第36号 - 平城宮跡サポートネットワーク

2010 年 9 月
36 号
NPO平城宮跡サポートネットワーク
道路協会から表彰
「平城京かるた」とりは 4 人ず
つに分かれて対戦。こどもたちは
普通のかるたの 6 枚分もある大き
クリーン活動評価
NPO法人平城宮跡サポートネットワーク(NPO平城)の「道路
クリーン活動」が 8 月 24 日、日本道路協会(東京)から表彰されま
した。NPO平城の環境部会は年 4 回、平城宮跡内と周辺道路のクリ
ーン活動に取り組んでおり、その活動が高く評価されました。表彰式
なかるたを初めて見て驚いたよう
すでしたが、ゲームが進むうちだ
んだん熱を帯びてきました。
拓本作り特訓
美術・図工の教諭ら
は奈良土木事務所で行われ、伊部和徳理事長、伊澤貢環境保全部会長、
宮繁寿夫理事の 3 人が出席、表彰状と副賞を授与されました。
つづいて、客席の
こども歴史体験教室
交流広場で公開
子どもたちが飛び
入り参加して、平
城京の歴史クイズ
県内の小中学校の美術・図工教
や
「平城京かるた」
諭 40 人が 8 月 19 日、平城宮跡資
とりに挑戦しまし
料館で、拓本づくり=写真=を体
た=写真。
験したり、資料館の展示品を見学
歴史クイズは、
しました。
「役人の着物の色
拓本づくりはNPO平城のスタ
はどんな方法で決
ッフの指導でおこないました。遠
まる?」
「コメ、牛
く吉野町から参加した教諭もいて、
乳、
チーズ、
漬物、
ほとんどが拓本づくりは初体験。
醤油のうち、奈良
最初はとまどっていたようでした
時代からあった食
が、古代瓦のレプリカを使った拓
「こども歴史体験教室」は 7 月
べ物は?」
「大極殿
本を 2 枚、3 枚と仕上げるうち少
31日、
観光客でにぎわう交流広場
に使われている瓦の枚数は?」な
しずつ慣れてきたようです。女子
まほろばステージで特別編として
ど出題、参加したこどもたち 6 人
教諭のひとりは「緊張したけど、
一般公開しました。
は真剣な表情で答を考えていまし
楽しかった」
「この出来栄えなら、
「こども歴史体験教室」を実施し
た。
生徒にも見せられそう」と満足そ
ているNPO平城スタッフを紹介。
学習内容は、ステージ上の大きな
奈良文化財研究所(奈文研)の
深澤芳樹・都城発掘調査部長がユ
スクリーンの映像をまじえながら、 ーモラスでわかりやすく解答と解
具体的な例をあげて説明しました。 説をしました。
―1―
うでした。このあと、4 班に分か
れて展示館を見学しました。
﹁ 年前、ここは
のどかな田園だった⋮﹂
年)など当時の奈良市街の面影を
伝える作品もあります。
50
観光客対象に
拓本作り体験
㊤第一次大極殿付近か
ら南南東を望む︵昭和
年︶㊧同じアングルだが、
今は前方に朱雀門が見え
る︵平成 年︶
写真展『平城宮跡 今・昔』
(写真は岡田庄三さん提供)
21
33
㊦第二次大極殿の基壇跡には、かつて一
本のクロマツがそびえていた(昭和 38 年)
の一部を再録しました
NPO平城は観光客を対象に拓
本づくりの講習会を 10 月 30 日
(土)から 11 月 7 日(日)まで
の 9 日間、なりきり体験館の『体
験工房』で開催します。
午前9時 15 分から午後 3 時 45
分まで 1 日 4 回、古代瓦のレプリ
カを使っての拓本作りをNPOス
タッフが指導します。対象は小学
校高学年以上で、ひとり 500 円。
飛鳥、藤原、奈良時代の遺跡から
出土した軒丸瓦や軒平瓦は、時代
によって形や模様が微妙に違うな
遷都千二百五十年祭の行列︵昭和
ど考古学的にも興味あるものです。
歴史文化講座
第 12 回「平城宮跡歴史文化講
座」の講演会を開催します。
テーマ 『古代都城の実態を探る
∼水洗トイレは古代
影された第一次大極殿跡、第二次
年︶
35
にもあった∼』
大極殿跡、大膳職跡付近とその周
講 師 黒崎直・富山大学教授
辺ははるか一面の田んぼとあぜ道、
日 時 9 月 25 日(土)午後 1
点在する民家など文字通りの田園
時 30 分から
半世紀にわたって、平城宮跡の
風景が広がっていました。朱雀門
会 場 平城宮跡資料館講堂
風景の移り変わりをカメラで追い
や大極殿、築地塀が復元され、
参加費 500 円
つづけた岡田庄三さん(74)の写
1300 年祭でにぎわう現在からは
定 員 200 人(申込み先着順)
真展『平城宮跡今昔』が 8 月末ま
想像もできない眺めです。写真展
主 催 NPO 法人平城宮跡
での 50 日間、平城宮跡資料館で
では、昔の写真と同じアングルで
開催されました。
作品を並べ、新旧の眺めが比較で
後 援 奈良文化財研究所
きるようになっていました。
申込み ☎・FAX0742‐34‐
岡田さんは宮跡そばの佐紀町に
在住し、祖父の岡田庄松さんは棚
平城宮跡内の風景だけでなく、
田嘉十郎氏らと宮跡保存運動に奔
「奈良遷都千二百五十年祭」
(昭和
走しました。
35 年)の太鼓行列が三条通りを行
昭和 33 年から 40 年にかけて撮
く光景、
「佐紀の秋祭り」
(昭和 32
―2―
サポートネットワーク
7713
メール [email protected]
には、従三位で弁官局の左大弁の
遷都 1300 年特集
要職に登りつめた石川名足(いし
かわのなたり)という人物が登場
『宮跡を歩く』⑥ 遺構展示館
します。
「弁舌さわやかで、頭が良
奈良時代が見える!
いが、性格が悪く、まわりから敬
遠されていた」そうです。現代の
複数の柱跡が見える北棟
建物が短期間に数回に
サリーマン社会でもこんな根性悪
わたって建て替えられ
の上司がいます。遺構の前にたた
たことを示す様子を重
ずむと、部下の嘆きが聞こえてく
なり合った複数の柱跡
るような気分になるかも知れませ
から推測できます。
ん。 ( 歩く人
この 3 棟は、東西 64
礒田正昭 )
㍍、南北 125 ㍍におよ
第 2 次歴史ウォーク
び、全体を築地塀に囲
平城京から住吉大社へ
まれた「塼積官衙(せ
平城宮跡はユネスコの世界遺産
んづみかんが)
」
と呼ばれる役所の
に登録されていますが、華やかだ
北部と中間に位置する建物群の一
った平城宮は一面の稲田の下で
部の遺構とされています。
した。
昭和 34 年から奈良文化財研
り、床を塼と呼ぶ古代のタイルを
究所(奈文研)の発掘調査が始ま
敷き詰め、
り、少しずつ眠りから覚めてきま
屋根は瓦
したが、遺跡のほとんどは、いま
葺の建物
も地下に埋もれたままで「見えな
で、正面
い世界遺産」といってもいいでし
に塼で覆
ょう。それを見ることができるの
われた目
は発掘調査に携わる研究員だけ。
隠しのよ
■唯一、地上の遺物
うな構造物があり、こうした構造
﹁平城京かるた﹂
とくに南棟の遺構には基壇があ
から非常に立派な建造物だったと
る遺構展示館を訪れるといいでし
■太政官の建物跡か
ょう。なぜなら、この展示館の中
奈良時代、この建物はどんな役
にある遺構は、宮跡内で唯一、地
割を果たしたのでしょうか。太政
上に顔をのぞかせている場所だか
官か弁官局だったとの説がありま
らです。
す。太政官は奈良時代にできた律
令制度における行政の最高機関で
に分かれています。館内には、内
す。
弁官局は太政官の下に位置し、
裏跡地から発掘された井戸など 3
八省以下の役所を統括します。
北棟に展示された遺構群からは、
史街道リレーウォーク『遣唐使の
道』
」が 10 月 11 日、平城宮跡をス
タートします。遣唐使船の航海の
無事を祈った住吉大社へ到着する
のは 2014 年 2 月 17 日。3 年半近
くをかけて歩く息の長いウォーク
午前 10 時から、
平城宮跡の交流
想像されます。
種類の井戸枠が展示されています。
道をたどる「第 2 次大阪・奈良歴
です。
い」と思う人は宮跡の東北隅にあ
遺構展示館は北、中、南の 3 棟
平城京から明日香村、大阪・堺
市などをへて住吉大社まで歴史街
1300 年の長い眠りについていま
「少しでもいいからぜひ見た
『遣唐使の道』
奈良文化財研究所主任研究員、
馬場基氏の著書
『平城京にくらす』
―3―
広場「まほろばステージ」で開会
式を行い、大極殿、東院庭園、朱
雀門、遣唐使船前など宮跡内約 3
㌔を歩きます。
参加費 100 円。当日午前 9 時か
ら交流広場で受け付けます。問い
合せはNPO平城宮跡サポートネ
ットワーク(0742・34・7713)へ。
後 援 奈良文化財研究所
申込み ・FAX 0742-34-7713
メール [email protected]
NPO平城の活動
発掘現場を見るこどもたち=8月
県のWeb で紹介
日
20
県のWebページ『スマイ
「宮跡みまもり隊」
「環境保全部
会」は毎月 1 回、
会員が宮跡内のゴ
市民もパト
ミ集めをしていま
「平城宮跡みまもり隊」は 8 月 25
す。地道な活動で
日午後、宮跡内をパトールして、
すが、NPO平城
たばこのポイ捨てや花火遊びなど
の“原点”です。
がないか、監視しました。
毎年春に実施する
この日は、警察、消防、奈良文
「クリーンフェス
化財研究所の隊員にまじって、一
ティバル」は一般
般市民から公募した隊員 10 人=
市民や団体ら数百
写真=も加わり、猛暑の中、緊張
人が参加し、
年々、
した表情でパトロールしながら、
ひろがりの輪を見
観光客に防災を呼びかけるティシ
せています。
ュペーパーを配りました。
ルズ』は 9 月から『平城宮跡の素
■講演会や拓本作り
晴らしさを守り伝えたい』という
「教育・文化部
タイトルで、NPO法人平城宮跡
会」は講演会、
サポートネットワーク(NPO平
研修会、などさ
城)の活動をくわしく紹介してい
まざまな文化活
ます。
動をしています。
古代瓦の拓本づ
ホームページは http//:www.
nvn.pref.nara.jp/npo
くりや「平城京
■環境保全がNPOの原点
かるた」は小学
奈良文化財研究所の「平城宮跡
校や公民館に出
解説ボランティア」は宮跡を訪れ
前教室もしてい
る人たちに歴史をわかりやすく解
ます。
「こども歴史体験教室」は小
説していますが、そのさい宮跡の
学校高学年 20 人が 1 年間にわた
あちこちに、ごみ、壊れた自転車
り歴史の体験学習をします。
や家電製品が不法投棄されている
■「天平のひろば」やHP
ついに 200 万人を突破しまし
ことにいつも心を痛めていました。
「広報・企画部会」は、広報紙
た。記念事業協会が予想した 2
そして平成 13 年、
「私たちの手で、
『天平のひろば』を年 4 回発行し
倍以上です。記録破りの猛暑の
宮跡の環境を守ろう」と、NPO
ています。紙面はホームページで
中、来場者の出足は鈍るどころ
平城を設立しました。現在は「環
も掲載しています。また、マスコ
か、大盛況。NPOスタッフも
境保全」
「教育・文化」
「広報・企
ミや「市民だより」などにも講演
軽井沢ならぬ平城宮跡で「気合
画」の 3 部会で活動しています。
会やイベント情報を提供し、積極
だ!気合だ!」と叫んでがんば
的な広報活動をしています。
っています。
発行者
NPO法人平城宮跡サポートネットワーク
天平の窓
1300 年祭のメーン会場である
平城宮跡の来場者が 8 月 23 日、
(孝仁)
理事長 伊部 和徳
〒630-8577 奈良市二条町 2-9-1 奈良文化財研究所内
/Fax 0742-34-7713
HP http://heijyonet.org
―4―
E-mail
[email protected]