「食のマーケットリサーチャー」として各方面で活躍されている寺尾さんは、 食に関する取材記事を書いたり、外食店向けにマーケットリサーチやメニューの提案 などをされています。しかし、最初から今の仕事に就いていたわけではなく、もと ● は今とは全く違うお仕事をされていました。そんな寺尾さんに「 「やりたい仕事 やりたい仕事」 仕事」に 就くまでのお話を伺ってきました。 くまで 寺尾祐子さん ● 岐阜県出身。元・加工食品のトレンド雑誌編 業界紙を発行する日本食糧新 集記者。食品業界紙 やりたいことにフタ 昔から本を読むこととおしゃべりが好きな寺尾さんは、中学生の時、少しの言葉で人に 思いを伝えるコピーライターの仕事に憧れを持っていました。しかし、「自分には無理」と やりたいことに「フタ フタ」をしてしまいました。そして、いざ就職活動に取り掛かったとき、やり フタ 聞社に入社し、月刊「食品新製品トレンド」 を担当していたが、現在はフリーとして活 躍。食のマーケットリサーチや外食店取材な ど、「食のマーケットリサーチャー」として 活躍している。 たいことが見つからず、就職した先は、通勤に便利な大手メーカー。人や条件に恵まれ た環境ではあったものの、自分がしたい仕事には程遠いものでした。 豆知識1 怒涛の20代 「自分には何かできるはず!」と仕事をする傍ら、お茶・お花・着付け・英語・ゴルフ・ ワイン・料理・パン教室など、様々な習い事に励みました。パン教室では、講師も務め 「作る喜び・食 び・食べる喜 べる喜び・教 び・教える喜 える喜び」を感じ、仕事で満たされない思いを補っていまし た。仕事をしながらも、パン講師は約 7 年続けました。 業界紙 業界紙 一般向けではなく、ある業界の企業やメーカ ーに向けられた専門の新聞。その業界の今の流 れはどうなのか、他社ではどのような取り組み をしているかを知り、自社の活動のヒントを得 るツールとして使用されている。 転機 忙しい20代を過ごした寺尾さんですが、転機が訪れます。結婚を機に名古屋から 東京へ引っ越すことになり、10 年もの間勤めてきた会社や、今までやっていたこと全て から離れ専業主婦となりました。東京では、新しい友達の輪ができるなど、それなりに 寺尾さんは、食品の新製品に関する雑誌を担当 した。読者は主に、メーカー、香料メーカー、 パッケージメーカー、デザイン会社、広告代理 店、海外(特にアジア)などである。 楽しい生活でしたが、やはり物足りなさを感じ、「自分は何がやりたいか」を深く考えるようになりました。そして、今までやってき たことを振り返ってみると、『食 食』に関することを多くやってきていたことに気付きました。 食+書く 『食』に関する仕事はないかと、インターネットなどで探すうち、フードコーディネーターという仕事を見つけ、一年間学校に 通って勉強し、フードコーディネーターの資格を取得。ご主人の仕事の都合でいつまた転勤になるかわからないため、「どこ どこ でも出来 でも出来る 出来る仕事」 仕事 はないか考えました。そこで中学生の時「フタ」をしてしまった『書くこと』 くこと』も好きであることに気付き、卒業後 も学校の文章ゼミに通いつつ、『食』と『書くこと』を仕事に出来ないかと考えるようになりました。 就職活動 フードコーディネータースクールの紹介や新聞などで、『食』と『書くこと』に関係する求人をさがしていましたが、そのとき3 5歳。都心までの距離もあり、就職活動では試験すら受けられないこともあったそうです。とても落ち込みましたが、その時文 章を教わっていた先生から、「私は 100 社受けるまで頑張った」という話を聞き、「それなら私も100社受けるまであきらめな い」と覚悟。すると、すぐに『食』に関する業界紙を取り扱う新聞社に就職が決まりました。 業界紙の新聞社でのお仕事 新聞社では、主に加工食品 加工食品の 加工食品の新製品に 新製品に関する雑誌 する雑誌・Web 雑誌 Web サイト・セミナーの サイト セミナーの企画 セミナーの企画、 企画、運営を担当されていたそうです。 運営 月刊雑誌 月刊雑誌の 雑誌の編集・ 編集・記者 誌面の企画・記事化 取材に 取材に行く・・・ヒット商品を作った人を取材。開発の背景や、ヒットになるまでの経緯、立ちはだかった壁などを取材した。 分析をする・ 分析をする・・・加工食品のトレンドを新発売される商品から動向を読み説く。 をする・ 消費者の 消費者の意見を 意見を聞く・・・よく似た商品を食べ比べてもらい、傾向をまとめる。 注目の 注目の商品を 商品を選ぶ・・・スーパーやコンビニのバイヤーに意見も聞いて、ヒットを予測する。 ● Web サイト 豆知識2 豆知識2 ● ● バイヤー 新製品情報やセミナーの告知、各種ランキングなどを掲載するためのサイトを立ち お店で売る商品を、メーカーから買い付けた 上げて、運営した。 り、メーカーと一緒に作ったりして、価格を 決めて、店頭にどう並べるかを考えて、その セミナーの企画 セミナーの企画・ 企画・運営 段取りを全てやる仕事。 食の商品開発者、マーケッター向けに毎月セミナーを開催。気になる話題について企 (http://retail-buyer.com/2007/07/post_1.ht 画し、その分野に詳しい人を講師として呼び、セミナーを開く。 ml) 例:「デザート デザート食品 電子レンジ ブランド デザート食品のトレンドと 食品のトレンドと開発技術 のトレンドと開発技術」・「電子 開発技術 電子レンジ対応 レンジ対応食品 対応食品を 食品を徹底研究」・「ブランド 徹底研究 ● ● ● 戦略成功事例研究」など 戦略成功事例研究 現在のフリーとしてのお仕事 ご主人の大阪への転勤のため、食品業界紙の会社を退職。今はフリーランスで食に特化したエディター・ライターとして活躍 中。マーケットリサーチャーとして、大手飲食店向けに、リサーチとメニュー提案もされています。 仕事の醍醐味 「一番楽しいのは取材をしている時間ですね。例えば、ヒット商品を作った方の取材ならば、その商品を作った背景や立ち はだかった壁を乗り越えた話など、必ずドラマがあります。そのドラマをたずさわった方から直接聞けるのは、この仕事の醍醐 味といえるでしょう。そして、『 『食』を通して社会 して社会・ 社会・時代が 時代が見えるということも醍醐味です。景気が良ければプレミアム商品が増 える え、不景気になれば、家で食事をする“内食”が増えてきます。また現在は、カロリーゼロや糖類ゼロなどの0系商品や即効性 のあるものが多く見られる一方で、オーガニックなものも流行っています。多様化が進んでいるように思えます。身近な『食』 を見ることで社会や時代が見えてくる、食の世界は深くて広くて面白いです。『食』を『伝える』ことで、人や社会に役立つ存在 でいたいですね。」 記者感想 今回は、取材をお仕事とされている方にインタビューをさせていただいたのですが、 いつの間にか私が取材されている!ということが何度もありました。私に対して興味を持ってくだ さり、楽しんで質問してくださるので、ついつい私のほうが答える側になっていました。しかし、 取材には「相手に対して興味を持つこと」 「何でも楽しむこと」が大切なのだということを実感しま した。 (インタビュアー:京都女子大学文学部英文学科 3 回生 山内知子)
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