マリナーズの本拠地シアトルで 「Teradata PARTNERS 2003」が開催 世界でTeradataを利用している約50ユーザーが事例を紹介 ∼“データ統合、CRM、ROI”∼ 日本NCR株式会社 テラデータ事業本部 金融事業部 プロフェッショナル・サービス部 プロジェクト・マネジャー 祖父江 司朗 「Teradata PARTNERS 2003」が、米国シアトルにある 【基調講演】 ワシントン州コンベンション&トレードセンターで、2003年9 データの急増に対応できる Teradata、データの高付加価値化・最 適ドライビングこそ真の役割 月21日∼25日まで開催された。17回目を迎えた今回のテ ーマは「Driving Value Today」 。複数のTeradataユーザ ー企業からなる「PARTNERS 運営委員会」がテーマを毎 基調講演では「データの価値を正しくドライビングするこ 年採択、企画・運営しているデータウェアハウスおよび と」の重要性を強調。毎年平均100社ずつユーザーが増 CRMの世界最大規模のコンファレンス。世界レベルの事 加していることからもわかるとおり、e-businessの普及に伴 例が一堂に会するため、ユーザー間で知識を共有し、企業 うデータ量の急増に対応できるのはTeradataだけと説明。 の意思決定に関するベスト・プラクティスを学ぶことができ また、データの価値をいかに見つけ出して高めていくのか、 る。基調講演と約 200 のセッション (うちユーザー事例約 どのようにドライビングしていけばよいのかをNCRがサポー 50) に、パネラーを囲んだインダストリーフォーラムを開催。 トしていくと講演した。 「どの企業も成長する機会を充分に 展示会場では、最新の製品やソリューションを紹介。参加 持っている。成長の実現にはデータの更なる分析・解析に 者は約50カ国のTeradataユーザー企業など約2,700人 よる、今まで以上の良い情報を見つけ出すことが重要だ。 と大規模。最終日前のクロージングイベントは、マリナーズ TeradataユーザーのWAL*MARTやDellなどに見られるよ のホームスタジアム「セーフコ・フィールド」で盛大に開催、 うに、データウェアハウスは単なるデータの塊ではなく価値を 普段は見ることの出来ない選手のロッカールーム見学など 創造するものであり、経営者の判断材料、企業の戦略材 もあり、セッション同様大盛況だった。 料として重要な一翼を担っている。そして、そのユーザーの 成功こそが我々の成功である」 と強調した。 【各社事例紹介】 バークレイズ、価値データの算出 にAnalyzer利用 ネイションワイド保険 (米国の対物保険の中で第7位、 フォーチュン500社中111位、総資産1,170億ドル、証券 数1,600万件、NCRサーバ16ノード、7テラバイトのデー タ量を有する) の事例で特筆すべきは、ROI 算出の高 速 性とそこから得られる投 資 判 断 への有 効 活 用 。 Teradataを利用することで保険に関するウェブベースの 全ログ (使用履歴、パフォーマンス、顧客の購買行動な どまでも) を取りこみ、膨大で年々増加・進化する情報 60 Financial Information Technology パフォーマンス、柔軟性なども採用理由にあげた。 Teradataで、CRMはもちろん、CLTV(Customer Life Time Value)の分析で収益予測値や契約年数別の 各種要因による保険離れを計測している。さらには契 約医師のコストや複数の条件から医師のランク付けを 行なうなど新しい試みで他社と差別化を図っている。 上記以外の企業ではグローバル通信プロバイダ SBC Communications、 コンチネンタル航空、3M社な どが成果をあげていると紹介した。 【セッションの総括】 の分析を実現。これによりウェブ関連の投資が妥当か、次 回はどこに投資すべきか的確に判断している。また、バーク レイズ銀行(グローバル銀行の上位 10 行にランク、総資産 6,750億ドル、顧客数1,600万を有する) では、Teradata Value Analyzer (顧客収益算出ソリューション) を導入し、 ユーザー事例から見える 3つのポイント ユーザー事例の全体を見渡すと次の3つのポイントが浮 かび上がる。 第1に 「データベースの統合」 である。セクション毎に構築 されたものをはじめ、企業の統合、異業種企業との連携な キャンペーンにおける顧客の価値データの算出を実現してい ど、データを一箇所に統合することにより、幅広いビジョンへ る。これにより、どのキャンペーンが有効で、利益が出るかと の展開とセグメントの拡大、様々な角度での分析やコスト削 いうモデルの構築、イベントの検知なども可能となった。その 減ができるようになった。2つ目は「CRM」である。中でも企 結果、個人ローンの販売キャンペーンで導入前の3 倍の効 業内だけのCRMから、異業種企業などと大規模な共存共 果を出すことに成功している。さらに今後はNCRと共同で長 栄型CRMへと発展し、リスクシェアリングやロストシェアリン 期的な顧客価値を予測しようと計画中だ。ICICI Bank (イン グしていくものが興味深い。一方で、既存の顧客データの ド国内第2位、総資産222億ドル、顧客数1,100万) は、イ 更なる活用や、データの蓄積が進んだことにより、ユーザー ンドの激しい市場変化を予測し、新興マーケットにおいて のニーズをより突き詰める顧客嗜好分析型に深化した事例 CRMを活用しており、 クレジットカード事業は急成長している。 もあった。最後は「ROI」である。ROIは、数年前から検証 各グループ会社間の顧客情報を共有化し、データの重要性 ツールや検証方法が多く出ていることで結果が得られやす に着目してCRMを構築している。それによりキャンペーンの くなっているようだ。ROIも利益や売上をキャンペーンなど 実行時間短縮と効果向上、顧客獲得コストの大幅な削減、 のセグメント別に算出するケースや、顧客数・顧客を囲い込 戦略的な意思決定を可能とした。また、着目すべき顧客の む部分に着目するケースがあった。昨年と比較してROIを 行動(カードを使用しなくなったなど) を見逃さず、即座に次 重要視している企業が多いことがうかがえた。 の手を打ち収益に結び付けようとしている。データウェアハウ 今回、事例紹介をした企業の中にはDB2やOracleから スの運営に関して、 「DWHは技術的、組織的な準備が必要 Teradata へマイグレーションしたものが含まれていた。そ でITチームではなくビジネスチームで運営することが大事」 と れらに共通した内容は「今後さらに増えるデータを扱える最 説明した。また、CSS Insurance (スイスの健康保険会社で 適データベース」 「データを出来るだけ高速に分析結果出 保険収入20億ユーロ、顧客数100万) は大容量データの 力できるもの」 としてTeradataを選択し、成功しているという 複雑な計算を高速実行できるTeradataを採用した。スイ ものである。何故、Teradataの導入でROI向上、コスト削 スでは居住者の100%が健康保険に加入しているという特殊な 減がなされたのか。ユーザー自身の生の声を聞くことで、 環境のため、保険の価格(保険料)競争も非常に激しい。 体感できる貴重な場であった。来年のPARTNERSではど 低価格、シングルベンダーですべてのソリューション提供、高 のような進化が見られるか、一段と楽しみになってきた。 No.11 2004 Winter 61
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