Title Author(s) Citation Issue Date ヤング率・内部摩擦自動測定システム 松下, 健一 大阪大学低温センターだより. 55 P.14-P.17 1986-07 Text Version publisher URL http://hdl.handle.net/11094/9051 DOI Rights Osaka University 技 術 ノー ト ヤ ング率 ・内部 摩 擦 自動測 定 シ ステ ム 産業科学研究所 松 下 健 一(吹 田3531) は ・じ め に 材 料 開 発 をす る 人 に と って 材 料 の 強 さ を知 る こ とは 非 常 に 重 要 な こ と で あ り、 材 料 の強 さ に 関 す る用 語 も数 多 くあ りま す 。 例 え ば 、 降 伏 強 さ 、 曲 げ 強 さ 、 硬 さ 、 弾 性 率 等 々・・… 。弾 性 性 質 を示 す1つ て の ヤ ン グ率 は 基 本 的 な 物 性 値 の1つ とし で す 。 ヤ ン グ率 の 測 定 は 工 学 的 に 重 要 で あ る ば か りか 、 物 質 の 相 変 態 機 構 や 内 部 構 造 を解 明 す る 手 段 と し て も有 効 で あ る こ と が 知 ら れ て い ま す 。 一方 、 内 部 摩 擦 は 振 動 し て い る物 体 が1サ イ クル 当 りに 失 な う振 動 エ ネ ル ギ ー の割 合 と して 、 定 義 さ れ て い ま す 。 言 い 換 え る と、 材 料 の 内 部 摩 擦 が 小 さ い とい う こ と は 鐘 と か 音 叉 の よ う に 余 韻 が 長 く音 の 減 衰 が 少 な い こ と を意 味 し 、 反 対 に 内 部 摩 擦 が 大 き い とい う こ とは 振 動 の 減 衰 が 大 き い こ と を 意 味 し て い ま す 。 材 料 の 振 動 の 減 衰 の速 さ を詳 し く調 べ る こ とで 、 材 料 内 の 点 欠 陥 、 線 欠 陥 や 面 欠 陥 等 の 固 体 内 欠 陥 を検 出 す る こ と が で き た り、 複 合 材 料 の マ ト リッ ク ス と強 化 材 との 界 面 に 関 す る 情 報 を 得 る こ とが で き ま す 。 ま た 相 変 態 に 伴 っ て 様 々な 内 部 摩 擦 挙 動 が 観 察 され 、 内 部 摩 擦 か ら相 変 態 機 構 を 解 明 す る こ ともで き ます。 本 文 で は 、 上 述 の ヤ ン グ率 及 び 内 部 摩 擦 の 計 測 シ ス テ ムの 概 要 と ジル コ ニ ア セ ラ ミ ッ クス に つ い て の 結 果 を説 明 し ま す 。 計 測 シ ス テ ム 本 装 置 の ブ ロ ッ ク図 を図1に 、 そ の 性 能 を 表1に (11応 カ ー 歪 曲線 の傾 き か ら求 め る方 法 (2)音 波 の 伝 播 速 度 か ら求 め る方 法(超 (3)試 片 の 固 有 振 動 数 か ら求 め る 方 法 示 し ま す 。 ヤ ン グ率 を 求 め る 方 法 は、 音 波 法) が あ り、 本 装 置 は 〔3)の 方 法 を採 用 し て い ます 。 表1ヤ ン グ率 ・内 部 摩 擦 自 動 測 定 シ ス テ ム の 性 能 囲 数擦 度 周 " 部 ク ン 賄波轟 温 定 定 測 測 内 ヤ 一180℃ ∼1300℃ 100Hz∼20000Hz 5×10騨5∼5×1σ 一2 度 気 ズ 料 精 イ 擦 摩 囲 サ 部 内 雰試 絶 対 精 度 士3GPa 相対 精 度 士0.01GPa 士5% N2,Ar,空 気 等 2×1×25∼10×4×100(Inm) 一14一 ThG『 ●o曾 CO"t昭011er ド 灘 蹄 煽v 80dB D.v.岡 。 貿錦 ご『 □ Flltor 『DP 08c‡ ユ18tor Aしtonu8tor D.V.饒 『,口COU馳tor 。 f ⑧ c冊 "avo開e剛ory 6A讐 且 x Tr1。 ⇔ GP層13 図1.表 図2に 記 測 定 シ ス テ ム の ブ ロ ッ ク図 示 す よ う に 試 片 は 振 動 の 節 点 で 支 持 され 、 そ の直 下 に励 振 用 電 極 が 置 か れ 、 試 片 と電 極 間 に 、 300∼500Vの 交 番 電 圧 が 印 加 さ れ そ の 静 電 気 力 で 試 片 が 振 動 し ま す 。 振 動 は 高 感 度 マ イ ク ロホ ンに て 検 出 さ れ 、 フ ィ ル タ ー ア ン プ等 を経 て 、CRT上 に 映 し 出 され ま す 。試 片 の 共 振 周 波 数 は オ シ レー タ の 周 波 数 を変 化 さ せ な が ら振 動 振 幅 を 計 測 し 、 そ の値 が 最 大 に な っ た 時 の 周 波 数 と し て 容 易 に 求 め る こ と が で き ま す 。 ヤ ン グ率 は 共 振 周 波 数 を ノQと し て 次 式 に て 表 さ れ ま す 。 1"01" r■ 35撰。;「=「 r lill lll● 。 蟹 鋤6d・ ア驚 欝 r二 幸 Suspender一 噸 一 」 一 一 65 Specirnen コ駄 ゆ 肺 (而m) 図2. 試 料 台 図 。 試 片 はW,Mo線 合 し て 加振 電 極 と し たo 等 で 吊 られ る 。 台 は ア ル ミナ でNb電 -15一 極 を接 ヤ ン グ 率(E)一 1は 試 片 の 長 さ(m)、9は 〇.9468・1・ 重 さ(2)、'は ・9・垢2/'3・ 厚 さ(m)・ ω1(P・)… …(1) ω は 幅(m)。 こ の方 法 の長 所 は 超 音 波 法 の よ う に 発 振 子 と試 料 間 に 接 着 剤 を用 い な くて も良 い こ と、 ヤ ン グ率 の誤 差 が 小 さい こ と 、 比 較 的 容 易 に 低 温 か ら高 温 まで 測 定 で き る こ と、 試 片 が 比 較 的 小 さ くて 済 む こ と等 で あ りま す 。 短 所 は 内 部 摩 擦 が 大 きす ぎ る と、 測 定 が 困 難 とな り、 誤 差 が 大 き く な る こ とが 挙 げ られ ま す 。 内 部 摩 擦 は 図3に 示 す よ うな 振 動 の減 衰 波 F 一 ト ー← O 形 を ウ ェ ー ブ メ モ リに入 力 し 、 振 動 振 幅 の 減 下ん上 衰 率 か ら計 算 さ れ ま す 。 本 装 置 は 温 度 の 読 み 込 み 、 共 振 点 を 合 わ せ る こ と、励 振 電 圧OFF、 減 衰波 形 の読 み込 み 、演算 、 プ ロッタへ の出 力 ま で コ ン ピュ ー タ で 完 全 自 動 制 御 さ れ て い ま す 。 最 も重 要 な 部 分 は 図2に で 、 一180℃ ∼1300℃ 示 した試料 台 まで の測 定 に耐 え ら れ る よ う に そ の構 成 材 料 は ほ と ん どが セ ラ ミ ッ ク ス か ら成 っ て い ま す 。 電 気 伝 導 を必 要 と す る部 分 は 高 融 点 金 属(恥 、Mo、W等)で 作 られ て い ま す 。 こ の シス テ ム全 体 の構 想 か ら 完 成 ま で に約1年 図3.自 由減衰 波 形 。振 動 は式 に従 が って減 衰す る。 、4:振 幅 、40:初 期 振 幅!:周 波数 ':時 間Q-1:内 部摩 擦 間 か か りま し た 。 ジ ル コ ニ ア セ ラ ミ ッ ク ス の 内 部 摩 擦 と ヤ ング 率 部分 安定 化 ある いは安 定 40 ㍉ Y203、CeO2で 化 され た ジ ル コ ニ ア の ヤ ソグ率 と内 部 摩 擦 の イ オ ン の代 りに3価 あ る い は2価 の イ オ ンが 30 示 し ま す 。ZrO2のZr4" 甲Oく 7σ 温 度 依 存 性 を 図4に 許触 Samp篭e _ロ -o-B ーA 一 ムーC 一 ▼一D 匙 …1 、 入 る と、 酸 素 イ オ ン空 孔 が 形 成 され 、 イ オ ソ 伝 導 性 を 示 し ま す 。200℃ 付 近 に現 れ る内 部 摩 擦 の ピ ー ク高 さは 表2に 示 す よ うに 、 助 剤 と して 添 加 し たY203、La203、Nd203の 準丸 17・1 虚20 量 冨 ∈ 2 三 にほぼ比 例 して い ます。 部分 安 定化 ジル コ 三 ア は200℃ ;::妻 ε 養 で の 長 時 間 焼 鈍 で 斜 方 晶 か ら単 斜 160 10 晶 へ の 変 態 が 進 行 す る こ と が 知 られ て い ま す 。 し か し、 本 実 験 条 件 、 加 熱 ・冷 却 速 度31駈nin で は そ の よ う な変 態 は 生 じ て い な い こ とが わ 0 嬉∼ 汐 0100200300400500600700 τemperature1ア か りま す 。 ・C ヤ ン グ率 は 内 部 摩 擦 ピ ー ク温 度 で い わ ゆ る 図4.試 4E効 果 を示 し てい ます 。単 一緩 和 時 間 を も 一16一 料A∼Dの ヤ ン グ率 と内 部 摩 擦 の 温 度 変 化 白 印:onHeating黒 印:onCooli㎎ 表2.実 験 に 用 い た ジ ル コ ニ ア セ ラ ミ ッ クス の 組 成 とそ の 性 質 Phase*'7器 SampleComPQsiヒion 。,溜 ・`.早;1・,1で 蔓騎 ● ● ● 5 0 ﹁﹂ 2 8 6 内 ∠2 5 0 1 D 0 0 184 5 202 9 {La203,Nd203,一ZrO2 12mo1亀CeO2寺3mo1亀C 2 7σ 0 2 ﹁ 4・ 180 117 188 卜C 5 1 A B C 8m◎1篭CeO2+2mol塾`.C 207 205 107 2mo1亀Y2030ZrO2T 3mo1篭Y203。ZrO2「r・ ・ `La203,Nd203,」ZrO2 零⊃T3tetragonalC3cubic sintering .condiセion3 ..1500C重or2hinAir つ緩和 型 の内部 摩擦 の場 合、 ∠E/Eと 内部 摩擦=ピー ク(妬1)と Q5i三 得 られ た結 果'は表2に ÷(4E/E)。 の,、 ..・一 去 れる騨 .ざ ・・ 示 す よ うに ㈲ 式 を ほ ぼ 満 足 し 、 内部 摩 擦 ピ ー クが 緩 和 型 の ピ ー クで あ る こ と が判 りま す 。 緩 和 型 ピ 」 ク の場 合 、.振動 周 波 数(の)と 轡 の間 に次 式 め関 係 が成 立 します。 緩 和 時 間(τ)と の 関 係 が' ...1・) 内鰹 騨 最大にな ります・ この緩和時間(τ)は編 性化過程 であ り・ ・ 一 ・。ρ・p(E/訂)(4) で 表 ・ れ ・†(E;瀧 ヒ ィヒエ:ネ ノ レ・ ギミ ー・ 、∫∼;気鱗 ヒ 、7「;澁L度:)・した が ・て騰 を麟 せ疑 内部縢 ピー ・温 度 が 変化 し、そ の変 化量 ふ ら活 性 化 エネル ギ ー を求 め る こ とが で きます 。 そ の よ うに して得 られ た結 果 を表3蛎 molと し ます.こ 紡 の値 は、拡 散 法 あ る・・は イ オ ・鱒 度 か ら勅 た灘 化 工勉 ギ ー81剛 良 い 一 致 を示 し ま すQ 以 上 の結 果 か ら 、200℃ 付 近 に 現 れ た 内 部 摩 擦 ピ ー ク と ヤ ン グ率 異 常 は ジ ル#ニ ア 中 の 酸 素 イ オ シの 拡 散 に 伴 う現 象 で あ る と結 論 づ け られ ま す 。 表3.ピ ー ク シ フ ト法 に よ って 求 め た 内 部 摩 擦 ピー ク の 活 性 化 エ ネ ル ギ ー SampleFreq.`Hz,PeakTemp`oC)Activ・Energy{KJ!mol》Freq.Facヒor A 930 2610 5850 178 203 225 B 1060 1450 4200 .19Q 200 223 81●2+5●3 D 699 1670 3360 224 248 262 89・6←6●6 .69●3←2.O 一17一 5●9x1011 9●1x1012 1.2x1013
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