〜宝塚市立病院地域医療連携〜 Vol. 5 H24.12 目 次 地域医療連携………………………………………………………… 呼吸器内科・呼吸器外科から …………………………………… ICT 通信………………………………………………………………… 栄養相談のご案内 … ………………………………………………… 新任医師のご挨拶 … ………………………………………………… 市民公開講座 ………………………………………………………… 理念 1 2 3 4 4 4 市民の健康と いのちを守ります 宝塚市立病院 「すみれ」は宝塚市の市花であり、「Heart. ねっと」は心をつなぐ連携を意味しています。 ごあいさつ てきたでしょうか。生活習慣病、高齢者の疾病、完全 治癒が困難な人の増加は、医療の現場のみでは対応 が困難であり、そうならば、日常の生活に関わり、そ れを支えるシステムが必要であると考えます。そ の存在が地域連携ではないでしょうか。兵庫県保健 医療計画にて策定された4疾病5事業は、機能分担 をして、高い医療の提供を行う必要があるとあり、そ れぞれの疾病に歯科医療の参画が謳われているので すが、参入はできていなかったのが実情であります。 その後、阪神北医療圏域では、脳卒中疾患の継ぎ目の 『地域医療連携』 一般社団法人 宝塚市歯科医師会 会長 わたなべ たけし 渡部 武 ない連携を目的に、平成20年7月に研究会が立ち 上がり、クリニカルパスを作成し、宝塚市立病院が事 務局となり、 「 脳卒中地域連携パス」が動き出しまし 新聞に、ノーベル医学生理学賞の受賞を喜ぶ読者 た。そのシステムの中に、全国的にも珍しい歯科の の言葉と、山中教授の「非常に身の引き締まる思いで 参画が実施されており、その成果は、着実に実を結ん す…」との談話がありました。また、その投稿には でおり、歯科医師会もより深化した市民サービスが 「『見捨てない医療』をこれからの大きな柱としてほ 行えていると自負しております。また、本年4月の しい」とあり、国民の多くの方々が期待を抱いたこと 診療報酬改定において、チーム医療推進の見地から、 と、 『神の領域』に入ってしまったのかということに、 「周術期口腔機能管理」が新設されました。医師との 医療にこれからいかなる展開があるのかと感じ入っ 連携の下、癌手術や心血管手術など、全身麻酔下に行 ているところです。 われる手術の周術期に口腔機能管理を行うことによ さて、宝塚市立病院地域医療連携部長より地域連 り、誤嚥性肺炎などの術後の合併症を減少させるこ 携のお話をいただき、 「 地域連携と歯科」として少し とが目的であります。 「周術期口腔機能管理」は、宝塚 述べさせていただきます。 市立病院との連携の下、宝塚市立病院連携登録歯科 病者が、とりわけ重篤な方が病院によって救われ 医がその受け皿として対応いたしております。生き てきたことは、言うまでもありません。近代医療の ること、生活することの根底にあるのが 『食』であり、 成果が大きければ大きいほど、現場には期待と責任 それを支えるのが歯科の責務と思っております。 が寄せられ、医療従事者の視点は医療現場に固定さ まずは一歩を踏み出さねば連携システムは展開い れてきたのではないでしょうか。社会に復帰された たしません。力を合わせて自らの地域を作り上げま 方がどのような生活をされているかまで視点を広げ しょう。 ー 1 ー 呼吸器内科・呼吸器外科 “宝塚市立病院における呼吸器疾患診療の取り組み” 呼吸器内科 部長 竹中 雅彦 呼吸器外科 部長 福原 謙二郎 宝塚市立病院呼吸器内科は、松田良信医師(現在、副院 宝塚市立病院呼吸器外科の特徴は、患者さんに可能 長兼緩和ケア内科部長)が呼吸器科部長として始めら な限り低侵襲の手術を行うべく、胸腔鏡下手術(内視鏡 れ、その全人的医療を受け継ぎ、呼吸器外科との密な連 下手術)を積極的に行い、関西でもトップクラスの症例 携のもと、呼吸器疾患の診療に取り組んでいます。対象 数を誇っております。美容上も優れており、早期の退 疾患は肺腫瘍・アレルギー性肺疾患・閉塞性肺疾患・ 院と職場復帰が可能です。 診療においては、当院呼吸器内科との密接な連携の 感染症・びまん性肺疾患です。 今年は、宝塚市立病院第 2 回市民公開講座 (8 月 11 日 もと、主に肺癌、転移性肺腫瘍、気胸につき手術治療を 開催:肺の病気と肺がん)において、肺疾患の講演を行 行っております。早期の肺癌であれば胸腔鏡を用い い、多数の市民に向けた発信をさせていただきました。 て小さな創で手術を行っております。癌性胸膜炎を伴 また、2011 年 4 月から継続的に開催されています宝塚 う肺癌に対しては、胸腔内温熱化学療法を行った上で 呼吸器セミナーも、宝塚市内外の医療関係者の参加をい 胸膜肺全摘術を行い、良好な治療成績を得ています。 ただき、第 4 回 (本年 10 月 12 日開催)を無事に開催する 転移性肺腫瘍も、小さい腫瘍の場合は胸腔鏡下手術を ことができました。一方で、阪神北喘息死ゼロネット作 行っております。気胸につきましては、針状胸腔鏡手 戦は 2010 年から始まり、この取組みについて、第 63 回 術を導入・施行しております。 兵庫県医師会設立記念医学会 (本年 11 月 18 日開催) にお いて発表の機会を頂くことができました。これらは関係 各位の御尽力の賜物であり、 厚く御礼を申し上げます。 当科の現状として、本年 9 月から新たに常勤スタッフ が 1 名加わり、地域の先生方からのご依頼をより円滑に お受けできる体制が確保できました。肺腫瘍において は、本年 4 月に「がん診療連携拠点病院に準じる病院」の 認可をいただくこともでき、当院の他の診療科や各チー ム (例えば感染症においては ICT)との連携をとりなが ら、より一層の研鑽を重ねますので、今後とも宜しくお 願い申し上げます。 総手術件数は年間約 200 例、うち胸腔鏡手術は約 140例 (70%) です。総手術件数のうち、 肺癌は80例(う ち胸腔鏡下手術 50 例) 、転移性肺腫瘍は 25 例(うち胸 腔鏡下手術 10 例) 、良性肺腫瘍は 18 例 ( うち胸腔鏡下 手術 8 例 )、 気胸は 55 例 (針状胸腔鏡 30 例) です。 地域の中核病院として医師会の先生方、また当院呼 吸器内科と一致協力し呼吸器疾患の外科治療に取り組 んでいます。当科では低侵襲手術を積極的に行ってお り、手術治療につきましては多くの選択肢を提示させ ていただき、患者さん及びご家族と相談の上最良の治 上段左から倉堀 主任医長(呼内) 楠 医長(呼外)木村 医員(呼外) 下段左から金森 部長 (呼内)竹中 部長 ( 呼内)明石 副院長 福原部長 (呼外)療を受けていただきたく思います。 ー 2 ー I nfection Control Team 抗菌薬使用時のポイント ∼ PK/PD について∼ (薬物動態) 《抗菌薬の PK/PD を考慮した治療とはどういう ものですか?》 IC T 通信 Vol.2 図 3 濃度依存の抗菌薬 ペニシリン系の血中濃度の半減期は約 1 時間、セフェ ム系の半減期は約 3 時間です。ペニシリン系では少なくと も日に 4 回(6 時間毎) 、セフェム系(セフトリアキソン は除く)では少なくとも日に 3 回(8 時間毎)以上の投与 が必須です。抗菌薬の薬物動態を考慮した投与量と投与法 を実施すれば、最大の効果を期待でき、副作用の発現は最 小になると言われています(図 1) 。時間依存の抗菌薬(β ラクタム系抗菌薬)は日に 3-4 回投与し TAM を増加させ 濃度依存の抗菌薬の血中濃度のイメージ;濃度依存の抗菌薬(ア ると、より有効で副作用が減少します。 (図 2)一方、濃 ミノグリコシド系、キノロン系など)は 1 回投与量を多くして短 度依存の抗菌薬(アミノグリコシド系、キノロン系など) 時間で投与し C max を上げると、より有効で副作用が減少する。 (記)ICD 小林敦子 は 1 回投与量を多くして短時間で投与し C max を上げる と、より有効で副作用が減少します(図 3) 。 ≪地域連携感染防止対策ラウンドの実施♪♪≫ 図 1 PK/PD 模式図 ~ラウンドでお互いの医療機関をチェック!!~ 今年度から地域の感染ネットワークを構築し、互いの 医療機関に赴いて相互評価を行うことが義務付けられまし た。10 月 23 日、本院が他の医療機関から評価を受ける 日がやってきました。書類審査および病棟や外来などの部 門別ラウンドを行いました。評価者は感染対策の専門家だ けに、非常に細かなチェックや鋭い指摘が飛び交います。 結果、日頃自分たちでは気づかないような問題点が浮き彫 ~抗菌薬の血中濃度の時間的推移~ りとなり、感染対策の見直しと質の向上につながる良い機 PK/PD 理論より抗菌薬の有効性に重要な要素は以下の 3 つ 会となりました。 勿論、結果も大切ですが、何よりも感染対策に取り組む ① Time above MIC(TAM);MIC を越える血中濃度の時間 姿勢や熱意の重要性を再認識できるラウンドでした。 ② Cmax(血中最大濃度) (記)感染管理認定看護師 春藤和代 ③ Area Under the serum concentration time Curve (AUC); ①と②に囲まれる面積 図 2 時間依存の抗菌薬 時間依存の抗菌薬の血中濃度のイメージ;時間依存の抗菌薬(β ラクタム系抗菌薬)は日に 3-4 回投与し TAM を増加させると、 より有効で副作用が減少する。 評価者の三田市民病院および宝塚第一病院 ICT メンバー と記念撮影 ー 3 ー 栄養相談のご案内 受付時間 月~金曜日 9時~ 15 時 30 分 当院では、地域の医療機関からの栄養指導の依頼をお 受けし、 栄養相談を行っています。糖尿病、糖尿病性腎症、 相談時間 30 分~1時間 腎臓病、脂質異常症、高血圧、肝臓病などで食事療法が 相談料金 栄養食事指導として保険点数で定め 必要とされる方を対象としています。 られた料金(130 点/回) 患者さんの食生活改善のために、ご利用いただければ 患者さんの病気の症状や食生活はさまざまなので、食 事療法はひとりひとり違っています。当院の栄養相談は、 患者さんの生活習慣や嗜好を考慮し、その日から実践で きるお話をするように心がけています。患者さんが普段 召し上がる食事内容を聞かせていただき、フードモデル と考えております。 栄養相談の予約につきましては、地域医療室にお問い 合わせください。 や資料を使用して、丁寧に分かりやすく説明します。ま た、症状と栄養相談の効果を見ながら、必要に応じ繰り 返しアドバイスを行います。なお、相談内容は報告書に てご連絡いたします。 新任医師のご挨拶 呼吸器内科 主任医長 倉堀 純(くらほり じゅん) 平成 24 年 9 月 1 日より宝塚市立病院 呼吸器内科で勤務させていただくことになりました。 25 年間、呼吸器を中心に内科全般を診療してまいりました。地域医療に少しでもお役に立てる 様に取り組んでいきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。 【 平成 24 年度宝塚市立病院市民公開講座 】 12 月 1 日に第4回市民公開講座を開催しました。テーマは「実 は怖い冬の感染症」 。インフルエンザやノロウイルスの感染予防 について、当院ICTメンバーがわかりやすく説明しました。 身近な問題ですので、質疑応答の時間では来場者から多くの質 問がありました。当日、実施したアンケートの結果からも、皆 さんに満足していただけた事がわかりました。 今後も、皆さんのお役に立てる情報をお伝えしていきます。 ご来場をお待ちしています。 第4回市民公開講座の様子 (質問に答える講師たち) 「すみれ Heart . ねっと」に関するお問い合わせは、地域医療室までお願いします。 連絡先 〒665ー0827 兵庫県宝塚市小浜4ー5ー1 TEL:0797ー83ー2808(直通) FAX:0797ー83ー2818(直通) ー 4 ー Mail:[email protected] http://www.city-hospital.takarazuka.hyogo.jp/
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