第 1 問 xyz 座標空間内に点 A(0,0,0) 、B(1,0,0) 、C(1,1,0) 、D(0,1,0) 、E(0,0,1) 、 F(1,0,1) 、G(1,1,1) 、H(0,1,1) を頂点とする立方体 ABCD EFGH がある。 対角線 AG を含む平面でこの立方体を切断するとき、その断面積 S のとり うる値の範囲を求めよ。 断面は必ず、2 点 A 、G を含まないいずれかの辺上もしくはその端点と 共有点 P を持つ。図形の対称性よりこれが辺 BF 上にあるとして一般性を 失わない。この図形は線分 AG に対して線対称だから、このとき辺 BF に 対称な辺 DH とも共有点を持つ。これを Q とする。 このとき点 P(1,0, h) (0 h 1) とおくと、対称性より Q(0,1,1 h) である。 よって断面積 S は次のように表すことができる。 S (| AP | | AQ |) 2 (AP AQ) 2 ( 1 0 h 2 0 1 (1 h) 2 ) 2 (0 0 h(1 h)) 2 (h 2 1)(h 2 2h 2) (h 4 2h 3 h 2 ) 2 1 3 2h 2h 2 2 h 2 2 2 したがって 0 h 1 の範囲では 第 3 S 2 となる。 2 2 問 座標平面において x 座標と y 座標がともに整数である点を格子点とい う。また、2 つの格子点を結ぶ長さ 1 の線分から両端を除いたものを格子 辺という。 (1) 点 P(360,2010) を通る直線 l : y ax ( a は定数)が 0 x 360 の範囲 で交わる格子辺の数を求めよ。 n を 2 以上の整数とする。点 P(360,2010) を通る曲線 C : y bx n ( b は n により定まる定数)が 0 x 360 の範囲で交わる格子辺の数を求め (2) よ。 (1)10点 l が通過する格子辺のうち、 y 軸に平行なものの数をまず数える。基本 的には l が直線 x k (k 1,2,,359) と交わる度にこのような格子辺を 通過すると考えるが、その交点が格子点であるときは例外である。ゆえに l が 0 x 360 の範囲で通過する格子点の数を m とすれば、l が通過する y 軸と平行な格子辺の数は 359 m 個。 まったく同様に l が通過する x 軸と平行な格子辺の数は 2009 m 個で ある。すなわち、求める格子辺の数は 2368 2m 個。 2010 67 なので、 l 上の点 360 12 ( x, ax) は x が 12 の倍数のとき格子点となる。このような x は 0 x 360 次いで、 m の値を求める。条件より、 a の範囲には 29 個あるから m 29 である。これを先の式に代入したものが 交わる格子辺の数である。 2368 2 29 2310 本 (2)10点 (1)と同様に、C が 0 x 360 の範囲で通過する格子点の数を m 個とす るれば、 C が通過する格子辺の数は 2368 2m 個。以下 m を求める。 まず b を求める。C は (360,2010) を通るから、 y bx に代入した等式 n が成り立つ。これより b を得る。 2010 b 360 n 2 3 5 67 b(23 32 5) n 67 2 32 n 1 5 n 1 3 2 n よって、C 上の点 ( x, bx ) は x が 2 3 5 360 の倍数のとき格子点とな るが、このような x は 0 x 360 には存在しないから m 0 である。これ b 3 n 1 を先の式に代入したものが交わる格子辺の数である。 2368 2 0 2368 本 3 第 問 A と B の 2 人があるゲームを複数回行う。このゲームにおいて A の勝 つ確率は p (0 p 1) であり、B の勝つ確率は 1 p である。すなわち引 き分けはない。毎回ゲームの勝者に 1 点ずつ与えていき、点差が 2 点にな った時点でゲームを終了する。 n 回以内にゲームが終了し、かつ終了した 時点で A の方が点数が高い確率を P(n) とする。ただし n を自然数とする。 (1) P(n) を求めよ。 (2) 極限値 lim P(n) を計算せよ。 n (1)14点 まずは n 回目にゲームが終了し、かつ終了した時点で A の方が点数が高 い確率 p(n) を求める。このときの点差の推移は次のようになる。 0 1 0 0 1 0 1 2 1 0 n回 ここで点差の推移に伴う確率を求めておく。 1° 0 1 0 と推移する確率について A、B の順に勝つか、B、A の順に勝つかの 2 通りなので、確率は次の ようになる。 p(1 p) (1 p) p 2 p(1 p) 2° 0 1 2 と推移する確率について 2 A が 2 連勝すればよく、確率は p となる。 以上より p(n) は次のようになる。 ⅰ) n 2m と表せるとき p(n) {2 p(1 p)} p {2 p(1 p)} n 2m 1 と表せるとき p(n) 0 m1 ⅱ) 2 n 1 2 p2 これより P(n) が計算できる。 ⅰ) n 2m 1 と表せるとき P(n) p(2) p(4) p(2m 2) {2 p(1 p)}0 p 2 {2 p(1 p)}1 p 2 {2 p(1 p)}m2 p 2 p 2 {2 p(1 p)}m1 p 2 p 2 {2 p(1 p)}( n1) / 2 p 2 1 {2 p(1 p)} 1 {2 p(1 p)} この議論は n 3 のときに限った話だが、上式に n 1を代入したものは P(1) 0 と一致するので、まとめてこれを答えとしてよい。 ⅱ) n 2m と表せるとき P(n) p(2) p(4) p(2m) {2 p(1 p)}0 p 2 {2 p(1 p)}1 p 2 {2 p(1 p)}m1 p 2 p 2 {2 p(1 p)}m p 2 p 2 {2 p(1 p)}n / 2 p 2 1 {2 p(1 p)} 1 {2 p(1 p)} (2)6点 まず 0 2 p(1 p) 1 であることを示す。 2 1 1 2 p(1 p) 2 p 2 p 2 p 2 2 2 よって 0 p 1 の範囲では確かに 0 2 p(1 p) 1 である。これに注意す れば、 P(2m 1) 、 P(2m) の極限が求まる。 P(2m 1) p 2 {2 p(1 p)}m1 p 2 p2 n 1 {2 p(1 p)} 1 {2 p(1 p)} m p 2 {2 p(1 p)}m p 2 p2 n 1 {2 p(1 p)} 1 {2 p(1 p)} m 両者の極限が一致したので、 P(n) は n で収束し、その値は次のよう P(2m) になる。 p2 lim P(n) n 1 {2 p(1 p)} 第 4 問 xyz 座標空間内に母線の長さが 2、底面が半径 1 の円である円錐を、頂 点が原点と重なるように xy 平面上に置く。この円錐を頂点が原点から動か ないように xy 平面上を転がすとき、円錐が通過し得る領域を D とする。 この領域 D の体積を求めよ。 まず平面 z k (0 k 3 ) で領域 D を切断したときの断面積 S (k ) を 求める。上図のように y 軸が母線と一致するときを考え、各点を図中のよ うに名前を付ける。このとき回転体の断面は次図のようになる。 すなわち内径を FG 、外径を CG とするドーナツ型である。以下、FG 、CG の長さを求めるため、 F 、 C の座標を求めていく。 1° C について x 軸正方向から見た図を考えれば、 C の y 、 z 座標は E のそれに等し い。したがってまず E の座標を求める。 E は線分 OA を内分する点であ る。そこで A の座標が必要。三角形 OABは一辺の長さが 2 の正三角形 であることに注意すれば A(0,1, 3 ) である。 E は OB を k : 3 k に内 , k である。 3 次に C の x 座標を求める。これを c (c 0) とおけば CI 1 なる条件か らこれが求まる。したがって I の座標が必要。これは線分 AB の中点だ 3 3 から I 0, , 2 2 となる。これより c および C の座標が求まる。 分するから E の座標は E 0,2 k 2 k 3 3 c 2 k 1 c 3 2 2 4 k C ( 3k k 2 ) ,2 , k 3 3 2 2 2° 4 ( 3k k 2 ) 3 F について k , k と E と同様に、線分 OA を k : 3 k に内分する点なので F 0, 3 なる。 以上 1°2°より S (k ) が求まる。 2 2 S (k ) (CG FG ) 2 2 k k 4 4 2 ( 3k k ) 2 4 k 2 3 3 3 3 これを区間 [0, 3 ] で積分すれば求める答えとなる。 3 4 2 4 3 4 3 k dk 4k 9 k 0 0 3 4 8 3 4 3 3 3 3 第 5 問 4 点 A(1,1) 、 B(1,1) 、 C(1,1) 、 D(1,1) を頂点とする正方形 T に対 し、次の性質(A)を持つ点全体のなす領域を求め、図示せよ。 性質(A): その点を中心とする円で、T の辺と 8 つの共有点を持つ 円が存在する。 性質(A)が 3 つの直線 x 0 、 y 0 および y x に対して線対称な条件 であるから、求める領域も両軸に対して線対称となる。よってこの領域の うち 0 x y を満たす部分を W とすると、W を先の 3 つの直線に対して 折り返すことで領域全体が得られる。そこでまず W を求める。 円の中心を P( x, y ) (0 x y) とおき円の半径を r とする。この円が正 方形 T と 8 点で交わるためには半径 r が、4 辺 AB 、 BC 、 CD 、 DA と 点 P の距離のどれよりも大きく、かつ 4 つの頂点 A 、B 、C 、D と点 P の 距離のどれよりも小さければよい。点 P が領域 0 x y に含まれている ならば、4 辺 AB 、BC 、CD 、DA と点 P の距離のうち最大のものは辺 CD との距離である。4 つの頂点 A 、 B 、 C 、 D と点 P の距離のうち最小の ものは点 A との距離である。これに注意して条件を数式化すれば、次のよ うになる。 r y 1 0 x y 2 2 r ( x 1) ( y 1) r は適当な正の実数としてよいから、領域 W の方程式は上の条件式を満た す正の実数 r が存在することである。 r y 1 r , 0 x yr 0 2 2 r ( x 1 ) ( y 1 ) r , y 1 r ( x 1) 2 ( y 1) 2 0 x y r 0 y 1 ( x 1) 2 ( y 1) 2 0 x y ( y 1) 2 ( x 1) 2 ( y 1) 2 0 x y y 1 ( x 1) 2 0 x y 4 これを xy 平面に図示すると次図斜線部のようになる。 よってこれを両軸に対して折り返せば求める領域となる。 6 第 問 a を実数とし、 x の 3 次方程式 9 x 9ax 2 7 x 2a 0 を考える。 (1) この 3 次方程式が異なる実数解を 3 つもつための a の条件を求めよ。 (2) (1)の条件のもと、3 つの実数解を 、 、 と名付ける。このとき 3 無限級数 n 1 n 1 n 1 n 、 n 、 n が全て収束するための a の条件を求め よ。 (3) (1)の条件のもと、(2)と同様に 、 、 を定めるとき、無限級数 S ( n n n ) が収束するための a の条件と、そのときの収束 n 1 値を求めよ。 (1)6点 9 x 2 2 0 に注意して 3 次方程式を変形すると以下のようになる。 9 x 3 9ax 2 7 x 2a 0 a 9x 3 7x 9x 2 2 これより題の実数解は、2 つのグラフ y 9x3 7x ( f (x) とおく)と 9x 2 2 y a の交点の x 座標とみなせる。したがってこの 2 つが共有点を 3 つ持 つ a の条件を求めればよい。そこで f (x) の増減を調べる。 f ( x) (27 x 2 7)(9 x 2 2) (9 x 3 7 x) 18 x (9 x 2 2) 2 (3x 1)(3x 1)(9 x 2 14) (9 x 2 2) 2 これより増減表は以下のようになる。 x f (x) 0 f (x) 1 3 2 3 1 3 0 2 3 よって y f (x) のグラフは次図のようになる。 したがって 2 つのグラフ y f (x) 、 y a が共有点を 3 つもつためには y a が図の網かけ部に含まれればよい。以上より求める条件は 2 2 a である。 3 3 (2)4点 n 1 n 1 n 1 n 、 n 、 n はそれぞれ公比 、 、 の無限等比数列であ るので、これらが収束する必要十分条件は 、 、 の絶対値が 1 未満と な る こ と で あ る 。 つ ま り 、 y f (x) の グ ラ フ と y a の グ ラ フ が 1 x 1 の範囲で 3 つの交点を持てばよい。f (1) 2 2 、f (1) に 11 11 注意すると、下図の網かけ部に y a のグラフが含まれることが求める条 件である。 これより求める条件は 2 2 a となる。 11 11 (3)10点 まず、無限級数 S が収束するための条件は 示す。(2)より 2 2 a のとき S が収束することは明らかなので、 11 11 2 2 2 2 a , a のときに S が収束しないことを示せばよい。背 3 11 11 3 2 2 2 2 a , a のときに S が収束すると仮定する。 3 11 11 3 理法で示す。 2 2 a であることを 11 11 2 2 2 2 a , a であることから、(2)より 、 、 のいずれ 3 11 11 3 かの絶対値が 1 以上である。 いずれの場合も 2n 2n 2n は n で 0 に収束しえない。 | | 1 のとき 2n 2n 2n ( 2 ) n 1n 1 | | 1 のとき 2n 2n 2n ( 2 ) n 1n 1 | | 1のとき 2n 2n 2n ( 2 ) n 1n 1 一方、 ( n n n ) が S に収束することより、以下が成り立つ。 n 1 2n 2 n 1 k 1 k 1 2n 2n 2n ( k k k ) ( k k k ) n S S 0 これらは矛盾している。よって示された。 この条件が満たされるとき、無限級数の公式を用いると S は 、 、 を用いて以下のように表される。 1 1 1 n 1 ( ) 2( ) 3 1 ( ) ( ) ( n n n) ここで 9 x 9ax 7 x 2a 0 の解と係数の関係より、以下が成り立つ。 3 2 7 9 2 9 a a これらを代入すれば、 S の具体値が求まる。 S ( n n n ) n 1 15a 14 11a 2
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