風力発電施設に係 る
明 してい る限 りでは、風力発電設備
い る地 方公共団体 は、都道府県 で福
環境影響評価 の基本的考え方 に関す
へ のバー ドス トライクが3番 目に多
島県、長野県、滋賀県、兵庫県、岡
る検討会」 を設置 し、これまで数回
い傷病要因 となってい る。
山県、長崎県 の6団 体、政令指定都
にわたる検討会を開催 してい る。
3)動 植物
市 で新潟市 の 1団 体 となっている。
この ような背景 の下、環境省は環
2)鳥 類
5日
検討会では、①風力発電事業の規
模、②評価項目、調査・予測・評価
風力発電設備が山地 の尾根や海岸
この うち、 これ まで実際に環境影響
などに設置 され、広範囲にわたる取
評価条例 を風 力発電所 に適用 した事
の手法等について検討結果がまとめ
付道路 の建設が動植物 の生息 ・生育
例は、福島県 の7件
られ、パ ブ リック コメ ン トを経 て今
環境 の消失 ・分断に影響する ことや
中)、 長野県 の 1件 (手 続 中 に事業
年夏頃までに成案を得る予定である。
土地の改変による水 の濁 りの発生等
廃止)、 兵庫県の1件
(2)風力発電事業に関連する環境影
の問題が生 じてい る。
岡山県の1件
響
4)瓢
検討会で議論 されてい る風力発電
(う
ち4件 は手続
(手 続終了)、
(手 続中)と
なっている。
また、風力発電を対象 として明記
風 力 発 電 設備 は タワ ー の 高 さや 風
6
ll:AS NEWS 131 Stllnlnler 2011
│
していない ものの、「発電所の建設」
■表
検討会報告書骨子 (案 )の 主な指摘事項
評価 項 目
分類
検討会報告書骨子 (案 )の 主な指摘事項
規 模 要 件 の指 標 としては、発 電 所 の総 出力または基 数 が適 当 ではないか。
指標
一定の規模以上の事業を法の対象とし、
それ以下の規模の事業は条例において対象とする。
水準
増 改 築 事 業 に関 する規 模 要 件
風 力発 電 事 業 に
関 する規 模 要 件 その他
評 価 項 目の
選 定等 の
基 本 的 考 え方
地 域 特 性 に基 づく規 模 要 件 等
新設のみならず、
増改築事業についても規模要件を設けることが適当、
新設事業と同じ水準とするべき。
第 二種 事 葉 の 規 模 要 件
他の法対象事業と同様に第二種事業の規模要件を第一種事業に準ずる規模 (第 一種事業に075を 乗した数値以上 )と し
て設定することが妥 当。
スクリーニングの判定基準
一定の範囲内における工事時期が重なる他の風力発電所の設置により、
総体として第一種事業規模を超える場合には、
環
境影響評価を行う。
洋 上 風 力発 電
陸 に近 い位 置 に設 置 されるもの は環 境 影 響 の特 性 が陸 上 風 力発 電 と明確 な違 いがないと考 えられる。
規 模 要 件 に満 たない事 業
住民への説明を通じた情報交流の機会を確保することが重要であり、
環境影響評価の実施及びその説明についての自主
的な対応を積極的に行うべき。
軽 微 な修 正・変 更 等
事 業 内 容 を変 更 した場 合 でも評 価 手 続 きの再 実施 を要 しない軽 微 な修 正・変 更 の規 定 を設 けることが適 当 。
環境影響評価の対象範囲
工事中の環境影響も予測及び評価の対象に含めるべき。
供用時に加え、
取付道路や土捨て場等、
景観上の観点から範囲を広く設定して、
地方公共団体及び地域住民等の意見を幅広く聴取する。
評 価 項 目の選 定
立地や地域特性に応して適切に選定することが重要、
具体的には、
騒音、
低周波音、
動物、
植物、
生態系、
景観及びシャドー
フリッカーがあげられる。
風力発電設備に最も近い住宅等に加え、
現況騒音からの増加分が大きくなることが懸念される住宅等を方法書段階におけ
る意見聴取等を通じて選定。
調査 手 法
騒 音・低 周 波 音
予 測・評 価 手 法
環 境保 全 措 置・事 後 調 査
調 査 、予 測 及 び
評価 手 法等の
基 本 的 考 え方
必 要 に応 じて条 例 において措 置 されるべ きではないか。
動 物 、植 物
及び
生 態系
景観
シャドー
フリンカー
環境基準を満たしているにもかかわらず苦情等が発生していることから、
静穏な地域に設置する場合には、
現況騒音からの増
分についても調査した上で評価すべき。
「1基 のみの場合、
通常250m程 度離せば生活への影響はなくなる」と記述されていることについては、
騒音・低周波音に対
する苦情等の発生状況と整合がとれていない場合もあるという意見があった。
調 査 手法
生 息・生 育 する動 植 物 の 生 態 等 の特性 に応 じた調 査 を適 切 な時 期 に実施 。
予 測・評 価 手 法
生息・生育環境の改変、
工事による水の濁
鳥類等のブレード等への衝突等の直接的な影響と鳥類等の移動経路の阻書、
り等の間接的な影響。
環境保全措置・事後調査
その結果に応した適切な対策を検討。
現状の把握、
事後調査を実施し、
調 査手 法
地形条件、
気象条件及び主要な眺望点の分布状況などの地域特性に応じて、
調査地域を広くとること。
予測・評 価 手 法
季節により見え方が変化することを考慮して時期を設定することや、
見通しの良い晴天時に行うこと、
評価は、
近景、
中景及
び遠景について行うべき。
環 境 保 全 措 置・事 後 調 査
地域特性に応じて、
風力発電設備の配置、
高さ及び色彩等についての配慮 。
調 査手 法
諸 外 国の 事例 やガイドライン等 を参 考 に、風 力発 電 設 備 の近 隣 にある住 宅 等 を選 定 する。
予測・評 価 手 法
発電設備の影が及ぶ範囲の図示等を行うとともに、
その影響が最大限回避・低減されてぃるかを評価する。
環 境保 全 措 置・事 後 調 査
発電設備の位置や基数の変更、
発電設備の影が広域に及ぶ時期・時間帯における運転停止、
影響が及ぶ箇所において
視覚的に遮る措置等が行われた事例がある。
等 の事業 として風力発電 を対象 にし
れ合 い活動 の場等 の項 目が選定され
本大震災等 の影響 もあって、一層風
て い る地 方公共団体が3団 体、 「高
ることが多 い。
力発電が脚光を浴びる状況にある。
層工作物 ・高層建築物又は工場 ・事
(3)ガ イドライン等の制定状況
業場 の建設」 の事業 として適用 した
今後、風力発電所 の大幅な増加 も
風力発電所 の環境影響評価や環境
予想 される一方、その設置 にあたっ
調査等に関す るガイ ドライ ンまたは
ては、 より地域住民 との コ ミュニ ケ
指針 を作成 している地方公共団体は、
ー ションや環境の保全に配慮す るこ
いて、環境影響評価条例 を風力発電
都道府県 では長野県、静岡県、鳥取
とが重要である。
所 に適用 した事例 は計 16件
県、島根県、鹿児島県 の5団 体、政
地方公共団体カラ団体ある。
以上 よ り、 これ までにわが国にお
(う
ち9
件 は手続 中、 1件 は手続 中 に中断)
令指定都市 では浜松市 の 1団 体、そ
となってい る。
の他 の市町で稚内市 (北 海道 )、 酒
(2)環 境影響評価の項 目
田市
(山 形県)、
遊佐町
(山 形県)、
環境影響評価条例 を風力発電所 に
掛 川市 (静 岡県 )、 豊橋市 (愛 知
適用 した16件 について、工事中の影
県 )、 新城市 (愛 知県 )の 6団 体 の
響 に係 る評価項 目として、工事用車
計 12団 体ある。
合 い活動 の場、廃棄物 の発生等 の項
目が多 く選定されてい る。
彰)
<参 考文献>
「第7回 風力発電施設に係る環境影
(1)環 境省
響評価の基本的考え方に関する検討会資料報
告書骨子 (案 )」
(2)NEDO再 生可能エネルギー技術白書「3
風力発電の技術の現状とロードマップ」
・産業技術総合
(3)独 立行政法人新エネルギー
両等による騒音 ・振動、土地の改変
による水質や動植物 ・生態系、触れ
(編 集委員 :柴 崎宏―郎/竹 下
6.お わりに
風力発電を含む再生可能エ ネルギ
ーの導 入拡大は、地球温暖化防止対
開発機構 (NEDO)「 日本における風力発電設備・
導入実績」
(4)環 境省「平成22年 度 再生可能エネルギー
供用後 の影響 としては、騒音、低
策 の有効 な手段の一つ として推進 さ
周波音、動植物 ・生態系、景観、触
導入ポテンシャル調査 報告書」
(5)環 境省「風力発電施設に係る環境影響評
れて きてい るが、先に発生 した東 日
価の基本的考え方に関する検討会」資料
7
JEAS ttWS 131 Summer20■
│
│■ 特集
風力発電の環境アセスメント
1海 外 の取り組み状況
1日
はじめに
∼洋上風力発電を中心 に∼
生物多様性 の観点か ら考え られる
針 を2CX11年 に作成 し、2CX14年 に更新
世界 の 2010年 末 の風力発電 の 累
悪影響 として、施設へ の衝突 による
計導入量は194.4GWで あ り、世界 の
影響、施設 の存在 による障壁 として
指導指針 は、事業者及 び コンサ ル
電力需要量 の2.3%を 占めている。
の 影響 (鳥 類 の 飛行経路 の 回避 な
タン トが環境影響評価 を適切 に実施
ど)、 生息地 の消失 ・劣化 などがあ
するよう、科学的なガイダンス を示
な く、 よ り安定 した風力発電が可能
げ られてい る
また、ポ
した ものであ り、環境影響評価 の実
な洋上風力発電が脚光を浴びてお り、
ジテ イブな影響 として、風力発電施
施に際 して必要な事項や項 目毎 の情
特 に欧州で発電量が伸 びてい る。本
設周辺 での漁業や狩猟 の制限による
報源情報等が示 されてい る。取 り扱
稿 では、わが 国にお いて も取 り組 み
避難場所 としての機能、風力発電施
われている環境要素 は、海岸 ・堆積
が始 まった洋上風力発電に着 目し、
設立地にともなう市街地 など他用途
プ ロセス、底生生物、魚類、漁業、
欧州 の現状 をとりまとめる。
の土地利用計画 の制限、洋上風力発
航行、歴史的な海底利用、海生哺乳
電にあたっては施設による水際など
類、鳥類であ り、特 に、海岸 ・堆積
の新 たな生態系 の創 出などがあげ ら
プロセスについては、調査計画立案、
れてい る。加 えて、累積的影響 の可
環境保全措置、事後調査な どの留意
能性 にも触れ られている。
点が詳細に記載されている。加えて、
近年、地形や建物 による影響が少
2.洋 上 風 力 発 電 の 現 状
(1)
2010年 現在、欧州で は1,136基 、
2,946MWの 洋 上 風 力発電施設が あ
(図 参照)。
り、陸上 を含 む風 力発電全体 の 10%
また、特 に影響があ る種群 には`島
を占めてい る。最 も洋上風力発電量
類、 コウモ リ類があげ られ、洋上風
が多 い 国は英国 (1,341MW)で 、次
力発電 については、海生哺乳類や魚
いでデ ンマー ク (854MW)で ある。
類へ の影響が取 り上 げ られてい る。
2011年 には、 13箇 所 、計 4,000MW
(2)生 活環境
してい る。
累積的影響 や施設解体時の影響 につ
いて も取 り扱われてい る。
5.洋上風力発電の環境影響
評価の事例
の洋上風力発電が計画 されてい る。
生活環境 の保全 の観点 か らは、景
欧州以外では、中国が2010年 8月
観、騒音、 シャ ドー フリッカー によ
ス コ ッ トラ ン ド政府は、12海 里内
か ら102MWの 洋上風力発電施設が、
る影響 に加 え、風力発電施設か ら1
わが国では17基 28.5MWの 洋 上風力
マ イル (1.6km)以 内にあ る低層住
にある洋上風力発電計画を、短期 ・
中期 。長期に分け、短期 。中期 の計
発電施設が稼働 して い る。 一方、米
宅 の家賃が下が る傾 向 にあると記載
画を対象にSEAを 実施 してい る。
国では、Cape
されている。
Wind洋 上風力発電
短期計画 は2010∼ 20年 の 間に計
画 されている10地 点が、中期計画 は
計画が大統領承認 の もと進 んでいる
ものの、稼働 してい る施設はない。
今後、世界中で86箇 所48,227MW
の洋上風力発電が計画されている。
(1)SEA(4)
4.洋 上風力発電の環境影響
評価 に関 する指導指針
(英 国 )(3)
2020∼ 30年 の25地 点が取 り上げられ、
気象、水資源
(地 下水含む)、
地質・
堆積 プ ロセス、生物多様性、景観、
世界 で最 も洋 上風力発電量が多 い
人口 ・健康、歴史文化、資産 (社 会
3日 風 力 発 電 の 環 境 影 響 (2)
英国の環境食糧農林省 は、洋上風力
基盤)に ついて、調査、予測、評価
(1)自 然環境
発電 の環境影響評価 に関する指導指
が行われてい る。
8
ヽ131 Sul■ lincr 2011
Jl:AS NEヽ 薄
│
JEAS NEWS SPECiALiSSUEI
■図
洋上風力発電の鳥類へ のインパクトフロー
基礎や耐波構造物
による生息場所の破壊
基礎や耐渡構造物による
新たな生息場所の創造
「物理的」生息地の減少
「物理的」生息地の増加
移動 (渡 り、
給餌
飛翔など)の 障害
物理的影響
「有効な」生息地の減少
生態的影響
エネルギー損失
物理的生息場所の喪失/改 変/増 加
視覚刺激 一回避反応
影響要因
エネル ギー消 費の増 加
エネルギー摂取 の増加、
エネルギー支出の減少
エネルギー摂取の減少、
エネルギー支出の増加
生存率の低下
年間繁殖数と生存率の変化
適応結果
回転翼などへの衝突や
乱気流による致命傷
個体群への影響
注 )こ の フローチャートは、洋 上 風 力発 電 所 の建 設 による鳥 類 へ の3つ の主 な影 響 要 因 について説 明 しており、鳥 類 へ の物 理 的・ 生 態 的 な影 響 と、これらによるエネルギー損 失 と適 応 結 果
二 重 線 で示 した枠 はモデル化 が必 要 な過 程 を示 している。
及 び個 体 数 レベ ルヘの 影 口 を示 している。太 線 で示 した枠 は潜 在 的 に測 定 可 能 な影 薔 を、
各要素 は、悪影響、 ポジテ ィブな
風力発電施設が建設 される海域 に
的に捉 えられてお り、景観 の面か ら
影響、不確実 な影響 に分け、その程
加 え、海底 に埋 設す るケー ブ ル、陸
も好意的に考えている住民 が多 いこ
度を予測 して いる。 また、環境保全
域での送電施設による影響 を考慮 し、
とが記載されている。
措置 として、EIAに おける詳細調査
の実施や予測 モ デ ルの立案 に加 え、
海底地形等調 査、海生生物、鳥類、
海上交通、漁業、潮間帯 ・陸域生態
6.お わりに
詳細計画立案 に際 して影響が少ない
系、騒音 、文化財、景観を対象に現
工法等 を選定す ることなどが記載 さ
地調査を行っている。
SEA制 度がす でに導入 されてい る
欧州 とわが 国では、アセスメン ト制
また、デ ンマークのエ ネルギー庁
度などが異 なるが、事業に よるポジ
SEAの 結論 として、短期計画は、
は、 2002年 に試 運 転 を開 始 した
テ ィブな影響 を記載 している点や、
影響が回避、低減、代償可能なため、
Homs rev発 電所及 び2∞3年 に開始
基盤環境である海底地形や堆積 プ ロ
計画 を進めることが適当であるが、
したNysted洋 上風力発電に係る環境
セスに着 目した調査等が行 われてい
中期計画の うち、2箇 所 は、雛 Kilda
影響 について、 1999年 か ら20∞ 年 ま
る点な ど、わが国のアセスメン ト技
世界遺産へ の影響 があるため、取 り
で行 った調査結果 を踏 まえて、 とり
術 の参考 になる点 も見 られた。
止めるべ きであると記載されている。
まとめている。
れてい る。
(2)EIA(5)、
(6)
(編 集委員 :上 原
励/細 川岳洋 )
それによると、鳥類 は、風力 発電
イギ リスのガス・電力会社が2007
施設 を回避 して飛行する、施設によ
<H&>
年 1月 に公表 したLincs洋 上風力発電
る餌場 の消失 などにともなう影響が
('1
のEIAを 取 り上げる。
あるが、衝突す る ことは少ない。海
(2) Europe's onshore and olfshore wind
当該事業 は、 事業計 画 35km2、
生生物は、風力発電施設に よ り新 た
energy potential,
250MW、 最大83基 の洋 上風力発電
な生息環境が創 出される とともに、
で、 沿岸 8km、 水深 8∼ 18mに 計画
施設周辺 では漁業活動 が制限される
されて い る。工事期間は2∼ 3年 、供
ため、避難場所 として も機能 してい
(3)OFFSHORE WIND FARMS, Guidance
note jor Environmental lmpact Assessment
ln respect oJ FEPA and CPA requirements
用は40年 間である。
ることが記載 されてい る。
)Offshore Wind Power around the World
(2011)
(4) Strategic Environmental Assessment (SEA)
of Draft PIan for Offshore Wind Energy
Scottish Territorial Waters: Volume
また、風力 発電施設周辺 の住民 を
7km以 内の22,615人 を対象 に、 ア ン
対象 にア ンケー トを実施 した結果、
ケー トを実施 した結果、回答があっ
鳥類 については悪影響があ ると認識
た30∞ 人の うち85%が 計画 に賛成 で
して いる一方 で、 自然再生 エ ネルギ
Qoot)
あった。
ーである風力発電は事業 自体が好意
Environment (2006)
9
│
assessment of
(2004)
計画 立案 に際 し、事業計画地周辺
JEAS NEWS 131 Sunlmcr 2011
An
environmental and economic consfainb (2009)
in
1:
Environmental Report (201 0)
(5) Lincs Offshore Wind Farm Environmental Statement Non-Technical Summary
(6) OJfshore
Wind Farms and
the
FI I I I I
JEAS ESSAY
Makoto Tani
エ ッセイ
水循環 における
森林 など生態系 の役
流域 における雨水 の貯留機能 は
口
京都大学農学研 究科
「緑 の ダム」 と呼 ばれることが多
谷
いが、本稿 では 、そ の機能 を含 む
教授
誠
が変 わ り、やがて集 まって地上 に
紀州熊野の北山川遠望
口執筆者略歴
1973年 京都大学農学部卒
1980年 京都大学農学研究科博士課程修了
(農 学博士 )
1981年 農林水産省林業試験場関西支場研究員
1988年 農林水産省森林総合研究所気象研究室長
1999年 京都大学農学研究科教授 (現 職 )
専門は森林水文学で、山地森林流域における水循
環に及ぼす森林や土壌の影響評価を研究してきた。
水文・水資源学会理事・副会長、日本森林学会評
議員、日本学術会議河川流出モデル・基本高水評
価検討等分科会委員など
わ き出 して川 となる。 この プ ロセ
れが生 じて洪 水 ピー クも小 さ くな
が高 いの で葉 に付着 した雨水 はす
スは複雑 だが 、水 の 出入 りだけに
りやす い。森林 は蒸発量が多 く、
ぐに蒸発 し、根が深 く張 っていて
着 目す る と、入 って くる ものは雨
森林土壌 は貯留変動 が 大 きい。森
日照 りが続 い て も水 を蒸散消費す
と雪 を合 わせ た降水量、出 てゆ く
林が直接 かかわ らない基岩 中の貯
る。 だか ら、 当然、内陸 は乾燥地
ものは蒸発量 と流 出量 とな り、そ
留変化 も地質 によってその量が大
が 多 くな って、湿潤気候 の代表的
の差が流域 の貯留変化 となって 、
きく異 なるが、それに加 えて、蒸
生態 系 で ある森林 は成立 しに くく
次 の水収支式 で表現 される。
発散 と土壌貯留が流出 に影響 を及
なる。 に もかかわ らず、南 米 の ア
ぼす ので ある。
マ ゾ ン川流域 や シベ リアのエニ セ
水循環 にお ける森林生態系 の役割
を考 える。
陸地 に降 った雨水 は地表面か ら
地下 に浸透 し、土壌や風化基 岩 を
通過す るにつ れて、横方向へ 向 き
流域 の貯留変化量
=降 水量 ―蒸発量 一流出量
さて、水収支式 にお け る蒸発 と
イ川流域 では、何千 キ ロ も奥地 ま
一年のような長い期間をとると、
貯留変化の水循環 における影響 は、
で熱帯雨林や針葉樹林が続 い て い
この貯留変化量 は小 さ く、流出量
気候や地殻変動条件 によって重 要
る。そ こでは、そ の気候 で森林 が
と蒸発量 は水 を取 り合 う競争関係
性が異 なるが、 ふつ うに想像 され
成立で きる降水が維持 されている。
とな り、例 えば、蒸発量 が 大 きい
ている以上 に、森林 な どの生 態系
そ のため には、余 った河川水が海
ほ ど流 出量 は小 さい とい う関係 に
と大 きな関係 を持 っている。 これ
洋 に流れるの と反対 向 きに海洋 か
なる。一 方、 ひ と雨 に対応 した数
につい て調べ てみ よ う。
ら大陸へ 水蒸気 が流入 し、それが
日程度 の短 い期 間を とると貯留変
まず、大陸規模 の 河川 を考 え よ
奥地 に運 ばれていな けれ ばな らな
化 が重 要 になる。流域 内 を雨水 が
う。先 の水収支式 か ら、降水 と蒸
い。大量 の蒸発 と大量 の降水 が リ
ゆつ くり流れる と流出す る総量 は
llに 流出するのだか ら、
発 の差カジ可り
サ イクル し、水 が奥地へ 運 ばれて
最終的 には同 じで も、貯留変化が
陸上で は どこで も蒸発 を上回る降
い るの だ (図 -1)。 これ は 、湿
大 き くな り、流 出の時間変動 に遅
水 が なければな らない。森林 は背
潤気候 と森林 の相互依存関係 とい
10
JLヽ S NEWS 131 Sumlllcr 2011
│
全 にはなかったことにな らないの
人工 林
原生林
で、気候変動力,起 こっているのだ。
│
放射性物質は果 た して、「なか っ
しき い 値
たこと」 に して もらう範囲には い
1雛
-1大
l
図
υノ●Hユ 篠 仔 関 1ホ
るのだろ うか。
‐
‐
│
陸における森林と水循環
―
図 -2森 林とはげ山の流出機構
│
図 -3生 態系の持続・破綻のしきい値
人間社会 と森林 と無機的 自然 と
の 関係 をこの よ うに考 える と、森
えよう。 したが って 、 もし人間が
花 商岩 山地 にお い ては、実際 に、
林生態系 の健全性が ど うした ら保
森林 を伐採 して しまうと、相互依
森林 と土 壌 の相互作用 の破壊 が行
てるのかがいか に重 要 か を、あ ら
存 は崩れ るで あろ う。気候 は直接
われ 、 はげ 山が作 り出 された (図
ためて認識せざるを得 ない。 また、
変 え られないが、生 態系 を通 じて
-2右 側 )。 はげ 山で は 、急斜 面
人間社会 に とって森林 はマ イル ド
間接 的 には変 えて しま うことが可
上 に風化基岩が露 出 し、生成 され
な自然環境 を提供す るためだ けに
能なので ある。 しか し、そんなこ
た砂礫 は直後 の雨で浸食 され、 当
管理すれ ば良 い ものでは決 してな
とを して良 いはず はない。
然 なが ら、生態 系 はい っ さい発達
い。森林 な どの生 態系 は、家屋 や
日本では森林 と水循環 の 関係 は
で きない。 この とき、降雨 は土 壌
紙 そ の他 の資材 を取 り出す資源で
大 きく異 なる。大震災が起 きたば
内 の貯留変化 による遅れ を受 ける
もある。化石燃 料が枯渇 しそ うな
か りで言 うまで もないが 、地殻変
ことが ないの で 、洪水 ピー クが 極
ので 、森林か らバ イオマスエ ネル
動 が活発 で 山地 では岩盤がゆ っ く
端 に大 きくなる。土砂流 出にい た
ギ ー を資源 として利用 しようとい
り隆起 し、重力 による崩壊が つ ね
っては、森林 に比 べ て数百 ∼数千
う動 きもあ り、 ます ます資源 とし
に準備 されてい る。地震 で破壊 さ
倍 になることがわかってい る。
て も重要 になって くる。環境保全
れ風化 作用 で脆 くな った岩盤 は豪
以上の よ うに、地球上 の気候や
雨 で削 られて、急勾配 の斜面が形
地殻変動条件 によって具体的中身
成 される。風 化 で生 じる砂 礫 はま
は異 なる として も、当た り前 に思
そ こで 、図 -3の よ うに、森林
さに浸食 される運命 にある。 しか
える自然環境 は、森林 な どの生 態
をどの よ うに利用すれ ば持続的 な
し、実際 には砂礫 は有機物 を含 む
系 の 自己 を維持 しようとす る生 命
のか 、破綻 に至 るのかの「 しきい
土壌 として厚 さを増 し発達 してゆ
作用 によって作 り出 された もので
値」 を見 い だす研究が きわめて重
く。そ の土 壌 は水 と栄養 を保 ち生
ある。巨大 な地震 ・津波 の発生 を
要 になる。個体生命 は 自然治癒力
態系 を支 えるが、土 壌 は樹 木 の根
見 て、無 機的 自然 の 巨大 な力 に生
が維持 で きる範囲 を超 える と発病
によつて急斜面 上 に維持 される。
態系が無力 と感 じる方 もあろ う。
す るが 、森林生態系がそ うな らな
土壌発達 とともに植物 の遷移が進
しか し、それは違 う と思 う。生態
い よ うに とどめることは果 た して
んで い き、図 -2左 側 の よ うに、
系 の おかげで、わた したちは巨大
可能だ ろ うか。
相 互依 存作用 によって森林 と土 壌
な力 をふ だん感 じない で 、呑気 に
樹木 は百年、生態系 。土壌 の相
が数百 ∼数千年安定 を保 てるので
暮 らせ て い ることを見落 としては
互依存 システムは千年 の時間 スケ
ある。それで も、 いつ かは崩壊す
ならない。
ール を もって成長発達す る。そ の
と資源利用 の両立が重要なので あ
る。
るか らこそ、地形が刻 まれるので
人間 の化石燃料消費 による二 酸
間には、無機的 自然 の威力 の現 れ
あ って 、無機的 自然 の 巨大 で持続
化炭素そ の他 の化学物質 も、その
である大災害発生が必然的 に重 な
的な威力 を示 してい る。
一 部 を森林 な どの生 態系 での物質
る。 これ をどう考 えて持続的な社
先 に大陸規模 の 人間 の森林伐採
循環 のはた らきを通 じて「なか っ
会 を築 くのか 、 これが い ま問われ
が湿潤気候 と森林 との相 互依 存作
た こと」 に して もらっているので
てい るのである。
用を破壊す る危険隆を指摘 したが、
はない だろ うか。二酸化炭素 は完
11
JEAS NEWS 131 Sumnlcr 2011
│
士紹
曰田製異里1基 スメント
』
により環境アセスメント士を紹介し
このコーナーは、
紹介 ています (五 十音順に掲載)
[部 の推薦により
各支部の推薦
環境 アセスメント士として
生活環境部門 (2005年 )
岩 崎哲 也
私 が勤 務す る株式 会社 日建技 術 コ ン
サ ル タ ン トは、総合建 設 コ ンサ ル タン
トとして、上下水道 、河 川、道路 、都
市計画、廃棄物処 理施設等 の計画・設計
を行 ってお り、試料採 取 か らダイオキ
シ ン類 等 の 各種 分析 、調 査結 果 の解 析
な ど、 一 連 の 業務す べ て を 自社 で 行 え
となる「ごみ処
理施設」を整備
するためのアセ
るこ とか ら、効率 的 に業務 を実施 して
ス方法書を作成す る業務で した。発注
担当者 の話では、 「環境 アセスメ ン ト
士 とい う資格 の存在をイ ンター ネッ ト
でたまたま見つ けて、調べ た。」 との
こと。 この話 を聞いて、資格名のイン
パ ク トの大 きさと、 この資格 を知って
部 門、監理 部 門、測量 部 門、環境 調査
部 門な ど、幅広 い分野 で東北 か ら九州・
い ます。
沖縄 まで全 国で業務展 開 してい ます。
かか わ る業務 を主 に担 当 し、調 査計 画
の立 案 か ら現地調 査、環境 影響 予測 ・
評価 まで、 一連 の 業務 にかか わ って い
私 が 所属す る環境 調査 部 は、環境 分
析 、土壌 汚染調 査、環境 アセ ス メ ン ト
私 は入社 以来、環境 アセ ス メ ン トに
ます。
私 は2005年 度 に生活環境 部 門 で環境
アセ スメ ン ト士 を取得 しました。
環境 アセ ス メ ン ト士 とな って、 これ
まで、環境 アセス メ ン ト士が資格 要件
となって い る業務 は知 らず 、資格 の 知
名 度 につ いて 色 々 と考 える こ ともあ り
ま したが、 この たび、 初 めて 資格 要件
1還
として採 用 されて い る業務 を受注 で き
;猛よ
ました。
この 業務 は、条例 アセ スの 対象事業
lLノ
鶴
もらえれば、資格要件 として採用 され
る可能性が高 いので はないか と思 い ま
した。
このような実例があるように、今後、
環境 アセスメ ン ト士の資格 の知名度を
上げるためには、「私たち環境 アセス
メン ト士 自身が売 り込む こと。」 と、
「環境 アセスメ ン ト士 として相応 しい
仕事をす ること。」を常に意識して日々
の業務 に取 り組む ことが必要であると
強 く感 じました。
環境アセスメントという仕事
生活環境部門 (2007年
)
鈴木良樹
財団法人岐阜県公衆衛生検査 セ ンタ
ー は1973年 の設立以来、岐阜県 を本拠
地に、環境分析事業を核 とした環境関
連事業を展開 して きました。 また、岐
阜県知事か ら岐阜県地球温暖化防止活
動推進 セ ンターの指定を受け、低炭素
社会実現 に向けた普及啓発事業などに
も取 り組 んでいます。
私 は、主 に廃 棄物 処理施設 の 設置 に
係 る生活環境 影響 調査 で大 気汚染 ・騒
音 ・振 動 な どの調査 ・影響 予測 な どの
業務 に携 わ って い ます。 また、地球環
境 問題 に 関連 して、地域 内温室効 果 ガ
ス排 出量 の算 定や環境 基 本計 画策定支
援 な どに も関わって い ます。
入社 した頃 は、地 図 ・ 資料 の収集 な
どの補助的な作業が大半 で したが、徐 々
に、調査 ・予測 を経験 し、現 在 で は計
画準備 か ら調査書 の作 成 まで を担 当 し
てい ます。
調査 ・予測 の技 術 を深 め るため に私
が研 修 会 な どに参加 しなが ら業務 にあ
た って いた 頃、環境 アセ スメ ン ト士 が
創 設 され、資格 の取得 が 自 らの業務知
彗
][(¥]lill]:ン
深り
ー
タ
識 と評価技 術 を客 観 的 に評価 す る数少
な い機会 と感 じた ため、受験 を決意 し
ました。
環境 アセ ス メ ン トを遂 行す るには、
12
JEAS NIう WS 131 Stlinnncr 2011
広く全体を見渡
す視点 と重点的
に深 く追求する
視点 の双方が必要 と考えます。そのた
め、環境 アセスメン ト士には幅広 い知
識 の引 き出 しとそれを使 いこなす こと
が求め られます。
私は これ まで試行錯誤を繰 り返 しな
が ら、 さまざまな方 の助言を受けて業
務 を遂行 してきました。これまで 自分
の業務 を振 り返る ことは多 くあ りませ
んで したが、環境 アセスメン ト士 の受
験 を通 じて、効率 よ く業務に必要な知
識を整理 し、技術 者 としての課題を見
いだす ことができたと思 い ます。
今後 も、CPD制 度を活用 した自己研
鑽 の継続 によって業務 の質を高め、 自
らの技術向上 とともに、環境 アセスメ
ン トの信頼性維持に少 しで も貢献 した
いと思 い ます。
」EAS環 境アセスメント士 紹介
生活環境部門 (2005年
)
平 丼 昭彦
株式会社 エ ヌ・イー サポー ト(1973
年 に株式会社中国環境指導 セ ンター と
して創業 し、 1998年 に社名変更)は 、
広島市に本社 を置 き東京、大阪に支店
を配置 し、水質、底質、大気 とい った
環境計量か ら動植物調査 を含めた自然
環境分野 まで幅広 く事業を展開 して い
社名は、自然 (Nature)、 環境 (En―
宙ronment)の 頭文字 であるエ ヌ (N)、
イー (E)、 これをサポー ト(支 える、維
持す る)す るとい う企業理念 よ り変更
したものです。
私の所属す る環境部は、大気、騒音、
振動調査 とい った陸域調査を担 当す る
ます。
部門、水質や潮流 など海、川の水域調
査 を担当する部門、及び動植物調査 と
いった生態系を担当する部門の3分 野か
ら構成 され、調査か ら予測、評価 まで
一貫 して環境アセスメン トに携わって
い ます。
環境 アセスメ ン トは、大気環境、水環
境から生態系の分野までの広範囲に及び、
住民参加が不可欠で、ここでの説明不
足は、工期、調査内容等に大 きな影響
を及ぼす ことか ら、予測技術 のみ なら
ず、分か りやす く説明す るための コ ミ
ュニ ケー ション技術 も必要 とされ、高
撃 壼
・イー サポート
(株 )エ ヌ
TEL 082-246-4380
http://www.nesuppOrt.cO.jp/
品質なものが要
求 され て い ま
す。
また、限 られた費用、期間の中で効
率 よ く行 うことも要求されてい ます。
現在、環境 アセスメン トと称 される
ものには、環境影響評価法、条例等 によ
る「環境影響評価書」、公有水面埋立法
による「環境保全に関し講じる措置を記
載した図書」、廃棄物処理法による「生
活環境影響調査書」等があり、法律等
によ り名称は異なるものの、
調査、
予測、
評価において技術的に要求されるものは、
ほぼ同様なものとなってい ます。
この ような中で、環境 アセスメン ト
士の力が充分発揮 され、活用 されるた
めに、知名度の更なるア ップとすべ て
の分野で環境 アセスメン ト士が入札参
加資格要件になる ことを望んでやみ ま
せん。
私 にとっての環境 アセスメント士の意義
自然環境部門 (2005年
藤田
会社紹介l
【
株式会社環境総合テクノスは、 「環
境」「土木」「建築」の事業分野か らな
る関西電カグループの総合エ ンジニア
リング企業です。本店は大阪市で、近
畿各府県の他、東京、名古屋、富山に
ヽ
ヤニ
ヽ
至≦
(株 )環 境 総 合 テクノス
TEL 06-6263-7308
http://www.kanso.c(■ jp/
支店があ り、従業員数は2011年 4月 現
在553名 となって い ます。私が所属 し
ている環境事業分野 では、環境の総合
コンサ ルタン トとして、環境 アセスメ
ン ト、大気、水質、騒音か ら動植物調
査 を中心 に、地球温暖化防止 のための
CCS関 連海洋調査や マ ングロー プ再生
事業、 さらに低炭素 まちづ くり計画策
定な ど、広範な環境関連サービス を提
供 してい ます。
環境 アセスメント士との関わり】
【
私 は入社 して13年 にな りますが、当
初は猛禽類等の 自然環境調査業務に携
わ り、最近4年 間は環境 アセスメ ン トを
本業 とする部署で、発電所事業 の環境
アセスメ ン トなどを担当してい ます。
環境 アセスメ ン ト士の受験当時は、
入社8年 目で技術士試験 の不合格を繰 り
返 してお り、 自信喪失 していた頃で し
た。環境 アセスメ ン ト士試験 対策 とし
13
JEAS NEWS 161 Suninlcr 2011
│
)
弘
ては、技術士試
験対策のおかげ
選ニ
でそれほど労力
をかけませんで したが、合格 の知 らせ
を聞いた時 はす ご くうれ しかったこと
を覚えてい ます。その翌々年には これ
まで連戦連敗だった技術士試験に建設 ・
総合技術監理 ・環境部門 と3年 連続で合
格し、環境アセスメント士の試験合格は、
私 にとって、技術者 としての ステ ップ
ア ップに大いに役 立った重要な経験 だ
ったと思っています。
現在、環境 アセスメ ン ト士に登録 し
て5年 目となり、資格更新時期 とな りま
す。資格更新時に必要なCPD記 録は、
ルーテ ィンワー クと思って しまえばそ
れほど面倒なことではな く、むしろ 自
身の 自己研鑽活動 を確認する良い機会
にな ります ので、皆 さんにもぜ ひ日々
の記録をお薦めします。
平成23年 度通常総会/懇 親会
社 団 法 人 日本 環 境 ア セ ス メ ン ト協 会
殿一
社団法人日本環境アセスメント協会は、平成23年 度通
常総会を5月 31日 に開催した。会場となつた東京都千代
田区平河町のルポール麹田]こ は、全国から多数の会員が
参集した。
い
鳳
¬
当日の様子を総会並びに総会後に開催された懇親会
/―
とあわせて報告する。
■総会
摯
‐
_「 4
、
の 問題 を抱 えてお り、「再生 日本」の
制度 「環境 アセスメン ト士」 も更新 の
出席会員数は、委任状 (98法 人)を
行方は未 だ混沌 として い る。加 えて、
時期 を初めて迎 えるな ど、新 たな変 革
含めて1%法 人とな り、本総会が成立す
東 日本大震災及 びその後 の原発事故 の
の年を迎える。そのような認識の もと、
ることが確認 された。引 き続 き、議長
影響 によ り、回復基調 の経済 も大幅 な
平成23年 度事業計画は、会員 メ リッ ト
として梶谷修会長が選任 され、総会 の
失速を余儀なくされている。
の 向上 とともに協会活動 の拡大 を目指
開会宣言及び議事録署名人 (西 村正直氏、
稲見浩之氏)が 任命 された。
総会議事 として、「平成22年 度事業
報告」、「平成22年 度決算報告」、 「平
一方、環境分野へ の注 目度は、成長
が期待 される産業 として ます ます強 く
なって きてお り、 日本 の保有す る環境
技術の海外展開の期待は大きい。
して、昨年度に引 き続 き以下 の重点施
策を実施す る方針 とする。
●環境影響評価法 の改正 における課
題 と対策の検討
成23年 度事業計画」、「平成23年 度収支
また、当協会が担 う環境 アセスメン
●公益法人制度改革に向けた取 り組み
予算」の 4議案が説明された後、所英樹、
ト分野 におけるサ ー ビス・技術 の応用
●生物多様性 の保全、地球温暖化対
高塚敏両監事か ら決算報告等が適正で
範囲は広 く、継続的な人材育成 の必要
策等 における環境配慮手法の検討
ある旨の監査報告が行われた。
性はより高まるものと期待 される。
引 き続 き、第5号 議案 として、一般社
昨年度 は、環境影響評価法 の見直 し
団法人へ の移行定款案についての提 案
に向けた課題 と対策 の検討、戦略的環
がなされ、
詳細な内容の説明が行われた。
境 アセスメ ン トの研究 など環境 アセス
●東 アジアを中心 とした海外交流 の
推進
●協会認定資格制度 「環境 アセスメ
ン ト士」活用の場 の普及、拡大
最後 に、 第6号 議案 として再入会に関
メ ン トをめ ぐる社会情 勢 の変化 に対応
2.事 業内容
す る入会金免除の説明があ り、 これ ら
した活動 に加 え、 10月 に名古屋 で 開催
(1)総 務部会活動
すべ ての議案 は、 本総会 にお い て異議
された生物多様性条約第10回 締約国会
① JEAS第 二創成期ビジョンの進捗状況
なく承認された。
議 にあわせ、その理解 を深めるために
レビューと第二次実施計画の策定
なお、理事 1名 が当任期中に退任 され
COP10開 催記念 セ ミナー及びその他公
今年度、JEAS第 二創成期 ビジョン第
たため、2011年 3月 31日 現在、理事22名 、
開セ ミナーの 開催、韓国環境影響評価
二次実施計画 の最終年度にあたる こと
監事2名 となったが、定款で定める役員
協会 との定期交流、協会認定資格制度
か ら、当該計画の進捗状況の レビュー
数を充足 している。
の継続な どの活動を重点的 に実施 した。
及 び課題 の抽出を行 い、第三次実施計
20H年 度は、 い よい よ公益 法人改革
画を策定 し、2012年 度から実行に移す。
■平成23年 度事業計画
(2011年 4月 1日 ∼2012年 3月 31日 )
を受 け、 一般社団法人へ の移行に向け
そ の他、今年度 の改革推進事業 とし
た具体的な手続 きを開始する年になり、
ては、ホ ームペー ジの改修 ・検索機能
1.事 業活動方針
当協会 も新たな立場 での活動 を模索す
の充実及 び環境 アセス メン ト実務テキ
ることになった。
ス ト作成に関する検討を推進する。
現在、 われわれを取 り巻 く社会経済
環境 は、製造業を中心 に回復 の傾向に
また、今年度は第二創成期 ビジョン
はあるものの、公共事業 の縮小、雇用
に示 された「内か ら外へ 」 の具現化が
環境 の悪化、投資意欲 の低 下など多 く
求 め られる年 で もあ り、協会認定資格
14
JEAS NEWS 131 Summer 2011
│
② 環境影響評価 に関する国際的な交流
及び提携
改革推進事業 の一環 として韓国環境
影響評価協会 との交流 を推進 しているが、
協 会か らの情 報発 信 に関す る事項 、協
場 として今年度 もそ の役割 を果た して
今年 度 もそ れぞ れの会 員 に とって意 義
会事 務 局 の情 報 シス テ ム に関す る事 項
い く。
の ある交流 のあ り方 について検 討す る。
を中心 として、以下の活動 を行 う。
(3)研 修部会活動
今 年 度 は、韓 国環境 影響 評価 協会 幹 部
① 情報収集
等が わが国 を訪問 し、情 報交換 を行 う。
③ 積 算体 系検 討
昨年度 と同様に環境 アセス メン ト分
主務官庁 との情報交換会を開催 し、
環境影響評価 に関す る最新 の情報 を収
野に関するセ ミナー、 講習会、 シンポ
ジウム等を開催す る。
具体的内容は、以下のとお りとす る。
「環境影響評価業務積算資料」 の追
集 してその概要 を報告す ること、及 び
録版 (CD版 ・第3版 )の 販売促進活動を
地方公共団体 との情報交換のあ り方に
① セミナーの開催
行 うことと、頒布 を通 じて積算資料 の
ついても検討する。
●公開型セ ミナー
更なる改善策を講ず るために、購入先、
②情報管理
ー般社団法人化計画における公益 目
提供先への「アンケー ト調査」を行う。
会員 の業務内容 ・実績等を記載 した
的事業 としての位置付 けも計画 されて
猛禽類積算資料 は、環境省の関連方
会員 ガイ ド及 び会員名簿 を作成 し、ホ
い る公 開型 セ ミナー として、会員以外
針の見直しにともなって改訂する。また、
ームページに掲載す る。 また、会員へ
の方 々 も聴講で きる公開セ ミナー ・ シ
コ ミュニ ケー ション技法及 びSEA等 に
の 定期 ア ンケー トの設間を見直 して実
ンポジウムを実施する。今年度 は、ア
ついては、ケースス タデ ィを更新する。
施 し、会員の状況を経年的に把握 して、
セス法改正 の動 き、COP10フ ォロー ア
発注形態 の変化 に対応す るため、引
き続 き契約方式 と価格等 に関す る情報
その結果を報告す る。
さらに、協会バ ンフ レッ トの改訂 ・
や資料 を収集 し、協会 としての方針や
増刷等の維持管理を行う。
発注機関へ の要望な どについて と りま
③ 情報発信
ップ、研究部会報告な どに係 る公開型
セ ミナーを実施す るほか、外部学協会
との共催、支部 との共催等を図 る。
EASホ ーム
技術的な講演内容等は、」
とめを行 う とともに、国土交通 省が新
JEASの ホームペー ジを定期的に更新
ページに掲載す る。
たな積算体系 を構築 したことな ど積算
す るとともに、改修及び検索機能 の充
●会員向けセ ミナー
資料の見直 しに反映させる。
実に よ り利便性 の向上を図る。
環境 アセスメ ン トに関する トビック
また、「JEASニ ューアクション 7」
的な事項、 または環境 アセス メン トに
一般社団法人へ の移行 に向け、認可
へ の対応 として、「 メルマガ配信」 の
関す る調査 ・解析技術、予測 ・評価手
申請時 に必要 となる公益 目的支出計画
本格運用 に向け、 メー リ ングサ ー ビス
法等 の講演 を実施 し、その内容はJEAS
等 について内容等 の検討 を行 う。認可
の外部発信 を行 う。
ホームページに掲載す る。
申請 については、今年度末 までには審
④ 機関誌JEASニ ュースの発行
●野外 セ ミナー
④ 公益法人制度改革検討特別委員会
査が終了するよう作業 を進め、年度内
JEASニ ュース を年4回 発行す る。誌
若手技術者等 の研修 と相 互の交流 を
に新法人へ の移行を目指す。
面構成 は昨年度と同様、特集 、エ ッセイ、
目的 として、 自然観察や 自然再生、 ま
(2)環 境影響評価 に関する情報、資料等
環境 アセスメ ン ト士紹介、JEASレ ポー
たは環境 アセスメ ン ト事例 に関 し、 自
トほかで構成する ことを基本 とし、環
然観察会 のほか首都 圏近郊 の野外 セ ミ
の収集及び提供
主務官庁からの情報受信に関する事項、
境 アセスメ ン トに関する技術、情報、
事例、研究等の紹介をはじめ、
膠
時宜を得た情報の提供を図る。
ご塵
ナーを実施する。
●セ ミナー活性化施策の検討
公開セ ミナーについて、会 員以外 の
雛
ゴ
環境 アセスメ ン ト士紹介 コー
技術者等 も聴講 しやす くし、 セ ミナー
ナー は、引 き続 き環境 アセス
参加者 の増加 を図るなど、 セ ミナ ー活
メン ト士の認知度の 向上、環
性化 に向けた施策を検討 し、順次実施
境アセスメント士相互の交流、
する。
会員のPRな どに役立つ よう企
②教育研修会 の開催
“墨層
画する。 また、JEASレ ポー ト
は、部会 ・支部 の活動報告 の
15
JEAS NEWS 131 Sunlnler 2011
│
会員の知識・技能向上を目的として、
以下の研修会等を開催す る。
平成 23年 度通常総会 /懇 親会
●環境 アセスメ ン ト入門研修会
域性 を整理するとともに、条例アセス
ナーを各1回 開催す る。
新 た に環境 アセ ス メ ン トを担 当す る
の 目的やあ り方 を考察す る。 また、ア
●技術士受験講習会及び環境アセスメ
技術者 を対 象 に、2日 間 の研 修会 を東京
セス制度 に限 らず、環境や開発 に関す
ント士受験講習会を各1回 開催する。
で開催す る。
る周辺技術、話題な ども参 考 に、地域
●環境 アセスメ ン ト実務研修会
の特徴 に応 じた条例 アセスのあ り方 を
実務経験 のある中堅 の技 術者 を対象 に、
生活環境 と 自然環境 の2部 門に分 け、各
1日
間の研修会 を開催す る。
●環境 アセスメ ン ト士受験講習会
認 定資格 制 度 の 普 及 ・充実 に寄 与す
③ 関西支部
●公開の技術セ ミナーを2回 開催する。
と りまとめる。
うち1回 は、昨年度 と同様、(社 )日
③政策課題研究会
本環境淑1定 分析協会関西支部 との
昨年度の成果をもとに、
引 き続 きSEA
共催での開催 とする。
に係 る全般的な動 きをとりまとめると
●野外 セ ミナーを1回 開催す る。
ともに、 審査側 (環 境省、先進 自治体
●技術士及び環境 アセスメ ン ト士受
るため、受験対 策講習会 を開催す る。
など)、 実務側 (先 進事例 の実務担 当
●技術士受験 講習会
者 )、 有識者等へ の ヒア リ ング等 を通
験講習会を同日に1回 開催する。
沖縄支部
④九州 。
じて今後 の課題 に対す る方針の検 討 を
●共催セ ミナーを1回 開催す る。
に、 1回 開催す る。
行 う。最終的 には、「戦略的環境 アセ
●環境 アセスメント士受験講習会を1
●技術交流会
スメン ト実務ガイド」改訂版を作成する。
技 術 士 第 二 次 試験 受験 希 望者 を対象
会 員 の 保 有 す る環境 アセ ス メ ン トと
④新 たな研究会の立ち上げ
そ の 関連 領域 の 先端技 術 を発 表 し、 そ
昨年度 まで活動 を行 って きた新技術
の情 報 を交流 す る場 と して技 術 交流 会
研究会で の研究活動成果 (環 境影響評
を開催す る。
価 における「温室効 果 ガス」 の調査 ・
●教育研修 の支部展 開
予測 ・評価方法 に関す る研究 )を 引 き
教 育研 修 委 員会 が 開催 す る研 修 会 ・
回開催する。
●公開の技術セ ミナーを1回 開催する。
あわせて、野外 セ ミナー を1回 開催
する。
(6)「 環境アセスメント士 」認定資格制度
「環境 アセスメン ト士」認定資格制
継 ぎ、新 たに「低炭素社会実現 に向け
度第7回 資格試験 を20HttH月 23日 (水・
講習会 につ いて 、 支部 会 員 の 参加 に要
た環境アセスの対応可能性に関する研剣
祝 日)に 、札幌、東京、大阪、福 岡の4
す る負 担 の軽 減 を図 るな どを 目的 に、
をテーマ とした研究会を立ち上 げ、環
会場で実施する。今年度は、2005年 度
本 部 と支 部 で 共有 で きる利用 シス テ ム
境 アセスメ ン トが果たすべ き新たな役
登録者 の更新年にあたるため、更新手
の 開発 を行 う。
割についての研究活動を開始する。
続 きを実施 し、登録者の更新 を行 う。
(4)研 究 部 会活 動
(5)支 部活動
また、資格制度の周知 ・PRを 図 り、資
環境アセスメン ト技術に関する研究を、
地方在住 の会員に環境影響評価 に関
格活用の働 きかけを推進する。
下記 の とお り進める。
す る技術 ・情報 の伝達 ・普及を行 うと
① 自然環境影響評価技法研 究に関する
ともに、地 方公共団体等 との交流 ・連
昨年度に引 き続 き資格制度の見直 しに
活動
携を推進 し、各種セミナー等を実施する。
ついて検討するとともに、約430人 とな
① 北海道支部
った環境 アセスメン ト士の交流連携活
昨年度実施 したケースス タデ ィの結
果 を踏 まえ、生物多様性 ポテ ンシ ャル
(BDP)マ
ップの整備 ・利用方法 と効
●野外 セ ミナー、環境 アセスメ ン ト
士受験講習会を各1回 開催す る。
さらに、資格制度の充実を図るため、
動の推進に向け、実施体制等を検討する。
(7)環 境アセスメント関連行事その他
果 を検討 した上で、環境 アセス、特 に
●公開の技術セ ミナーを2回 開催す る。
環境 アセスメ ン ト関連行事 の うち、
SEA段 階でのBDPマ ップの活用や国及
●札幌市主催 の環境 イベ ン ト (環 境
協会が適切 と認める事業については積
び 自治体でのBDPマ ップ整備 の必要性
を整理 し、生物多 様性 に関す るデ ー タ
ベース整備に向けた提言をとりまとめる。
② 条例 アセスに関する活動
昨年度収集 した条例アセスの事例 を
もとに、条例アセス制度 の独 自性 ・地
アセス展)に 参加協力する。
●環境イベ ン ト「環境広場 さっぽろ」
推進委員会に参画する。
●他団体 との意見交換会を実施する。
② 中部支部
極的に協賛活動等を実施する。
(8)受 託請負事業
環境 アセスメン ト関係機関か らの当
該事業に関する技術 の調査 ・研究等 の
業務を、受託事業 として実施する。
●公開の技術セ ミナー及 び野外 セ ミ
16
JEAS NEWS 131 Summcr 2011
│
(編 集委員 :中 村
健)
■懇親会
境影響評価法 の改正 を契機に、協会 一
ぽ
通常総会 に続 き、午後 6時 か ら会場
九 となって、今年度 の協会活動 にあた
を ロ イヤ ル クリス タルの 間 に移 して、
ってまいりたいと思います。」と述べた。
を超 える出席者を迎え、大森彰夫
続 いて、来賓 の 山東昭子参議院議員
事務局長 の 開会 の辞 によ り懇親会が開
より、「このたびの大震災につ きまして、
始された。
皆 さまそれぞれの立場で多大 な被害 を
ってお ります。それはひとえに会員各
lPXl名
冒頭、梶谷修会長 よ り、来賓 の方 々
こ うむ られたこと
位 の努力 のた まものです。今後 も日本
へ のお礼 と今年3月 H日 に発生 した東 日
を、本 当にお見舞
の環境 の保全 に、 また今回の震災復興
本大震災 の被災者へ のお 見舞 いの言葉
いを申し上げます。
に向けて、技術 と人脈 を結集 して、貢
に始 まり、開会の挨拶があった。
また、わが国の原
献 して い きましょう。」 とご挨拶 いた
子力発電所 には、
だき、乾杯 となった。
「去 る3月 11日 の東 日本大震災か ら 2
か月がたちました。被災 された会員や
山東昭子 参 議 院議 員
20年 前 に大臣を し
た くさんのおい しい料理 に舌鼓 をう
被災地 の一 日も早 い復興 をお祈 り申 し
ていた ものの一人 として誇 りと自信 を
ちなが ら、 しば し来賓や会員相互 の歓
上げます。 当協会 は1978年 に設立以来、
持 ってお りましたが、今回のアクシデ
談の時間 となった。
34年 目を迎 えました。環境 アセスメ ン
ン トに際 しては、過信があったのでは
トの実務 に携 わる唯一の全 国的な団体
ないか との反省 をしてお ります。今回
し Vノ ↑ ヽ ″・
`吋
“
過 ぎ、 西村 正 直 副
として、技術者の育成 と技術の 向上、
の事故 については、冷静 に分析 し、 日
会長 の発声 による
そ して普及 を進めて まい りました。業
本 の 国益 を考えて、安全 とゆ とりをも
中締 め となった。
界を取 り巻 く環境 は大変厳 しい状況が
って対処 して いかなければな らない と
「国会で環境影響
続 いて お り、 加 え
考えて い ます。大震災を契機 に、改め
評価法 の 改正案が
て 東 日本 大 震 災及
て環境 とい うものの大切 さを見つ め直
とお った こ とに よ
び原 子力 発 電 所 の
して、梶谷会長 を先頭 に協会が進 んで
り、環境影響評価 の『前』 と『後』が
事故の影響 により、
ゆくことを、心から期待してお ります。」
広が りました。戦略的環境 アセス メン
今 後 の 行 き先 は ま
とのご挨拶 をいただいた。
トや事後評価、条例の改正 もあわせて、
この和やかな時間はあっ とい う間 に
1
西村正直菖
1会 長
す ます 不透 明 さが
当協会 の田畑 日
増 してお ります。 しか し環境 分 野 は成
出男顧問から、「協
大 きな期待 を抱 いてお ります。本 日の
長が期待 され て い る産 業 と して、 海外
会 の歩み を振 り返
総会で、 一般社団法人へ の移行定款案
を含 め て わが 国 の 環境技 術 へ の 期 待 は
ってみ る と、1977
をご承認 いただ きましたので、移行 申
大変 大 きな もの が あ ります 。環境 アセ
年8月 に、故牧野昇
請手続 きを進めて まい ります。 これ ま
ス メ ン ト分野 にお い て も、持続 可能 な
名 誉 会 長 が 私 た ち
社 会 を構 築 す るため に、そ の技 術 は必
を招集 して、環境影響評価が法制化 さ
型 セ ミナー事業、環境 アセスメ ン ト士
要不 可 欠 な もの と考 えてお ります。 環
れた際の対応を考え、環境影響評価 に
資格認定事業 などに活用 し、一方 では
関する勉強会を行 い、会
貯蓄 もすすめ健全 な社団法人 として維
員相互の情報交換 ・交流
持 して い けるような体制 を作 って い き
を図るために環境 アセス
たい と思います。会員 の皆 さま、環境
メ ン ト協会をつ くろうと
アセスメ ン ト学会 の皆 さま、関係者 の
い う話があ り、 1978年 1
皆 さま、引 き続 きご支援 いただ きた い
月に65法 人で設立 され ま
と思います。」 との挨拶の後、会員並
した。それ以来今日まで、
びに協会 の更なる発展 を祈念 して、三
当協会は日本各地 の環境
本締 めで本宴はお開きとなった。
梶 谷修 会 長
で
瓢
田畑 日出男 顧 間
保全 に貢献 して きたと思
ー
17
JEAS NEWS 131 Sunlmer 2011
│
われわれの活躍 の場が拡大す るものと、
で会 員が積み上げて きた資金は、公開
(編 集委員 :上 原
励)
JEAS RIPORT
」EASレ ポート
叡薫
¨
第 5回 公 開 セ ミナ ー・ レポ ー ト
港区環境影響調
:
(1)改 正要綱の概要 に
講師
港 区環境 リサ イ クル支援部
:
施要綱改正について
ヒ対策担当課長
吉野亜文
(2)建 築物の風環境対策 と評価について
講師
日本 工 業大学建築学科
教授
成 田健 ―
期 日 2011年 3月 25日
港区環境影響調査実施要綱は、1995年 の施行後 10年 以
おいて予測地点 の設定 の考え方や検討条件等 を整理す
上を経過 した ことか ら、この間の審査実績を踏 まえ、区
る等、事後調査時 における検証可能性 を担保する記載を
を取 り巻 く環境特性 の変化に対応 し、より実効性 のある
すること等をガイ ドラインにより示 した。
環境影響調査制度 とするため、2010年 12月 28日 に改正さ
2建 築物の風環境対策と評価について
建築物 の建設後 に、住民か ら風害に関するクレームが
れ、2011年 4月 1日 から施行される。
今回のセ ミナーでは、港区の吉野氏 より、担当者の立
多 々あるのが現実だが、環境アセスメントにどのような
場か ら改正のね らいや環境アセスメン トを実施するうえ
問題があるのか。住民説明会では、防風植栽による対策
でのポイントを解説 していただ くとともに、港区環境影
後の結果 のみが強調されるが、本来は「対策なし」での
響調査審査会委員で もある日本工業大学の成田氏 より、
結果を重視し、計画設計の良し悪しを判断すべ きであろう。
専門家の立場 か ら、建築物の風環境対策のあ り方 とその
この部分が風害 アセスの抜け道になってお り、信用をな
評価の考え方について解説 していただいた。
くしている最大の理 由である。風害を招 く基本的な メカ
1改 正要綱の概要について
ヽ
ニ ズムを理解 し、基本設計段階で配慮する必要がある。
見直 しの内容は、①審査会のかかわ りをより充実 させ
風害を防 ぐためには、主風向に対する見付面積を小 さく
た手続きの見直し、C環 境要素 ・環境調査項目等の見直し、
する、平面形状を流線型にする、壁面に凹凸を付ける、
③風環境 について調査 方法や評価結果 の表示方法等 の
低層棟や中空層を付加す るなどの基本対策が考えられ、
改善の3点 である。
防風 フェンスや植栽は最後の手段 と言える。
l点 目の手続 きの見直しとして、まず、調査計画書の作
環境 アセスメントの本来の意味は、住民サイ ド、開発
成を事業者に求め、縦覧 と区民意見の聴取、審査会での
サイ ドの両方に対 して、合意形成を図るための客観的な
審査 を行 う事前協議手続 きを新設 した。これにより、計
デー タを提示することである。住民が必要 とするデータ
画設計段階か ら、建物の形状や配置における風環境へ の
は、積極的に提示 してい く姿勢 が重要である。
配慮や、予測地点設定の考え方等を確認す る。 また、事
3質 疑応答
後調査計画書 と事後調査報告書についても、審査会 での
手続 きの見直 しに関し、スケジュールや、都市計画手
続 きや景観協議等 との調整のあ り方等 について、多 くの
審査を行うこととした。
2点 目の環境要素、環境調査項 目等については、交通や
質問が寄せ られた。これに対 し、環境アセスメン トは、
地域貢献等の要素 の環境調査項 目の細分化等を行 った。
決定事項を示す のではな く、決 まる過程を明 らかにする
あわせて、環境改善度の判定方法等 も見直 した。環境改
ものとい う考えの もと、関係機関 ・部局 と調整 してい く
善度は、環境改善に配慮 した対策の実施を区民にア ピー
方針が示された。
また、風環境 の調査や対策に係る技術的な質問も相次
ルできる項 目である。
3点 目については、風環境調査等 に関するガイ ドライ ン
いだ。風環境の調査が現実的に困難なケース もあるとい
を提示することとした。近年、区内で強風に対する苦情
う指摘に対 しては、区の街路灯等に風向風速計を設置で
が増加 していることや、防風植栽による風対策に限界が
きる場合等は、積極的に協力する考えが示された。
あることが課題 となっている。このことか ら、調査書に
IEAS NE\(/S 131 Summer 2011
(レ ポーター :日 本工営 (株
)
宮下奈緒子)
JEAS資 格・教育センター便り
横浜市環境影響評価条例の
改正について
講師
期日
横浜市環境創造局企画部環境影響評価課長
損
「資格・教育センター」では、
環 境アセスメント士」の「認定資格試験」や
「継続教育 (CPD)制 度」に関する
情報やこ案内を「JEASニ ュース」に
毎号掲載しています。
重善
2011年 3月 25日
か ら横浜市の改正環境影響評価条例が施
2011年 度の「環境アセスメント士」認定資格試験
行され る。改正点や新たな追加点について横浜市の根氏
「環境 アセスメント士 」認定資格制度は、
環境 アセス
メントに専門特化した資格制度として、
高 い技術 。
技能
20H年 8月
1日
か らご講演いただいた。
横浜市の環境 アセスメントは施行されてから10年 が経ち、
を保有する人材を育成 し、環境 アセスメントの信頼性
審査実績が蓄積 され、制度の効果や課題が明 らかになっ
向上 に貢献していくことを目的としています。本資格制
てきた。 また、環境影響評価法の見直 し、社 会情勢 の
2005年 度創設以降6年 が経過し、
度 は、
2011年 6月 現
変化及び地球温暖化等の新 たな政策課題へ の対応な どを
在で424名 の方 が「環境 アセスメント士 」として活躍を
総合的に判断 し、条例が改正された。
されています。
条例の主 な改正 ・追加点は4点 ある。1点 目は、事業の
また、本年 5月 末には2005年 度資格登録者 の方 の
計画段階 における環境へ の配慮 の手続 きの導入である。
資格更新 が行われました。
第1分 類、第2分 類事業 とも、環境へ の配慮 の内容な どを
2011年 度の「環境 アセスメント士」認定資格試験
記載 した計画段 階配慮書 (配 慮書 )の 作成が追加 となる。
の実施概要は次のとおりです。
2点 目は、審査等の手続 きが変更となる。まず、評価書作
(1)資 格部門 :① 生活環境部門
成後 の報告書作成が不必要 となる。そのため事前調査 は
(2)試 験の内容
② 自然環境部門
:
・環境 アセスメントの法制度、
手続き
。
調査、予測・言
平価技術、
環境保全措置等
審査書を踏 まえた評価書の作成 で終 わ り、手続 き期間が
短縮 となる。他には、市民は意見陳述 の 申 し出を準備書
。
環境アセスメント図書類の作成
。
環境 アセスメント実務の管理技術、
倫理等
意見見解書の縦覧中に提出で き、また、事後調査計画書
の提出が工事着手時か ら事後調査実施時に変更 となる。3
・環境全般に関わる基礎知識等
点 Hは 、イ ンター ネットによる図書等の公表が義務 とな
る点 である。 図書 と事業者の見解がイ ンター ネットによ
(3)受 験資格 :四 年制大学 (卒 )実 務経験5年 、
大学
り全文公表される。4点 目は、対象事業の規模要件が一部
院 (修 )3年 以上、
左記以外は8年 以上
改正 とな り、高層建築物 の規模要件が一部地区で緩和 さ
(4)認 定資格試験
:
廃棄物 の区別がなくなる。その他 の改正点では、「温室
。
試験日時 :2011年 11月 23日 (水 。
祝 )10時 ∼17時
。
試験場所 :札 幌、東京、
大阪、
福岡の4会 場
効果 ガス」の環境影響評価項 目としての追加等がある。
。
試験科目 :全 研斗目【
専門科 目 │-1及 び │-2】
れる。 また、廃棄物処理施設の建設で一般廃棄物 と産業
共通科 目 ‖-1及 び ‖-2】
【
今後 は、2011年 5月 に施行規則、指針等が公布され、8
月1日 に新たな条例、規則、指針が同時に施行される。
(5)受 験申込
:
・期 間 :2011年 7月 20日 (水 )∼ 9月 16日 (金
環境影響評価 の施行状況や今後 の計画等 に関しても拝
・申込書入手
聴 でき、社会の変化や地域に合 わせて条例 も改正 されて
い ることがよく理解 できた。 今後他 の地域 の環境影響評
:httpノ /wwwjeas
)
orgよ り
ダウンロード(7月 1日 (金 )以 降 )
(6)合 格発表 : 2012年 2月 1日 (水 )
価条例等の改正等の動向も注 目し、対応 してい きたい と
感 じた。 (レ ポーター :日 本エヌ ユー エス (株 ) 浜田陽子
)
t
19
JEAS NEWS 131 Summer 2011
│
(資格
教育センター事務局)
シ
Ⅲ
一
M
一
R
10‖
協会活動記録
(2)「 出題の傾向と対策」
① 建設部門・建設環境
アジア航測 (株 )衛 藤貴朗
研修部会
(金 )
(1)「 技 術 士 試 験 につ い て 」
∼技術 士第 二 次試 験制度 と特徴 、受験勉
強の進 め方 ∼
日本 工 営 (株
黒崎靖介
)
② 建設部 門・建設環境
パ シフィック コンサル タンツ (株 )
諸藤大輔
③ 環境部門・環境保全計画
いであ 鮮朱)
松尾章子
日光国立公園 開5須 平成の森」が国際生物多様性の日にオープン
日光国立公園では、2008年 3月 に宮内庁 か ら移管 され、整備が進め ら
れて きた「那須平成の森」が2011年 5月 22日 (国 際生物多様性 の 日)に 開
園を迎 えました。
那須御用邸用地 の一 部 であ
フィー ト
センター
った560haに も及 ぶ緑豊かな
山林で、 自然 を体験 し、人 と
自然 の 関 わ りを考える場 にふ
さわ しい充実 した各種 プ ロ グ
那須湯本
ラムが用意 されて い ます。
一軒茶 屋
一般 に開放 されるのは、 自
由に散策で きる「ふれあ いの
森」 と、 ガイ ドウォー ク (有
料 ・要予約)に 限定 して利用
で きる「 学 びの 森」の 2区 域
です。
詳細 は「那須平成 の森」ホ
ームペー ジをご覧 ください。
,レ
X/
ポ
朕
那須平成の森 ヘ
、のアクセス
鍛
那須塩原駅か ら車で約 1時 間
那須ICか ら車で約35分
那須高原SAス マー トICか ら車で約35分
※那須平成の森には
パスの駐車スペース
はあ りません。バ ス
等の大型車でご利用
予定の方 はお問い合
わせ下 さい。
那須塩原駅
日本環境 (株 ) 猪狩千恵
・
環境部門
環境影響評価
⑤
日本工営 (株 ) 寺田伸子
⑥ 総合技術監理部門・建設環境
日本工営 (本 朱) 武藤吉昌
本協会による出版案内
JEASセ ミナ ー 講 演 録 (PDF版
2007∼ 2010年 に本協会 が
本書は、
開催 した セ ミナーの 講演録 を当 日
の説明図表 と速記録 をもとに編集し
たもの で す 。
講演を聴講で
きなか った 方
や引用文献と
してお使 いに
なりた い 方 に
最適です。
社団法人日本環境アセスメント協会
同 研修部会セミナー委員会
2011年 4月
匿
1,000円 (税 込み)
4月 22日 に環境影響評価法の一部 を
改正 す る法律 が成立 し、同 月27日 に
公布 されま した。今 号 の特 集 は、当
初 、この法改正のタイミングに合わせ
て環境アセスメン トの対象事業への追
加 を目指 している風力発電所 をテーマ
としま した。
URL: http:/,/www.nasuheiseinomori.go.j p
風 力発電所 は、騒音 。低周波音 、
動植物、景観 など他のアセスにおいて
も影響が懸念 されている項 目の他、特
環境アセスメント学会か らのお知 らせ
徴的な影響 として、鳥類が羽根に衝突
するバー ドス トライク、羽根が回転す
2011年 度第 10回 大会及びシンポジウムの開催について
ることで影による明暗が作 られるシャ
ドーフ リッカーがあります。
20H年 度環境 アセスメント学 会 第 101口 1大 会及び シンポジウムが以 下 のとお
り開11さ れる予 定 です
」I]AS会 員からの 多くの 方のご参加 を川│`キ しております 。
=
︲ ︿ム
口
︲
時 :20H年 9月 30日 (金 )∼ 10月 1日 (土 )
場 :東 京 工業大学すず かけ台キャ ンパス大学会館
〒226-8503 横浜市緑区長津 田町 4259
3.シ ンポジウム開催 :2011年 9月 30日 (金 )、 大会の場所にて開催
4.シ ンポジウムテーマ :「 改正アセス法 について (仮 )」
特 に直接的 な影響 であるバ ー ドス
トライクについて、さまざまな保全対
策 が検討 されていることは、バー ドウ
ォッチ ング を趣 味 とする者 と して喜
ば しぃことです。今後は、環境影響評
価法の改正についても特集 を組んでい
きたいと考 えています。
皆 さまの ご支 援 、 ご協 力の程 よろ
しくお願いいた します。
(編 集委員
岡山嘉宏
●表紙 :南 湖 (農 林水産省「ため池百選」より)/写 真提供 :ア マナイメージズ (ハ スの花咲く南湖公園と那須連邦 /福 島県自河市
ミックス品
20
1EAS NEWS 131 Sumer 2011
)
FSC
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浄 珀 \ 洋 □ 許 ト ロ絆 担 濤 ヽ オ ヽ ゝヾ 7蒻 ゆ 引 8 い 000い 淵 河 襄 + 希 田 図 捕 目 や お c∽+ ロ ヨ にヽヽ 癬
﹁mr︵
ω一∞ω ﹁>X ︵
Oω︶ωヽい0,
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モξ ミ 一
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2011年 4月 22日
④ 環境部門。
自然環境保全