平成24年度経営計画 - 城南信用金庫

平成 24 年度
経営計画(抜粋)
コミュニティの輪を広げて、日本を元気にしよう!
~協同組合の理念の実現をめざして~
○城南の使命は、お客様を助けて「日本を元気にする」こと!
○「日本一『ありがとう』と言われる金融機関」をめざそう!
○城南は、使命とビジョンとスピードで勝負!
○ハートとチームワークではどこにも負けない!
○みんなで考え、話し合い、決断し、行動する!
城南信用金庫
Ⅰ.
「国際協同組合年」を迎えて
1.今、何故「国際協同組合年」なのか?
2012 年は、国連が定めた「国際協同組合年」です。私たち信用金庫も協同組合にルーツ
を持つ金融機関ですが、その他にも労働組合や生活協同組合、農業協同組合など、さまざ
まな協同組合が、世界中で独自の活動を展開しています。それでは何故、国連が今「国際
協同組合年」というものを定めたのでしょうか。
2008 年にリーマンショックが起きた際、アメリカの国家的な戦略である金融資本主義を
先導していた大手証券会社が、ことごとく倒産してしまいました。その結果、市場原理主
義や資本主義経済のメカニズムが、人間の幸福にとってプラスにならないのではないかと
いう疑念が湧き起こったのです。
資本主義社会は、行き過ぎると「お金がすべて」という誤った考え方や個人主義が蔓延
し、人々の間にさまざまな格差を生み、人と人とのつながりを断ち切ってしまいます。人
と人がお金だけの関係になり、お金が人の心をバラバラにし、孤独にし、本来あるべき良
識やモラルを崩壊させてしまいます。現代社会の問題点であるバブルや多重債務、犯罪な
どは、お金の暴走がもたらしたものです。お金とは、行き過ぎた資本主義が生んだ最大の
妄想、「お金は麻薬」なのです。
こうした問題は、実は多くの歴史上の哲学者や経済学者などから指摘されていることで
あり、古くはプラトンが、
「国家論」の中で「人々は金儲けばかりするようになり、自分勝
手にふるまい、社会が不安定になってしまう」と指摘しており、また、アダム・スミスが
「諸国民の富」の中で、
「株主の利潤を追求する株式会社は、国家社会にとって望ましくな
い」と警告しています。マルクスもケインズも「市場を野放しにすることは危険だ」と警
鐘を鳴らしています。
人間は、元来、わがままで自分勝手な生き物です。だからこそ、お互いに話し合い、道
徳や倫理、良識を持ち、健全な社会、健全なコミュニティをつくる必要があるのです。お
金も、そうした健全なコミュニティの中でこそ、健全に使われるようになるのです。
そうした観点から、
「利益のみを追い求める株式会社よりも、人々が話し合い、良識ある
経営を志向する協同組合の方が人間社会にとって望ましい」と考え、今年が「国際協同組
合年」に指定されており、協同組合の精神と活動に対して、世界中の人が大きな期待を寄
せています。今こそ、信用金庫の出番、私たちの一挙手一投足が注目されているのです。
2.歴史から学ぶ、私たちの進むべき道
そもそも、協同組合のルーツは、1844 年にイギリスで創立された「公正先駆者組合」で
す。当時のイギリスでは、産業革命が急速に進展した結果、貧富の差が拡大して社会の混
乱を招いていました。こうした中で、マンチェスター郊外のロッチデールで、庶民がお金
-1-
を出し合って組織をつくり、一人一票の平等な原則で経営を始めました。そして、みんな
がお互いに話し合い、助け合って、豊かで安定した生活を営める理想社会をつくろうとい
う協同組合運動が世界中に広まっていったのです。
日本では、明治 33 年に産業組合法が制定され、現在の生活協同組合や農業協同組合、そ
して、信用金庫のルーツである産業組合が誕生しました。明治 35 年には、幕府の重鎮であ
り、上総一宮最後の藩主であった加納久宜子爵が、大田区山王の自宅で入新井信用組合を
設立、第一回全国産業組合全国大会を開催し、その議長を務めるなど、信用組合の普及や
啓蒙に尽力しました。加納公は「一にも公益事業、二にも公益事業、ただ公益事業に尽く
せ」という言葉を遺しており、実際に、先祖代々授かってきた財産を全て投げ打ち、最後
は借財をしてまで地域の人の幸せのために尽くしたのです。
また、城南信用金庫の実質的な創業者である小原鐵五郎元会長は、昭和 43 年に開催され
た信用金庫躍進全国大会において、業界全体の理念として 3 つのビジョンを打ち出して、
信用金庫の使命を示し、
「信用金庫は公共的な使命を持った金融機関」として、良識ある金
融、節度ある金融の大切さを説いております。
このように協同組合、信用金庫とは、地域社会の中で健全なコミュニティを築き、人々
の生活を守り、人々の幸せを実現するという使命、志を持った、社会貢献のための企業な
のです。私たちは、先人たちの思いを胸に、その実現に向けて、強い誇りと情熱を持って
日々の業務に取組もうではありませんか!
3.小原鐵五郎会長の教え
城南信用金庫には、小原会長が残した「小原鐵学」という、誇るべき考え方があります。
そのおかげで、私たちはバブル経済にも踊らず、カードローンや投資信託などを取扱わず、
正しい金融の道を守り、「健全経営」「堅実経営」を貫き、今日の高い評価と信用を得るこ
とができました。「小原鐵学」は時代を超えて、大切にすべき正しい指針です。私たちは、
これを大切に後輩に語り継ぎ、守って、今後とも正しい金融業務に努めることが必要です。
〈貸すも親切、貸さぬも親切〉
「小原鐵学」の中で、最も著名な言葉は「貸すも親切、貸さぬも親切」です。この言葉
は、
「融資においては、まず、相手の立場や心情を考えて、相手に親切にするように努めな
さい」という意味です。
「貸すか、貸さないか」を考える前に「まず、お客様のご心配をし
て差し上げなさい」と指導したのです。金融業務に携わる者は、日頃からお金を扱ってい
るために、お金という「麻薬」に毒され、ともすれば自分本位で、冷酷な態度をとってし
まう危険性があります。自分本位(業績本位)な姿勢で融資を考えていると、業績を上げた
い一心で、お客様に媚びてしまいがちです。逆に、お客様の経営状況が苦境に陥ると、自
分が不良債権を出したと思われたくないから、お客様に怒りをぶつけたり、弱い者いじめ
-2-
で馬鹿にしたり、侮辱的で、横柄な、見下す態度をとってしまいます。だからこそ、小原
会長は日頃から「融資をお断りする時こそ親切に」と強調していました。企業は、お客様
に優しく親切でなければ、そして社会に貢献できなければ、存在する意味がないのです。
〈国民経済の発展をめざす〉
小原会長は、常に「国民経済」という言葉を用いていました。そして「経済は国民のた
めにある。企業が海外に進出すれば、日本は産業が空洞化して失業者が増える。それでは
国民の幸福にはつながらない。国内の経済発展を優先すべきだ」と常々語っていました。
現在は、経済のグローバル化が進展し、日本企業が生産拠点を海外に移した結果、日本国
内は失業とデフレの進行に悩み、大変な状況になりつつあります。小原会長は、こうした
経済のグローバル化に、早くから警鐘を鳴らしていたわけであり、鋭い先見性を持ってい
たと言えます。
〈産業金融に徹する〉
小原会長は、
「産業金融」こそ、金融機関の本務であると強調していました。企業は、経
営者が長年かけて人材を育成し、技術を磨き、販路を開拓して、経営を行っています。そ
の経営を支える資金供給は、市場金融(直接金融)では無理です。目先の利益である金利や
株価にしか関心のない「投資家」は、市場においては、目先の損得で資金を過剰に供給し
たり、いっせいに資金を引き上げたりして、株価を上下させ、社債の発行を困難にして、
企業経営を不安定にしています。だからこそ、企業経営の困難さを十分に考慮したうえで、
企業が困った時でも、良質な資金を安定的に供給して、その経営を支えることこそが、金
融のプロである「金融機関」の役割であり、それが「産業金融」という意味なのです。
「金
融機関は、産業金融に徹し、健全なお金を安定的に供給することが使命である」という小
原会長の考え方は、正しい金融の道を示したものです。
4.情熱と理想と志を持って業務に取組み、日本を元気にしよう!
- 今こそ「城南の出番の時」! -
昨年 3 月の東日本大震災は、わが国に未曾有の大被害をもたらしました。福島第一原発
事故による放射能汚染に対する不安は、地域のお客様の生活に暗い影を落としています。
我々としては、このような困難な状況の時こそ、
「利益を目的とした株式会社」ではなく「地
域の人々の幸せに奉仕する信用金庫」という使命感と情熱、誇り、良識を持って、
「お客様
のため、地域のため」そして「世の中を明るく元気にするため」に、誠実に、真心を込め
て、業務に取組むことが何よりも大切であり、それでこそ、お客様との「信頼の絆」がよ
り一段と深く、強固になるはずです。
アップル社の創業者の一人であり、昨年 10 月 15 日に 56 歳の若さで亡くなったスティー
ブ・ジョブズ氏は、決して優れた技術者でも優れた経営者でもありませんでした。資金も
技術もシステムも、アップル社より日本企業やマイクロソフト社などの米国企業の方が優
-3-
れていました。実際、彼自身の身勝手な立ち居振舞いにより社内を混乱させたことが原因
で、アップル社から追放されるという挫折を味わいます。その後、アップル社は業績不振
に陥りますが、彼が復帰した途端に、iPodや iPadなどのヒット商品を出し続けました。
その成功の秘訣は「人間としての生き方の違い」なのです。ジョブズ氏は、
「お金儲けが目
的で企業を始めて、成功した経営者を見たことがない」
「私たちは企業の発展のために働い
ているのではない。世界に理想を広めるために働いているのだ」
「アップルがやらないと誰
もやらない。だから私たちはここにいるのだ」などの言葉を遺しています。そこには、ジ
ョブズ氏が、情熱や誇り、使命感を持って企業経営に取組み、社員の皆を鼓舞し、会社一
丸となって理想に向かって突き進んでいく強い姿勢が感じとれます。つまり企業には「情
熱と理想と熱い志」が必要なのです。
支店長等の役席者は、業績や事務、人事の「管理者」としてだけでなく、
「地域のお客様
を、職場の仲間を幸せにしよう、そして日本を元気にしよう」という情熱と熱い「志」を
持ち、笑顔と愛情を持って、コミュニケーションとチームワークを大切に、皆の心を燃や
す「リーダー」となって、支店全員が一丸となった「全員野球」による活気ある支店づく
りに努めようではありませんか。
-4-
Ⅱ.
「本当の喜び」は、やりがいある仕事、日々の成長、素晴しい仲間
1.経営とはみんなの幸せを願い、実現すること
―「目に見えない資本主義」の時代―
金融機関に勤務経験のある天野敦士氏の著書「君を幸せにする会社」では、中小企業の
若い後継者が、ビジネススクールで学んだ理論どおりにいかず、クレームとトラブルが続
き、業績が低迷し、従業員の気持ちがバラバラになり、ダメ社員ばかりだと当り散らすな
ど、悪戦苦闘の末に、
「経営とはお客様や従業員みんなの幸せを願い、実現することである」
「利益はお客様の幸福の対価であり、企業活動はみんなを幸せにするものである」という
ことに気づき、感謝の心を持って、経営に励んだ結果、全員の心が一つになり、それぞれ
が素晴しい個性を発揮して活躍し、立派に経営再建に成功する過程が描かれている。
また田坂広志氏の著書「目に見えない資本主義」でも、部下や顧客を上から管理・操作
しようとする「操作主義」という「現代の病気」を批判し、今後は「関係、信頼、文化等
の目に見えない資本」を重視して、お互いの共感と信頼に基づき、
「企業倫理」
「社会貢献」
を目指す「新しい日本的経営」が世界をリードすると説いている。
このように、理想に向けて、皆が共感し、心を一つにして、切磋琢磨して取組むことが、
真の意味での、やる気や活力、元気につながる。人が地位や報酬のために働くという「成
果主義」は、実は学問的には間違いである。確かに報酬は生活の安定のために必要である。
しかし、金銭は安心を与えるが、仕事の喜びにはならない。
地位も、本来は、皆と素晴しい仕事をするための役割・手段であり「地位を報酬と考え
る私心ある者」
「地位や肩書でものを言い、人を見下す者」は心が寂しくリーダーとして相
応しくない。本当の仕事の報酬、人生の喜びは金銭や地位ではなく、やりがいある仕事、
日々の成長、そして一生を通じて付き合える素晴しい仲間にめぐり合えること。
2.
「かもの法則」で、誰でも必ず成功する!
- 「愛」は不安を消し、能力を最高に引き出す! -
日本におけるイメージトレーニング研究のパイオニアである㈱サンリの西田文郎会長の
著書「かもの法則」によると、人の心には「できるかも」と「できないかも」という二羽
の「かも」が棲んでいる。自分を守ろうとすると「否定的なかも」が飛ぶ。他人を守ろう
とすると「肯定的なかも」が飛ぶ。明るく大きな目標を持った、遠くへ飛ぶ「肯定的なか
も」のほうがより強く美しい。「かも」を置換えるだけで簡単に未来は変えられる。
西田氏によれば、天才・成功者は、過去の失敗にとらわれず、何でもできると信じてい
る人たちのことである。そして、人を喜ばせる力「他喜力」を持っている。天才・成功者
は、脳に肯定的な問いかけをし続ける人。凡人は、脳に否定的な問いかけをし続ける人で
あり、これは、スポーツ、受験、仕事、全ておいてあてはまる。人は「できるかも」とい
-5-
う期待が高まれば自然とやる気があふれ出す。上司は「やる気を出せ」と言うのではなく、
「できるかもしれない」という部下の期待感を高める指導をすべきである。千房の中井社
長は、「人間の能力を決めつけてはいけない。人はだれしも可能性がある。できるやんか」
と共育の大切さについて強調している。また、苦しいだけ、つまらないだけの喜びがない
努力を続けていると、努力したくなくなる。欠点を是正するのではなく、長所をほめて伸
ばす。部下の夢を否定せず、励ます。無条件の愛情で包んであげることが大切であり、
「愛」
は脳を最高の水準にするという。
「不満には感謝、不安には愛を、悩みには行動を」である。
3.
「夢とビジョン」「コミュニケーション」で「チームワーク」
「信頼の絆」
をつくろう!
「居酒屋てっぺん」の大嶋啓介社長は、
「居酒屋から日本を元気にする」という大きな志
を掲げて、日々全力で走り続けている。
「てっぺん」の朝礼では、一人一人が、全員の前で
自分の夢を真剣に、大声で発表する。それが皆の共感につながり、仲間の夢をかなえたい、
皆の夢を実現したいという「大きな夢」につながる。皆の気持ちが一つになる。
「夢」があ
ってこそ、仕事の意味も、やりがいも生まれる。
「夢」がなければ、心の底から真剣になれ
ず、全力を出し切れない。リーダーは皆の「夢」に共感し、皆が共感できる「大きな夢」
を本気で掲げ続けることが大切。いわば「夢なくして共感なし、信頼なし、団結なし、パ
ワーなし、成功なし、皆の幸福なし」ではないだろうか。
「ビジョン」とは、
「チームが一丸となって取組む理想、目的、価値、未来、を示したも
の」であり、「全てのメンバーが、自分が何をすべきかを理解し、共感し、使命感と連帯感
を持って一丸となって取組むための指針」である。リーダーが、共感できるビジョンを掲
げ、それを本気で実現しようとしなければ、部下は力を発揮できない。リーダーが夢もビ
ジョンもなく「仕事の目標は数字」「自分の評価のために仕事をする」「肩書きでものを言
う」「やるべきことをやれ」「管理と統制が自分の役割」という考え方では、部下は仕事へ
の誇りも、意欲も、使命感も湧かない。
当金庫には、信用金庫の大切な使命を示した「3つのビジョン」がある。金庫の目的は、
預金や融資を増やすことではなく、3つのビジョンの実現を通じて、
「世の為、人の為」に
貢献し、社会の役に立つことである。
《3つのビジョン》
○中小企業の健全な育成発展
(→明日の日本を背負う中小企業の育成、事業再生支援)
○豊かな国民生活の実現
(→貯蓄奨励と住宅ローン推進等による生活支援、相続税等の将来の相談)
○地域社会繁栄への奉仕
(→地域再開発ローン推進等による地域発展への貢献、「地域の絆」の構築)
-6-
そして、それを分かりやすく示した「金庫歌」や「経営方針」がある。
《経営方針》
○「人を大切にする経営」「思いやりを大切にする経営」の徹底
○「健全経営」「堅実経営」の徹底
―「間接金融専門金融機関」を貫く―
○「お客様本位」に基づいた取組みの徹底
また日々守るべき「五訓」
「五戒」があり、
「ただ公益事業に尽くせ」
「貸すも親切、貸さ
ぬも親切、ご心配して差し上げなさい」「お客様本位」「先義後利」といった先人が残して
くれた数々の教えもある。これらのビジョンや教えは、日々の仕事において、強い自信と
誇り、そして使命感を与えてくれる大切な指針である。
共感できる夢、理想、志、社会貢献への意欲と使命感を持ち、道徳や倫理、幅広い人生
観のあるリーダーに、部下は魅力を感じ、お客様も感動する。正しいビジョンのもとに、
見識ある人材が育ち、コンプライアンスも自然に徹底される。リーダーは、常に、
「夢やビ
ジョン」を話し合い、全員が大きな「夢」を持って、一丸となって業務に取組むことが大
切である。
また、皆が一つになって活動する上で、仕事上でも仕事外でもコミュニケーションが何
よりも大切である。コミュニケーションを大切にして、全員で「ビジョン」を共有すれば、
「連帯感」
「チームワーク」
「意欲」
「活力」が高まり、
「スピードアップ」
「成果」につなが
る。さらに「情報共有」だけでなく、相手のために尽くそう、親身に協力しようという「愛
情と感謝の共有」「贈与の精神」が「心のコミュニケーション」にとって大切である。
4.リーダーは、「私心」のないことが大切!
「仕事の知識や経験、自信が無いこと」はリーダーとして致命的な欠点ではない。むし
ろ、自信のなさを隠そうとして心を閉ざし、肩書きで上から偉そうに話すこと、自分を飾
ることが、心の奥底の、見えないコンプレックス(抑圧された精神のかたまり)を生み、
それが、部下と手柄を競ったり、部下を素直にほめることができずにイジメたり、追従を
喜んだりする、リーダー失格の「管理者」を生む。
ドラッカーも言っているように、リーダーとは、何よりも「私心のない人間」でなけれ
ばならない。なぜなら、リーダーの役割は「みんなを守り、元気にし、幸せにすること」
だから。坂本竜馬も私心のない人間であった。仲間と日本を心から愛し、命がけで「世の
為、人の為」に尽くそうと考え、行動した。そこに我々を惹きつけてやまない理由がある。
自分のことよりも、お客様のこと、部下のことを大切に考え、一緒に喜び、悲しみ、心配
する、共感力のある熱い心の持ち主こそが真のリーダーであるとみんなが認めるはずであ
る。部下への愛情と共感が無くして、リーダーに対する求心力が生まれない。
その意味で、自我が強く、ハングリーな人間は、リーダーとしては問題があることが多
-7-
い。
「厳しさ」とは本来は「仕事の目標レベルの高さ、徹底性」であるはずだが、こうした
リーダーは「自分に甘く、上から目線で部下を平気で傷つける冷酷な心や行動」を正当化
するために、履き違えて「厳しさ」という言葉を強調し、組織を暗くしている。
だからリーダーは「心の修行」が必要という。奈良の薬師寺の僧侶は、潜在意識にある
コンプレックスという「精神の病気」
「心の闇」をなくさないと、世の中の悲劇はなくなら
ない、それには、周囲の全ての人々に対して心から「感謝」と「思いやり」の気持ちを持
ち、電車で高齢者に席を譲ったり、地域清掃のボランティアに参加するなど、
「良き社会人」
となるよう努めることで、「自分自身の心を幸せで満たす」ことが何よりも大切だと説く。
5.
「感謝」とは、企業や上司に対するものではない!
「感謝」という言葉は誤解されやすい。企業内で「感謝」に言及すると、
「企業や上司に
感謝しろ」
「給与が高いことに感謝しろ」
「俺がしてやっているのだから感謝しろ」という、
押し付けがましい説教話になりがちである。それでは全く無意味である。
そうではなく、「真の感謝」とは、地位の上下、会社の内外に関係なく、お客様、部下、
仲間、後輩、先輩、上司、友人、家族、ご先祖や神仏、大自然等、周囲の全てのものに対
して、自分が生かされていることを謙虚に感謝し、自分の心を幸せで満たし、
「この喜びを
他人にも分け与えたい」と素直に思うことである。
我々は、仕事を通じて、苦労された中小企業の経営者等、素晴しい方々と出会うことが
でき、自分を磨くことができる。また仕事を通じて一生付き合える、信頼できる仲間や友
人を得ることができる。そうした出会いの中で、互いに励ましあって、相手の役に立ち、
感謝されることで、生きるエネルギーをもらえる。やりがいのある仕事もでき、自分自身
も成長できる。本当に有難いと喜び、幸せな気持ちに満たされ、自然に、神仏や自然、周
囲に対して、感謝の気持ちが湧くのではないだろうか。
6.
「心のバケツ」を「感謝と愛情」で満たそう!
アメリカの心理学に「バケツ理論」というものがある。人間は誰でも人に認められ、心
が満たされたいと思っている、その心のバケツを満たしてあげれば、満たされた人のバケ
ツから水があふれて、逆に、自分のバケツが満たされ、お互いのバケツが一杯になり、皆
が明るく元気になる。心がパワーで満たされる。
バケツの水が少ない部下は、活力が無くなり、自己中心的になる。バケツの水が少ない
上司は、部下の話を聞けず、部下をほめることができない。従って、まず上司は部下のバ
ケツを、部下はお客様のバケツを「感謝と愛情」で満たそうと、本気で取組むことが大切
であり、そうすれば自分も元気に、幸せになり、明るく元気な企業、社会が実現する。何
よりも大切なのは人であり、人は「心」である。「本気力」「共感力」で、部下の心に火を
つけ、組織にパワーを与えることがリーダーの最大の役割である。
-8-
一体感、連帯感のある、真剣で活気ある職場づくりに努め、徹底した「組織戦」
「全員野
球」を展開し、皆で自信と誇りある仕事をしよう。
「自分たちは絶対に夢を実現する」とい
うプラス思考で、自信を持って、お互いに声を掛け合い、いつも前向きに、ウキウキワク
ワクと楽しく仕事をすれば、知恵が湧き、チャンスをつかみ、夢は必ず実現する。
政治、経済、社会などのあらゆる面で難問が山積している今こそ、高い志と理想を掲げ
て、修羅場に飛び込む行動力が必要であり、今こそ「城南の出番の時」です。お客様に明
るい笑顔で、元気に声をかけ、共に考え、力を合わせて問題を解決することで、暮らしを
守り、地域の再生、活性化への道を切り拓こう。そして「日本を明るく元気にする金融機
関」「日本一『ありがとう』と言われる金融機関」をめざそう。
「素晴しいお客様、素晴し
い仲間と出会い、自信と誇りの持てる仕事ができた」という喜びをみんなで噛み締めても
らえるように、本支店で力を合わせていきましょう!
参考:「この道、わが道」、「やり甲斐は人を変えるそして支店は変わる」(野田諒一)、
「人
は化ける、組織も化ける」(中川政雄)、「すごいしかけ」
「できる上司はなんで?を
言わない」
(白潟敏朗)、
「目に見えない資本主義」
「人生の成功とは何か」
「なぜ、我々
はマネジメントの道を歩むのか」
(田坂広志)、
「マネジメント革命」
(天外伺朗)、
「君
を幸せにする会社」
「価値を創造する会計」
(天野敦士)、
「かもの法則」
「ツキの大原
則」
「他人を喜ばすと、幸運が押し寄せる!他喜力」
(西田文郎)、
「てっぺんの朝礼」
(大嶋啓介)、
「心の中の幸福のバケツ」
(トム・ラス)、
「3つの真実」
「心眼力」
(野
口嘉則)、「即戦力に頼る会社は必ずダメになる」(松本順市)、「会社の品格」(小笹
芳央)、
「虚妄の成果主義」
(高橋伸夫)、
「見せかけの勤勉」の正体(太田肇)、
「生き
方の知能指数SQ」(ダニエル・ゴールマン)
、ビジョナリーカンパニー(ジェーム
ズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス)、日本でいちばん大切にしたい会社 1~3(阪
本光司)、わくわく会社革命(三富正博)、論語と算盤(渋沢栄一)、35 歳からの「脱・
頑張り」仕事術(山本真司)等
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