芝浦工業大学柏高等学校第32期生 2012.5.2 第2号 ゴールデンウィークも最中となりました。球技大会も、心配された天気の中、なんとか無事 に終了することができました。少しずつ、新しいクラスにも慣れ、そして間もなくオーストラ リア研修がやってきます。 高校2年生という時期は、楽しい学校行事が次から次へとやってきて、振り返ってみれば、 最も高校生活の中で印象に残る時間になるに違いありません。そういう大切な時間を今、すご そうとしているのです。 しかし、だからこそ、そのかけがえのない時間の中で、学習方法を確立し、やるべきことを やっておかなければ、楽しい学校生活に影ができることもまた事実です。 ゴールデンウィークは、クラブや趣味や旅行や、大事なことがたくさんあるでしょう。そう したことが優先順位が高いのは当然です。しかし、学習が0であるならば、それは学習には優 先順位がない、つまり、 「勉強は必要ない」という意思表示に他なりません。優先順位が低いこ とと、必要ないことは全く異なることです。 スタディサポートの回答結果を見る限り、 「受験勉強をするつもりはない」と答えた生徒は0 人であるようです。とはいえ、ゴールデンウィークの学習を0にするならば、それは無意識の うちに、 「受験勉強を放棄する」ことに変わりありません。 4月29日から8日間、授業は行われていません。家庭学習がなければ、まさに学習に8日 間の「0」 、ブランクが生まれます。こんな空白を作っているようでは、学習の定着をはかるこ とは難しいでしょう。 後半4日間の連休の中で、自分なりの目標を見つめ、自分なりの課題を設定しながら、学習 に向かうことを期待します。 スタディサポートは、学習到達度を測り、学習状況や学習習慣、習熟について、問題点を洗 い出しながら、学習状況を改善するためのプログラムです。結果は偏差値ではなく、学習到達 ゾーン(GTZ)という独自の指標ではかられています。ある意味で他校の参加状況に関わら ず絶対的な指標である種の学力を測ることができます。まずは、今回の結果を簡単にまとめま す。まず、前々回(入学時) 、前回(1年秋)に比べて、B2以上の全ての層について、減少傾 -1- 向にあります。基本的に、高校入学後の GTZ 人数 目安となる大学 S1 3 東京 S2 5 一橋・京都 S3 25 東京工業・早稲田・慶応 A1 27 旧帝大・上智・外大 A2 39 千葉・筑波・MARC A3 56 首都・法政・理科・成蹊 B1 54 埼玉・明学・北里 B2 45 茨城・日大・東洋 に位置づけられていることを考えると、現 B3 16 帝京・玉川・共立 状のままでは、希望する大学に行ける生徒 C以下 20 学習到達がはかれていないといわざるを得 ない結果であろうと思います。次に過年度 (上の学年)と比べてみても、29期生に 比べれば平均レベル でも、上位人数でもよい成績ではあるも のの、今春卒業した30期生に比べると、 A3以上の各層で減っています。 多くの生徒が希望する大学が、A3以上 は、非常に限られていることがわかると思 います。30期生の結果を見る限り、この段階でA3以上の生徒が200人以上いたわけです が、実際には、GMARCH以上の138名であったことを考えると、現在しめされている学 習到達ゾーンは、決して目標でもなく、その大学の保証でもなく、 「目標大学合格のために現在 いるべき位置」であることがわかります。30期生ベースの単純な計算では、32期生のGM ARCH以上の合格は100人強ということになると考えられます。 つまり、現在の段階で、学習習慣や弱点分野を克服しておかないと、今後ますます厳しい状 況になることが予想されます。その意味で、この32期生は、これから1年が明暗を分けると いっても過言ではない状況です。高3の最後の1年間は、どの学年も、どの学校も、真剣に学 習に向かうわけですから、来年のスタディサポートまでに、30期生の先輩を超えるような状 況に持って行かないと、希望の進路の実現はかなり厳しくなっていくでしょう。 それでは、もう少し細かく分析をしてみましょう。 教科の状況 英数国ともに、課題がある状況ですが、特に国語の状況が芳しくありません。国語はとくと する生徒も、苦手とする生徒も減少傾向にあり、学習時間も極端に少ないことを考えると、 「勉 強する必要のない科目」と捉えている生徒が少なくないのでしょう。結果として、S層の生徒 がほとんどいない状況ですので、文系では難関大合格はかなり厳しくなるでしょうし、理系で も国公立の合格が減ることが予想されます。弱点分野としては、 「古文単語・文法」 「漢文読解」 があげられており、普通、上位者であれば、取りこぼさない基本分野が全く手つかずになって います。この状況では受験勉強以前であるといえます。実際、授業のノート作りさえできず、 「予習」に関しては難関大合格者平均58.2%に対して、22.1%、宿題や試験前しかや らない生徒が難関大合格者平均26.1%に対して、45.5%と大きな問題であることがわ かります。 -2- 英語はまだ不十分ではあるものの、得意とする者も増え、一方苦手とする者も増えているな ど、学習に向かっていることがわかります。学習習慣の問題点も必ずしも多くありません。し かしながら、同様に「予習」が難関大合格者平均68.5%に対して、56.2%と低く、ま た前回よりも減少しています。一方、弱点は語彙やイディオムとなっていますので、読解分野 とその基礎となる積み上げ部分の両方に穴がある状況です。 数学は、得意が減少し、苦手が上昇するなど、危険な兆候を見せています。しかし、その原 因は学習時間にあるようで、平日、休日の学習時間も減少傾向であり、難関大合格者平均と大 きく離されています。したがって、この学年の弱みとして「宿題を必ず行う」 「教科書の理解+ 問題演習」という生徒が少なくなっています。 「復習」や「ノート」の項目ではさほどマイナス はありませんが、中学生のままの家庭学習習慣で、高校の学習にのぞみ、苦手科目にしている、 という構図がうかびあがります。 学習時間と学習方法 この学年の特徴としては、学習時間の項目や、自己イメー ジの項目は非常に肯定的であるということです。今春卒業し た30期生を含めて、先輩達の同時期に比べて、学習時間は 最も多く、自分たちとしては、 「学習をしている」と考えてい るようです。 一方、成績はその割に芳しくなく、実際に、各教科の学習 法の質問について調べてみると、前述したように、問題があ る回答が多くなっています。つまり、 学習はしているが、方法に問題がある。 楽なこと、最低限のことをやって、学習した気になっている。 というのが、この学年の特徴です。シンプルにいえば、先生に言われた最低限のことをして、 (実際には最低限のことでもないし、それを100%やっているわけでもないのですが、 )とり あえず勉強した気になっているというところでしょうか。 この学年に必要なことは、 ① 自分の目標を設定し、その目標のために何をどうするか、自分で考える。 ② 「宿題をやる」 「言われたからやる」のでなく、学習を定着させるためにどうするべきか 自分で考える。 ③ 学習時間ではなく、到達度、理解度が重要であることを意識する。 ④ 学習スキル、ノート術や記憶術をマスターしながら、効率よく、目的のために学習するこ とを意識する。 ⑤ 「最低限」でなく、 「目標大学合格」のために、必要なことを学習する というところです。その意味で、教科別の目標意識と、学習方法をマスターすることが求め られるでしょう。 こうした中で有効なのは、 「目標達成シート」をこまめに書き直し、チェックする仕組みを作 -3- ることです。いろいろな学習方法を試しながら、効果のある学習を見つけて行く姿勢が、最も 必要であると考えられます。 「8×8シート」 「マンダラートシート」などをつかいながら、課 題を具現化し、 「目標達成シート」を記入して、やるべきことを「手帳」におとしこむ、そして、 チェックをして、 合うように書き直す…そういうサイクルを早く確立する必要がありそうです。 生活習慣 それでは、成績をわけていると考えられる生活習慣を洗い出していきましょう。まず、毎年 問題となっているようなのは、起床時間と就寝時間です。次の表をごらんください。 起床時間 校内 本校 本校 本校 本校 国公立 A層 B層 C層 D層 MARCH 難関大 4時30分 1.0 1.7 0.0 1.2 1.7 1.3 1.5 5時00分 2.1 0.0 0.0 4.7 3.4 2.7 2.6 5時30分 7.2 10.0 3.5 5.8 12.1 7.4 7.3 6時00分 33.4 40.0 33.7 30.2 31.0 24.0 24.1 6時30分 29.3 30.0 31.4 27.9 27.6 29.8 30.0 7時00分 18.6 10.2 25.6 19.8 15.5 25.1 25.0 7時30分 7.2 8.3 5.8 8.1 6.9 8.3 8.3 8時00分 1.0 0.0 0.0 2.3 1.7 1.1 0.9 就寝時間 校内 本校 本校 本校 本校 国公立 難関大 A層 B層 C層 D層 MARCH 20時00分 0.7 0.0 0.0 1.2 1.7 0.2 0.2 21時00分 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.6 0.7 22時00分 3.8 3.3 4.7 3.5 3.4 3.9 4.4 23時00分 25.9 35.0 27.9 20.9 20.7 22.2 23.1 24時00分 48.6 50.0 47.7 48.8 48.3 47.8 46.9 1時00分 13.1 8.3 15.1 14.0 13.8 18.7 18.4 2時00分 6.9 3.3 3.5 10.5 10.3 5.0 4.5 起床時間については、家から、学校までの距離が問題に思われる方もいるかもしれませんが、 -4- 毎年も含めて、 「出発時間」では、成績層別の特徴は出ません。すなわち、 「成績の良い子ほど 朝早く起き、学校へ出発するまでの時間にゆとりがある」ことがわかります。おそらく、この 時間は「朝食をきちんと摂るかどうか」に相関があるように思われます。 「起きるのが遅い→朝食を抜く→午前中、脳の栄養不足で集中しない」 というサイクルが起きているのでしょう。 では、どうして、起きるのが遅いか、と考えると、それは就寝時間に理由があるわけです。 見てわかるとおり、成績が悪い層ほど、深夜まで起きているようです。もちろん、学習のため に起きているなら、いたしかたのないところですが、C層、D層の平日の学習時間が1時間以 内である生徒がそれぞれ65.1%,79.3%であることを考えると、どうもそれはなさそ うです。 A層が23時に寝る生徒が35%いながら、 学習時間を確保していることを考えると、 それは学習以外であるとしか思えません。 それでは、どんな過ごし方をしているのでしょうか。次の表を見てください。 学習以外の過ごし方 校内 本校 本校 本校 本校 国公立 A層 B層 C層 D層 MARCH 難関大 テレビやDVDなどを見る 18.6 23.3 29.1 12.8 6.9 33.7 31.6 音楽やラジオを聴く 10.0 8.3 10.5 9.3 12.1 11.1 11.4 9.0 8.3 10.5 9.3 12.1 6.9 8.2 本を読む(マンガや雑誌) 4.8 1.7 5.8 7.0 3.4 5.2 5.5 本を読む(マンガや雑誌以 3.8 1.7 4.7 4.7 3.4 3.4 5.3 パソコンに向かっている 15.9 18.3 12.8 16.3 17.2 10.5 12.1 携帯電話を使っている 16.2 5.0 17.4 20.9 19.0 14.7 10.9 3.8 5.0 3.5 1.2 6.9 2.7 2.8 12.1 16.7 8.1 14.0 10.3 7.2 7.1 スポーツ・運動をする 1.0 3.3 0.0 0.0 1.7 0.9 1.0 その他 4.8 8.3 1.2 4.7 6.9 3.3 4.0 テレビゲームなどの室内ゲ ームをする 外) 家の手伝い、家族との団ら ん 何もしないでのんびりする 成績上位層や難関大合格者は、 「テレビ・DVD」 「何もしない」など、脳が休まるものの数字 が高いことがわかります。それに比べて、成績下位層は「テレビゲーム」 「携帯電話」 「パソコ ン」など、脳の疲労をうむものに多くの時間を割いています。これが大きな問題であるようで す。 「携帯」も「パソコン」もゲームのような使い方を含むものになりつつありますから、こう したものに脳をつかってしまうと、その後の学習効率は極端に悪くなり、平日の夜ということ -5- でいえば、 ゲーム後の学習はほとんど意味がない というぐらい、テレビゲーム後の学習効率は悪いのです。 起床時間、就寝時間、勉強以外で過ごす時間の全体的な傾向は、学年ごとに差がないのです が、この学年の大きな特徴は、B層が、例年のC層、D層と同じような数値になっているとい うことです。つまり、成績が低迷している理由が、こうした生活習慣にあるということが浮か びあがります。また、A層で、パソコンの率が高いなど、一部不安な要素があるのも、大きな 傾向と言えそうです。 目標達成シートでは、こうした生活習慣のチェックも行っていますが、意図的に生活リズム を改善する必要がありそうです。 今後の受験勉強と塾や予備校 受験勉強を始める時期についての質問は、大半の生徒が、 「2年生4月」 「2年生夏」と答え、 「2年生秋」をふくめれば、大半の生徒が早期のスタートを決意しているようです。非常に喜 ばしいことですが、 「そう思っているうちに、いつのまにか秋…」などということがないように するためには、タイミングを逃さないことです。決意したら、 「今」始める。いくら、三日坊主 になってもいいので、やる気になったその時にはじめることが重要なのです。 その中でひとつ気がかりな質問が、 「塾に行く予定があるかどうか」という項目です。塾や予 備校に行くこと自体に何も問題はありません。自分が必要だと思うときに、必要なものを求め ていくぶんには大きな成果をあげるでしょう。 しかし、この学年は、 「現在は通っていないが、今後通うつもり」と答えた生徒が極端に多い のです。30期生が22%、難関大合格レベル、MARCH合格レベルが9%程度であるのに 対し、27.2%、A層では30%に上っています。 この学年の大きな問題は、学習法であると述べましたが、ここにもそれは現れているような 気がしてなりません。 やる気はある→何をしていいかわからない→塾に行く→言われたことをやる であるとするなら、これは危険以外何物でもありません。もう一度、誤解のないように書き ますが、塾に行くことはいけないことではありません。しかし、塾に行って解決する問題では ないということを自覚してください。それでもなお、 「でも、塾に行けば…」と思っているなら、 今、行くべきです。なぜなら、大学受験とは、クラブや学校行事と両立しながらしなければ終 わらないものであり、決して「クラブを引退して塾に行けば間に合う」ものではないからです。 このことをしっかり自覚して、まずは自分自身が、学習に向かうことをしっかり考えてみまし ょう。 -6- ゴールデンウィーク前のチェックリスト □ 目標達成シートを記入した→家の目につくところに貼ろう! □ ゴールデンウィークにやるべきことを決めた □ 携帯電話の置き場所を固定し、学習場所を固定した □ ターキーの範囲を確認し、IMRシートなどを利用する □ スタディサポートの課題をこなす! □ 学校から学習に必要なものをきちんと持ち帰る 生活習慣のまとめ □ 起床時間は早く、きちんと朝食を摂る □ 朝自習などスキマ時間を活用する □ ゲームや携帯はほどほどに。学習の後。置き場所や学習場所でコントロールする □ 就寝は24時を目安に、それまでに眠る 保護者の方へのお願い ① 朝食をきちんと摂るようご協力お願いします。 ② 目標達成シートを目のつくところにはらせてください。→学習習慣のある生徒は机の前な ど、学習する場所の付近が適切ですが、学習習慣がついていない生徒は、一日の生活の中 で、必ず目にする場所(テレビの近くや、トイレなど)が適当です。 学年目標 「自分を見つめる 世界を見つめる」 ★自分を知り、自分を律し、自分を管理できる人間たれ ★他者を理解し、互いに認め合い、高め合って、さらなる広い世界を開拓できる 人間たれ 夢実現のための十則 夢を持て。ない夢はかなわぬ。目標なく一生懸命やることに酔うな。 やることを与えられるな。自分のために創り出し、形にして期限を決めよ。 他人と関われ。他人を理解しようとしろ。他人に理解される努力をしろ。 挨拶をせよ。人に気付き、人に気付いてもらえる。 毎日他人に奉仕しろ。心がきれいなら他人も応援してくれる。 話を聞く姿勢を作れ。聞く人には教えたくなる。助けたくなる。 書け。何度でも書き直せ。書かないことは考えていないこと。 自分と戦え。自分は見ている。人と戦うな。気にするな。自分が変われ。 大事なことは最初にやれ。優先順位を考えろ。タイミングを逃すな。 成功を繰返し、失敗を繰返さぬよう分析しろ。原因を五回さかのぼれ。 -7- 今回の学年通信で言うと、1番目と2番目が最も意識すべきところだと言えるでしょう。自 分自身が、自分の目標のために、取り組むのだということを忘れないようにしてください。 後ろから2つめの、 「タイミングを逃すな」も大事です。現在の君たちを見ていると、やる気 や変わろうとする意志をひしひしと感じます。しかし、残念ながら、そのときはあっという間 に過ぎていきます。やろうという、意欲のあるときに始めること。それが一番大事なことです。 このタイミングを生かせば、それがたとえ不発に終わったとしても、次に向けての確実な一歩 となっているはずです。 最後の分析、後ろから4つめ、何度も書き直すこともとても大切です。1度でできるように なることはありません。何度も何度もチャレンジし、失敗を分析しながら、自分にあう方法を 見つけることが重要なのです。 今後の予定 日時 予定 備考 5 月 7 日(月)~26 日(土) 教育実習 5 月 8 日(火) 学部学科適正検査, ターキー英語 5 月 15 日(火) 河合模試 5 月 22 日(火) 避難訓練,(実習生講演会) 前期中間考査2週間前 40 分短縮授業 ターキー数学 5 月 28 日(月) 生徒総会(5,6 限) 5 月 29 日(火) ターキー国語 6 月 5 日(火)~8 日(金) 前期中間考査 6 月 15 日(金) 県民の日(休) 6 月 19 日(火)~27 日(水) 研修旅行&慰労休&代休 7 月 5 日(木) 特別考査 7 月 7 日(土) 仕事塾 7 月 14 日(土) 夢ナビ 7 月 13 日(金)~19 日(木) 面談週間 40 分短縮授業 7 月 20 日(金) 終業集会 -8-
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