剣岳~靴擦れにはご 靴擦れにはご用心 れにはご用心!!~ 用心!!~ 【報 【日 【参 告 加 者】中村智葉・篠原政子・古賀裕宣 時】17 年 10 月 7~10 日 【天 候】晴れたり雨だったり 者】長尾、篠原、高橋、中村、古賀 ≪コースタイム≫ コースタイム≫ 10/6 19:30 西鉄春日原駅→ 23:05 草津 SA(仮眠) 10/7 13:20 馬場島キャンプ場 →14:00 出発→ 18:25 早月小屋 10/8 7:40 早月小屋を出発→11:37 剱岳山頂→15:00 一服剱→15:30 剣山荘 →16:15 剱沢キャンプ場 10/9 6:00 起床→7:50 出発→8:20 分岐→9:10 別山→10:30 真砂岳→11:30 富士ノ折立→12:10 大汝山→12:57 雄山→14:35 室堂ターミナル 10/10 帰福 ≪ 報 告 ≫ (1日目 古賀) 古賀) せっかく行くんだし。 ただ単に「岩場だらけの険しい山」というイメージだけでなく、もう少し具体的な イメージを膨らませてから登ろうと、「劔岳<点の記>」(新田次郎)を読んで参加し た。でもこの作品は「孤高の人」程メジャーではないようで、誰に訊いても「知らな い」 (長尾さんはちゃんと知っていました)。ではどんな小説家というと。 「劔岳への三 角点設置」のお話です。皆さんが当たり前のように使っている地図、これの礎となる ものを築いていった測量官のお話です。 「じみ~なお役人のお話だしねぇ、知られてな いのもしょうがないか~」 。自分の中でのイメトレは完璧である。 いつもの如く長尾号に揺られて一路東へ。 今回の山行で、いつもお世話になっている「長尾号」がメモリアルを迎えた。 「走行 距離200,000キロ」を、小松ICを少し過ぎたところで達成! すごいですね ~。毎回毎回私達の足となって動いてくれるハイエース長尾号に感謝です!! さて。長々と運転してくれている長尾さんの後ろでのうのうと惰眠を貪っていた私 は「剱が見えるよっ!」という一言で目が覚めた。「写真で見た劔岳と一緒だ!」。こ の日のお天気は快晴。剱岳と私達の間に遮るものは何もない。目の前に現れた剱はま さに「針の山」。北方稜線は「ギザギザ」。ザックリと落ち込んだ鞍部を「窓」とはよ く言ったモンだ。あれが、柴崎芳太郎(点の記の主人公です)が新妻に淋しい思いを させてまで登った劔か~。その剱がどんどん近付いてくる・・・。このお天気がずっ と続くといいなぁ。誰もがそう願ったのだが・・・。 ... 馬場島(「ババシマ」ではなく「バンバシマ」と読むらしい)キャンプ場から早月尾 根に取り付く。登山口には「試練と憧れ」とでっかく書かれた石碑が鎮座している。 剱岳が多くの登山者を魅了し、また、多くの登山者を死に追いやった厳しい山である ことを否が応でも認識させられる。 この日の行動予定は早月小屋まで。高度差約1,500mを一気に登らないといけ ない。鬱蒼とした樹林帯をひたすら高度を上げていく。雪を想定した装備ゆえ荷は重 い。しかも冬靴(出発時には「こんなに気温が高かったら雪はなかろう」ということ で、アイゼンやピッケルは車に残置したが) 。 冬靴を履くのは8ヶ月ぶりである。しかも今まで数回しか履いてない。当然慣れて ない。となるとどうなるか。 「ん~、どうも足の具合がおかしいねぇ・・・」。どれくらい歩いた頃だっただろう か。いよいよ我慢できなくなって様子を見てみる。「あちゃ~、これって靴擦れじゃ ん・・・」。篠原さんからもらった人工皮膚をあてがい、長尾さんにテーピングしても らって再び登り始める。情けない思いに追い打ちを掛けるように小雨がぱらついてき た。「あ~、午前中の快晴って夢だったのかなぁ・・・」 。 靴擦れを起こした上にびしょ濡れではあまりにも情けなさ過ぎるので早々にカッパ を着る。着るとやむ。暑いし蒸す。「すみません、衣服調整させてください」。脱ぐと ぱらつく。また着る。これを何度か繰り返すと・・・。 「古賀さんがカッパを脱ぐと降 り出すから脱がないでくれ」。冗談とも本気とも取れるような発言が飛び出すようにな る・・・。 出発が遅かったので途中からヘッデン行動となった。登山道はハッキリしているの で心配はない。樹林帯の隙間から時折現れる富山平野の夜景は絶景であった。まさに 100万ドルの夜景だ。 歩くこと5時間で早月小屋に到着。「いや~、よく来たね~」。ビックリした表情で 小屋のご主人が迎えてくれた。まさかこんな時間に登ってくる人がいるとは思っても みなかったらしい(18時25分頃)。そりゃそうだ。こんなお天気だし、翌日の予報 も「雨」なんだから。 雨と強風の中、風を防ぐことができそうな場所を選んでテントを張って潜り込む。途 端に雨がやんだ。なんやねん、この天気・・・。 (2日目 中村) 中村) 朝は6時ぐらいに起床。テントを開けるとところどころに青空が。前夜、ちょっと だけ翌日の停滞を考えていたので、とりあえず出発はできそう。これから晴れるんじ ゃないか・・・?という淡い期待を持ったが、早月小屋のおっちゃんは「今日は天気 が悪いから停滞しといた方がいいんじゃない?」とばっさり。いやいや、はるばる福 岡から来たんですもの、我々は行きますよ~。 早月小屋から紅葉の中を歩いていく。私にとっては今年初めての紅葉で、この辺の 紅葉は派手な感じではなく、ちょっと控えめな感じが何となく心地いい。少し登って 振り返ると、赤や黄色の紅葉に包まれている早月小屋が小さく見えた。 だんだん天気が悪くなってきてガスが濃ゆくなり、一休みしているところに小さい 雷鳥が1匹ピョコッと出てきた。私達を怖がって逃げる様子もなく、周辺をウロウロ している。周辺から雷鳥らしき鳴き声が聞こえてくるので、仲間を探しているのかな? 剱岳頂上前にカニのハサミへ到着。バランスをとりながらクサリを伝わり横へ進む。 そして剱岳頂上へ到着。やっぱりガスに包まれて何も見えない。が、私達以外誰もい ないので剱岳頂上を独り占めだ。写真だって撮りまくり、考えようによってはこうい うことは中々ないのでちょっと贅沢・・・かも・・・? 剱岳をあとにし、カニのタテバイ・カニのヨコバイを行く。私は自慢じゃないが、 縦走でこんな岩場を通過したことはない。ちょっとでも踏み外したら谷底行きだ。ガ スっていて下が見えない分、想像力が働いてしまう上、狙ったかのように雨まじりの ミゾレまで降ってきた。やっぱり早月小屋のおっちゃんの言うことは正しかったか~。 私は長尾さんの後にくっついて岩を降りていくが、岩は濡れてどこに足を置いても手 を置いても滑りそう。足場を確認しながらセルフビレイをとってゆっくり慎重に岩を 伝っていく。そんな中で私が一番てこずったのは梯子。いや、梯子を下るのは大丈夫 だったのだが、何がてこずったかって、それは岩場から梯子に移ること。だって微妙 に離れてるんだもーん。セルフビレイのシュリンゲがいい感じに足を梯子に移すのを 邪魔してくれたが、何とか梯子に移った。ふう~。 雨と風に打たれながら一服剱を通過し、ひたすら歩く。するとガスの中から剣山荘 が現れた。しかも、もうすでにかなり近い。ガスが濃ゆくて大分近づくまで見えなか ったのだ。 中に入ると、今日、天気が悪くて停滞していた人達でごった返していた。最初はこ こで温かいものでも飲もうかと思っていたが、あまりの人の多さに剣山荘の扉を開け た3分後ぐらいには剱沢キャンプ場へ出発。わりとなだらかな道中をまたまたひたす ら歩いて行き、ようやく本日の宿営地、剱沢キャンプ場に到着。剱沢小屋にビールを 買いに走る。こんなに寒いのにビール飲むの~?と高橋さんは言っていたが、実際に は高橋さんもビールを購入。なんだ、高橋さんだって飲むんじゃないですか~。早月 小屋のおっちゃんもユニークだったが、剱沢小屋のおっちゃんも負けず劣らずおもし ろかった。顔を赤らめて(要するにほろ酔い) 「小屋は暖かくていいよ~」とテント組 の私達を誘惑する。早月小屋から来たと言ったらビックリしていた。こんな天気の時 にカニのタテバイを進んでくる登山者は少ないらしい。 その夜はいつもどおり宴会。そしてラスト1日の晴れを願いながら就寝。 (3日目 篠原) 篠原) AM6:00、テントの外から殿方達の話し声が聞える。雨音はしない。天気は回復し たのかな~と思いつつ起床。剱沢キャンプ場からは、昨日はガスって全然見えなかっ た剱が正面に見える。ガスったり、晴れたりの天気。でも、回復方向にあるかな~と いうことで、計画通り行くことにする。 長尾さんは昨日来た道を引き返す。剱 から早月尾根を下り馬場島へ車を取 に行く。 私、高橋さん、中村さんの 3 人は立山 へ。古賀さんは、靴擦れで歩けないと いう事で、雷鳥沢へて室堂へ行くこと になった。 キャンプ場で長尾さんと別れ、テン トを撤収して出発。別山乗越までは古 【剣沢キャンプ場にて出発前に】 賀さんと同じ方向。この辺りで、ぐん ぐんとガスが上がっていき青空が見えだす。 別山乗越の分岐で古賀さんに別れを告げ、3 人は別山方面へ。高度を上げると剱御前小 舎に向かう古賀さんがよく見える。古賀さん曰く、かなり高度が上がったところでも、 話声がよく聞えるとのこと。まずは、やはり高橋さんの笑い声。そして、私や中村さ んの話し声が聞えてきたそうだ。 別山に着く頃にはガスも晴れ、別山山頂では剱がすごく綺麗に見える。 ここは、剱が綺麗に見える絶景のビューポイントだ。もちろん、記念写真をパシャリ。 立山方面の稜線も綺麗に見えるし、雷鳥坂の紅葉も美しい。 昨日の修行山行とはうって変わっての楽しい山歩きに、アドレナリン放出しまくり。 別山から下って、真砂乗越を経て真砂岳へ。そんなにアップダウンはない。 雷鳥沢の方向を見ると、あれぇ~なんかガスが溜まっていっている・・・。古賀さん がいる方面だよ~。古賀さんがガスを呼んでいるのか、ガスが古賀さんを呼んでいる のか、どちらにしろ古賀さんとガスは友達いや、一心同体なのだろう。 富士ノ折立へ稜線は両側が切立っている。強風で転んだりしたら、谷に真逆さま。 果てしなく落ちていきそう。ちょっと急な登りを登り、富士ノ折立山頂へ。ここでは、 白馬・鹿島槍・槍・穂高連峰・薬師などが見える。休憩の度に地図を広げて、周辺の 山の確認をする。これもまた楽しい。小さな登り下りを経て、大汝山へ。ここは休憩 所があるけど、開いていなかった。きっ と夏季限定の休憩所なのだろうな。 大汝山からお社のある雄山へ。雄山は、 お弁当を広げ、楽しそうにしている観光 登山客が多い。私たちみたいに、大きな ザックを背負っている人なんていない。 剱が遠くなったぶん、槍が近くなった。 裏銀座の紅葉がとても綺麗で、紅葉の絨 毯だ。 かなり急な坂を行列状態に下って、一ノ 越山荘そして、室堂へ。 室堂への道は舗装された道なのだが、こ 【富士ノ折立(2999m)は雲海の上。ちなみ に右は絶壁なんです…】 れが結構キツイ。もしかしたら、この道が一番歩くのが嫌だったかも。だって、足に ガンガン響くんだもん。コンクリートって! 室堂ターミナルは観光客で溢れ返っている。古賀さんと合流して、バス乗り場へ。 私たちはバスを予約していたので、スムーズに乗れたけど、予約していないと 2 時間 待ちだったらしい。それも、美女平からまたケーブルに乗換しないといけないので、 立山駅に何時に着くか想像できない。この季節は、特に込むので、室堂に行く人は、 バスを予約することをオススメする。 バスが定時より遅れていて、まだ来そうになかったし、 「まだ大丈夫と思うけん、行 ってき~」の声に推されトイレに行ったら、すぐにバスが来て、駅長さんから、 「トイ レ?う○こ?う○こ?」とみんな何度も聞かれたらしい。やはり、こういうオチがま っていたか~。でも、う○こって連発しなくてもいいじゃん。一応、レディーなんで すからね~。なんとか無事バスに乗り出発。長尾さんから電話が入っており、あと 20 kmで立山駅に着くとの事。やっぱり長尾さんはサイボークだーと確信した瞬間。ぜ ~たいに、体のどこかに扉があり、そこをカパっと開けると、機械が埋め込まれてあ るはずだ。 今度鍵穴を探してみよ~っと!そんなことを思いつつ、バスの揺れに身を任せ爆睡。 1 時間後、立山駅で長尾さんと合流。今回は、テントではなく、ウェルハートピアつる ぎという宿に泊まる。めったに宿に泊まらないので、みんな興奮しまくる。 お風呂も最高、食事も美味しく、とてもいい宿でした。 そして、部屋に戻り、スーパーで買っていたお酒で、剱の打ち上げ宴会に突入。 古賀さんの「さだ研」話等で盛り上がり、夜は更けていったのでした。 今回は、念願だった早月尾根からの剱。雨&みぞれありの修行?山行っぽかったです が、個人的にはとても楽しかったです。山腹から見る下界の夜景は、下界が別世界と いうか、私たちとは隔離された世界って感じで、なんともいえないですよね。 今回の山行は、自然の厳しさと、美しさを実感した山行でもありました。 そして、長時間の運転・剱往復して車を取に行ってくれた長尾さんに感謝。 長尾さんがいなかったら、こんな山行は出来なかっただろうな。 本当にいつもありがとうございます。 (3日目・ 日目・敗残兵として 敗残兵として・・・ として・・・ 古賀) 古賀) 750 剱沢出発 ・・・ 830 別山方面と剱御前小屋方面への分岐 ・・・ 920~945 剱 御前小屋 ・・・ 1140 雷鳥沢キャンプ場 ・・・ 1250 室堂 <正しい靴擦れの起こし方> 1)履き慣れない靴を履きましょう。おろしたて、もしくは数回しか履いてない靴で いきなり本番を迎えることが肝要です。 2)冬靴を履く際に靴下を2枚着用する人は、気温が高いと思ったら容赦なく1枚に しましょう。これから登る山への「期待」と同様に、靴と足の「空間」が広がり ます。この「空間」こそが、あなたを「めくるめく苦痛の世界」へと誘ってくれ ます。 3)「あれ? なんかヘンだ・・・」 4)そう思っても何食わぬ顔で歩き続けましょう。 「気のせいだよねぇ」と、あくまで も自分にはあり得ない事態だと思いこむことがポイントです。そうやって過ごし た時間が、 「めくるめく苦痛の世界」をより深い味わいとしてくれます・・・。 5)上記3点を理解できましたか? さあ実行してみましょう。これであなたも立派な「くつズレーター」です・・・。 ※ 冬山でやっては駄目ですよ。命に関わりますから。 応急処置をした靴擦れのまま歩き続けるには限度がある。ということで、3日目は みんなと別行動を取り、最短距離で室堂へ向かうことにした。 前日の雨の影響が残っているのか、ガスが出たり晴れたりしている。車を取りに行 く長尾さんを見送った後、ガスの隙間を縫うようにして、劔岳をバックに集合写真を パチリ。 立山グループと別れ、一人で剱御前小屋へ向かう。どれくらい掛かるかなあと考え ながら歩いていたら、ガスが晴れて小屋が見えた。あれあれ、意外と近いじゃん・・・。 そうやってゆっくり歩いていると。突然「あはははっ」と、聞き慣れた高笑いが聞こ えた。「あれは高橋さんの笑い声ではなかろうか」。声が聞こえた方向を見ると、ピナ クル三人衆が真砂へ向かって高度を上げているところであった。おそらく彼ら三人の 会話は、谷を登っていく人達にすべて筒抜けであったことだろう。 さて。剱御前小屋では。 抜けるような青い空。小屋自体が雲の上にある。 「いや~、アルプスに来てこんなに よい天気に恵まれたのは初めてだね~」と一人ではしゃぎながら景色のよいところを ウロウロする。小屋の正面には剱岳が。少し東側に目をやると遠くに白馬岳、唐松岳 が雲の上に頂をのぞかせている。先月行った白馬・唐松はガスで何にも見えなかった。 その姿すらまともに見ることができなかった山をここへ来て見ることができるなんて。 小屋の裏手に回ると薬師岳、水晶岳が見える。「アルプスって雄大だなあ!」。来てよ かった、心からそう思いました。 30分程景色を楽しんだ後、紅葉真っ盛りの雷鳥坂をゆっくりと降りていく。見事 に赤く染まった坂はさながら赤い絨毯だ(いろいろな植物が赤く染まっていたが、名 前は知らない。とにかく赤くなっていたのだよ) 。高度を下げるに従いガスに覆われて きたが、無事雷鳥沢に到着。エアリアマップでは1時間10分のところを2時間もか かってしまいました。やっぱり靴擦れは行動を鈍らせますねぇ。 雷鳥沢キャンプ場まで来るとチラホラと一般観光客が現れる。ここから室堂までは しっかりとアスファルトの道があるからだ。リンドウ池方面へは行かずに地獄谷の脇 を通ってミクリガ池へ。地獄の臭気とガスに辟易しながら、たくさんの観光客と一緒 に室堂へ。 今回は靴擦れのために「晴れた稜線」を歩くことはできませんでしたが、剱御前小 屋で「晴れたアルプス」の景色を堪能できたので充分満足しております。来年は「晴 れた稜線」を歩けるといいですね。 【剱山頂にて。みんな笑顔だけど、寒かったよー 】
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