NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE Title 'The Second Coming'管見 Author(s) 池田, 俊也 Citation 長崎大学教育学部人文科学研究報告. vol.57, p.41-51; 1998 Issue Date 1998-06 URL http://hdl.handle.net/10069/5753 Right This document is downloaded at: 2014-11-10T19:45:27Z http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp Bu l l e t i no fFa c u l t yo fEd u c a t i ( ) n, Na g a s a ki Un i v e r s i t y: Hu ma n i t i e s1 9 9 8 ,No . 5 7 ,4 ト5 1 ` TheSecondComi ng' 管見 池 俊 田 也 AnI nt er pret at i onof` TheSecondComi ng' I KEDA,Tos hi ya Ⅰ 「 再臨 」 (` TheSe c ondComi ng' ,1 92 0:以下 SC と略記)は W. B. Ye a t s後期の詩作の A Vi s i o n,1 92 5:r e v. 1 93 7)で詳説 され る歴史観 を簡潔 に 源泉であ る詩学体系 ,『幻想録』 ( 表現 した作品であ る。全作品の中で も短 い方の部類 に属 す るこの詩 はその名の示 す通 り壮 大 なアポ カ リプス的世界像 をわれわれ に提示す るが,全体 でわずか2 2行 とい う長 さに もか かわ らず,豊 かなシンボル とメ タフ ァーに よって人知 を超 えた歴史の終末の凄 ま じいエネ at sが SCの創 作 を始 めた ルギ ーを一 つの凝縮 した イ メ ー ジ と して現 出 させ て い る。 Ye 1 91 9 年 1月は,第 1次大戦 , ロシア革命 ,対英武装蜂起 ( イ ース ター革命)な ど国内外の 争擾 が一応終息 した時期 であ った。 だが,火種 は残 り,混乱 と粛正 ,憎悪 と復讐 の風 が新 た に吹 き始 めた こ とを詩 人 は敏感 に感 じとって いた。 同時期 の 「わが娘 のための祈 り」 (` APr a ye rf orMyDa ught e r' , 1 91 9)の一節 " Onc emo r et hes t o r mi showl i ng,-/-t he f ut ur eye a r sha dc o me, /Da i ngt oaf r e nz i eddmm, /Outo ft hemur de r ousi nnoc e nc eof ( 1 )nc 1 -1 2) は SC に係わ る詩人 の こう した心情 を端 的 に表 してい るO が, t he s ea".( CP,21 彼 は 自 らの不安 と絶 望 を惹 き起 こす原 因で あ る歴 史的事 実 を文 脈 その ままに読 もう とせ ず,「古 い神 の死 と新 しい神 の誕生 」 とい う神話的文脈 の中で捉 え よう とす る。換言 すれ 0 00 年 に渡 って ヨーロ ッパ¢) 文 明や文 化 を支配 して きたキ リス ト教 が終蔦期 を迎 え, ば ,2 新 しい未知 の神 が生 まれ出 よう としてい る時代 とす る認識 であ る。革命 や暴動 ,戦争な ど の擾乱 は従 って,やがて くる時代 を決定付 け る事件 であ り,新 しい世界が誕生 す る直前の 胎動 とい うこ とにな る。 Ye a t sは こう した新時代誕生 の予感 を SCで詣 い上 げ よう として い るのだ。 f f ar esや R. El l mannをは じめ と して 『マ タイ伝』 に記 されたキ 作品 については,NJe リス ト自身 に よる再臨の預言 や 『ヨハ ネに よる黙示録』 に描 かれた反 キ リス トを表 す怪物 と SCのイメ ージを 自然 に結 び付 けて捉 え よう とす る批評家 が多 く,一般的な解釈 として ( 2 ) Bl oom は タイ トル と内容 の不整 合性 を指 摘 し, それ が W . Bl akeと 定 着 して い るが H. P. B. Shel l eyか らの無 頓着 な イ メージの借 用 に起 因 す る と述 べ た うえで, ` ` I ft hegood t i meye tc omes , ast hef ai t hofBl a kea ndShe l l e yhe l di tmu s t ,TheSe c o ndCo mi n gmayi ml . ミ ! pr e s st hec o mmonr ea de rr at he rl e s st ha ni tdo e snow"・ と結論 づけている。Ye a t sの推 4 2 長崎大学教育学部 人文科学 研究報告 第 57 号 敵 につ いては最近 にな って,ア イル ラン ド国立 図書館蔵 の草稿 が完 全 な形 で復刻 された ( 1 9 9 4:Co r ne l lUni v.Pr e s s )ため容易 に詩人の創作の軌跡 を追 うこ とが可能 にな った。 Bl oo m の分析の足掛 か りともな った J. St a l l wo r t hyの論考 と併 せて これ につ いて考察す る 必要 があ るだ ろ う. さ らに SC創 作時期 にすで に詩 人 の 中で固 ま りつつあ った A Vi s i o n の歴史観 との関係 も看過 で きない問題 であ る。以下 ,本稿 では こう した点 を踏 まえて作品 を見 ることにす る。 Ⅱ 作品は 1連 8行 , 2連 1 4 行 の 2部 に分 かれ,それぞれ現実の世界の不安定 な政情 の直感 的認識 と自身 が捉 えたアポカ リプス的幻影の描写 であ る。 冒頭詩人 は不可視の一本 の線 で 繋 が るべ き鷹 と鷹 匠の関係が張 り詰 め,切 り放 されたイメージで無秩序 な情況下 にあ る世 界 を暗示 す る。 Tur nl nga ndt ur nl ngi nt hewi de ni nggyr e Thef a l c o nc a nno the a rt hef a l c o ne r ; ) Thi ngsf a l la pa r t ;t hec e nt r ec a nno tho l d;( CP,21 0 -ll 鷹 は鷹 匠の手 を離 れ次第 に速度 を増 しなが ら上昇す る。引 き戻 そ う と呼 び掛 け る鷹 匠の声 も届 かない。繰 り返 され る 〟 t ur n" と " wi de n' 'は共 に現在分詞 の形 を とるこ とで鷹 匠の 位置 を中心 に逆 円錐形 に漸次速度 を増幅 させなが ら外へ向か って拡張 してい く鷹 の飛淘運 ( 4 ) 動 を示 し,同時 に反復 され る同音語 " i ng" と " i n"は内 に向か う力 を示 してい るが,強 音で [ g] と発音 され る語 " gyr e"は両方 向に引 き合 う均衡 した力の強 さを音声的 に倍 加 させている。 鷹 と鷹 匠が何 を象徴す るかは批評家の解釈 が分 かれ る ところで,それぞれ人間 とキ リス トを指 す とす る J e f f ar e sの意見 か ら,逆 に鷹 匠 が人 間 を指 し,鷹 が 「人 間の 自然 支配」 ( hi sma s t e r yo fna t ur e )を表 してお り,「支 え切れない中心」 は人間であ る とす る Bl oo m の意見 まで様 々であ 震 鷹 を人間 と捉 えるか,人間の支配力 と捉 えるかの違 いは鷹 に意志 を認め るか どうかの問題 であ る。離 れ よう として上昇 してい るのか,唯上昇 し過 ぎて鷹 匠 の声 が聞 き取 れな くな ってい るのか とい うことだ。J e f f a r e sは聖書 にい うアポ カ リプス的 主題 に忠実 に従 うこ とで,反 キ リス トの出現 とい う預言 を この場面 に も重 ねてい るのだ。 だか ら,鷹 はキ リス トか ら意 図的 に逃 れ ようとす る反 キ リス トの集 団であ って,彼 らは世 界 の秩序 ( 伝統的価値体系) を破壊 しよう とす る。 いわば,歴史 の転覆 を謀 る集 団 とい う こ とにな る。一方 ,Bl oo m は鷹 匠 を人 間 とす る こ とで,人 間 の意志 では どうす るこ とも で きな くな った世界秩序 の崩壊 ( 人 間の支配 力を超越 した歴史の強力な力学)だけを見 よ う としている。 そ もそ も,彼 は草稿時の主題 であ った ロシア革命後 の無政府状態 に対 す る 恐怖 ( それは同 じくフ ランス革命 やアメ リカ独立革命 を預言詩 で詣 った Bl a keや She l l e y か らの語句やイメ ージの借用 か らも明 らかな ように)は最終稿で もキ リス トの再臨 と反 キ リス トの 出現 , また両者 の最終 戦争 ( ハ ル マゲ ドン) とい う聖 書 の預言 を表 現 す るまで には至 っていない とし,草稿 に記 された " TheSe c o ndBi r t h' '( " a nt i t h e t i c alDi vi ni t yo r s pi r i t " :キ リス トの再 臨 とは全 く無 関係 なスフ ィン クスの再生) こそ 内容 に相応 しい と ( 6 ) 考 えてい る。 いずれに して も, この ような意見の くいちがいは聖書 でい う再臨の預言 と作 池 田:` TheSe c o n dCo mi n g' 管見 4 3 品の " TheSe c ondCo mi ng" とを同一視 して受 け取 るか否 かに起因す る問題であ り,作品 自体の明確 なイメージ とE E倒的 なエネルギ -描写の魅力が減少す るわけではない。 ここで の問題 は作 品の 中で直線的時間意識 に根 ざす聖書 q )歴史認識 と円環 的時 間意識 に基 づ く Ye a t sの歴史観が どの ように結び付け られ るかの検証 にあ る。 Ye a t sに よれば,人間の精神や歴史は 2つの喫み合 った 円錐形 で表 され,それぞれの 円 錐 の頂点が一方の基底部 に接 した形 を作 っている。 この 2つの円錐 はそれぞれ基底部 か ら gyr e) す るが,その渦巻 の 頂点 ,頂 点 か ら基底部 に向か って反対方 向へ螺旋状 に旋 回 ( 線上 を移動 す る点 が一方 の円錐 の頂点 か ら基底部 に達 す る と,逆転 して もう一方の円錐の ( 7 ) 頂点 か ら再 び螺旋 を描 きなが らに基底部 へ と向かい,互いに拡大 と収縮 を繰 り返すのであ る。 これを歴史 に当てはめ る と,` ` gyr e"は周期的 に回帰 す る円環的歴史 とな る。 Thi sf i gur ei st mea l s oofhi s t o r y, f o rt hee ndo fa na ge, whi c ha l wa ysr e c e i ve st he r e ve l a t i o noft hec ha r a c t e ro ft hene xta ge,i sr e pr e s ent e dbyt hec oml ngO fo ne gyr et oi t spl ac eo fgr ea t e s te xpa ns i onando ft heot he rt ot ha to fi t sgr e a t es tc ont r a c t i o n.Att hepr e s e ntmome ntt hel i f egyr ei ss we e pl ngO ut wa r d,unl i ket ha t be f o r et hebi r t ho fChr i s twhi c hwa sna 汀O Wi ng,a ndha sa l mo s tr ea c he di t s gr e a t e s te xpa ns i o n.Ther e ve l at i onwhi c ha ppr oac he swi l lho we ve rt a kei t s ( 8 ) c ha r a c t e rf r om t hec o nt r a r ymo ve me ntoft hei nt e r i orgy r e. つ ま り,外 向 きに拡大 ( " e xpa ns i on' ' )す る力 と内向 きに収縮 ( ` ` cont r ac t i o n")す る力の 関係が歴史 におけ る時代の盛衰 を表 わ し,一時代 の終息期 に次の時代の特徴 が啓示 の形で a t sは この周期 を2 0 00 年 とす る。 現 れて くる とい うこ となのだ。Ye Wha ti fe ve r yt wot hous a nda ndo ddye a r ss ome t hi ngha ppe nsi nt hewor l dt o ma keo nes a c r e d,t heo t he rs ec ul a r ;o newi s e,t heo t he rf oo l i s h;o nef a i r ,t heot he r f oul ;onedi vi ne,t heo t he rde vi l i s h?Wha ti ft he r ei sana r i t hme t i co rge o me t r yt ha t c a ne xa c t l yme a s ur et hes l opeofaba l a nc e,t hedi po fas c a l e,a nds oda t et hec om( 9 ) 1 ngO ft ha ts ome t hi ng? この 2 00 0年 とい う数 は しか し,正確 であ るはずはな く, またその必要 もない。過去の終 末論神話 が示す ように,預言者 が世界の破滅 を予告 した年 には実際何 も起 こるこ とはなか った し,黙示的預言 とはそ う した ものであ るか らだ。Ye a t s自身キ リス トにまつわ る聖霊 降臨や受難か ら数 えて2 0 0 0 年後 に再臨が起 こる と信 じていたか どうかは疑わ しい。確 かな Ke r modeも指摘 す るように Ye a t sが 「それをあ るかたちで信 じていたのであ り, のは,F. ( 1 0 ) 黙示録 を戦争 と結 びつけて考 えていた」 ことであ り,現代 を終末 に繋 がる過渡的時代 と見 ていた とい うこ とであ る。彼 が具体的な数字 をあげ るのは過去 の文 明の消長 がその年数 に 集約で きるか らに過 ぎない。 C.2 0 0 0年頃 にエーゲ,ク レタ文 明 これを実際の ヨーロ ッパの歴史の流れで見 る と,B. B. C.75 0 を基 に成長 したギ リシ ャ文 明はその隆盛期 に入 った時期 に発生 した ローマ文 明 ( 頃) に よって徐 々に侵食 されポエニ戦役後 に滅 び る ( B. C.1 46 ) 。 同時 に, ローマ帝国は A. D.3 95 ),それぞ その隆盛 の時期 に登場 したキ リス ト教 を受容 した後で東西 に分裂 し ( 5 世紀半 ば までには滅 ぶ。 また,キ リス トの誕生 もって祖 とす るキ リス ト教 も教皇 グ レ れ1 4 4 長崎大学教育学部 人文科学 研究報告 第5 7 号 ゴ リー 7世 ( 在位 1 075-8 5)の時期 に世俗的権 力の隆盛 をむかえて後 はルネ ッサンス と宗 教改革 を経 て次第 にその権 力を衰退 させてい く。 代 わ りに近代合理主義,科学思想 がキ リ ス ト教 の くび きを離 れて進化 し, ロマン主義及 び産業革命 を経験 して Ye a t sが言 う S Cの 時代 とな るのだ。 いわば,キ リス ト教 が生 ん だ文 化 の " gyr e"がその先端 に向か って拡 大 を終 え, まさにその力の尽 きん とす る瞬間 に直面 してお り,あ らたな神 が誕生す る胎動 の時代 なのであ る。聖書ではキ リス トの再臨,ハルマゲ ドン,至福千年 ,大審判 ,神の支 配 を もって歴史 は永遠 に閉 じて しま うが,Ye a t sは再臨 を新 しい文 明誕生 の前兆 と捉 え る のだ。 さて,第 1連 の後段 にな る と,具体的 なイメージを持 ち出す ことに よって,詩人 は終末 的現実の世界 を描 く。 Me r ea na r c hyi sl oo s e dupo nt hewor l d, Thebl oo ddi mme dt i dei sl o o s e d,a nde ve r y whe r e Thec e r e mo nyo fi nnoc e nc ei sdr o wne d; Thebe s tl a c ka l lc o nvi c t i on,whi l et hewo r s t ) Ar ef ul lo fpa s s i o na t ei nt e ns i t y. ( CP,211 ここでい う " a na r c hy"は革命後 の無政府状態 を指 すが,広義的 には伝統 と伝統 に裏打 ち された ヒエ ラルキ ーが崩壊 した混乱状態 の こ とであろ う。 伝統的な価値体系が社会 に存在 し,確 固た るヒエ ラルキ ーの枠組みの中でそれぞれの階級の人間が 自分の属す る階級固有 の 「 儀式」 に従 って生 きれば整然 とした秩序 あ る世界 が保 たれ る と Ye a t sは考 える。 "…t hemi ndst ha tIha vel o ve d, /Thes o r to fbe a ut yt ha tIha vea ppr o ve d, /Pr os pe rbut ,( CP,21 3 ) と別 の詩 (` APr a ye rf o rMyDa ught e r' )で も現状 l i t t l e, ha sdr i e dupo fl a t e" を憂 う彼 は習わ しと儀式の重要性 を説 く。 Ho wbuti nc us t o ma ndi nc e r e mo ny Ar ei nno c e nc ea ndbe a ut ybo r n? Ce r e mony' sana mef o rt her i c hho r n, 4 ) Andc us t o mf o rt hes pr e a di ngl a ur e lt r e e. ( CP,21 この " c e r e mony" と SC中の " t hec e r e mo nyofi nnoc e nc e" とは全 くの 同義 であ り,辛 命 が もた らす 「血 で濁 りきった潮」に溺 れ る,儀式 を重 ん じる伝統的な階級 を指 してい る。 l oos e d, ,の反復 ( l l ' " 『黙示録』 のサ タンの 「解 き放 ち」 ( " l o os e d' ' ) を連想 させ る ような, dr o wne d' 'に抗 い難 い歴史 の流 れ ( 宿命) に翻弄 され る旧支配階級 の姿 を読み取 る こ と " とは容易であ る。 もっ と具体的 に言 えば,旧支配階級 とは ロシア皇帝 とその体制 に属 す る 貴 族 ,地主 たちであ り,近 くアイル ラン ドでは Ye a t sも属 し,1 9世紀 以後急速 に衰退 し つつあ った " Angl oI r i s h As c e nda nc y"といわれるイギ リス系アイル ラン ド人たちであ る。 この人 々が文化 を創造 した こ とを彼 が高 く評価 した こ とをあ らためて言 う必要 もないだ ろ う。 " Thebe s t "と " t hewo r s t " と呼応 す る一対の語 が Ye a t sの価値判断 を十分 に表 して い るか らであ る。激 しい情熱 に満ちた革命の嵐 がその血塗 られた潮で無垢 な最善の もの を 飲 み込 んで しま うと,「 儀式や習わ し」は もはやその確信 も説得力を も失 って しま うのだ。 草稿 に残 る詩句 ,"…c e r e mo ni o usi nno c e nc eha sdi e d, /…Andt hemo bf a wnsupo nt he 池 田:` TheSe c o ndCo mi n g' 管見 45 ( 1 2 ) mur de r e r s". ( MRD, 1 47 ) は よ り具体的 に没 落階級 の悲劇 を語 って い る。 Ⅲ 第 1連 が終末 を予 想 させ る世界 の情 況描写 であ る とす るな ら,第 2連 は SCの中心 とな a t s の幻視 ,即 ち終 末的黙示 であ る。前者 の る Ye " mer eana r c hy" は こ こで決定 的 な人類 の宿命 へ と変 わ る。 Sur e l ys omer e ve l a t i oni satha nd; Sur e l yt heSe c ondCo ml ngi sa tha nd. TheSe c ondComl ng!Ha r dl ya r et hos ewor dso ut pi r i t u sMun d i Whe nava s ti ma geo uto fS Tr o ubl e smys i ght :( CP,2 1 1 ) ` ` s ome r eve l a t i on"は第 1連 の得体 の知 れ ない もの の存在 の予兆 と不安 を受 け て暖 味 な Se c ondCo mi ng" と同族語 として根底 では繋 が ってい るため 表 現 とな ってい るが,続 く " に互 いの言 葉 の間 に違和 感 はな い。 ここはや は り, Bl oom が言 うような草稿 の " Se cond Bi r t h"であ って はな らな い。 全体 的 な意 味の厳 密 さの問題 は ともか くと して,語 の重 さ や衝撃 の度合 いは 「 再 臨」 とい うシンポ リカル な固有名詞 の方 がは るかに勝 り,その後 に ava s ti ma ge' 'の 出現 との繋 が りを 自然 な もの にす るか らであ る。 来る " ふ と詩 人 の 口を衝 いて 出た こ¢)" Sec ondComi ng"は存在感 を暗示 す る共 に繰 り返 され る 2対 の ` ` sur e l y" と " a t ha nd"に よって確実 に形 象化 され る。 El l ma nnは この 1 3 行の 途 中迄 ,"…t her e a de rc a ns t i l lho pet ha tt heSe c o ndComi ngwi l lbeChr i s t ' sbe ne f i c i e nt a l t ho ugha we s o mer e a ppe a r a nc e.But w i t ht hewor d` t r o ubl e s'a ndt hede s c r i pt i onoft he ) ( 1 3 i ma get hi shopei sc onve r t e dt of e a r". と指摘 して い るが ,期待感 はあ って も僅 かな もの で しかないだ ろ う。 第 1連 の 「善 と悪」 の逆転 ,解 き放 たれた血生臭 い暴 力の横暴 が 「期 待感」 を霧散 させ る程 に圧倒的 であ るか らだ。 む しろ,不安 が現実 の もの とな り,読 み手 ava s ti ma ge' 'に戦傑 す る。 この " ava s ti ma ge" も同様 に暖味 な表現 では は詩 人 と共 に " あ るが,それは Ye a t sが意識 的 に創造 した もので はな く,「世 界霊 」 あ るいは 「宇宙 霊」 " S pi r i t u sMu nd i " ) に よって与 え られたイ メ ージ とす るためだ。 Ye a t sが ` ` a ge ne r a l ( s t or e ho us eofi mage swhi c hha vec e a s e dt obeapr o pe r t yo fa nype r s ona l i t yo rs pi r i t ' ' .と ( 1 4 ) 説 明す るように,意識 の奥底 に埋 もれて いたイ メージのその突然の訪 れ に抗 えない もので もあ る。 いわば,個人 の力では制御 で きない太古 の記憶 とも言 うべ き,人間 が共有 す る記 憶 であ る。詩 人 は抽 象的 な観念 を用 い,暖味 な表現 に終始 す るこ とで,作品 に普遍 的 な意 味づけ を しよう として い るのだ。 いわば,個 人的 なイ メージの神話 化であ る。 意識 の闇の奥 か ら浮 かび上 が り,詩人 の視野 を遮 る巨大 なイ メ ージは常識 的理解 を超 え ` vi s i on"であ る。 た ` ‥ .S ome whe r ei ns a ndsoft hede s e r t As ha pewi t hl i onbo dya ndt hehea do faman, A ga z ebl anka ndpi t i l e s sa st hes un, I smo vi ngi t ss l o wt hi ghs ,whi l ea l la bo uti t Re e ls ha do wsoft hei ndi gna ntde s e r tbi r ds . ( CP,21 1 ) 4 6 長崎大学教育学部人文科学研究報 告 第 57号 ここで も詩人は " s ome whe r e", ` ` As hape' ' ,` ` s ha dows" ,` ` de s e r tbi r ds' 'な どの暖味 な言 葉 を使 うが, " l i onbodya ndt hehe ado fama n"とい う非現実なが らも明確 なイメー ジ描写 をす るこ とで預言の重厚 さ,不気味 さを提示 している。 明 らかにスフ ィンクスの姿 を想い 起 こさせ るように,人間の頭 とライオンの体躯 を して砂漠 に うず くまる生 き物 は もはや石 造 りの物質 ではな く,その重 い腿 を緩慢 に動 かす生命体 であ る。砂漠 に照 りつけ る虚 ろで 無慈悲 な太陽の ような眼差 しには まだ 自由な活動 を許 されない静 け さが感 じられ る もの の,回 りを飛 び交 う怒 りに満ちた砂漠 の猛禽の ざわめ きは この怪物 がい ったん活動 を始め た時の破壊 力の凄 ま じさを十分 に予測 させ る。 Ye a t sの幻影 はやがて砂漠 か ら立ち上が って世界 を破壊 し尽 くそ う と構 える怪物 の,宿 動直前の緊張感の張 り詰 めた画像であ る。 さ らに言 えば, この 「 怒 りに満ちた砂漠の猛禽 たち」 ( " t hei ndi gna ntde s e r tbi r ds' ' )の怒 りとは第 1連の最終行 にい う 「悪な る もの」の ` ` pa s s i ona t ei nt e ns i t y" ,すなわち 「 善 な るもの」の確信 を揺 るがす激 しい熱情であろ う。 Ye at sの幻影 は こう して時代交代直前 の世界 を視覚的 に描 いてみせ るのだ。革命 はその後 に続 くさ らなる殺教 の時代 の前兆,つ ま り生 まれ出 ようとす る怪物 の回 りを旋回す る 「猛 禽たちの影 」 にす ぎないのであ る。 釆た るべ き未来への不安 を象徴 す る幻影の後 ,詩人 は一 つの確信 を得 る。 Thedar kne s sdr opsa ga i n;butno w Iknow Tha tt we nt yc e nt ur i e so fs t onys l e e p We r eve xe dt oni ght ma r ebyar oc ki ngc r adl e, Andwha tr o ughbe a s t ,i t sho urc omer o unda tl a s t , Sl ouc he st o war dsBe t hl ehe mt obebo r n?( CP,211 ) Ye a t sの確信 は中心 は " t we nt yce nt ur i e so fs t onys l e ep/We r eve xe dt oni ght ma r ebya r oc ki ngc r adl e' ' ,であ る。 この " ar oc ki ngc r a dl e' 'を " t hei ndi gna ntde s e r tbi r ds" との関 係で現実の世界の嵐 と取 れない こ ともない。揺 りか ごが誕生の象徴 で もあ るか らだ。 とす れば,文字通 り2 0 0 0 年 の大記憶 の底 に眠 る人類 の狂暴 な心 が何 かを煽 り立 て る 「 揺 りか ご の軋み」 によって 目覚め ようとしている とい うこ とになる。 だが, ここは批評家たちが指 摘す るように, " S t onys l e ep" ," ar oc ki ngc r adl e"はそれぞれ神話 を想起せ るような呪術 的な眠 りと幼子キ リス トの眠 る揺 りか ごを象徴 し,スフ ィンクスの 2 0 0 0 年 にわた る不動 の ( 1 5 ) 眠 りはキ リス トの再臨 を連想 させ る揺 りか ごの軋む音 に よって悪夢 に うな され る ととる方 が続 く " Be t hl ehem' 'との関係 か らいって 自然 であ る。 また,その悪夢の意味 す る ところ が,聖霊 の降臨 に よって反 対方 向の " gyr e"が収縮 し,歴史 の舞 台か ら去 って深 い眠 り についた異教の神や人類の遠 い過去の追憶 なのか,封 印 を解かれ る直前の 『黙示録』の反 キ リス トの象徴, " be a s t "の武者震 いなのか明確 ではない。確 かなのは世界 に破滅 を もた らす ものの誕生が もうそ こまで迫 ってい る とい うことであ る。 最後の 2行, " Andwha tr o ughbe as t ,i t sho urc omer o unda tl as t , /Sl o uhest owa r ds Be t hl e he mt obebo r n? ' 'には母性愛 と無垢 な幼 児性 を象徴 す る聖母子 と彼 らを踏 み に じろ うと厳然 として時 を待 ち跨 る猛獣 との強烈 な コン トラス トがあ る。 " Come r ound"には頂 点 か ら基底部 へ向か う " gyr e"が拡散 しきって,一 つの完全 な円環 を完成 させ よ う とす る 「動 き」 を表 してい る。 その 円が完成 す る時 ,Be t hl ehem に生 まれ るのはキ リス トで 池 田:` TheSe c o ndCo mi n g' 管見 4 7 はな く,狂暴 な新 しい神 であ り,キ リス トもキ リス ト教文 明 も歴史の彼方 へ消 え去 って し ま うのであ る。 だが, この 2行の問 い掛け に,不安 と恐怖 を抱 きなが らも Ye at sの意識 の 片隅 に ` ` r o ugh be a s t ' 'の出現 を無意識 の うちに待 つ気持 ちはないだ ろ うか。一切 の もの を破壊 し尽 くそ う とす る野獣 のエネルギ ーに詩 人はあ る種 の エクス タシー,悲劇的結末の r modeは 「黙示録的思考 の最 カタル シスに も似 た壮快 さを感 じてはいないだ ろ うか。 Ke も恐 ろ しい要素 は,あ らゆ る ところで流血 がなければな らぬ とい うその確信 であ る。 イ ェ ーツは, もっ と実践的であ るがゆえにい っそ う危険な人 び との思考 に付 きものであ ったあ ( 1 6 〕 Wi nt e rも同様 に, の情熱 をい くぶんか共有 していて , これ を歓迎 した。 」 と言 い,Y. "…wema yf i ndt hebe a s tt e r r i f yi ng, butYe a t sf i ndshi ms a t i s f yi ng- hei sYe a t s ' sj udge 一 ( 1 7 ) me ntupo na l lt hatwer e ga r dsasc i vi l i z e d.Ye a t sa ppr ove so ft hi ski ndofbr ut a l i t y". と nt er sの解 釈 に対 して, Cul l i ngf or dは反論 す るが,一万 で ` ` I nt he 指摘 す る。 この Wi ) ( 1 8 poe m' sa mbi guousba l a nc eoft e r r ora nd f a s c i na t i on,t e r r ors e e msuppe r mos t ' ' .と ` ` beas t "を待望す る Ye at sの心情 の一端 を認 めてい る. この ような こ とが語 られ る根拠 は確 かにあ って,彼のキ リス ト教 ( " I r i s h Ca t hol i c i s m" )嫌 いや民主主義嫌 いはつ とに知 ( 1 9 ) られてい る。キ リス ト教 の教条主義的な個 の抑圧 と民主主義の 「 個人の 自由」 の履 き違 え が現在 の混乱状態 を生み出 した原因だ とい うこ とだ。 とすれば,秩序 を取 り戻 すために革 命 やフ ァシズムの狂暴 な破壊的 エネルギ -は必要悪 としての存在価値 が認 め られ るこ とに な る。 これを証 明す るかの ように,Ye a t sは後 に ` TheGyr e s'( 1 9 38 )の中で こう詣 う。 TheGyr es !t hegyr e s !Ol dRoc kyFac e,l ookf or t h; Thi ngst ho ughtt ool o ngc a nbenol onge rt ho ught Fo rbe a ut ydi e sofbe a ut y,wo r t ho fwo r t h, Anda nc i e ntl i ne a me nt sa r ebl o t t e do ut . I r r at i onals t r e amsofbl oodar es t ai ni nge a r t h; Empe doc l e sha st hr o wna l lt hi ngsa bout ; Hec t ori sde ada ndt he r e' sal i ghti nTr oy; Wet ha tl ookonbutl a ughi nt r a gl CJ o y. Thewor kma n,no bl ea nds a i nt ,anda l lt hi ngsmn Ont ha tunf as hi onabl egyr ea ga i n. ( CP,33 7) ここで も SCが提示 したテ ーマが繰 り返 され, " Ol dRoc kyFa ce", " a nci e ntl i ne a me nt s" , " s t r e a msofbl ood"な ど SCq)イメージを努葉 とさせ る語句 が並 んでい る。詩人の死の 前年 に出版 された この詩 の背景 に もやは りフ ァシズムの台頭 ,第二次大戦 を予感 させ る世 界の混沌 とした情勢 があ った。 だが, ここで,詩人は " l a ugh", " t r a gi cj oy' 'と歓喜の声 をあげ る。血 に染 め られた大地 も破壊 された文 明 もや がては ` ` gyr e"の旋 回 とともに再 び豊穣 の大地 とな り,新 しい文 明の もとで高貴 な時代 を迎 えるだ ろ うとい う確信 があ るか doc l es は血潮 におおわれた らだ。 あ らゆ る物 を地 と水 と火 と大 気 の混 合 と捉 えた Empe 大地 に種 を撒 くよ うに もうすべて を撒 き散 ら した。 あ とは " gyr e' 'の巡 り来 る時 を待 て ばいいか らであ る。 4 8 長崎大学教育学部人文科学研究報告 第57号 流血 と破壊の情況の最中の壮快 さ,悲劇的情況下 の歓喜,キ リス トの再 臨 ( 救済) と新 たな神 スフ ィンクス ( 滅亡)な どのパ ラ レルな描写 は酸味 さ,両義性な ど決定不可能 な性 格 を帯 び,批評家 たちを混乱 させてい る。 が,あ る意味 では こう した特質 こそが SCの魅 力のひ とつであ って,Ye at sの代表作 の一編 に数 え られる所 以で もあ るのだ。 Ⅳ ところで,SC には草稿 が残 っていて,先 に述べた ように最近 にな って完全 な形 で出版 された。構成 ,語句 ,内容 か ら現在の形 に近 く," TheSe c ondComi ng"の タイ トルを付 された 2枚 を除 く残 りの草稿か ら,現在 の形 になるまでの詩人 の意識 が変化 してい った過 程 を窺 い知 るこ とがで きる。最後 に,草稿 と完成稿 とを比較 し,詩人の変化の性質 につい て検討す るこ とにす る。 SCの創作 にあた って Ye at sの念頭 にあ ったのは まず革命後の粛 正の嵐 であ った。書簡 も J. Honeの伝記 もそ こは明 らか に していないが, ロシア革命後 の 混乱やイース ター革命後 の軍事裁判 の伝聞,報道 を通 して直感的 に時代の変化 を読み取 っ たに違 いない。草稿 に残 る具体的かつ特定の固有名詞 がその辺 の事情 を物語 ってい る。 イ メージの中心 にあ るのは 「 儀式 を重 ん じる,罪のない ( 無垢 な)人 々」 ( " c e r emoni o usi n- noc e nc e")の悲劇 である。 (1 ・2稿)Thi ngsf al lapa r t -ate ve rys t r o keoft hec l oc k …cer emoni ousi nnoc e nc eha sdi e d, Whi l et hemo bsf a wnupont hemur de r e r Andt hej udgenodsbef or ehi se mpt ydoc k Andt he r ei snonet opl uc khi m byt hego wn( MRD, 1 47 -1 4 9) 前後関係か ら 2枚の草稿の削除部分 を省略 して続けたために,多少散文的 にな って しまっ たが, ここは被告 ( 支配階級)の弁 明 もな しに裁判官が即決で死の判決下 す描写 で,流れ 作業 に も似 た不気味な風景であ る。 ロシア革命 では皇帝 とその家族 たちが,またイ ース タ ー蜂起 では指導者 たちが猶予 も与 え られず死刑 を宣告 され,処刑 された。 (3稿) …s c a r c e l y i sa r medt yr a nnyf al l e nwhe n( s i c) Whe nt hemo bbr ed【 ?a na r c hy】 t ake[ ?S ]i tpl ac e.Fort hi s Ma r i eAnt oi ne t t e( s i c)has ,& Mos t【 ?bmt a l l yH?di e d】 Bur kehas[ ?c r i e d】 Wi t hhi svoi ce Ar r a i gnsr e vo l ut i on… TheGe r ma ns( s i c)a r ebut[ ?now/ha d]t oRus s i ac ome ) Tho ughe ve r yda ys omei nnoc e ntha sdi ed( MRD,1 51 ここで も詩人は現代の革命 をフ ランス革命の混乱 と結 びつけ, ドイツ軍 に よるロシア侵攻 池 田: ` Th eSe c o ndCo mi n g' 管見 4 9 に もかかわ らず滅 び去 る王朝 の末路 に思 いを寄 せ る。 ところが,第 2連 の創作 に入 る と, この ような特定の イメージが消 え,徐 々に現在の形 の よ うな形 に近 づ い て くる。 そ れ ぞ れ 4, 5, 6稿 で は未 完 成 な が ら, 第 1連 に は ` ` gyr e' ' や ` ` f al c on' ' ," f a l c o ne r" ,` ` di mme dt i de" ,` ` t hec e r e mo nyo fi nno c e nc e' 'な どのキ ー ・ワ ー ドが 現 れ ,革 命 の 普 遍 的 な 意 味 付 け の 段 階 に達 した こ とを物 語 って い る。 Bl oom が問題 にす る " t hes ec o ndbi r t h" もこの段階で出て くる。第 2連 に絞 って見 る こ とにす る。 (5稿)Sur e l ys o mer e ve l a t i oni sa tha nd Sur e l y【 t hes ec o ndbi r t h:de l e t e d]TheSe c o ndCo mi ngi sat( s i c) TheSe c o nd[ Bi r t h:de l e t ed]Comi ng. Sc ar c eha dt hewo r dsbe ens po ke n Andne w hi e r a r c hy' sr entasi twe r ec l o t h Be f or et heda r kwasc uta swi t hakni f e Anda[ s t a r k:del e t e d】va s ti ma geo uto fs pi r i t usmundi Tr o ubl e smys i ght- A was t eofde s e r ts and As hapewi t hl i onbody Andt hehe ado fama n An【 e ye:de l e t e d】gaz ea nd bl ank & pi t i l e s sast hes un Move si t ss l o w[ f e et :de l e t e d]t hi ghs ,whi l e Sha do wsoft hei ndi gnantde s er tbi r ds[ c r y:de l e t e d]( MRD, 1 5 7) r kne s sdr opsa gai n-butnow Ikno w (6稿)Theda a l lt hi ngs wea r yo ft he[ ?Egi pt i an]s l e e p[ a tl a s t :de l e t e d] Sl e e ps t ony Fo rt we nt yc ent ur i e si t ss t onys l e e p We r eve xe dt oni ghtma r e( s i c)byar oc ki ngc r a dl e Andno w atl as t ,byj e l o us ys t unga wa ke l tha ss e to utf orBe t he l e m( s i c)t obebo r n. -i t shourc omer o unda tl a s t Andwha tr oughbe as tt o wa r dbe t he l em ( s i c)t obebo r n Sl o uc hest o wa r dBe t he l e m( s i c )t obebor n( MRD, 1 5 9) 多少整理 したに もかかわ らず,いささか長 い引用 にな って しまったが,詩人の幻影 ,覚醒 a l l wo r t hyは 5稿 で削除 された " kni f e" と 後の認識 の原形 は以上 の ような ものだ った。 St " c l ot h"が再臨の 「時 間 」 を限定 しす ぎる し, " e ye" と ` ` f ee t "はあ ま りに も人 間的 なイ メージであ りす ぎる等の原 田で書 き換 られたのだ ろ う と推測 し,スフ ィン クスの 出典 につ ( 2 0 。 いて,若 い頃 か ら Ye at sには怪物 と砂漠 の イメ ージが付 きま とって いた と述 べ,それが ) She l l e yの ` Oz yma ndi as'にあ る と指摘 してい る "…Twov a s tandt mnkl e s sl e gso f 5 0 長崎大学教育学部人文科学研究報告 第5 7 号 s t one/St andi nt hede s er t ‥‥Neart hem,ont hes and, /Ha l fs unk,as ha t t e r edvi s a ge l i es…. "( f r om ` Ozymandi as')Bl oom は この箇所 につ いて , さ らに Bl akeか らの引用 , " ButUr i z enl ai di nas t onys l ee p/Unor gani z' d,r entf r om Et er ni t y. . . "( f r om TheBo o ko f Ur i z e n)を加 えて, ` ` Yeat s' spoem t heni sa boutt hes ec ondbi r t hofUr i z e nort heEgypt i an Sphi nx,buti nacont e xtofr evol ut i onar yandcount er e vol ut i onar yvi ol enc e,t hel i t e r ar y c ont e xtofShel l e y' sPr o me t he usUnb o und ,amongot he rRomant i ca poc al yps e' ' . と言 って 2 1 ) ( い る。St al l wor t hyは無意識 の一致 とす るが,Bl oom は " Romant i cCont i nui t y"の視点か t sの両詩人 に対 す る撞着 は周知 の事実 ら意識 的 な ものだ としてい る。 いずれにせ よ,Yea であ り,壮大なテーマの創造 に際 してイメー ジの一致 があ るこ とは否定で きない。 が,そ れは,特定 の事件 を滴過 し,普遍化 させ るためのフ ィル ターの役割 を果 た したのか も知 れ ない。 Bl oom は また,両詩人の " apoc al i ps t i cpoems' 'に対 す る Ye at sの誤解 が内容 とは整合 しない,限定的な タイ トル を使用 した為 に批評 の混乱 を生 み出 してい る と非難 してい る。 " ToYeat s ,l i kea nyot herGnos t i c,a poca l yps ei st hef i c t i onofdi s as t e r ,andTh eSe c o nd co mi n gi sanor ac l eofunavoi da bl ef ut ur e" ( 2 . 2 )Bl akeも She l l ey も革命下 の世界 に絶望 しな at sに とって,終末の黙示 はフ ィクシ ョ が らも人類救済 に対 す る希望 を持 っていたが,Ye ンに過 ぎず,SC は避 け難 い災厄 に満 ちた未来 の神託 だ と解釈 してい る。 だが,Bl oom が 指摘 す るように,SC が ロシア革命 ,アイル ラン ド内乱 ,フ ァシズム台頭 の予感 を 「 再臨」 が もつ本来 の意味 か らかけ離 れたイメ ージで描 いてい る として も,凄 ま じい破壊 を予感 さ せ る恐怖 と不安 は この詩 に意味的 に矛盾 を感 じさせない程 の完結 さを与 えてい る。1 939年 に世 を去 った Yea t sは確認 こそで きなか った が,その後 の大戦 に よる惨 禍 と革命 , 内乱 と暴動 な どの歴史的事 実は詩人の予感 が間違 ってはいなか った ことを証 明 してお り, こう した悲劇 が繰 り返 され る限 りこの詩 が常 に新鮮 であ り続 け るこ とは誰 に も否定 で きないだ ろ う。 ( 症) (1)W. B. Ye a t s ,TheCol l e c t e dPo e mso fW. B. Ye at s ,Lo n d o n: Ma c mi l l a n, 1 9 3 3 ; r p t . ,1 9 5 2 .以下,引用後の 略記 CP. 及び数字は全てこの版による。 (2)A. N. J e f f a r e s ,W. B. Ye ai s ,Lo n d o n:Ro u t l e d g ea ndKe g a nPa l,1 u 9 7 1 ,p. 3 7. de nt i かo fYe at s ,Lo n d o n: Fa b e ra n dFa b e r , 1 9 5 4 , p. 2 5 7 . R. El l ma nn,TheI at s ,Ne wYo r k: Ox f o r dUn i v. Pr e s s ,1 9 7 0 , p. 3 2 5 . (3)H. Bl o o m,Ye 9 8 3 , p. 2 1 5 . (4)横井正一郎他,『イェイツ名詩評釈』,大阪,大阪教育図書,1 (5)J e f f a r e s , o p. c i t りp. 3 7 . Bl o o m, o p. c i t . ,p. 3 2 1. また,El l ma nnは前掲書の中で,Bl o o m と同様に ` f a l c o ne r 'を人間と考え, ` Es s e n t i a l l yt he f a l c o n' sl o s so fc o n t a c ti mp l i e sma n' ss e p a r a t i o nf r o me v e r yi d e a l o fh i ms e l ft h a th a se a n b l e dh i mt oc o n t r o l h i sl i f e , wh e t he rt h i sc o me sf r o mr e l i io g no rp h i l o s o p h yo rp o e t r y' .( El l ma n n, o p. c i t . ,p. 2 5 9 )と書 『 イェイツ名詩評釈』前掲書, いている。さらに,津田氏は 「 鷹 ( 人間の営為一歴史)と鷹匠 ( 人間)」( p. 2 1 5 )と捉えている。 (6)Bl o o m, o p. c i t りp. 3 1 8 . (7)T. R. He n n,TheLone l vTo we r ,Lo n d o n:Me t h ue n,1 9 5 0 , p p. 1 9 5-9 6. 池 51 田 : ` TheSec ondComi ng' 管見 また,鈴木弘,『イ ェイツ詩辞典』, 東京 ,本の友社 ,1 99 4,p. 1 0 0. ` gyr e' の項 を参考 に した。 (8)W. B. Ye at s , No t et oMi c ha e l Ro b ar t e san dt heDa nc e r ,1 9 21,quot e dbyN. J e f f a r e s , ANe wCo mme nt a r y o nt h ePo e mso fW. B. Ye at s ,Londo n: Mac mi l l n ,1 a 9 8 4,p. 2 03. また ,Ye a t sは A Vi s i o nの中で,同趣 旨の こ とを書 いている。 Ea c ha geunw i ndst het hr e a da not he ragehadwo und,andi tamus e so net or e me mbe rt ha tbe f or e Phi di a s ,a n dhi swe s t wa r dmovi nga r t ,Pe r s i af e l l ,a ndt ha twhe nf ul lmo onc a mer ounda ga i n,a mi d e as t wa r dmo vl ngt ho ught ,andbr o ughtByz ant i negl or y,Ro mef e l l ;a ndt ha ta tt heout s e tofo ur we s t wa r dmo vl ngRe na i s s a nc eByz a nt i um f e l l ;a l lt I l i ngsdyi nge ac ho t he r ' sl i f e,l i vi nge a c ho t he r ' s de a t h. ( W. ち. Ye a t s , A Vi s i o n,London:Mac mi l l a n,1 9 3 7;r pt . , 1 9 62, pp. 2 7 0-71) (9)Ye a t s , A Vi s i o n,i bi d. ,p. 2 9. e ns eo fanEndi n g( 1 9 6 6),岡本清 正訳 『終 りの意識』,東京 ,国文社 ,1 9 91,p. 1 1 6. ( 1 0)F. Ke r mode,TheS ( ll )` Andwhe nt het ho us a ndye a r sa r ee xpi r e d,Sa t ans ha l lbel oos e douto fhi spr i s on' .Th eHo l yBi b l e , Phi l a de l phi a:A. J. Ho l ma nCo mpa n y,1 9 42,p. 1 2 7 8・ ( 1 2 )T. Pa r ki ns o na nd A. Br a nne ne d. , Mi c ha e lRo b a r t e sa nd t heDa nc e r :Manu s c r i ptMat e r i al sb y W. B. Ye at s ,I t ha c a:Co r ne tUni v.Pr e s s ,1 9 9 4,p. 1 47. ,以下 ,引用語 の略記 ,及 び数字 は同書,ペ ージ 数 を表 す。 ( 1 3)El l e ma nn,o p.° i t . ,p. 2 5 9. ( 1 4)Ye a t s ,Mi c h a e lRo b a r t e sandDa nc e y : i ,o p.° i t . , p. 2 04. e f f a r e sはそれぞれ, …Ther oc ki ngc r a dl e'ofChr i s t i a ni t yhasa tl a s tma dewa yf o ri t s ( 1 5)El l ma nn と J o ppos i t e,f orChr i s t i a ni t yha sr e a c he di t sut mos tbo und. "( El l ma nn,o p.c i t り pp. 25 9-60 )" Thepo et r e a l i z es ,byc o nt e mpl at i nghi svi s i o no ft hebe as ta ndi t sc o mi ng,ho w dr a ma t i c a l l yChr i s t ' sc o mi ng( t he` r oc ki ngc r a dl e'o f1 . 2 0) r eve r s e dt hepr e vi o ushi s t o r i c a lpe r i od( t he` t we nt yc e nt ur i e sofs t o ny s l e ep)-. "( J e f f a r e s ,o p.° i t . ,p. 3 8). と指摘 してい る。 また ,Ro be r tSnuka lも同様 に, " Bute nough ps yc hi ce ne r gyha sbe e nbui l tupt oc ha nget hedi r ec t i o no fo ura c t i o ns - t hebe a s t ' S' t we nt yc e n- ". と述べてい る。 (Ro be r tSnuka l , t u . T i e sofs t o nys l e e pwe r eve xe dt oni ght ma r ebyar o c ki ngc r a dl e' Hi ghTal k ,Londo n:Ca mbr i dgeUni v.Pr e s s,1 9 73,p. 1 7 3. ) ( 1 6)Ke m ode,岡本訳 ,前掲書 ,pp. 1 2 6-27. ( 1 7)Yvo rWi nt e r s ,ThePo e t r yo fW. B. Ye at s ,q uot e dbyBl oo mi n Ye at s ,o p.° i t . ,p. 3 2 3・また,横井氏 も 「一種の晴朗 さ とい うべ きものが後 に残 る‥. 。」 と言 ってい る。『イ ェイツ名詩評釈』,前掲書 ,p. 21 4. at s ,Z y l e h z ndandFa s c i s m,Lo ndo n:Ma c mi l l a n,1 9 81,p. 1 6 2. ( 1 8)El i z a be t hCul l i ngf o r d,Ye ( 1 9)El l ma nn,o p.° i t . ,p. 2 6 0. ePo e t r yo fW. B. Ye at s ,Ne wYor k:0Xf or dUni v.Pr e s s,1 941,r pt .1 9 6 9,p. 1 2 0. Loui sMa c ne i c e,Th Be t we e nt h eLi ne s ,London:Oxf or dUni v.Pr e s s ,1 9 63,pp. 22-2 3・ ( 2 0)J onSt a l l wor t hy, ( 21 )Bl oo m,op.° i t . ,p. 31 9. ( 2 2)I bi d. ,p. 3 24.
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