「 乳がん検診を受けよう 」 Q 今日は乳がん検診を受けようというテーマでお話を伺います。 乳がんについては昨年5月女優アンジェリーナ・ジョリーさんの予防的乳房切除術 でも話題になりましたが、乳がんとは、どんな病気でしょうか? A 乳がんは乳房にできる悪性腫瘍です。 乳房は乳腺、乳頭、脂肪、皮膚などで構成されています。 乳腺は乳頭から木の枝のように放射線状に広がる小葉と乳管からなっています。 小葉と呼ばれる袋状の母乳を作るところと母乳を乳頭まで運ぶのが乳管です。 乳がんの多くは、この乳管から発生します。 Q 乳がんの症状はどのようなものがありますか A しこり、痛み、血液が混じったような分泌物が出る、乳首のただれ、皮膚のくぼみ、 赤く腫れたりオレンジの皮のように毛穴が目立つ、脇の下のしこり、など実に様々 です。細胞ががん化してがん細胞となり、増え始めるとしこりになります。しかし、 乳がんの初期は食欲が減ったり、体調が悪くなるなどの全身症状はほとんどありま せん。唯一の乳房の変化に気付かずに放置しておくと、乳腺の外にまでがん細胞が 増殖し、血管やリンパ管を通って全身へと拡がっていきます。乳房のわずかな変化 を見逃さないことが大切です。 Q どれくらいの方が乳がんにかかっていますか A 日本では、乳がんにかかる女性が年々増えており、年間約5~6万人の女性がかか ると推定されています。残念ながら乳がんで亡くなる方も2011年では1万人を 超えています。女性の全年齢層では大腸がんや肺がんで亡くなる方が多いのですが、 40歳前後を境に、乳がんで亡くなる方が増え始め、35歳から64歳では乳がん が死亡原因の第1位となっています。 最近のデータでは14人に 1 人の女性が乳がんにかかるといわれています。 新潟県でも一年間に約1200人が新たに乳がんと診断され、乳がんでなくなる方 は約250人で、どちらも年々増え続けています。 Q 年代による罹患率の違いはありますか -1- A 乳がんに罹患する人は、30代から増え始め40代、50代がピークとなっていま す。また若い年代の乳がんにかかる率が年々増加しています。20代でかかる方は 少ないとはいえ、若い時から関心を持つことが大切です。 Q 乳がんにかかりやすい人はいますか A 乳がんが発生したり、大きくなることに、女性ホルモンであるエストロゲンが関係 しています。エストロゲンは月経の終わり頃から排卵前にかけて多く分泌されるホ ルモンで、このエストロゲンにさらされる期間が長いほどかかりやすくなるとされ ます。乳がんの発生には環境的な要因と遺伝的な要因があると考えられており、 次のどれかに当てはまる人は、特に注意が必要です。 1 初潮が早く11歳以下だった人や、閉経が遅い55歳以降の人 2 初産年齢が遅い30歳以上の人、または出産経験がない人 3 標準体重を2割以上超えている、肥満の人 特に閉経後の肥満の人 4 家族(祖母、母、姉妹、娘)などが近親者が乳がんにかかった人 5 更年期にホルモン剤を常用している人 などです Q 乳がんを予防する方法はありますか A 乳がんにならない生活方法は残念ながらありません。しかし胃がん、肺がん、大腸 がんなども他のがんが食生活の欧米化によってかかる割合が増えているのと同様、 乳がんも食生活の変化により、その危険が増すといえます。脂肪の多い食事を避け る、飲酒はがんになるリスクを高める可能性があるので少量、日本酒で1合くらい を心がけ週に2日は休肝日を設け、豆腐・納豆など大豆系の食品や、緑黄色野菜を 摂るなど毎日の食生活に注意しましょう。喫煙と乳がんの因果関係は不明ですが、 健康維持の点からも喫煙は避けたほうが良いでしょう。また適正体重を維持するた めカロリーオーバーを避け、日ごろから適度の運動を心がけることも大切です。 適度の運動は、閉経後の女性の乳がんのリスクを減少させるといわれています。 Q 早期発見するためにはどのようにしたら良いでしょうか A 乳がんは自分で発見できる数少ないがんです。 乳がんの細胞が1つから2つへ分裂するまでの時間を「ダブリングタイム」といい、 その期間は90日です。がん細胞が直径1㎝の大きさになるまでには約30回の細 胞分裂の時間、5~10年を要すると言われています。 2㎝以下であれば早期がんといわれていますので、定期的な乳房の自己触診法によ るセルフチェックをすることで早期に発見することができるのです。 -2- Q セルフチェックの仕方について教えてください。 A 実施日は月に1回、月経開始から5日目から1週間が最適です。 閉経後の人は日を決めて行うと良いでしょう。 具体的な方法ですが、まず両腕を下げたまま、左右の乳房や乳首の形をおぼえてお きます。その上で チェック1、視るです。まず鏡にうつしてよく視ます 鏡の前で、腕を高く挙げて頭の後ろで手を組み、乳房のひきつれ、くぼみ、乳輪の 変化、乳首のくぼみ、湿疹、皮膚の変色、乳房の大きさや位置に左右差がないかな どをチェックするします。そして、腕を腰に当てた姿勢で、乳房にしこりやくぼみ がないかもチェックします。 次にチェック2、触るです。4本の指をそろえて、その指の腹と肋骨で乳房を挟む ようにして、小さく「の」の字を描くように指を動かしながらチェックします。 左の乳房は右手で、右の乳房は左手で触れて、乳房のしこりやでこぼこ、脇の下の リンパ節の腫れをチェックします。 乳房に以前と違った硬いところがないかなど外側から中心部に向かってチェックし ます。 最後に左右の乳首を軽くつまみ、お乳をしぼり出すようにして、血液のような異常 な液がでないか調べます。 Q 市町村が実施している乳がん検診は、どのような検査でしょうか A 「マンモグラフィ検査」乳房 X 線撮影検査です。マンモグラフィ検査は、乳房をプ ラスチックの板で挟み撮影します。触診だけでは発見できない早期のがんやしこり にならない小さな、特に石灰化のある乳がんの発見に適しています。 ただし、マンモグラフィは乳腺の濃度に影響を受ることから、濃度が密な若い人(4 0歳未満)の方は、乳腺の異常がとらえにくいといわれています。 Q 乳がん検診は、誰でもが毎年受けたほうが良いでしょうか A 市町村が実施する検診対象者は40歳以上の方です。受診間隔は放射線被曝や費用 対効果などの観点で毎年ではなく2年に 1 回の受診となっています。 ただし乳がんの進行には個人差があるため、症状があり不安がある方は専門医を受 診することをお勧めします。 乳がんは医療機器の進歩や精度が上がり、しこりとして触れる前1㎝以下の自覚症 状のない段階で発見が可能になってきました。 乳がんの治療は乳房の切除というイメージがありますが早期発見によって治療内容 にも選択の幅も広がり、全国乳がん患者登録調査報告によると早期発見であれば9 0%の人が治癒しています。 いたずらに心配することなく、また私は大丈夫と楽観することなく、正しい知識を -3- 身につけ、できることを実行していくことが大切です。そのキーワードは「定期的 なマンモグラフィ検査」と自己検診・自己触診法」の実施です。 早期発見の手段として、乳がん検診をぜひ受けましょう。 Q 新発田健康福祉環境部では月岡温泉と五頭温泉郷において乳がん体験者の方が安心 して入浴を楽しむことができる温泉街づくりをしていると聞きましたがどのような ことをしていますか A 月岡温泉と五頭温泉郷から、乳がん早期発見の啓発の取組をすすめたり、乳がん体 験者の方に以前と同様に温泉を楽しんでいただけるよう、旅館・ホテルの従業員の 方へ乳がんを理解するための研修会を開催しています。乳がん体験者の方への大浴 場貸切りや貸切風呂無料開放などのサービスをしている、おもてなしの心あふれる 月岡温泉・五頭温泉郷に皆さんから是非足を運んでいただきたいと思います。 -4-
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