金型・型製作エア・ウォーターNV 株式会社硬度と靭性を兼ね備えた窒化処理方法の開発窒化層硬度コントロールによる割れに強い長寿命金型一方、A 条件では明確なクラックがなく、表面硬度 1．開発の目的鍛造用金型の寿命を向上させるため、ガス窒化、浸硫窒化、イオン窒化、塩浴窒化など各種窒化処理が適がほぼ変わらない従来条件よりも明らかに靭性に優れた窒化層が形成されていることが分かる。用されてきている。しかし鍛造用金型と言ってもその型形状等によって必要とされる性能は異なるが、一般的な各種窒化処理ではそれぞれの要求特性に応じた窒化層、特に表面だけではなく深さ方向の硬度の最適化を図ることは難しかった。そこでガスによる金型表面の活性化処理を行い、さらに窒化処理雰囲気を制御することによって窒化層硬度をコントロールし、金型が写真 1 ロックウェル脆性評価結果（左：従来条件、右：A 条件）寿命に至る大きな要因の一つである「割れ」に強い窒 3．開発の成果化層を形成させる処理プロセスを開発した。表 1 に熱間鍛造金型（仕上型）の鍛造可能ショット 2．開発の内容数を一般的な窒化処理と比較した結果を示す。コンロッステンレス鋼の不動態皮膜ほどではないが、金型鋼ド型では耐摩耗性に加え窒化層の靱性も確保し割れのの表面にも還元されにくく窒化処理時に N の侵入を発生を抑制した効果が現れている。クランク型では局部阻害する酸化皮膜が必ず存在する。この酸化皮膜を一的に曲げ応力が繰返し負荷される形状のためより割れ旦フッ化物に置換し、そのフッ化物を還元、除去するを発生し易いが、図 2 に示すように硬度コントロールがことによって、N の侵入が容易な活性表面を得る方法疲労強度を大きく向上させ、寿命に影響するような割れを既に開発していた。この技術の利用によって金型のの発生を防ぐことによって大幅な寿命向上が達成され鋼種を問わず均一な高 N 濃度の窒化層を形成させるている。このように窒化層の硬度と靱性のバランスを制ことができるが、窒化層の N 濃度が高くなり過ぎた御することで、成形中に割れが発生し易い鍛造金型だ場合、靭性不足によりクラックが発生し易くなり、金けではなく、熱応力が繰返し負荷されるダイカスト金型型の寿命向上には繋がらないケースが発生した。このにおいても同様に優れた効果を得ることができる。対策として上記活性表面は N だけではなく C の拡散浸透も容易となるため、N と C の侵入量を制御することで図 1 のように窒化層の硬度を変化させられることを見出し、鍛造成形時の要求特性に応じた硬度と靭性鍛造金型の種類コンロッド用クランク用金型寿命比較処理浸硫窒化約 6,500 ショットイオン窒化約 5,500 ショット適用処理 A 条件約 10,000 ショット B 条件約 9,500 ショット応力［MPa］のバランス制御を可能にしたものである。表 1 熱間鍛造金型に適用した場合の金型寿命の比較例図 1 同一温度、時間で処理した SKD61 の断面硬度回数（CYCLE）図 2 回転曲げ疲労試験結果の比較写真 1 に窒化された SKD61 材にロックウェル硬度計（C スケール）を用いて圧痕をつけたときの表面観察結果を示す。従来条件では圧痕の周囲に多数のクラックが発生しており、表面が脆化していることが分かる。エア・ウォーター NV 株式会社〒 660 - 0091 兵庫県尼崎市中浜町 1 - 8 TEL. 06 - 6412 - 5355 FAX. 06 - 6412 - 7688 http://www.awi.co.jp/nv/ わが社の素形材技術最前線金型-エア・ウォーターNV1227.indd 1 Vol.53（2012）No.1 SOKEIZAI 25 2011/12/27 17:12:00