合同C5−1 大飯発電所及び高浜発電所のバックチェック中間報告に係る 現地調査 実施結果概要 平成20年9月12日 原 子 力安 全・ 保安 院 1.実施期間:平成20年8月18日(月)∼8月19日(火) 2.実施場所:福井県大飯郡おおい町、大飯郡高浜町、小浜市及び三方上中郡若狭 町並びに滋賀県高島市 3.実施内容:関西電力㈱から原子力安全・保安院へ提出された大飯発電所及び高 浜発電所に係る「「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」 の改訂に伴う耐震安全性評価結果中間報告書(平成20年3月31 日)」の内容に係る調査 4.出席者: 宇根委員、岡村委員、杉山委員、高島委員 5.実施概要 ・O−1、O−2、O−3、T−1、T−2、T−3の各リニアメントについて、 空中写真判読、地形の状況、露頭、ボーリング等を確認した。 ・熊川断層について、空中写真判読、地形の状況、断層露頭、トレンチ、ボーリ ング等を確認した。 ・海域のFo−A、Fo−B、Fo−C断層に関係する海上音波探査記録を確認 した。 1 6.各委員からのコメント等 項 目 コメント ・ リニアメントを判読することと変動地形学の検討をするこ とは別である。リニアメントの解釈は、破砕帯の有無だけ でなく、地形発達史を検討した上で変動地形学的検討を行 って実施する必要がある。 ・ 敷地近傍の範囲について、レーザー測量により高精度の地 形データを取っておけば、地震が発生した時に、地震発生 前後の地表変動の検討が可能となり、有用なデータとなる。 全 般 ・ 変動地形・リニアメント分布図は、判読要素等を図示して、 分かりやすく正確なものに工夫すること。また、図面の記 載ミス(方位記号、縮尺の未記載、河谷屈曲線のずれ等) を修正すること。 ・ 保守的に抽出・評価するのは適切であるが、現地調査の成 果に基づいて、活断層との関連を客観的に評価することが 肝要。 熊川断層 ・ 熊川断層の補足調査として実施する反射法地震探査測線の うち、陸側の測線を高速道路計画地点を挟んで並行配置し ているが、受信測線についてはオーバーラップさせるよう に配置させるのが望ましい。 花折断層と 熊川断層との 会合部 ・ 熊川断層の東側の止めにすることについて、特に問題はな い。 ・ Loc.O1-1 の露頭がリニアメントの成因に関連があるかは疑 問。無理にリニアメントに関連付ける必要はない。現地確 認(剥ぎ取り調査)したらリニアメントとは関連性の無い 古い断層があったが、リニアメントに対応する断層は認め られなかったと説明する方がよい。 ・ Loc.O1-2 では、リニアメント直交方向に縦断測量を行って O1リニアメン いるが、最大傾斜方向に測線を配置するべきである。現地 ト 確認の結果、傾斜変換が存在するのは事実である。B−B ´断面は傾斜変換の縁部に沿って配置している可能性があ り、沖積面には変位が無いと評価はできると考えられる。 横断測量の測線位置と測量データの再確認が必要。20∼ 30年前の精度の悪い昔の地形図の代わりにレーザー測量 を実施するのが望ましい。 2 項 目 ・ ・ O2リニアメン ・ ト ・ ・ O3リニアメン ト ・ T1リニアメン ト ・ ・ ・ T2リニアメン ト ・ コメント Loc.O2-2 では上載層により活動性を否定しているが、リニ アメントから北側にずれているため、リニアメントの評価 としては弱い。 Loc.O2-4 では、ボーリング調査や剥ぎ取り調査を行い、リ ニアメント延長部での評価を行っているが、リニアメント 直下ではなく、間接的な評価に留まるため、リニアメント の評価としては弱い。 Loc.O2-4 における地質断面図では、変斑れい岩の北側に分 布する緑色岩類に破砕帯が分布することが示されている が、ボーリングでは変斑れい岩中にも認められることから、 断面図の修正が必要。 本リニアメントは(現地で確認した結果)活断層とは考え られないが、変動地形学的調査によりリニアメントとして 認識した箇所に対する評価を行うためには、リニアメント 直下の調査結果に基づいて評価を行う必要がある。 O3リニアメントに沿って分布する超苦鉄質岩と超丹波帯 の境界の地質断層よりも、青戸の入江の方が大きな構造を 伴う可能性がある。青戸の大橋のボーリングデータ等があ るならば、それを確認しておく方が良い。 東側海岸で確認した水中の露頭を海食台としているが、海 食台ならば干潮時に全岩露出すると思われ、「海食台」とい う表現は誤解を招く可能性がある。また、ルートマップで は海岸に沿って全面露頭があるような表現になっている が,現場ではそうは見えない.露頭分布を正確に示すこと。 追加調査の必要はないが、踏査結果は正確な表現とするこ と。 ボーリングや音波探査等によりT2リニアメントの活動性 を評価しているが、いずれもT2リニアメントを直接評価 したものではない。活断層ではないと思うが、これらのデ ータでは活動性について説明する根拠としては弱い。 リニアメント周辺の大浦層頁岩は背斜構造のように見え、 その上位に流紋岩や安山岩が被覆しており、この様な状態 の中で何故凹地状の地形できたのか成因が理解しにくいた め、凹地状の地形の生成過程を検討すること。 敷地西方で実施したボーリング(T1-16’)のボーリングコ アで内浦層と流紋岩の境界は不整合としているが、活動的 なものとは思われないものの、断層の可能性もあるため再 考してもらいたい。 3 項 目 ・ T3リニアメン ・ ト ・ ・ ・ ・ ・ 海域の 地質・地質構造 ・ ・ ・ ・ ・ コメント リニアメントの両端の評価のみで中央部の評価が示されて いないため、リニアメントの否定としては弱い。中央部の 鞍部であるb地点で調査しているのであればその結果を示 すこと。 空中写真を見ると、北部のリニアメントは明瞭に見えるが 南部の方はよく見えない。 c地点の地質境界としているところは断層の可能性もある ため、砂岩と安山岩の間の地層の分析・評価を行い、評価 を行う必要がある。 測線C−58GはFO−Bの北端として問題はない。 FO−Bは明らかに南西側が隆起している。 測線C−47GはB層以上に変位変形が無いとしてもよ い。 測線C−43.5G(FO−B南端)、測線C−43G(F O−A北端)は、B層厚さ、断層下盤の堆積層上面勾配を 基準とした場合、明らかに南西側が隆起し、Fo-10 が Fo-14 に繋がっていると考えられる。 断層長さとしては、FO−A、FO−Bを個別の断層として 評価してもよい。ただし、連動しないという考え方には無 理がある。 測線A−2Gでは、音波散乱層のすぐ南側に判断の難しい撓 みが認められる。 O1リニアメント延長部の測線A−11Gに認められる堆 積層中の曲がりについては、活断層の疑いがある。 小浜湾には大きい断層は無いと思うが、音波散乱層により記 録が見づらい所もあり、熊川断層とFO−A断層の連続性 については慎重に評価する必要がある。 断層分布図では、断層幅を表示すること。 4 合同ワーキングCサブグループ現地調査における各委員からのコメント T2リニアメント T1リニアメント ・ 東側海岸で確認した水中の露頭を海食台 ・追加調査の必要はないが、踏査結果は としているが、海食台ならば干潮時に全岩 露出すると思われ、「海食台」という表現は 誤解を招く可能性がある。また、ルートマッ プでは海岸に沿って全面露頭があるような 表現になっているが,現場ではそうは見え ない.露頭分布を正確に示すこと。 0 O1リニアメント T1リニアメント 高浜発電所 T2リニアメント 大飯 発電所 高浜 発電所 O2リ ニアメ ン O3リニアメント T3リニアメント ・リニアメントの両端の評価のみで中央部 の評価が示されていないため、リニアメ ントの否定としては弱い。中央部の鞍部 であるb地点で調査しているのであれば その結果を示すこと。 ・空中写真を見ると、北部のリニアメント は明瞭に見えるが南部の方はよく見え ない。 ・c地点の地質境界としているところは断 層の可能性もあるため、砂岩と安山岩 の間の地層の分析・評価を行い、評価 を行う必要がある。 正確な表現とすること。 大飯発電所 T3 リ ニア メン ト ・ボーリングや音波探査等によりT2リニ アメントの活動性を評価しているが、い ずれもT2リニアメントを直接評価したも のではない。活断層ではないと思うが、 これらのデータでは活動性について説 明する根拠としては弱い。 ・リニアメント周辺の大浦層頁岩は背斜 構造のように見え、その上位に流紋岩 や安山岩が被覆しており、この様な状 態の中で何故凹地状の地形できたのか 成因が理解しにくいため、凹地状の地形 の生成過程を検討すること。 ・敷地西方で実施したボーリング(T116’)のボーリングコアで内浦層と流紋 岩の境界は不整合としているが、活動 的なものとは思われないものの、断層 の可能性もあるため再考してもらいたい。 - ト 全 般 敦賀発電所 ・リニアメントを判読することと変動地形学 の検討をすることは別である。リニアメン もんじゅ トの解釈は、破砕帯の有無だけでなく、 美浜発電所 地形発達史を検討した上で変動地形学 的検討を行って実施する必要がある。 ・敷地近傍の範囲について、レーザー測量 により高精度の地形データを取っておけ ば、地震が発生した時に、地震発生前後 の地表変動の検討が可能となり、有用な データとなる。 ・変動地形・リニアメント分布図は、判読要 素等を図示して、分かりやすく正確なもの に工夫すること。また、図面の記載ミス(方 位記号、縮尺の未記載、河谷屈曲線のず れ等)を修正すること。 ・保守的に抽出・評価するのは適切である が、現地調査の成果に基づいて、活断層 との関連を客観的に評価することが肝要。 20km 琵琶湖 5 合同ワーキングCサブグループ現地調査における各委員からのコメント O 1リニアメント ・Loc.O2-2では上載層により活動性を否 定しているが、リニアメントから北側に ずれているため、リニアメントの評価とし ては弱い。 ・Loc.O2-4では、ボーリング調査や剥ぎ 取り調査を行い、リニアメント延長部で の評価を行っているが、リニアメント直 下ではなく、間接的な評価に留まるため、 リニアメントの評価としては弱い。 ・Loc.O2-4における地質断面図では、変 斑れい岩の北側に分布する緑色岩類 に破砕帯が分布することが示されてい るが、ボーリングでは変斑れい岩中にも 認められることから、断面図の修正が 必要。 ・本リニアメントは(現地で確認した結果) 活断層とは考えられないが、変動地形 学的調査によりリニアメントとして認識し た箇所に対する評価を行うためには、リ ニアメント直下の調査結果に基づいて 評価を行う必要がある 。 ・ Loc.O1-1の露頭がリニアメントの成因 に関連があるかは疑問。無理にリニアメ ントに関連付ける必要はない。現地確 認(剥ぎ取り調査)したらリニアメントとは 関連性の無い古い断層があったが、リ ニアメントに対応する断層は認められな かったと説明する方がよい。 ・直交方向に縦断測量を行っているが、 最大傾斜方向に測線を配置するべきで ある。現地確認の結果、傾斜変換が存 在するのは事実である。B−B´断面は 傾斜変換の縁部に沿って配置している 可能性があり、沖積面には変位が無い と評価はできると考えられる。横断測量 の測線位置と測量データの再確認が必 要。20∼30年前の精度の悪い昔の地 形図の代わりにレーザー測量を実施す るのが望ましい。 大飯発電所 O1リニアメント T1リニアメント 高浜発電所 T3 リ ニア メン ト O 2リニアメント T2リニアメント O2リ ニアメ ン O3リニアメント 大飯 発電所 ト O 3リニアメント ・O3リニアメントに沿って分布する超苦鉄 質岩と超丹波帯の境界の地質断層より 敦賀発電所 も、青戸の入江の方が大きな構造を伴 もんじゅ う可能性がある。青戸の大橋のボーリ ングデータ等があるならば、それを確認 美浜発電所 しておく方が良い。 - 高浜 発電所 熊川断層 ・ 熊川断層の補足調査として実施する反射法地 花折断層と熊川断層との会合部 0 20km ・熊川断層の東側の止めにすることについて、 特に問題はない。 震探査測線のうち、陸側の測線を高速道路計 画地点を挟んで並行配置しているが、受信測 線についてはオーバーラップさせるように配置 させるのが望ましい。 琵琶湖 6 合同ワーキングCサブグループ現地調査における各委員からのコメント 測線C-58G ・FO−Bの北端として問題はない。 測線C-47G ・B層以上に変位変形が無いとしてもよい。 測線C-43G,C-43.5G F O −B ・明らかに南西側が隆起している。 Fo-14 ・B層厚さ、断層下盤の堆積層上面勾配を基準とした場合、 明らかに南西側が隆起し、Fo-10がFo-14に繋がっていると考えられる。 Fo-46 F O −A,FO−Bの連続性 測線A-11G ・断層長さとしては,FO−A,FO−Bを個別の断層 として評価してもよい。ただし、連動しないという 考え方には無理がある。 ・O1リニアメント延長部の測線A-11Gに認められる 堆積層中の曲がりについては、活断層の疑いがある。 測線A-2G 断層分布図 ・音波散乱層のすぐ南側に判断の 難しい撓みが認められる。 ・断層幅を表示すること。 A-11G O1 リニアメント 評価に問題なし 小浜湾内 再検討が必要 :後期更新世以降の活動が 認められる 断層及び撓曲 :後期更新世以降の活動が 認められない断層及び撓曲 高浜発電所 大飯発電所 0 5km ・小浜湾には大きい断層は 無いと思うが、音波散乱層 により記録が見づらい所も あり、熊川断層とFO−A 断層の連続性については 慎重に評価する必要がある。 7
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